8月31日、PCS2024 Summer PlayoffsのLower Bracket Finalsが行われ、Worlds 2024出場権を賭けて福岡ソフトバンクホークス ゲーミング(SHG)が、「Frank Esports(FAK)」と対戦。初戦は落とすも、それ以降は確かな強さを見せつけ、見事3-1での勝利を収めました。
今回は試合直後に、SHGのMIDレーナーであるDasheR選手へとインタビュー。Worlds出場権を獲得したいまの心境と、PSG Talon(PSG)戦へ向けた意気込みを聞きました。
◆Game 1はアウェイの緊張感にのまれていた
――見事な勝利でWorlds 2024への出場を決めました! おめでとうございます!
DasheR選手:ありがとうございます(笑)
――いまの率直な感想をいただいてもよろしいでしょうか。
DasheR選手:SHGがLJLに出て初めてのWorldsになりますね。自分はSHGの『LoL』チームが発足してから、MIDレーナーとしてずっとプレイしてきましたが、いままでずっと結果を出せなくて悔しい思いをしてきました。なので、このような結果を得られてとても嬉しいです。
――今回は久々の観客を入れたオフラインでの試合でしたが、感触としてはどうだったでしょう。Game 1は少し硬いようにも見えました。
DasheR選手:たしかに、Game 1は硬くなっていたと思います。コロナの影響でLJLがオンライン開催になり、オフラインの経験が積める場が少なくなってしまいました。その影響もあって、僕含めたチーム全体から去年の幕張メッセでのLJL Finalを思い出すような緊張を感じましたね。
――PCS地域のホームとなる会場でもありましたが、アウェイならではの緊張はありましたか?
DasheR選手:相手(FAK)がいいプレイをしたときに、会場のファンたちが沸くんですよ。そういうのもあって、FAKが優勢だったGame 1は正直怖かったです(笑)。でもそのあとの試合では、自分たちのプレイでもだんだん会場が沸いてくれるようにもなってくれて。「あ、僕たちもやれるじゃん」と。
――だんだん自信を取り戻していったわけですね。
DasheR選手:そうですね。
◆弱気にならないプレイがGame 3の逆転につながった
――ルシアンをピックされていたGame 3ではゴールド差をつけられた苦しい展開の中から、見事逆転勝利をおさめました。不利な状況で粘るのは苦しかったと思いますが、試合中はどういった心境でしたか?
DasheR選手:PCS地域でやる初めてのオフラインで、勝ったらWorldsに行けるような試合で……と、いくつも緊張する要素のある試合でした。でも、それはFAKの選手たちも同じだったようで、プレイしている中で相手の緊張が伝わってくるんですよ。
同じプロ選手としてプレイしているからこそ、わかる部分だと思います。で、その緊張が伝わってきた瞬間にこっちの気持ちも軽くなって「あ、今日は僕らの勝ちだな」と思いました。
――なるほど。Game 3は、DasheR選手の強気なプレイで小さな逆転の目をこじ開けていった印象があります。そんなプレイは相手の緊張を見抜いてのことだったんでしょうか。
DasheR選手:ルシアンはスキルや通常攻撃の射程が短いチャンピオンですから、どうしても敵の近くに立ったうえで上手くプレイする必要があります。もし捕まってもチームからできることは少ないですし……実際試合の中でも、何度かそういった場面がありました。でもそれで落ち込んだり、弱気になったりしないように思いっきりプレイしていました。それがいい結果につながったんだと思います。
――SHGに勝利を運んだ、見事なプレイングだったと思います。最後のGame 4では、メタの中でも少し微妙な立ち位置であるアジールのピックでしたが、これはどういった意図があったのでしょうか?
DasheR選手:チームからも「ほかのチャンピオンのほうがいいんじゃないか」という話があったのですが、自分としては「1勝リードしているし、相手も緊張しているだろうから大丈夫だろう」と考えていました。
――対面するMIDレーナーも、このシリーズ中ずっと出ていたPretender選手からJimieN選手に交代していました。そういった点も考慮されていたのでしょうか。
DasheR選手:自分がJimieN選手の立場だとすれば、この状況は絶対にプレッシャーを感じると思うんですよね。であれば、アジールでもルシアンが強い序盤の時間帯はいなせるだろうと。ジャングルのヴァイも強くなるまで時間がかかるチャンピオンですから、そのほうがチーム的にもいいだろうなという考えでのピックです。
――相手の精神状況も考えてのピックだったわけですね……。そんなアジールで、最後はテレポートから見事なタワーダイブでウルト「皇帝の分砂嶺」を決めてくれました。そのときの気持ちはどうでしたか?
DasheR選手:あれは……どちらかというとVsta選手の功績ですね(笑)。僕はその直前にちょっと奥まで入りすぎて体力を減らしてしまい、「ごめんみんな! いったん回復するから……」と、リコールしてホームで「おー、味方強い」とみんなを眺めていて、そしたらたまたまテレポートがあがって……みたいな(笑)。
――(笑)。たしかに、あの場面でのVsta選手はすさまじかったですね。
DasheR選手:そうそう。マジでうまかったです。最強でした。
◆「LJLは弱い地域ではない」ことを示したい
――次に待ち受けるのは、0-3で負けてしまった「PSG Talon(PSG)」へのリベンジです。意気込みを聞かせてください。
DasheR選手:PCS地域では間違いなく最強のチームだと思います。でも、負けてばかりではいられません。今回の試合で僕たちはWorldsへの出場権こそ得ましたが、PSGにまた負けるようではWorldsでの活躍なんてできないと思うんです。だからこそ、絶対に勝ちたいと思います。
――Worldsでの活躍まで見据えた力強いお言葉、ありがとうございます。……というのとは別に、単純にWorldsで日本のチームが応援できることに喜ばれている方々も多いと思います。最後にそんな皆さんへのメッセージをいただけますと幸いです。
DasheR選手:僕個人としても、とても嬉しいですし……なにより、この結果で「LJLはPCSにも負けない地域であり、弱い地域ではない」ということを多くのファンの方々にも伝えられたと思います。次のPSG戦でも、応援をよろしくお願いします!
――本日は輝かしい勝利、本当におめでとうございます。次の試合も期待しています!
SHGは本日の勝利によりGrandFinal――最後の決勝へとコマを進めました。現時点でWorldsへの出場は確定していますが、DasheR選手の言う通り、“PSGに勝てないと、Worldsで活躍できるかわからない”というのは真実だと思います。
そんなSHG vs. PSGの試合は9月1日に行われます。開催国である台湾は近いですし、皆さんの熱いエールもきっと届きやすいはず。ぜひとも応援の声をお送りください。