2025年5月30日、『リーグ・オブ・レジェンド』のアジア太平洋地域リーグ「LCP」のMid Season Qualifying Seriesが開幕。レギュラーシーズン6位の「Fukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)」は、3位の「Talon」から対戦相手指名を受ける形で対戦しました。
試合では序盤からSHGが積極的なアクションやFATE選手のアウトプレイで優位を築くも、TalonもJGのKarsa選手を中心とする集団戦のクオリティで対抗。SHGはマップ全体を使ったトレードを仕掛けるも、2試合連続でTalonが決定的な集団戦を勝ち切り、BO3はゲームカウント0-2でSHGの敗北となりました。
今回は試合後のSHG Evi選手にインタビューを実施。Mid Season全体の振り返りや、勝負のSplit3に向けた意気込みを聞きました。
◆「ちゃんと届いてホッとした気持ちもある」
――今日はアンベッサとヨリックのプレイになりました。まずはご自身のプレイを振り返ってみて、いかがですか。
Evi:パフォーマンスは結構良かったんじゃないかなと思います。個人でこれぐらいできれば、という内容ですかね。
――チームとしては2試合とも序~中盤で有利を握るシーンもありながらも逆転負けという結果になりました。公式配信のインタビューでもそこから勝ち切るところが課題とお話されていましたが、現状のSHGとしてやれるだけのパフォーマンスは発揮できたように感じました。
Evi:まさに、そんな感じですね。
――振り返ると、Kickoff Seasonは新加入選手を迎えながら練習環境が整わないトラブルもあり、メタも非常に特殊なスワップ環境で、少しチームの状態を測るのは難しかったと思います。このMid Seasonがようやく2025年のSHGとして本格的なスタートになったかと思いますが、印象はいかがですか。
Evi:僕自身としても「ようやく花開いてきたな」と思います。結局のところ、このゲームで一番難しいのが序中盤で、終盤に試合を詰め切って勝つことよりも困難かつ重要なポイントだと考えています。
そこ(序中盤)ができているのでチームとして戦える手応えもありますし、正直に言えば「この形すら通用しないかもしれない」という不安もあったので、まずはちゃんと(戦えるレベルに)届いたことにホッとしている気持ちもあります。

――SNSで公開されていたチームVC動画を見て、FATE選手とCourage選手が日本語でかなりコミュニケーションしていて驚きました。
Evi:そうですね(笑)。
◆ドラフトや展開面で“バランス”が向上
――Week1でのインタビューでは「チームとしての方向性に迷っている」と胸中を明かしていただきましたが、今はLCK出身のMomentコーチが考える『LoL』を体現しつつも、LCPらしく序中盤にも重きを置く、中間地点のようなバランスに落ち着いたように見えます。
Evi:その通りですね。具体的に言えば、最初の頃のCourageは本当に「フルクリアしてから」という動きが多かったんですが、パンテオンのような序盤にパワーがあるチャンピオンをピックした場合には4キャンプクリアから相手JGに入ったりガンクしたりする動きが強いので、もっと柔軟な選択肢が取れるように意識してやってきました。
ただ、実際に練習でやってみると「4キャンプからガンクには成功したけど、相手がカウンターJGしてきたからCS差が2倍になっちゃった」なんてこともあって、適切に判断しないと逆効果になることも多くて難しいんです。
今日のCourageはGame1ではレーンブッシュからのガンクもありましたけど、あれは以前なら絶対に彼からは出てこないコールで、僕はめっちゃ驚きました。序盤からのアクションがCourageの中に考え方として落とし込めている証拠なので、成長をかなり感じましたね。

――どうしても勝てていない時期が長かったので、観ている側としてはドラフトや展開で変化をつけないのかな?と思うこともあったのですが、大きくスタイルを変えずに続けてきましたよね。
Evi:ドラフトでは、バランスの取り方が上手くなってきたかなと思いますね。今日だとGame1で相手TOPにランブルが見えていて、こちらが「アンベッサかオーンか」ですごく僕もコーチも迷っていましたが、僕的にはタンクで“置きにいく”よりもファイターでリスクを取ってでも相手に圧をかけた方が良いんじゃないかと判断しました。
タンクって味方のガンクに合わせることはできても、ひとりで勝つピックではないんですよね。それよりも序盤寄りと言いますか、やや強気寄りな選択肢で戦う意識は持ちましたね。

――SHGは今日でMid Season敗退となり、これからはWorlds出場を争うSeason Finals(Split3)に焦点を当てていくことになります。個人的にLCPというリーグを戦っていく上での日本チームにとって大きな課題は「ベトナムのチームにどう勝つか」ではないかと思いますが、いかがでしょう。
Evi:そうですね。というか過去にWorldsやMSIで日本チームがベトナムチームに勝ったことってないんじゃないかな。相当前にRift Rivalsで勝ったことはありましたけど……それ以来国際戦で勝った記憶が全然ないんですよね。
VCSのテンポは他の地域と全く違っていて、そこに僕らが対応する前に戦われて潰されてしまうので、テンポは意識しないといけないですよね。ただ、LCPになって戦う機会が増えたので、僕らも対応できるようになっていけるんじゃないかと思います。
――昨年は成し遂げられなかったWorldsでの勝利を目指すためにも、次のシーズンは非常に重要になります。改めて、意気込みをお願いします。
Evi:長い間苦しい姿を見せてしまいましたが、少しずつMomentコーチやFATEが描く“世界最強の『LoL』”のマクロや考え方が花開いてきていると思いますので、これから先をどんどん楽しみにしていただけたらと思います。
来シーズン、Worldsに出場できるよう全力で頑張ります!
この敗戦を受けSHGは敗退となりましたが、「LCP Mid Season」の上位6チームが進出する「Qualifying Series」は6月8日まで開催中。レギュラーシーズン上位のチームが次のラウンドでの対戦相手を指名できる方式となっており、Round3以降ではBO5にてMid Season王者の座が争われます。
上位2チームは6月27日よりカナダで開幕する国際大会「MSI」と、サウジアラビアで開催される「Esports World Cup 2025」への出場権を獲得します。