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高校生最大のeスポーツの祭典「Coca-Cola STAGE:0 eSPORTS High-School Championship 2026」。8月15日に行われた『VALORANT』部門の全国大会グランドファイナルでは、ルネサンス高等学校「Across」がルネサンス大阪高等学校「なめくじブラザーズ」を13-6で下し、昨年の準優勝の雪辱を果たして、見事日本一の栄冠に輝きました。
両チームの先読みが交錯するシーソーゲームや、プロシーンさながらの決断力が随所で光った今大会。年々飛躍的なレベルアップを遂げていく高校生eスポーツシーンにおいて、彼らが見せた強さの秘密はどこにあったのでしょうか。
今回は、本大会の実況・解説を務めた岸大河さんとyueさんへインタビューを実施。王者「Across」が見せたマクロと割り切りのスピード感など高校生シーンのレベルアップについてお聞きしました。
――まずは、今回の「STAGE:0 2026」VALORANT部門全体を振り返って、いかがでしたか?
岸大河:シンプルに良かったですね。昨年の試合内容からグッとレベルも上がっていました。昨年の準優勝チーム(Across)が、メンバーを変えながらも1年生を引き連れて今年優勝できたというのは、間違いなく努力の成果だと思います。個人技もマクロも両方上がっていたので、彼らにはスキがなかったなと感じる決勝でしたね。
yue:本当に岸さんのおっしゃる通りで、Acrossの試合を見ていると、今のプロシーンにおいても通用するようなラウンドがいくつかあるくらい、作戦の幅が広がっていました。そして、その広い作戦の幅を実行するだけのミクロの高さもありました。毎年言っていますが、高校生大会は年々レベルが上がっているのを感じさせられます。
あと個人的に、「STAGE:0」ですごく楽しみにしているのが“親御さんの応援”なんですよね。どのチームもご家族が応援しに来てくれていて。僕が子どもの頃は、親がゲームを応援してくれるなんてあり得ない世界だったので、そういう光景を見るたびに「やっぱりeスポーツっていいな」と思ってしまいますね。
――Acrossの優勝インタビューでも、前回と何が違ったかという質問に対して「コミュニケーションをしっかり取り、連携できるようになった」と話していました。お二人も試合を見ていてそう感じましたか?
岸大河:彼らのチームはトップダウン式だと思うんですよ。リーダーのryu選手が基本的に「こうしよう」とコールしたものに対して、周りが応えてくれる。ryu選手も周りを生かして、自分がキルを取れるスペースを作ってもらうという、少しT1のMunchkin選手のようなタイプというか。1人で突っ込んで裏からそのスペースを生かして倒すという、例えば(決勝のスプリットで)下水道側での1ピックとったシーンもそうでしたね。
そういった、彼の見えている情報をどうチームの4人に共有するかというのが、今年は上手くいったのかなと。去年はしがみついて何とか準優勝でしたが、今年はもうズバ抜けての優勝ということで、本当にいろいろと努力した結果だと思いますね。
yue:そうですね。『VALORANT』って「もしかしたらこうかもしれない」と考え出したらキリがないじゃないですか。そんな中でAcrossは、今回の大会で一番割り切りがすごかったというか。相手がこう動くから自分たちはこう行動しようと、「Bの人数が多いから、Aはいても絶対に1人か2人。そこはもう人数で押し切っちゃおう」みたいなスピード感がすごかったんですよね。
オフライン大会のプレッシャーなどもあると行動しづらいですし、IGLとしてもラウンドが迫ってくると「もしかしたら」という思考がつきまとってしまうかもしれません。しかし、味方からの情報をもとに自分たちを信じきって、選手たちもそのコールを信じきって突入していった。その素早さというところが、コミュニケーションに呼応するように成長した部分なのかなと感じましたね。
――大人になってくると迷いが生じる部分を、高校生ならではの勢いで割り切っていける強さがあるのでしょうか?
yue:今の環境は2デュエリスト構成など、勢いで行きがちなことも多くて、高校生にとってそれが戦いやすくもあると思うんです。でもAcrossはそういう動きをキュッと止めて、例えばヘイヴンではAに向かっているところを残り30秒でC側にローテートしたりとか、「苦しい場面でそんな判断ができるんだ」という視野の広さを持ち合わせていました。高校生ならではの勢いもありつつ、大人びた冷静な思考も両立させていたと思いましたね。

――高校生らしいプレイと、冷静な判断力を併せ持っていたのですね。他に、そのような特に印象に残っているプレイはありますか?
