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プロゲーマー・Eviが走り抜けた「心から楽しいプロ生活」を振り返るロングインタビュー! 変革を恐れず、燃やし続けた勝利への情熱と、世界中から愛されたキャラクターの原点

『LoL』プロからの引退を発表したEviさんにロングインタビュー。キャリアの振り返りやそのキャラクターの原点を聞きました。

ハル飯田

ハル飯田

日本の『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』史上世界大会最高位となるベスト16。日本人初の海外Tier1リーグ挑戦。競技シーンにおける数々の壁を打ち破り続けてきた歴代最強のTOPレーナー、Eviさんが2026年シーズン限りでのプロ選手の引退を発表しました。

今回はそんなEviさんがアマチュア時代から「Fukuoka SoftBank HAWKS gaming(SHG)」の一員として戦ったラストシーズンまで、そのキャリアを振り返るロングインタビューを実施。練習への考え方やサムズアップ誕生の裏側まで、さまざまなお話を聞きました。

「秘蔵の燃料まで使い切った」現役生活

――引退発表からしばらく経ちましたが、反響も大きく、LJL Finalなど様々な場面でも労いの言葉が集まっていたのが印象的でした。現在の率直なお気持ちを聞かせてください。

Evi:本当に多くの人からお疲れ様コメントや反応をいただいて、素直に嬉しいです。僕のやってきたことはこんなにも多くの人たちに影響のあることだったんだなと、感動しています。

発表後に開催されたLJL Finalではチームメイトからの花束贈呈も

――私も配信を見ていてグッと来るものがありました。発表の際にはキャリアを振り返る動画も出されていて、大きな理由として「モチベーションや情熱」を挙げていましたが、改めてEviさんの言葉で決断の背景を教えていただけますか?

Evi:僕に限らず、プロ選手にとってはモチベーションが一番大きなポイントだと思います。僕はこれまで「何か目標を立ててそこに進んでいく」という、シンプルかつ力強いモチベーションの立て方でプロ生活を過ごしてきました。

やっぱりキャリアの序盤は「純粋にうまくなりたい」気持ちと「Worldsのグループステージに進出する」という目標がモチベーションの2本柱になっていて、そのためなら何でもできるくらいの情熱がありました。モチベーションを維持することを考える機会すらありませんでした。

――夢中で走り続けられる状態だったんですね。

Evi:2021年のWorldsでグループステージ進出を達成するまでは、そうでしたね。グループステージでT1に完敗した後は「来年こそはやってやるぞ」と思いましたし、まだ上手くなりたい気持ちもありましたが、目標を達成して自分の中の1つの柱が無くなったのは確かでした。

次のシーズンあたりから、少しずつ意識してモチベーションを維持しなければならない感覚に変化してきたんです。それまで情熱という水が勝手に溢れていたのに、自分から蛇口をひねってあげないと流れてこなくなったと言いますか。

――モチベーションの生まれ方に影響があるくらい、Worldsのグループステージ進出が達成感のある出来事だったのは間違いありません。

Evi:「頑張るのが当然」の状態で6年走り続けてようやく達成しましたからね(笑)。もちろんその時点でもまだまだ上手くなりたい気持ちはありましたし、今でも常にそう思っています。

そこからはしっかり自分でモチベーションを管理するようになったんですが、LECに挑戦した2023年は英語でのコミュニケーションを含めて未知の世界だったので、再び湧き出してくる情熱を感じられました。

――1本の柱を失った分を「LECへの挑戦」という新たな柱が補ったんですね。

Evi:あの年は150%の力を出して取り組みました。これだけやってダメなら仕方がないとも思えるほどできる限り頑張りました。

――動画では「LECでキャリアを終えるつもりだった」ともお話されていました。

Evi:そうですね。当初からそれも想定していましたし、実際に(キャリアが)終わっても良いと思えるほどやりきったんです。ただ、シーズン後にSHGの方に声をかけていただいて、僕がLECで経験したことや学びを持ち帰ってまた次に生かすのもすごく面白いんじゃないかと思えて、現役を続ける決断をしました。

