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ZETA DIVISION所属のストリーマー・k4senさんが主催する『リーグ・オブ・レジェンド』の大会「League The k4sen (LTK)」。シーズン3となる「パンデモニウム」から新設された「Masters」は、出場メンバーのほとんどがプロリーグ「LJL」で活躍していた元プロゲーマーです。そこで前回の特集記事では、「LJL」の歴史に沿って出場メンバーたちの背景や横のつながりを中心にご紹介しました。
今回は視点を変えて、彼らがどういった面でどんなと頃がすごいのか、そのキャリアや功績に注目してまとめてみたいと思います。
功績として一番わかりやすいのは、やはりプロゲーマーとしての戦績でしょう。「LTK」出場メンバーのなかでは、Yutaponさんが頭ひとつ抜けています。2021年に行われた世界大会「Worlds」にDetonatioN FocusMe(DFM)のADCとして出場し、見事ベスト16進出を果たすという日本の『LoL』史上初の快挙を成し遂げました。このときCerosさんは試合こそ出ていなかったものの、サブとして共にチームに貢献したメンバーでもあります。2018年にはあと一歩のところで敗れた経験もあり、まさに悲願達成。日本国内のみならず、世界中からも祝福の声であふれました。日本が本戦に進出できたのは、後にも先にもこの一度だけです(※2026年6月現在)。それだけでもこの快挙の大きさが伝わるのではないでしょうか。

時を経て2023年に再びDFMが「LJL」優勝を果たし「Worlds」進出を決めた際、不測の事態によるロースター変更に伴い、すでに引退していたapaMENさんが代理メンバーとして急きょ試合に出場しました。当時31歳で「Worlds」出場最年長選手として記録され、彼もまた別の意味で話題となりました。

日本が「LJL」優勝と同時に世界大会出場権を獲得していた時代は2023年で終わり、その後はアジア太平洋地域(Pacific)として「PCS」から「LCP」へと段階的に組み込まれていきました。現在は「LCP」に日本から「DFM」と「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング(SHG)」の2チームが参加、「LJL」はそこへの昇格戦の出場権をかけて戦う形となっています。昨年の昇格戦にはQT DIG∞所属としてWashidaiさん、Yuhiさん、Hetelさんが出場しました。
「PCS」時代に台湾やオセアニアの強豪チームとリーグで戦った経験を持つメンバーとしては、YutaponさんのほかにV3 Esports(V3)所属だったHetelさんとSengoku Gaming(SG)所属だったYuhiさんが挙げられます。その他にも、古くは「IWC」や「Rift Rivals」から近年の「アジア競技大会」や「KeSPA CUP」まで、大小さまざまな国際大会に出場経験を持つ選手が揃っています。

皆さんご存知の通り『LoL』には5つのポジションが存在し、その役割は大きく分かれています。プロの世界ではその専門性を高めるためにポジション特化で選手を雇用するのが一般的ですが、ポジションをコンバートする選手もいます。apaMENさんはミッドレーナーからトップレーナーに、ThintoNさんはトップレーナーからサポートに転向。しかも、どちらのポジションでも非常に活躍していました。
また、Yutaponさんは、時と場合に応じてポジションをADCとトップレーナーで何度も行き来していた非常に珍しい選手です。ここまで来ると、「二刀流」と呼んでもいいのではないでしょうか。

さらに珍しいのが、Zerostさんのケース。彼は『リーグ・オブ・レジェンド』のプロゲーマーから、『VALORANT』のプロゲーマーに転向した異色の存在です。同ジャンル内での種目転向はFPSや格闘ゲームでよく見られるのですが、MOBAとFPSというジャンルのまったく違うゲームでプロゲーマーになること自体、並大抵のことではありません。親しみやすいキャラクターから冗談のように言われがちですが、間違いなく「偉大な選手」なのです。
『LoL』の競技シーンを知らないとなかなか見えてこない現状として、「LJL」において日本人選手として戦うことの難しさという側面があります。
「LJL」ではチームあたり2~3名の韓国人プレイヤーを助っ人として起用するのが一般的となっています。しかもそのうちのひとりは、ほぼ高確率でジャングラーです。そうした背景から、日本人ジャングラーは貴重な存在となっています。その点を考慮すると、日本人として狭き門を突破しジャングラーのポジションを獲得したYunikaさんとNestyさんのすごさが見えてくるのではないでしょうか。2015年の夏に初めて韓国人ジャングラーが日本チームに合流したのを皮切りに、現在でもその流れは変わっていません。ちなみにRainbrainさんはその波が来る前に台頭してきた選手なのですが、逆にブランクをものともせずYunikaさんやNestyさんと肩を並べて戦えているのはさらに驚きです。

