「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】

7月18日より、『リーグ・オブ・レジェンド』にてPvEモード『スワーム』がプレイ可能に。なぜ今、ヴァンサバライクなモードをリリースするのか、開発陣に話を聞きました。

League of Legends インタビュー・コラム
「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
  • 「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
  • 「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
  • 「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
  • 「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
  • 「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
  • 「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
  • 「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】
  • 「『LoL』クライアントの最適化は途方もない作業だった...」―なぜそこまでしてPvEモードをリリースするのか? ライアットゲームズが『スワーム』に込めた想いを聞いた【開発陣インタビュー】

7月18日(木)、『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』にパッチ14.14が配信されます。このパッチにあわせてサマーイベント「アニマ部隊」が開催され、基本プレイ無料PvEモード「スワーム | オペレーション:アニマ部隊」がプレイ可能になります。

今回は、Riot Games本社にて開発メンバーへの合同インタビューの機会が得られましたので、本稿ではその内容をお届けします。

なお、インタビュー内容はテスト版のものをベースとしているので、製品版では変更されているかもしれない点はご留意ください。

◆『LoL』の新たな挑戦

今回インタビューを受けてくれた相手は『スワーム』開発チームの代表5名です。

  • Ben Skutt - Creative Director

  • Ty Sheedlo - Narrative Writer

  • Sope May - Product Lead

  • August Browning ‐ Design Lead

  • Riot Sirhaian - Designer / Senior VFX artist

――『リーグ・オブ・レジェンド』といえば、プレイヤー対プレイヤーの激しい戦闘が魅力です。なぜ今、PvEモードを導入するのですか?

Sope:コミュニティは新鮮なPvE体験を切望しています。私たちのデータもそれを裏付けており、かなりの数のプレイヤーがそれを望んでいます。過去にはオデッセイやインベージョンといったPvEモードがありましたが、真に異なるもの、ホード(大群)サバイバルジャンルの興奮をとらえつつ、『LoL』らしさを保ったものを探求する時が来たと感じました。

――『スワーム』は、インスピレーションを得ている『Vampire Survivors(ヴァンパイアサバイバーズ)』とはどのような違いがあるのでしょうか?

August:『スワーム』を際立たせる要素はいくつかあります。まず、『LoL』初となる“WASD移動”でチャンピオンを操作することになります。これにより、全く新しい機動性と操作感が生まれます。

次に、PvEの楽しさのためにチャンピオンのアビリティを再構築しました。バランスの取れた設定を目指すPvPモードでは実装できない不可能かつファンタジーなスキルを実現できます。セラフィーンが巨大な衝撃波パフォーマンスを繰り広げたり、ジンクスが戦場を花火大会に変えたりするのを想像してみてください!

また私たちは熾烈な競争ではなく、協力して生き残ることを重視した協力プレイを『スワーム』で目指しています。友達とプレイしている瞬間を楽しむことが目的です。

――「スワーム」は、このジャンルのゲームをプレイしたことがないプレイヤーにとっても楽しめるのでしょうか?

August:もちろんです!ホードサバイバルゲームのベテランであろうと、全くの初心者であろうと、『スワーム』は誰でもアクセスしやすく、楽しめるように設計されています。1人で挑戦することも、最大3人のフレンドとチームを組むこともできます。プレイスタイルや経験レベルに関係なく、やりがいのあるチャレンジを提供できるよう、難易度調整には力を入れてきました。

◆アニマ部隊の魅力的なスキン

――2022年にはアニマ部隊のスキンが登場しました。今回のイベントはそれをどのように発展させているのでしょうか?

Ty:あのスキンはこれから起こることのほんの一部だと考えてください。今年の夏、私たちはアニマ部隊に全力を注ぎ、伝承を拡張し、新しいチャンピオンを導入し、その世界を本格的に作り上げていきます。今回のイベントを通して、プレイヤーは深海の「プライモーディアン」の脅威と人類の生存のための戦いに深く関わっていくことになります。

――レジェンダリーセラフィーンとエイトロックスがイベントの目玉となっています。彼らの新しい姿について教えてください。

Ben:私たちはこれらのレジェンダリーに非常に興奮しています。セラフィーンは、髪から翼を広げることでその音楽性を表現しており、美しくインパクトのあるビジュアルになっています。一方、エイトロックスは生のパワーと本能的な戦闘を重視しています。彼のスキンはコンボヒットの満足感を強調し、恐るべきプライモーディアンの将軍としての役割を際立たせています。

それだけではありません!たくましいイラオイからかわいいデジタルアシスタントのユーミまで、個性豊かなエピックのラインナップが揃っています!誰にとっても魅力的なものがあります。

――ブライアーは、プライモーディアンでありながら、アニマ部隊のメンバーでもあるという、異色の存在です。なぜそのようなことが可能なのでしょうか?

