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V3での連敗、AXCでの奮わぬ過去を乗り越え、QTDでWashidaiが掴んだ“自信”―LJL 2025 Finals優勝後インタビュー

「LJL 2025 Final」を制した「QTD」のTOP・Wshidai選手に、今年の振り返りや次の試合への展望を聞きました。

オクドス熊田

オクドス熊田

2025年9月15日、ASH WINDER Esports ARENAにて行われた「LJL 2025 GRAND FINAL」。お互い一歩も譲らぬ激しい戦いがくり広げられる中、「QT DIG∞」(「QTD」)が2-0でゲームカウントを一歩リード。「REJECT」も一試合取り返し流れを引き寄せようとするも、4試合目に登場したVan選手のリー・シンが序盤の有利を確たるものとし、最後には「QTD」が見事ネクサスを破壊しました。

「LJL」における総決算となるこの試合を制したのはQTD。興奮冷めやらぬ中、QTDのTOPを担当されるWashidai選手に1on1インタビューを敢行。試合の感想や現状の「LoL」シーンについてなど、様々なことを聞きました。

どん底だったV3時代から、「LJL」の頂点へ

――まずは優勝、本当におめでとうございます! いまの率直な感想をお聞かせください。

Washidai:うれしいのはもちろんですが、まだ優勝した実感がないですね。気も張ってましたし、チームメイトの体調が悪くて練習が9月からしか満足にできなかったですし、練習が始まったと思ったら、大会のパッチとは違う環境で練習してたりして……すごくバタバタしてましたから。嬉しさ半分、実感のなさ半分という感じです。

――壮絶ですね……ありがとうございます。今期を振り返ってみて、ご自身のパフォーマンスはどうだったでしょう。成長した点などはありますか。

Washidai:そうですね……それで言うと、やっぱり自信とかのメンタル面でしょうか。ちょっと昔の話に戻るんですけど、「V3 Esports」(「V3」)時代にはスクリム300敗、最下位でリーグ33連敗とかを経験して負け癖がついちゃったり、「AXIS CREST」(「AXC」)でも結果が実らず下位で終わってしまったこともあって、どうしても自信が持てなかったんです。

――とても苦しい時代でしたよね。

Washidai:「QTD」になってからも、“結果を残さなければいけない”というプレッシャーがあって……途中までは上手くいってたんですが、やっぱり途中から自信がなくなって来たり、曖昧な判断のままゲームを進めることが多くて。

でも、最後には「このままじゃダメだ」という思いが強くなったんです。自信を取り戻して、今日のファイナルでは伸び伸びとプレイすることができました。

――昔のお話もありましたが、デビューされたころに比べ、今年はかなり「LJL」自体が変わりました。こういった変化に関してはどう感じられているでしょう。

Washidai:オープン形式になって、いろいろなチームが参加できるようにはなりましたよね。ただ、やはり新体制になってから1年目というのもあって、探りながらやっていく年だったのかなと。いまは「LTK」(「League The K4sen」)とかもあって、「LoL」人口も増えてきていますし、今後はこれまでとはまた違ったアプローチで盛り上がっていくんじゃないかと思います。

――Washidaiさんはプロとして活動する傍ら、配信者の方にコーチングをしたりなどもしていましたよね。

Washidai:シーズンが始まるちょっと前とか、シーズン中も配信外とかでやってましたね。

――以前Yutaponさんが、「現役プロのコーチングは、余暇も全部「LoL」に費やすことになるからすごく大変」という話をされていたんですが……。


Washidai:実際忙しいは忙しいです。プロである以上、練習には真摯に向き合わなきゃいけないし、みんなが集中してやっている中自分がぺちゃくちゃ喋ってコーチングしているというのもよくない。でも、今年はコーチングをしつつしっかりと練習に向き合えるよう、上手く時間を作れたかなと思います。

――実際パフォーマンスが落ちたようには一切見えませんでした。

Washidai:やっぱり「LoL」シーンが盛り上がるのが一番大事だと思うんです。そもそもプロシーンはすごく露出が少ないので、“コーチング”という形でいろいろな人に見てもらう場を設けられたのは、今後にも繋がるんじゃないかなと。今年はそういった所にもしっかり向き合えたかなと思います。

自分はほかの人からの視線を気にするタイプで、昔は「勝ってないのに何やってんだよ」と言われそうで……どうしても一歩を踏み出せなかったんです。でも、一昨年には「LJL」が「PCS」のエコシステムに組み込まれたり、今年は「LJL」の体制が変わったりして、自分の中でも「これは良くないんじゃないか」という思いがあり、それが踏み出すきっかけになりました。

「自分なんかが」という思いもありましたが、自信を持ってやれたんじゃないかなと。

――素晴らしい取り組みだったと思います。最後に「LCP」昇格・降格トーナメントへの抱負を聞かせていただけますと幸いです。

Washidai:強さ的にも、十分“戦える相手”だと思います。今回オフラインを経験して感じたのですが、僕らは“オフラインバフ”みたいなものがかかるんです。「REJECT」を始めとした「LJL」チームすべての思いを背負って、勝ちに行きます。


Washidai選手が「LJL」を優勝する――あの「V3」時代を見ていた者としては、その姿だけで思わずグッときてしまいました。他者からの視線や奮わない過去を乗り越え、“自信”を持ってプレイする。そこにどこまでの苦難や葛藤があるかは想像するしかできませんが、その自信こそが「QTD」が優勝へ至る要因になったことは間違いないでしょう。

つぎなる戦いである、「LCP 2026 Promotion」は10月1日開催。地の底から羽ばたいた鷲が、世界で戦うための切符を掴む姿を、ともに見守りましょう。

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