VALORANT Challengers Japan 2025 Split 1では、経験豊富なSayaplayer選手がチームに加入し話題となったREJECT。しかし優勝にはあと一歩及ばず2位という結果に終わりました。続くSplit 2では成績が振るわず、Playoff初戦で敗退を喫しました。現在チームのサーキットポイント獲得順位は5位となっています。
そんな中、Split 3 Main Stageの開幕直前にBrofeld選手とmuto選手の脱退を発表。新たにYoshiii選手、LOB選手、MeatPieN選手の3人を迎え入れた「新生REJECT」として、7月11日(金)に開幕するSplit 3 Main Stageに挑みます。
本稿ではREJECTのhiroronn選手へのインタビューをお届け。新ロスター、新メンバーの雰囲気やパーソナルな部分、個人的・チームの目標、今後のキャリアについて伺いました。
◆大会までの準備期間は2週間…期待の新人MeatPieN―新ロスターについて
―― Brofeld選手とmuto選手の脱退が発表されましたが新ロスターはどうなるんですか?(本インタビュー時点ではまだロスターが発表されていなかった)
hiroronn:新ロスターは自分(hiroronn)とSayaとYoshiiiとLOB、で最後がMeatPieN(みーとぱいん)くんです。
――新たなチームの雰囲気はどうですか?
hiroronn:みんな優しくやる気もあります。プレイもやりやすく居心地もいいチームだと思います。
――お話を聞くとグローバルなチームだと感じます。コミュニケーションは日本語なんですか?
hiroronn:基本は日本語で、戦術的な部分は通訳さんを通しています。Yoshiiiは少し日本語が苦手なので、インゲームでは英語で伝えることもあります。Sayaは英語を使えますし、通訳さんもいるので特に問題なくコミュニケーションを取れています。
――チームの仕上がり的にはどうですか?
hiroronn:試合をしてみないとわからないのですが、スクリムの感触としては、自分コーチともに感触はいいと思っています。

――Split 2ではチームにとっては苦しいシーズンだったと思われますが、改めて振り返ってみてどのようなシーズンだったと振り返りますか?
hiroronn:チームとしてまとめ切るのが大変でした。全体的にトラブルが多いシーズンで、実力を全て出し切れなかったという印象が強いです。
――Split 1ではChampionsなど国際大会の出場経験もあるSayaplayer選手が加入、hiroronn選手自身もZETA所属時にユニフォーム交換もされてました。「一緒にやれたらいいね」と配信で言葉を交わされていたのを拝見したこともあります。実際に今、一緒にプレイしてみてどうですか?
hiroronn:5年ほど前からずっと応援していたし、憧れていたし、尊敬していた選手なので、一緒にやれることはすごくうれしいです。プレイもずっと強く、一緒にやってみて改めて尊敬できる選手だなと思います。
――Sayaplayer選手は普段どんな人なのでしょうか?
hiroronn:優しいけどパッションが強いといいますか(笑)。盛り上げもすごく上手でチームのみんなを引っ張ってくれるような選手で、とても助かっていますね。
――チームのモチベーター的な役割もSayaplayer選手が担っているんですか?
hiroronn:そうですね。結構モチベーター的な側面が強いと思います。
――ちなみにご自身はどのポジションなのですか?
hiroronn:今回ロスターが変わってリーダー的ポジションになったので、ちょっと落ち着いたリーダーとして、 チームを俯瞰的に見られるようなリーダーになれたらいいと思います。
――ほかのメンバーは熱いパッションに溢れているイメージですが、いかがですか?
hiroronn:Yoshiiiは落ち着いていてLOBはパッション強め、MeatPieNくんはどっちもって感じです。落ち着いてる人もいるし、盛り上げてくれる人もいる、ちょうどいいバランスになっていると思ってます。
――MeatPieN選手についてもう少し伺います。以前Delightに所属していて、今回REJECTに新加入しました。どのような方ですか?
hiroronn:自分もこれまで関わりがなく、コーチ陣もそこまで情報を持っている選手ではありませんでした。トライアウトをしていく中で、まずコントローラーを使える日本人選手というのが珍しく、その中でも特にコントローラーの使い方やインゲームのコールがよいと感じました。今まで大きなチームでのプレイ経験はないですが、これからいい選手になるとコーチや自分も含めて思い、新加入となりました。
パーソナル的なところでは、若いながら落ち着いていて、チームや個人のプレイに関しても悪いところを直せる柔軟性があります。これからどんどん強くなっていく選手だと思います。
――新たなロスターが確定してどれくらいですか?
hiroronn:1週間経っているか経っていないかくらいです。
――えっ!では今急ピッチで整えている状況なんですね。その段階でも雰囲気がいいというところはかなりいい状態に見えます。
hiroronn:ありがとうございます。そうですね。かなりいいと思っています。
――新ロスターに決まってから1週間ということでしたがこれからブートキャンプをやる予定はありますか?
hiroronn:Sayaが韓国に住んでいることもあり、 負担になってしまう可能性もあるので、今回はブートキャンプせずに自宅からプレイすることになると思います。オフラインに出るとなったら新しい環境へ適応ということも含めてブートキャンプ実施する可能性もあるかもしれません。