ジャングラーの次に韓国人プレイヤーが起用されやすいポジションとして、サポートがあります。そんななかEntyさんは、日本人サポートとして長年活躍を見せてきました。近年ではミッドレーナーに韓国人プレイヤーが使われるケースも増えており、Cerosさんはちょうどその渦中で両方の環境を経験した世代の選手です。RecapさんやEugeoさんが活躍し始めた頃には、チームのキャリーを担う韓国人プレイヤーが対面に来ることが多かった印象です。このように「LTK」には、格上の韓国人助っ人選手を相手に戦ってきた歴戦の猛者たちが出場しているのです。
彼らのすごいところは、選手としてだけではありません。CerosさんとQooさんとapaMENさんは、コーチとしても活躍しました。実はコーチも韓国の方が多かったりします。「LJL」が発足した2014年以前の日本には、eスポーツらしきものはFPSか格闘ゲームぐらいしかなく、ほとんどプロ化もされていなかった時代。一方、韓国は2000年代前半からRTSを中心にeスポーツが大流行していました。eスポーツの歴史が長い分、コーチ経験者も多かったのです。そうした環境で日本人コーチとして経験を積んできた彼らもまた、シーンを支えてきた功労者と言えるでしょう。なお、apaMENさんは現在もVARRELのコーチとして活動中です。

前回も触れましたが、Day1さんは「LJL」解説者としての経歴があります。しかも、初の選手出身の解説者でした。先の歴史の話にもつながりますが、日本はeスポーツの歴史が浅い分、当時は元プロゲーマーという人も数えるほどしか存在しなかったのです。プロは何を考えてプレイしているのか、どういった根拠でこの動きをしているのかなど選手目線で語ってくれる唯一の解説者として重宝され、視聴者からも人気を博しました。
引退後、ストリーマーに転向した選手もいます。以前は配信者として生計を立てるという道がいまよりも確立していなかったうえに、『LoL』配信で多くの視聴者を集めるというのは至難の業だった時代。初期の頃にその道へ進んだのがRainbrainさん、らいじん(raizin)さん、Harettiさんでした。ThintoNさんに関しては、少し配信してはいたもののあまり表舞台に出てきてはいなかったと記憶しています。ですが、それだけブランクがあるにもかかわらずあれだけのパフォーマンスが出せているのは、やっぱりさすがとしか言いようがありません。

そんなそうそうたる元プロ選手たちに混ざってプレイできているしゃるるさんとたぬき忍者さんも、本当に素晴らしいです。プロとしてチームゲームをしてきた人たちについていけているのは、彼らの努力の賜物でしょう。
また、余談ですがLTKの実況・解説でお馴染みのキャスター陣「イエリク」ことイェーガーさんとリクルートさんも、長年「LJL」を支えてきた存在です。ゲームに対する熱量がふんだんに感じられる実況解説を、皆さんにも是非味わっていただきたいです。また、今回の特集記事のような昔話も、彼らの口からたくさん聞くことができます。そしてもちろん、元プロゲーマーの活躍の場を用意してくれたk4senさんには感謝しかありません。

ここまでご紹介してきた通り、今回の「LTK Masters」には日本の『リーグ・オブ・レジェンド』競技シーンを語るうえで欠かせない存在が数多く集まっています。既存の「LTK」視聴者の皆さんはおそらく推しチームのくくりで応援している人が多いと思いますが、出場メンバーのキャリアや功績を知ったうえで観戦すると、彼らのプレイがまた違って見えてくるかもしれません。「LTK Masters」が、そんな新たな発見のきっかけになれば幸いです。