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「日本にもFakerのような象徴が出てくる可能性はある」―未来の選手を“裏側”から支える、ZETA×T1Aのeスポーツ人材育成【インタビュー】

ZETA DIVISION、バンタン、T1 Esports Academyの責任者へ事業提携の経緯や今後の展望などをお伺いしました。

スイニャン

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「東京ゲームショウ2026(TGS2026)」のZETA DIVISION(ZETA)ブースで行われた『ZETA DIVISION GAMING ACADEMY Presents eスポーツ しくじり事件簿』にて、ZETA DIVISION GAMING ACADEMY POWERED BY VANTAN(ZGA)がT1 Esports Academyとeスポーツ人材の育成領域における事業連携を発表しました。

FISTBUMPでは、ZGAを運営するGANYMEDE株式会社の千葉哲郎氏と株式会社バンタンの佐藤裕則氏、そしてT1 Esports AcademyのChief氏およびJIN氏に別途インタビューの機会をいただきました。今回の事業提携の経緯や今後の展望などを直接お伺いしてきたので、早速お届けします。

T1アカデミー担当者も“Lazさん”のファン―事業提携の経緯

――まずは、T1 Esports Academyでは、普段どんな取り組みをされているのかお聞かせください。

T1 Esports Academy Chief氏(以下、Chief):基本的に我々は、選手教育とファンの方々を対象とした「eスポーツ体験」コース、大人を対象とした産業人材の「養成コース」をメインとして扱っています。それ以外にもさまざまな企業様と協業して社会貢献活動などの取り組みもしています。

T1 Esports Academy Chief氏

――では、このような事業提携が実現した経緯を聞かせていただけますか。

GANYMEDE株式会社 千葉哲郎氏(以下、千葉):もともと私たちは、T1さんのことをすごくリスペクトしていますし、T1さんもZETA DIVISIONのことをリスペクトしてくれているという関係性でした。

また、Lazやcrowなどメンバー同士の交流もあり、仲良くさせていただいてきたアジアのチームでもあります。私たちがeスポーツの教育事業を始めるにあたって、すでにアカデミーを運営している彼らと「力を合わせたら面白いことができるんじゃないか」というところからスタートしました。

――Lazさんのお名前が出ましたが、思い起こせばDep選手の負傷により急きょT1 AcademyからTenTen選手が移籍したこともありました。『VALORANT』のチーム起点で交流がスタートした感じなのでしょうか。

千葉:そうですね。選手同士はリスペクトし合う関係性ですし、T1さんとZETAのスタッフ同士も同じリージョンで仲良くなってお互いラフに話し合える関係性ができていました。そこで、お互いの事業に対する興味だったり、競技以外の部分でも組織同士として話し合える関係値ができていたのが、きっかけの一つでもあります。

GANYMEDE株式会社 千葉哲郎氏

――先ほど提携発表のステージ上でも、Lazさんのファンだとおっしゃっていましたよね。

Chief:昔の話になりますが、私もFPSの選手だったんですよ。Laz選手は『Counter-Strike』のころから有名で強かったので、今でもファンです。一昨年、我々はZETAさんと「ZETA DIVISION x T1 VALORANT Master Class」という『VALORANT』の特別講座を実施したのですが、そのときに日本のeスポーツ市場でも教育に対する熱意を感じて今回の話が進みました。

人材育成における日本と韓国の違い「韓国はひとつのことにオールイン」

――日本における『VALORANT』や『LoL』のeスポーツについて、率直にどうご覧になっていますか。

Chief:日本で『VALORANT』が非常に盛り上がっていることは、我々も十分把握しています。タクティカルシューターのジャンルにおいてはエイムも大切ですが、結局のところチームワークがとても重要です。そういった部分が日本で人気の理由になっている気がします。

T1 Esports Academy JIN氏(以下、JIN):日本国内における『VALORANT』の人気は非常に高く、韓国における『LoL』と同じぐらいの人気を博しているタイトルだと思っています。『LoL』については韓国には有名な選手も多く、とくにFakerという象徴的な選手がいるわけですが、日本にもそういった選手がいないわけではないと思うんです。

これは私の個人的な意見になりますが、先日引退を表明したEvi選手は長いあいだ活動してきた代表的な選手ですし、今後もそういった象徴的な選手が出てくる可能性はいくらでもあるでしょう。そういった選手たちとともに方向性を作っていければ、日本の『LoL』人気も高まっていくのではないかと思います。

T1 Esports Academy JIN氏(右)