◆キーポイントは少人数戦でのコミュニケーション―Season Finalsに向けて
――チームのサーキットポイントは現在5位で、Season Finals進出のためにはSplit 3のメインステージを好成績で終わらせることが絶対条件です。後がない状況をチーム的にはどう捉えていますか?
hiroronn:とりあえずオフラインのSeason Finalsにいくことはチームとしても自分としても意識しています。Main Stageでもサーキットポイントで競っているチームには必ず勝たないといけないし、お互いに意識していると思います。準備期間は短いですが、一試合一試合全力でやるしかないので、急ぎつつも完成形に近づけるように頑張りたいです。
――Split 3に向けてチームとして最も重要だと考えていることはなんですか?
hiroronn:個人のパフォーマンスについては心配していません。どちらかというとチームでの動きなど、自分のIGLも含めて少人数戦でのコミュニケーションがSplit 2でもうまくいかなかった部分がありました。そこを修正できればSplit 3では絶対に強いチームになれると思います。
戦術以外だとそうですね…パーソナル的なところは心配ないですが、強いて言うなら言語面です。あまりトラブルが起きないようにチームとしてまとめきりたいです。

◆新しいスタイル確立のために…イニシエーター・IGLへの挑戦
――過去のインタビューで、ZETA時代に「エージェントやロールの変更で、自分のプレイスタイルを見失っている感じがある」と語っていました 。REJECTに加入し、ご自身のプレイスタイルを取り戻す、あるいは新しいスタイルを確立する手応えは感じていますか?
hiroronn:今回3人が新加入し、自分がIGLを担当することになりました。ロールもイニシエーターを担当しますが、今のところ感触は良いです。 始めたてで慣れていない部分もあるのですが、みんな強くてチーム全体のパフォーマンスが高いです。アナリスト含め3人のコーチ陣もサポートしてくれているので、自分としてもまだまだ成長・進化できると感じています。
――これからIGLになるとお話がありましたがFENNEL、ZETA時代でのIGLの経験はありましたか?
hiroronn:ZETA AC時代に少しやっていたのとZETAの時はロールが特殊だったので一応やってたといえばやっていた感じですね。
――いろいろな経験されていると思いますが、どのようなIGLを目指しますか?
hiroronn:チームメンバーはみんな、とてもいい選手で信頼もしています。IGLとしてはあまり個人のプレイを縛りすぎないように、全員がパフォーマンスを出せるように気を付けながら、それでいてチームのまとまりを維持できるようなIGLになりたいです。
――Pacificの経験から、チームに還元できるものはありますか?
hiroronn:Pacificの経験は「新しい」ことが多かったです。その経験は今に活きていますし、特にオフラインの経験はPacificでたくさん積めました。なので、MeatPieNくんなど大会自体の経験が少ないチームメイトにその経験値を引き継いでいけたらいいなと思います。
――ライバルとして意識しているチームや選手はいますか?
hiroronn:あまり意識するタイプではないのですが、Season Finalsの出場権をかけてサーキットポイントを争うFL、NFX、QTDの3チームは意識している相手ではありますし、負けられないという気持ちが強いです。
――MeatPieN選手が所属していたDelightはAdvance Stageを勝ち上がり、Main Stageに出場します。警戒はしていますか?
hiroronn:Delightはうまいチームだと思うし、若い選手が多く爆発力があります。アカデミーチームも含めて、その爆発力に負けないようにしたいです。勢いをもっていかれないように気を付けながら戦わないといけないなと。
◆弱冠18歳で国内優勝、国際大会出場経験アリ…海外挑戦も視野に入れていたhiroronnが視る未来の自分
――20歳という若さで、国内優勝や国際大会、Pacificのリーグ出場など、多くの選手が目標とする経験をされていますが、今後のキャリアをどのようにとらえていますか?今後の目標はどこに設定しているのでしょうか。
hiroronn:Challengers Japanを優勝し、Ascensionも優勝してPacificリーグに行くことが最終目標です。キャリアの選択肢はいくらでもあると思っています。
以前「Signater」で海外のチームに行きたいと話したことがありましたが、正直今は海外に行くことはあまり考えていないです。ほかのゲームだとNAが強かったり、EUが強かったりしますが、今はPacificが強いです。また、日本の『VALORANT』はかなり人気なので、今後数年は日本の『VALORANT』シーンに貢献して、そこからどうするか決めたいです。
――どういう心境の変化があったのでしょう?
hiroronn:経験として海外に行ってみたいという気持ちもありますが、「最近、日本のチームが国際大会でいい成績を残せていない」というのもあります。あと、Pacificリーグのチームが国際大会でもいい結果を残しているので、Ascensionで優勝してPacificリーグに行き、そこで勝ちたいという方が優先順位が高くなりました。
――最後にREJECTの復活を信じて応援してくれているファンのみなさんへのメッセージや意気込みを聞かせてください。
hiroronn: 3人変わって「新生REJECT」という形になりますが、コーチ陣も自分たち選手も、短い準備期間ながらも勝ちに行くために全力で頑張ります。REJECTも自分自身も長く応援してくれている方がいると思います。日本チームがAscensionで勝ってほしいという気持ちが強い人は多いと思いますし、自分も同じなのです。まずは勝ち上がって、Ascensionでも勝てるのが一番いいと思うので、そこに向かって全力で頑張ります!
――ありがとうございました!

VALORANT Challengers Japan 2025 Split 3 Main Stageは7月11日(金)から開幕。リーグ経験者2人がけん引する新生REJECTはMain Stageを突破し、Season Finalsへ出場できるのか。そしてAscensionの優勝、Pacificリーグへの大きな夢を掴み取ることができるのか。REJECTの初戦は同日の第3試合にて、RIDDLE ORDERと戦います。お見逃しなく!
<取材:内 真愛美/執筆:佐藤颯哉/質問監修、編集:岡野朔太郎/撮影:松田和真>