台湾・台北市の「LCP Arena」で開催されている『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』のアジア太平洋リーグ「LCP」。2025年5月3日の試合では、Fukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)とDetonatioN FocusMe(DFM)の日本対決が行われ、熱い戦いが繰り広げられました。
1戦目は後半のドラゴン前の集団戦で一気に有利を掴んだDFMが、そのまま試合を制しました。続く2戦目は、SHGがピックしたオーンとタリヤのアルティメットの仕掛けが炸裂。SHGがマッチを取り返し、1-1で3戦目を迎えます。両チームとも一歩も譲らない戦いを見せますが、中盤からじわじわとSHGが有利を築きはじめ、最後にはMarble選手のペンタキルで試合を決めきります。これにより、最終的に2-1でSHGが今シーズン初勝利を挙げました。
本稿では試合終了後、オンラインでSHGのMomentコーチにインタビューさせていただきました。気になるチーム課題点なども具体的にいろいろ聞けたので、早速ご覧ください。
◆今日は全体的にバンピックが上手くいった
――勝利おめでとうございます!今日の試合はEvi選手とFATE選手の連携プレイが光り、最後にはMarble選手のペンタキルまで出ましたが、まずは感想から聞かせてください。
Moment:勝つには勝ちましたが、個人的には満足のいくパフォーマンスではなく少し残念な点もありました。ゲーム中に選手たちの考えが一致せず、コールでも意見が食い違ってしまうことが時々あるんです。そんななかでも選手たちが努力してくれて、今日は試合が進むにつれてゲーム内で成長を見せてくれました。そして勝利することができたので、気持ちとしては本当に嬉しいですね。

――表情や口調からも嬉しさがにじみ出ていますね。ところでバンピックについて、フィアレスドラフトの影響で難しくなったとは思うのですが、今日の構成はすごく強かったと思います。ご自身でも、今日のバンピックは上手くいったと感じていますか。
Moment:そうですね。今日は全体的にバンピックが上手くいったと思うので良かったです。最初の試合でヴァイが空くとは予想していませんでしたが、それ以外はほぼ想定通りにバンピックを進めることができました。というか、むしろ負けてしまったGame 1でスムーズに勝たなきゃいけなかったと思うんですよね(苦笑)。もちろんバンピックがすべてではないですが、今日はいい感じだったんじゃないかと思ってます。
――DFMもかなり強かったと思いますが、実際に対戦してみた印象はいかがでしたか。
Moment:DFMは練習のときに強いなと思ってちょっと怖かったんですよね。だけどうちのチームだって前のシーズンよりは成長してますから、簡単にとはいかなくても勝てるんじゃないかぐらいに思ってたんです。だけど今日はDFMが予想以上に実力を発揮してきて驚かされました。
◆LoLをやってきた期間も場所も違うので「考え方に違い」がある
――ここからはLCPチーム全体についての印象をお伺いしたいのですが、具体的にどんな点が強いと感じていますか。
Moment:私がLCPに来て一番驚いたのは、JunJia選手をはじめ選手たちのソロランクのレベルが非常に高く、個人のフィジカルも素晴らしいことでした。ですから、LCPチームが全体的に強いのは間違いないと思います。ただ、ほかのチームを評価できるような立場ではないんですけど、チームワークが良いけどスマートじゃないプレイも多少あるのかなという気はしています。こんなことを言って大丈夫か、ちょっと怖いんですけど(苦笑)。
――それはさすがに大丈夫かと(苦笑)。少し隙が見えることもある、ぐらいの感じですよね。チームとしては相手のそういう点を探して狙っていくものだと思うので。
Moment:それと、もうひとつ。個性がすごく強いなと感じました。とくにMGN Vikings Esports(MVKE)はハッキリとしたチームカラーがあって、それに合ったプレイやバンピックがとても良いなと思いながら見ています。すごくアグレッシブで上手いんですよね。
――では、SHGの現在のチーム状況はいかがですか。また、課題があるとしたらどんな点だと思いますか。
Moment:チャンピオンに対する考えやゲーム内でどのようにプレイすべきかという考えが、まだ一致していない点が課題だと思っています。これは誰が正しくて誰が間違っているとかいう話ではないんです。私もマイナーリーグが初めてですし、これまでLoLをやってきた期間も場所もそれぞれがまったく違うので、お互いの考え方に違う点があるということです。そこのすり合わせを私も選手たちも頑張って進めているところで、徐々に良くなってきていると思います。
――Evi選手のインタビューで「どのレーンも戦えるフィジカルがあるので、選択肢が多くて方向性を決めるのが難しい」というお話がありました。これについてMomentコーチはどのようにお考えでしょうか。
Moment:私はそのインタビューを読んでいないので正確な内容はわからないですが、私の考えとしては「自分たちがこの構成なら、いま戦えなくもないけど戦わないほうがいい」と感じる場面があります。ですが、いまのチームでは「戦えるから戦おう」というふうになることが多いんです。トレードしたほうが良いときとしないほうが良いときがありますが、そういった考え方がチーム内で異なるときがあるので、Evi選手はそのような話をしたんじゃないかなという気がします。あとは、みんな上手いからある意味捨てるレーンがない、みたいなこともあるのかもしれませんね。

◆TLN戦では自分たちがやるべきことを一生懸命やる
――昨シーズンのMomentコーチへのインタビューで「マイナーリーグは思ったより険しい道で、選手たちはメジャーリーグのマインドを学んでいるところだ」とおっしゃっていましたが、指導の難しさはどんなところにあるのでしょうか。
Moment:例えば、グローバルウルトを持っているチャンピオンはスキルのクールダウンが180~200秒ぐらいあるので、相手がアルティメットで一度有利をとったとしてもその200秒の間にこちらができることの方がはるかに多いと思うんです。だからLCKやLPLではノクターンをファーストバンフェーズではバンしない、みたいなことがあるんです。相手がいくら好んでいてもターゲットバンをそこまで重要視していないとか、そういった面での考え方が結構違っていて、そのあたりはまだすり合わせが必要な部分だと思います。そういう点が一番難しいですね。
――なるほど、具体的にありがとうございます。さて、次はTALON(TLN)戦です。コーチ陣として準備したいことや、チームとしてどんなプレイを見せたいか、意気込みを聞かせてください。
Moment:何もしないで負けるより、何かをすることが重要だと思うんです。だから負けるにしても戦って負けるのがいいな、と。私はレーン戦もジャングルも選手たちの能力を信じているので、ちゃんと戦いたいんですよね。MVKE戦もGAM Esports戦も、こちらが有利で勝てる条件下でも試合会場に来ると萎縮してしまって、先にトライするという積極性が足りなかった気がします。TLN戦ではむしろ気楽なマインドで、自分たちがやるべきことを一生懸命やろうという姿をファンの皆さんにお見せしたいです。
――頑張ってください!では最後に、日本のSHGファンに向けてメッセージをお願いします。
Moment:昨シーズンは6位でプレイオフに進出しましたが、今シーズンはもう少し高い順位で締めくくれるよう、私も選手たちも努力していきたいと思います。ゲーム内容的にも良いところをお見せできるようにしたいです。いつも応援してくださってありがとうございます。これからも応援よろしくお願いします。

日本からSHGとDFMが参加している「LCP Mid Season」は5月25日まで全8チームによるBo3のシングルラウンドロビンで開催。上位6チームが次のQualifier Roundへと進み、上位2チームは国際大会「MSI」へと進出します。SHGの次戦は2025年5月10日(土)にTLN戦、DFMの次戦は2025年5月11日(日)にCTBC Flying Oyster戦が予定されています。