Ben:ブライアー特有の葛藤を完璧に反映しています。彼女はモンスターとしての側面と、制御したいという欲求の間で引き裂かれています。それは彼女を魅力的なキャラクターにしている二面性であり、今回のイベントでは、この2つの対立する勢力が交差することを表現しています。私たちはそれをストーリーの中でさらに深く掘り下げていくことにワクワクしています。

◆『スワーム』がスムーズに動作するのは英雄的偉業

――『スワーム』のようなモードを作るのは、とてつもなく野心的なことのように思えます。最大の障害は何でしたか?

August:間違いなく最適化です。何百もの敵、至るところで飛び交うアビリティ、華麗な特殊効果など、すべてが同時に起こります。このビジュアルレベルのアクションを処理するために、『LoL』のクライアントを最適化することは、途方もない作業でした。私たちのエンジニアリングチームは本当に頑張り、ゲームがスムーズに動作するようにしました。まさにこれは、英雄的偉業を成し遂げたと言えるでしょう。

――『スワーム』がプレイ可能なフレームレートで動作するようにするために、具体的にどのような対策を講じたのですか?

Riot:多方面からのアプローチが必要でした。エンジニアはミニオンをより軽量で効率的なものにするために、『スワーム』におけるミニオンの機能を完全に書き直すなど、重要なエンジン調整を行いました。並行して、KevinとVFXチームは、エフェクトを最適化するために驚異的な量の作業を行いパフォーマンスを向上させると同時に視覚的にも軽量化しました。ビジュアルの迫力を維持しつつ、ゲームがコンピュータに負荷をかけないようにするための微妙なバランスを見つけ出してくれました。

――『スワーム』のために加えた変更は、『LoL』のクライアントに影響を与えましたか?

August:ミニオンのコードの書き換えは『スワーム』固有のものであり、メインゲームには影響しないように注意しています。これは、私たちがこのモードを実現するためにどれほど尽力したかを表しているのです。大規模な作業でしたが、最終的には視覚的な迫力を損なうことなく、スムーズでアクション満載の体験を実現することができました。

◆『スワーム』はリプレイ性を重視、さまざまな報酬も獲得できる

――『スワーム』は一度限りのものなのでしょうか。それともプレイヤーが何度もプレイしたくなる要素があるのでしょうか?

Sope:リプレイ性は『スワーム』の核心です。3つの異なるフェーズを持つ、階層的な進行システムを設計しました。まず、物語主導のストーリーミッションを進めていき、簡単な実績を達成し、最初のチャンピオンをアンロックします。次に、よりオープンな「実験」フェーズに移行し、より自由な形でさまざまな戦略やチーム構成を試すことができます。最後に、真の挑戦を求めるプレイヤーのために、高度な目標、難易度の上昇、さらにやりがいのある進行を備えた、奥深いエンドゲームを用意しています。

――プレイヤーは『スワーム』をプレイすることで、どのような報酬をアンロックできるのでしょうか?

August:目指すものはたくさんあります!実績を達成すると、ユニークな効果を持つ新しい武器や、プレイ可能な追加チャンピオンが手に入ります。また、プレイすることで通貨を獲得し永続的なパワーアップの購入に使うことができます。これらは一時的なバフではなく、すべてのチャンピオンに影響を与える永続的なアップグレードです。

ダメージ出力の向上、体力プールの増加、クールダウンの短縮などを想像してみてください。これらのパワーアップはあなたを「プライモーディアン」にとっての真の脅威に変えるでしょう。

――『スワーム』でアンロックする報酬の中には、『LoL』の他のモードで使用できるものもあるのでしょうか?

Ben:それは今、私たちが積極的に検討していることです。『スワーム』に費やした時間と献身に報いたいと考えており、プレイヤーの進捗の一部を他のモードに引き継ぐことは、非常に魅力的なアイデアです。まだ具体的な内容を公開する準備はできていませんが、間違いなく念頭に置いています。

◆『LoL』コミュニティのためのモード

――オンラインゲームの新しいモードの多くは、何らかのPay to Win(P2W)要素を備えています。『スワーム』にもそういった要素はあるのでしょうか?

Sope: 『スワーム』は完全に無料でプレイできます。私たちの主な目標は、お金を使うかどうかに関係なく、すべてのプレイヤーが楽しめる魅力的でユニークな体験を提供することです。収益化はここでの焦点ではありません。『LoL』コミュニティに特別なものを提供することこそがすべてです。

――『スワーム』に課金する要素はないのですか?

