4月18日に国内大会「VALORANT Challengers Japan 2025 Split 2 Playoff Round 1」が行われ、幕張メッセで開催されるオフラインPlayoffに出場する4チームが出揃いました。本稿ではその4チームのうち、Playoff Round 1でREJECT(RC)に勝利してオフライン出場を決めた「QT DIG∞(QTD)」のmisaya選手とikedamaruコーチへの合同インタビューの模様をお届けします。
インタビューでは、苦しかったAdvance Stageでの心境や、ikedamaruコーチの名前変更の経緯、Tier1チームとTier2チームの差などが語られました。
◆Advance Stageを勝ち上がる最中でメンタルが育まれたのがRC戦での勝ちに繋がった
――Split 2 Main Stageの振り返りと、オフラインPlayoffの意気込みをお願いします。
misaya:初週2連勝したけど次週2連敗してしまった、みたいな「チームの波」がありつつも、最後的に良い方向に持っていくことが出来たので良かったです。そして今回は「Sengoku Gaming」から「QT DIG∞」に変わっての初のオフライン大会なので、気合を入れて練習して頑張りたいです。
ikedamaru:僕たちは去年から変わらず「タフなチーム」だと思っていますが、Advance Stageからオフラインまで来れたのは選手達がタフだったおかげだと感じていて、そこは素直に感謝しています。
オフラインに関しては、去年2回ともFENNEL(FL)に負けているので、今回は初戦がFLでない分勝てたらなと思っています。そして苦手意識のあるFLに決勝でリベンジできたら一番良いですね。
――Split 2を通じてチームとしてどのように成長できましたか?また課題として感じている部分はありますか?
ikedamaru:Advance Stageから上がってこれたのは本当に良かった点ですね。Crest Gaming Zstに敗北してから後の無い試合を3連続で行いましたが、その際にメンタルが凄く強くなったことで、Playoff Round 1のREJECT戦も良い内容で試合ができたと思います。

今後の課題は戦術の内容ですね。Main Stageで敗北した試合ではそこに差があったと認識しているので、改善しないとオフラインでは勝てないかなと思っています。
misaya:チームとして良い練習を行えたことがオフライン進出に繋がったと思います。Advance Stageが始まったくらいから「良い質の練習」を意識したことが、初週のRID戦での勝ちや自信に繋がりました。
今後の課題は、「ムード」が大きな物としてありますね。少しミスをしてしまうと、なんとか直そうとはしますがムードが悪くなってしまうので、オフラインまでに改善したいですね。
――そのためにチームとしてどのような声掛けをしたいなどありますか?
misaya:まずはそういうミスを起こさないようにしようというのが1つと、もしミスが起きてしまっても、一旦は気にせずプレイに集中したいといつも考えています。
◆misaya「いつプロを辞めるんだろうなと思いながらプレイしていた」
――Advance Stageから上がってきたのが良かったとおっしゃっていましたが、実際にAdvance Stageを戦っている最中はどのようにチームが変化していきましたか?
misaya:Split 1で負けてからすごく意識が変わりました。Advance Stageも周りがプロチームの中で負けたら終わりという地獄のようなトーナメントでしたが、その中で勝つには「どこよりも練習しなければ」という結論に至りました。みんなめっちゃ頑張ったと思うし、だから苦しい中でも勝ち上がれたのかなって思います。
――ルーザーズブラケット上がっていくのは苦しかったと思いますが、その際の心境はいかがでしたか?
misaya:僕は結構ネガティブな人間なので、「うわ~いつプロ辞めるんだろうな~」ってずっと思いながらやってました(笑)ずっと苦しかったですね。
――コーチの目線ではどうですか?
ikedamaru:僕自身、Split 1でFLに2連敗して敗退したことに対して責任を感じていました。なので坊主にしたんですよね。そういう部分で雰囲気を明るくしつつ、でもシリアスにやるべきところはシリアスにやる、という意識でいました。みんな真剣にやらないとって思っているからこそ、外からは仲良く見えても喧嘩が起きますし、それが良い練習に繋がったと思っています。Advance Stageの最中は、「俺は明日クビになるかもしれない」って気持ちで毎日コーチスロットで震えていました(笑)。
――それに関連してですが、なぜikedamaruコーチは名前をmltdwnから変更したのですか?
ikedamaru:僕は「mltdwn」という名前でFLに数年間在籍した後、SGに移籍してコーチを務めています。でもFLに対しての勝敗が1勝5敗とかで、僕が入ってからSGはFLにめっちゃ負けているんですよね。その原因が僕の名前や、僕がFLに対してリスペクトを持ちすぎていておかしいことを言っているからなのではという話が挙がったので、心機一転のために名前を変えて髪を坊主にしました。
――Split 1終了後にX上でチームの改善点を募集されていたかと思いますが、あのポストへの反応の中から参考になるものなどありましたか?
ikedamaru:かなり知見を得ることが出来ましたね。一般の方からもたくさん意見をいただきましたが、一番良かったのは手伝ってくれる人が増えたことですかね。
――かなり助けになっているということですか?
ikedamaru:なってるよね?