実際にやってみると、LECで学んだことの成果は如実に出ましたね。LECプレイヤーの実力を肌で感じて、そして彼ら独自のメタも十分実用的だと理解できていました。次のシーズンにツイステッド・フェイトやレク=サイを早い段階で取り入れて上手く勝てたのは、間違いなくその経験によるものでした。

ドラフトでのフレックス性も高く、相手チームの対策外から試合を動かしたツイステッド・フェイトTOP(LJL 2024 Spring)

――現在でもLECチームは珍しいピックを持ち出すことがありますが、シーズンを通してその舞台で戦ったことでその有用性に確信が持てたんですね。

Evi:例えばLEC「G2 Esports」のBrokenBladeはワーウィックTOPをめっちゃ使っていますけど、外から見ると「面白いからピックしているだけで、別に強くないんじゃない?」って疑ってしまうじゃないですか。でも戦ってみると本当に強くて、見方が変わりました。

そこで2024年シーズンには彼らの情報をチェックしてすぐにレク=サイを取り入れたんですが、実戦投入までにはコーチたちも「本当に強いの?」って疑っていましたからね(笑)。

――それだけ、知っていることと実際に経験することとでは違うんですね。

Evi:僕の中で固定観念になってしまっていた部分が崩された感覚でしたね。

――そうしてまた「LECの経験をLJLで活用する」という新しい柱を立てて日本に復帰し、SHGでは3シーズンを過ごしました。

Evi:この3年は毎年新しい柱を立てないといけない状況でしたね。2025年は「前年のWorldsで手も足も出なかったから、今年はリベンジするぞ」でしたし、今年は「去年のLCPで全然良い戦いができなかったから、借りを返すぞ」みたいなテーマで柱を立てていました。

ただ、今年は早い段階から新しい情熱を出し続けるキツさは感じていたんです。Split1で3位になれたから「これなら悪くない。十分やれただろう」と思えたのかもしれませんし、もしかするとそこまで結果が出ずとも「これでダメなら頑張っただろう」と思えたんじゃないでしょうか。

やっぱりプロは誰しも続けるだけでHPとMPが常に削られ続けていくようなしんどさがありますし、長くキャリアが続く選手が少ないことも、その証明じゃないかと思います。

LCP Split3で敗退が決まり、挨拶をするSHGメンバー。結果的にこれが最後の公式戦となった。

――“代わりの柱”で戦い続ける限界だったのでしょうか。

Evi:そうですね。今年は途中から「もう最後のシーズンだから踏ん張ろう」という、引退前にしか使えない情熱も使いました。

――今年の頑張りは最後のブーストの力だったんですね。ただ、それほどまでにやり切ったと言える感覚で引退できるというのは、プロ選手として素晴らしいことでもあると思います。

Evi:ありがとうございます。友達や海外のプレイヤーからは「Evi、まだできるだろ?」みたいなメッセージも飛んでくるんですけど、いやいや、できないから引退するんですよね(笑)。 外から見るとできそうに思えるかも知れませんが、本当に燃料が尽きました。

――確かに車に例えるなら私も「まだまだ良い車体じゃないか?」とは思うんですが、継ぎ足し継ぎ足し走ってきた燃料がなくなって、これ以上は走れないと。

Evi:引退覚悟の秘蔵の燃料も使っちゃいましたからね。じゃあまた燃料が手に入ったら走るのかと言われると、そこを否定するつもりもなくて、そういう可能性もあり得るとは思っています。

ただ、もうしばらくは無理ですね。今手に入る燃料は全部使ってしまいました。

挫折と成長、変革が生んだDFM黄金期

――ここからは少しキャリア全体を時系列で振り返ってお話を聞いていきたいと思います。記録に残っているものでは2014年のJCGへの出場が競技シーンへの第一歩ですが、プロになって2026年まで活動するとは思いもよらなかったはずです。当時はどんなマインドでプレイされていたか、覚えていますか?