Sope:オプションのイベントパスを検討していますが、強調しておきたいのは『スワーム』の報酬はすべてプレイするだけで獲得できるということです。ペイウォールも強制購入もありません。すべてはあなたの時間と努力に報いるものです。

――これほど大規模な無料のモードをリリースするのは大胆な動きです。Riot Gamesにとって、『スワーム』の全体像はどのようなものなのでしょうか?

August:たしかに大胆な投資ですが、私たちはプレイヤーが求めている体験を提供することに専念しています。『スワーム』の真の成功指標は、金銭的なものではありません。プレイヤーが『LoL』の世界に夢中になり続けるような、真に斬新で魅力的なものを提供することです。みなさんに楽しんでもらい、友達と思い出を共有し、もっともっと『LoL』世界に浸ってもらいたいと思っています。『スワーム』はきっとその一助になると私たちは心から信じています。

◆ソロかマルチプレイ、難易度が高いのはどっち?

――プレイテストでは、ビーチボールのダメージが非常に高く、理不尽に感じました。バランス調整についてはどのように考えていますか?(会場で拍手が起こる)

August:今回使用した先行プレイのビルドは1週間前のものなので、最新のバージョンとは大きく異なります。ビーチボールは、視認性を高めダメージを軽減するなど大幅に調整されました。また、プレイヤー側もハンマーが強力すぎるのでもう少し控えめな性能にしていく予定です。

――ビーチボールのような大きく理不尽な攻撃は、戦略性を阻害するのではないでしょうか?

Sope:プレイヤーをある程度強制的に動かす仕組みは、戦略を生み出す上で重要です。例えば、マップの端に立って動かないといったような戦略を防ぐことができます。ただ、たしかにビーチボールは過剰な調整でした。現在のバージョンでは、より避けやすく、ダメージも抑えられています。

――全体的な難易度バランスについては、どのように考えていますか?ソロプレイと協力プレイでは、どちらが難しいのでしょうか?

August:協力プレイでは蘇生が可能なので、ソロプレイの方が難易度が高くなるでしょう。しかし、協力プレイでは敵の数と体力を増加させることで、人数増加による難易度低下を調整しています。協力プレイの方が少し簡単かもしれませんが、それはそれで構いません。友達と楽しくプレイしたい場合は、協力プレイの方が適していますし、ソロプレイでやりがいのある挑戦を求めるプレイヤーにも、その選択肢は残されています。

Sope:ヘルスドロップの量も、バランス調整の重要な要素です。現状では、まだ完璧に調整されているとは言えません。ヘルスドロップが少なすぎると厳しくなりすぎますが、多すぎるとゲームのテンポが崩れてしまいます。ゲーム序盤は被ダメージが重要ですが、後半は体力を満タンにすることよりも、大量の敵に押しつぶされないことが重要になってきます。

Ben:ヘルスドロップが少ない場合は、レオナを選んでシールドを使う、フロストノヴァオーグメントでダメージを防ぐなど、さまざまなチャンピオン戦略やメタ進行の選択肢があります。

◆『スワーム』は一度きりのイベントなのか

――「スワーム」は一度きりのイベントでしょうか、それとも長期的なものを想定しているのでしょうか?

Sope:私たちは可能性を残しています。『スワーム』の成功を判断し、その将来を決めるための指標をいくつか設定しています。プレイヤーのエンゲージメント、総プレイ時間、センチメント、全体的な評価などを考慮します。しかし、数字だけがすべてではありません。モードが喚起する感情も重要です。すでに『スワーム』を将来的にどのように拡張するか、おそらく新しいテーマを探求したり、再構築された形で復活させたりするためのエキサイティングなアイデアを計画しています。

――将来的に『スワーム:ソウルファイター』や『スワーム:スターガーディアン』が登場する可能性はありますか?

August:もちろん可能性は間違いなくあります!『スワーム』への反響が私たちが進むべき方向を決める上で重要な役割を果たします。理想的には、プレイヤーが『LoL』のエコシステムに没頭し続け、次の展開に期待し、「私たちが新鮮なコンテンツを提供することに尽力している」と感じるような体験を作りたいですね。


開発陣の『スワーム』にかける熱い想いが伝わるインタビューでした。やりがいがありながらも親しみやすいPvEモードという『リーグ・オブ・レジェンド』の新しい側面を見せてくれた『スワーム | オペレーション:アニマ部隊』は、サマーイベント「アニマ部隊 」でプレイできます。期間は、7月18日(木)~8月20日(火)なので、お見逃しなく。

《いーさん》

FISTBUMPのメールマガジンでは、FISTBUMPに掲載されるニュースの中から、厳選した記事をお届けします!ライアットの注目ニュースを見逃さないようにしましょう!

関連タグ

編集部おすすめの記事

特集