misaya:僕はめっちゃ嬉しいですね。
ikedamaru:一人はRyanguruコーチのように身体のサポートを行ってくれる人(理学療法士)が増えました。トレーニングや練習終わりのストレッチで疲労軽減を手伝ってくれています。もう一人は戦術部分でサポートしてくれていますね。発表もそろそろだと思います。
◆ikedamaru「一番成長しているのはmisaya。今年は本当にヤバい」
――大会を通してチームが成長したとおっしゃっていましたが、お二人から見て特に成長したなと感じているメンバーはいますか?
misaya:一番若いKippeiじゃないですかね。最初入ってきた時は「本当にこいつフィジカルだけだな」って感じだったんですけど、NoriseNコーチやikedamaruコーチからのフィードバックもあり、その中でドンドン上手いスモークになっていきました。努力量的にはみんな同じくらいかなと思いますが、成長率で見たらKippeiが一番大きいと思います。
ikedamaru:常に頑張っているのはnobitaかなと思います。僕から見たら、一番成長しているのはmisayaかなと思いますね。ちょっとここにいるので恥ずかしいですけど(笑)
――misaya選手は長くプロを続けているのもあり、どうしても伸び率が低くなっていくと思いますが、それでもmisaya選手の伸びは凄かったですか?
ikedamaru:いや今年は本当にヤバいですよ。めっちゃ強いです。フィジカルが凄い注目されていますけど、そこだけではなく、IGLが本当に上手くなったなと思う瞬間が多いですね。僕達は「将棋」って呼んでいるんですけど、1ラウンドを通して盤面を見ながらフィードバックをすることを僕とmisayaでやったりしています。それがかなり良い効果が出たのかなと感じていますね。そもそも本人の努力量が多いのもありますが、一気に伸びた感じがしますね。ここからもまた伸びると思います。
――昨年のSplit 3からKippei選手とYuran選手が加入したと思いますが、今までに何か印象は変化しましたか?
misaya:Yuranはかなりプレイスタイルが変わりましたね。色々な人をトライアウトした中で、加入した当初はセーフティーなセンチネルというイメージがありました。ですが、ここ最近はトライする瞬間が増えて、エリアを広く保持していますね。人間性はずっとニコニコしている感じで変わっていませんが、センチネルというプレイヤー面で見ると凄く変わっています。Kippeiはただただ上手くなったって感じです。
ikedamaru:Yuranはプレイスタイルを変えてからだいぶ良くなりましたね。実は先程のXの募集で集めた意見の中に「Yuranのポジションを変えてやれよ」というものもありました。本当にちょっと検討したんですけど、Yuranと話した末、ロールは同じですけど少しプレイスタイルを変えたりしました。それでだいぶ化けましたね。Kippeiはまぁいつも通りずっと頑張っていて可愛い感じですね。
◆Tier1チームとTier2チームの「ちょっとの差」がずっと埋まらない
――準決勝の対戦相手は一度Main Stageで勝利しているRIDとなりましたが、どのように考えていますか?
misaya:FLほどRIDDLE ORDER(RID)に苦手意識は無いので、ちゃんとやればちゃんと良い試合になるかなって感じです。
ikedamaru:RIDは現日本王者で、昨年のAscensionでも好成績を残していたので格上であることは間違いないと思います。僕達は一度勝利しましたが、かといって「いつ試合をしても勝てるぞ」という訳では無いので、残り1ヶ月の練習でRIDに対して良い試合をできるようにします。
――今の自分たちの実力・レベルは世界的に見てどのあたりに位置していると感じていますか?
misaya:昨年は国際大会の開催地がアジア(上海・ソウル)だったので、かなり国際大会出場チームとスクリムできました。正直感触は悪くなかったんですよね。なんとも言えない立ち位置にいると思います。
ただ個人的にはPacificが4つのインターナショナルリーグの中で今一番強いと思っているので、舐めていると思われるかも知れませんが、EMEAとかは意外といける(勝てる)のかなと思っています。これヤバいね(笑)
ikedamaru:って言ってるんですけど、結構僕達リーグチームに(スクリムで)負けているんですよね。今年に入ってからはほとんどと言って良いほど負けているんですけど、そこから学べることも多いので、大会本番では内容が良いのかなと思います。
――(misaya選手の発言は)各リーグのチームの強さの話ですか?
misaya:EMEAやAmericasの試合が好きでよく見るんですけど、さすがに上手いなって感じですね。ただ大きな差があるかといえばそういう訳では無くて、「ちょっとの差」がずっと埋まらない印象です。「ちょっとの差」を埋めるのが途方もなく大変だと思うんですけど、その差を埋めれたらPacificなどでも通用すると思います。
――その「ちょっと」は具体的に何だとお考えですか?
misaya:アングルやプレイのコールなどの凄い細かい部分だと思っています。
――そこは努力で埋められると思っていますか?
misaya:もちろんそうですね。

QT DIG∞は5月17日の準決勝でMain Stage 1位通過の「RIDDLE ORDER」と対戦。RID、QTD、NOEZ FOXX、FLの4チームが相まみえるオフラインPlayoffは5月17日(土)・18日(日)に幕張メッセで開催されます。