Evi:これ、あくまで当時の超生意気な僕の考えを正直に言うんですが、当時は他のプロチームのTOPを見ながら「俺の方が普通に上手いな」と思っていました(笑)。

――アマチュア時代ですし、それくらいのマインドが必要だったのかもしれません(笑)。

Evi:僕、その当時にしては『LoL』を始めたのが遅い方だったんですよ。シーズン3の中盤から始めてまだ1年くらいで、試合に出ているのはシーズン1、2からプレイしている人ばかりでした。

でもすぐにレートも上の方まで行けたのもあって自分で成長がめちゃめちゃ早いと自覚していたので、全員追い抜けると思っていました。

――そのマインドはいつ頃まで続いたのでしょう。

Evi:これも動画で話しましたが、(2016年から所属した)「Rampage」時代にチームメイトが自分のプレイに愚痴を言っているのを聞いてしまったことがあったんです。その頃は一度その自信は折れましたね。

Rampage時代のEviさん(RiftRivals 2017)

――Rampageでも国際大会に進出するなど順調な印象があったので、そこで大きな挫折があったというのは意外にも思えました。

Evi:表に見えてないだけで、めちゃくちゃ大変でしたね。当時はコーチという役割もそもそも浸透していなくて、チームメイト同士で首元を掴みあっての喧嘩寸前になることもありました。

本当に「エゴとプライドのぶつかり合い」って感じで、昨今のような心理的安全性という言葉も何もない環境でした。

――そんな厳しい環境を糧に成長を続け、2018年シーズンからは「Detonation FocusMe(DFM)」の一員になります。チームはLJLで連戦連勝。客観的に見ての黄金期にあったと思いますが、Evi選手自身はどのような気持ちで戦っていたのでしょうか。

Evi:まず移籍した当初は、プロになる前から画面で見ていた憧れの存在のCerosやYutaponと一緒にやれるということで、すごく楽しみでした。手応えもかなりあって、スクリムでもTOPレーンだけ見ると9割くらい勝てていたので「Rampageで学んだことは大きかったな」と実感していました。

――「自分の方が上手い」と思っていたアマチュアプレイヤーが、僅か4年足らずでそれを事実にしてしまいました。かなり充実した時期だったんですね。

Evi:本当の黄金期と言えるのは、かずーた(Kazuコーチ)が加入してからだったと思いますね。当時はまだコーチという存在があまり重要視されていなかったんですが、僕はRampageで素敵なコーチに出会えたことがすごく大きかったと感じていたので、DFMでもコーチを重視すべきだとオーナーの梅崎さん(故・梅崎 伸幸さん)に直談判しに行ったのをよく覚えています。

まだフリーだったかずーたに、試合後「外から見て、なんで俺たち負けたと思う?」と相談したことがあったんですが、かなりゲームのことを理解しているなと思える良い答えが返ってきたんです。それで、もう彼しかいないだろうと思っていました。

2019年シーズンのDFM。歴代でも屈指の総合力を誇るメンバーが揃った

――それがKazuコーチ招聘のきっかけになったのでしょうか。

Evi:他の選手は「俺たち選手5人で頑張れば良いんじゃない」という感じだったので、梅崎さんもすぐにOKという感じではなかったです。ただ、春シーズンで好調だったのにも関わらず決勝で負けてしまって、やっぱりこのままじゃダメだともう一度話をしました。

その再プッシュでかずーたが加入した2018年シーズンの途中からが、僕らの黄金期でしたね。今だと(DFMヘッドコーチの)Pazくんがその立場だと思うんですが、やっぱり日本語でコミュニケーションできるだけでなく、日本のプレイヤーのことをよく知っているのは、コーチとして相当なメリットだと思います。

――実際にWorldsグループステージ進出という目標達成まで伴走するメンバーになった訳ですから、大きな転換点でしたね。後から入ってチームに意見をするのはハードルが高そうにも感じますが。

Worlds2021のプレイインステージでC9を破り、グループステージ進出を決めた瞬間

Evi:そういう場面で「変えよう」と言えるのは、僕の強みでもあったと思います。他にも何気ないことですけれど、当時のDFMは「マネージャーさんが夕食のお弁当は何が良いか個別に聞きに来てメモを取る」文化があったんですよ。僕はめっちゃ非効率に感じてびっくりして、すぐにLINEでアンケートする仕組みに変えてもらいましたね。

僕らの仕事はゲームで勝つことで、そのためにはチームが強くなれるよう非効率的なことはすべてなくすべきだと思ったんです。ソロランクへの集中を止めて返事をする選手も、区切りの良い所まで待つマネージャーさんの時間ももったいないですよね(笑)。