岸大河:相手がそろそろ来るだろうというところに、ヴァイパーのカーテンが敷かれていたり、作戦に対して一歩先に手を打てているのが印象的でした。しかもその生かし方が上手い。事前にしっかり組み込まれていると感じましたね。
今までも「STAGE:0」を見てきましたが、初年度や2年目は個人技でどうにかなってしまうメタでしたし、ある程度実力差もあったので、少し「スカしている感」があったんですよ。「俺らは強い」みたいな。
yue:「ランクの力で引き倒す」のがありましたね。
岸大河:でも今は拮抗していて、ライバル同士どこが強いかわかりながら共に成長しているので、もう「スカしてたら負ける」レベルになっています。みんなの表情が真剣で勝ちに来ているのが伝わってくるので、準決勝からの1プレイ1プレイがすべて印象に残りました。
yue:実際に、昨年も他の高校生大会などで、ランクの高いチームがアセンダントのチームに連携で負けるということがありましたから、ああいうのがターニングポイントだったのかなと思います。
岸大河:「ナメてかかると連携で負ける」というね。
――yueさんは、特に印象に残っているシーンなどはありますか?
yue:岸さんの意見に追随する形になりますが、プロって汎用性の高い作戦を組んでくるんですよね。どんな状況にも対応できるように。でも高校生がそれを実現するのは難しい。だからこそ、相手のやってくる行動を予測して先んじて、Bの中のポイズンクラウドだったり、Aのカーテンだったり、アビリティの配置を要所要所で変えていって、相手にスキル配置をつかませないってのがすごく良かったです。
あとは、攻めの手札の多さも光っていましたね。事前に決めていたことが多いからこそ、戦いの中で迷わずにカードを切れたんだなと。
岸大河:あ、あとryu選手がセージを使って、スプリットでB側のディフェンダーサイドに壁を焚いて、あのままラフター側に登ったの、俺以外で久しぶりに見た(笑)。珍しいなと。

岸大河:あれをやるのは、自分以外で初めて見たかもしれない(笑)
yue:しかも、そこから4キル目につなげましたからね。
岸大河:そうそう。あのプレイは良かったです。
――ここまでレベルが上がってきた高校生大会ですが、ここからさらにレベルアップを目指すためには、どんなことが必要でしょうか?
岸大河:それはもう、僕らが「リアルBuckshot Roulette」で披露したみたいに「食ってかかる」こと。食ってかかった結果、まだ仕事があるっていう(笑)。
yue:そう、踏み込むことですね(笑)。
岸大河:(笑)。冗談はさておき、今はランクもそうですし、来年からオープン大会になっていくので、上と戦えるチャンスはたくさんあると思うんです。スクリムを組んでくれるチームも増えてくると思います。なので、今年若いからといって高校生同士の戦いだけにとどまらず、もっと上のレベルの戦いに出ていってほしいです。いっぱい挑戦していっぱい失敗して、18、19、20歳ぐらいになる頃には、世界に羽ばたいてほしいなと思います。
yue:僕も本当に同じ意見です。「Challengers Japan」などの国内大会で、もうプロにどんどん食ってかかるぐらいの勢いで成長を遂げていってほしいと思います。でもやっぱり、そこへ行くにはまだエイムであったりとか、シンプルな個人技、ミクロ・マクロといった総合力はまだまだプロの方が上だと思うんですね。
それでも、先ほど言ったように、そういった部分は年を追うごとに高校生の力が増していっていますし、今の勢いで行けば、いずれ高校生チームが日本の公式大会にやって来る日も近いんじゃないかと思っています。本当にその日が来るのを、我々としても職を失わずに待てればなと思います(笑)。
――最後に、未来の競技シーンを担う高校生たちへエールをお願いします。
岸大河:「僕たちみたいな大人にはなるな」(笑)。
yue:あはは!(笑)
岸大河:でも、夢に向かってどんどん挑戦していける時期だと思います。若いうちにしか挑戦できないことがたくさんあるので、今やりたいことにひたむきに前へ走ってほしいですね。
yue:昔は「ゲームが好き」と言うと趣味止まりで、親からは「勉強しろ」と言われる時代でした。もちろん勉強も大切ですが、ゲームが仕事になる世界はすでに来ています。自分の強みを伸ばしやすい環境ができているので、それを大いに利用して成長を止めずに飛躍していってほしいです。
岸大河:あと、あれだ!応援してくれる親や親戚、友達を大切にした方がいいですね。
yue:そうですね。応援してもらえるのは本当に当たり前じゃないですからね。今は恥ずかしいかもしれないけど、いずれ本気で親に「ありがとう」って言えるように。
岸大河:そう!それが親としても嬉しいから。
yue:僕も実家帰ろうと思います...(笑)。
――(笑)。インタビューは以上となります。本日はありがとうございました!