――まだ提携発表の段階というのを承知の上でお伺いしたいのですが、日本の人材育成の視察などを通じて韓国との違いを感じた部分はありましたか。

Chief:まずは我々もZETAさんと2年間お付き合いを続けてきて、日本の教育市場について多くの経験を得ることができました。日本の教育の特徴は、学生たちに様々な経験を提供し、その学生が望むことや長けている点、向いているものを見つけてあげることにフォーカスを当てていると思うんです。反対に、韓国はひとつのことにオールインして確実に成果を出させなければならないという点で、大きな違いを感じました。

――同じく日本から見て、韓国の人材育成の印象はいかがですか。

千葉:ZETAは、eスポーツ産業がようやく軌道に乗ってきたところで、人材育成もまさにこれから始まる段階です。一方、VANTANさんは長くeスポーツ人材の育成を続けてこられており、日々その最適解を模索されています。

当然ながら、韓国がこの分野でかなり先を行っていることは私たちも認識しています。だからこそ、グローバルeスポーツ産業で最も進んでいる韓国の教育ノウハウをすべて知り、学ばせていただきたいという思いが一番強いですね。日本独自の進化を遂げてきたeスポーツの生態系と、最先端の教育ノウハウを掛け合わせることで、きっと素晴らしいものができると期待しています。

株式会社バンタン 佐藤裕則氏(以下、佐藤):千葉さんの仰るように、VANTANでは「バンタンゲームアカデミー」でeスポーツ分野の教育を行ってきましたが、毎年カリキュラムを更新しながらも「果たしてこれが正解なのか」と自問自答しつつ運営してきた部分があったんです。今回ZGAの開校にあたってZETAさんと打ち合わせをする中で、やはり韓国は「先を行っているのだな」と実感しましたね。

我々には教育の領域で長年培ってきたものがありますが、日本においてeスポーツはまだまだ発展途上です。そこにT1さんとも取り組みができるようになったことで、教育の幅がかなり広がり、ちゃんとした「形」を整えられるのではないかと考えています。

株式会社バンタン 佐藤裕則氏

千葉:実は、T1さんのカリキュラムはすでに見せてもらっていて、すごく勉強になっています。eスポーツ最前線の方々の素晴らしいカリキュラムで、プレイヤーの育成だけではなく、eスポーツ産業を支える人材の育成もされています。私たちとしては、まずは「eスポーツ産業の人材育成」にフォーカスしたいと考えています。

まずは「eスポーツ産業の担い手」を育てる

――今後の展望について、具体的な取り組みを教えてください。

Chief:まずは第一段階として、我々T1の産業人材教育のスタッフらを日本に派遣して短期プログラムを行うことになると思います。その経験をもとにフィードバックをして、VANTANさん、ZETAさんとコミュニケーションを取りながらより長期的なプログラムを作っていくつもりです。

――日本側として考えていることは何かありますか。

千葉:最初のステップとして、日本で僕らが考えているコラボレーションにどれぐらいの反響があって、実際に生徒たちがどう受け止めてくれるのかというのは確かめたいところです。

まずは、ZGAの学生に対してカリキュラムを短期集中でやってみて、より多くの取り組みに発展させていく、という2段構えで考えています。2つ目のステップに関しては、フィードバックを得て検討していくのでこの場で詳細はお伝えできないのですが、基本的にはより開けた、より多くのeスポーツ産業の担い手を育てていくための大きな取り組みに発展させていくというのが次のベースになります。

――今後、T1選手との連携などはありますか?

JIN:いまのところ今回の三社協業においては、目標としている方向性がプロゲーマーの養成ではなく、eスポーツ産業人材の育成であるため、プログラムを構成するにあたってゲーム的な要素は含まれない可能性が高いです。ゲーマーを育成するプログラムであれば選手を参加させるということも考えられます。

今回は、eスポーツ業界で働きたいと思っている方々に向けた特別講義を実施する予定です。具体的には、我々が韓国国内で何度も実施してきた「パートナーシップとマーケティング」「ファンダムビジネス」「コンテンツ制作」、そしてZETAやT1のような「プロゲーミングチーム内での業務」を中心に構成されることになるのではないかと思います。

――とはいえ、ZETAさん側には元プロゲーマーのcrowさんが筆頭でいらっしゃいますよね。

千葉:そうですね。そもそもcrowがカリキュラムにほとんど入っていますし、本人もさっき自ら「学長」と名乗っていましたからね。あれだけ自分で「学長」って言うのを嫌がっていたのに(笑)。

基本は裏方ですけど、そもそもZGA自体にプロゲーマーをはじめ、色々なクリエイターたちが関わっているので、そういったエッセンスは入ってくるかもしれませんね。

自ら「学長」と名乗るcrowさん

――本日はインタビューありがとうございました。

<取材・執筆:スイニャン/編集・撮影:松田和真>

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