――ずっとそれで慣れてしまっていると、違和感を覚えづらくなって変える決断ができないこともあると思うので、新加入のEviさんがそこで率先して動ける人だったのはチームにとっても大きかったと思われます。

Evi:しかも梅崎さんはゲーム外のそういう頑張りもちゃんと見て評価してくれるんですよ。これが本当に嬉しかったですね。

――オーナーはよく選手の元を訪問されている姿もSNSで拝見していましたが、そういう部分にも気を配っていたんですね。

Evi:プロゲーマーとしての契約には含まれない部分ですけど、絶対にやった方が良いことなので、僕は勝つためにそこもやりましたし、ちゃんと見ていてくれることに感激でした。

MSI 2019を戦うEviさん。DFMでは2022年まで5シーズンに渡り活躍し、キャリアで最も長く籍を置いたチームとなった

LEC、PCS、LCP……激動のキャリア終盤

――2021年にWorldsでの目標を達成した後、もう一度Eviさんが「150%で取り組めた」というLECの「Team Heretics(TH)」加入が2023年です。最初のSplitから上手く適応しているように見えたので、動画で「初日は(移籍が)失敗だったかもしれないと思った」というほどの苦難があったと話されていたのは驚きでした。

Evi:英語でのコミュニケーションの難しさを感じて、特に序盤はきつかったです。チームメイトにRubyという韓国人MIDレーナーがいて、同じアジア圏の選手というのもあってかすごくフレンドリーに接してくれましたし、一緒に過ごす時間も長かったです。

Rubyは前のシーズンから別のEU圏のチームでプレイしていたので英語も結構話せて、色々なことを教えてくれて……本当に心の支えでした。

――同じアジアからEUにやってきた先輩として、面倒を見てくれたんですね。

Evi:よく気にかけてくれました。アジア人の話す英語だからか、聞き取りやすかったのもありましたね。Jankosの英語も訛りが強いみたいなんですが、僕はとにかくJankosの英語で耳が慣れたので、チームスタッフの英語がマジで聞き取れませんでした(笑)。でも、みんな仲は良かったですよ。

熱狂的なLECファンの前で熱戦を繰り広げた

――JGとのコミュニケーションを考えると、Jankosさんの英語が聞き取れるのは大事ですよね。聞き取れなかった場合はどうしていたんですか?

Evi:特に言葉選びが難しいコーチの話は、チームメイトに後から聞いていましたね。BOTレーナーのJackspektraがめちゃくちゃ言語化が上手くて、僕が分かりそうな単語に置き換えて説明してくれるんですよ。後にLECのキャスターになったらしくて、やっぱり凄い能力だったんだなと。

――こう振り返ってみると、チームメイトにも恵まれていましたね。

Evi:そうですね。どの選手とも今でも連絡するくらい距離は近づきましたが、特にJankosはリーダーシップを持って、みんなを引っ張ってくれる存在でありがたかったです。

選手が生活する家でも「ゴミ捨ては交代でやろう」「皿洗いはすぐに」と生活のルールを決めてくれたり、他のチームが試合をしている時も「皆でお菓子でも食べながらチェックしようよ」と同じ部屋に集めてくれたり、ボードゲームで仲を深めようとしてくれたり……。

――試合外のチームビルディング能力の高さがすごいですね。日本ではEviさんがチームビルディングに取り組む側で発信活動も積極的だった印象ですが、海外ではありがたさを実感する側に回ることになったんですね。

Evi:本当に色々なことをしてくれるリーダーで、超超リスペクトして、感謝していますね。

――その経験を持ち帰り、SHGではLJL&PCSプレイオフ、そしてLCPでの2年と計3年間戦いました。PCS Summerではメタだったランブルvsケネンのマッチアップについて、配信で「誇張なく何百回もやった」とお話されていて、プロとしての突き詰めることの凄さを感じたのが、私は印象的でした。

Evi:ありましたね。本っ当にずっとやっていました。

Bo5の中でチャンピオンを入れ替えて同じマッチアップを繰り返すことも多かった(PCS 2024 Summer Playoffs)

――その翌年からはフィアレスドラフトが導入されて、そういった突き詰めとは逆にEviさんのピックプールの広さも見られて、プレイヤーとしての幅も感じました。練習の取り組みで意識していたことはありますか?

Evi:僕の中の優先順位では「上手くなること」も重要ですが、その僅かに上に「勝つこと」があるんです。もちろん練習は上達を目的にやりますけれど、試合では勝利が最上位の目的になります。そこで僕は「選択と集中」を大事にしていました。

――「選択と集中」ですか。

Evi:「何をやらないかを決めるのも重要な選択だ」という考えですね。これは他の分野で結果を残している人もよく言っていることなんですが、この言葉を知る前から僕の中では同じ感覚があったので、後から「他の人もそうやっているんだ」と裏付けが取れた感じでした。

人間の時間は全員等しく24時間しかないので、自分の強みが出せることに集中して時間を費やすのが効率的だと思うんです。例えば「才能」と言ってももっと細かく分類できて、タンクが上手い才能があるのか、ファイターが上手いのか、ダメージディーラーにもっと才能があるのか、自分のパラメーターを理解するのが重要だと思います。

――やらないことを明確に決断して、その代わりにやると選択したことに集中して最大効率化を図るイメージですね。

Evi:自分にとって良い“パラメーター割り振り”になるように練習をしてきましたね。僕、めちゃくちゃ効率がいいことが大好きなんですよ。

――フィアレスドラフト導入後はより多くのチャンピオンを練習する必要が出て、その効率化も価値が大きくなったのではないでしょうか?

Evi:それ以前よりもチャンピオンプールの得意不得意が平らになった印象はありましたね。フィアレス前はやっぱり尖ったキャラを持っていることの価値があったんですが、フィアレスで1回しか使えなくなったので。

キャリア通算では公式戦だけで60体以上のチャンピオンをプレイ。最多ピックのナーは代名詞のひとつ

――単純比較できるものではないかもしれませんが、どちらのドラフトが好みでしたか?

Evi:めっちゃ難しい質問ですね(笑)。フィアレスはやりたくないチャンピオンが1回出たら終わるんですけど、それは相手にとってもそうなので……どちらにも良し悪しがありました。

――LCPでは台湾を拠点とする生活になりましたが、特に初年度はゲーミングハウスに入れない状態でリーグがスタートしたり、大スワップメタに振り回されたりと、激動の時期だったように映りました。

Evi:ありましたね……最初は日替わりでホテルを転々として、ネカフェで練習していました。あまりにも辛かったので、言われるまで記憶に蓋をしていました(笑)。

――試合後インタビューの短い時間でも、本当に大変だと伝わってきていました(笑)。

Evi:チームも初めてのことですし、何よりもLCPのチームがめっちゃ強いですからね。僕らは2024年のWorldsプレイインに進出してようやく「GAM Esports」と対戦していたのに、それが毎週LCPで戦っているんですから、見ている人に伝わっていたかは分かりませんけれど、本当に強い相手でした。

続く海外生活の気分転換として、スキンヘッドや髭伸ばしスタイルにもチャレンジ

――見ている側としても段々「とんでもないリーグに来たんじゃないか」と気づかされましたし、国際大会でもLCP代表は勝ち進んでいたので、レベルが高かったのは間違いありません。そんな中でも、私は「来週のGround Zero戦に向けてコメントをお願いします」と聞いて辛そうな顔をするEviさんが忘れられません(笑)。

Evi:(Ground ZeroのTOPの)1JiangはLCPの中でもひとりだけ特異点ですね。スクリムでも試合を破壊されることが多かったので、憂鬱でした。

スクリムでは9レベル対13レベルくらいの差を付けられることも全然あって、もう「自分のファーストタワーとセカンドタワーの間にずっとカ・サンテが居て、倒せないんだけど」みたいな(笑)。彼との対面からも色々と学びましたし、「今日は1Jiang相手に上手く耐えられたから、前よりも学習できているな」とひとつの指標にもなっていましたね。

LCP Arenaに入場する1Jiang選手(写真左)とEviさん。強気なレーニングとは裏腹にゲーム外での1Jiang選手は心優しく、良きフレンドなのだとか

――それでも、試合本番ではそういった大差がつく展開に持ち込まれることは無かったように思います。

Evi:そうですね。僕はスクリムより本番の方が力を出せるタイプでもありますし、さっきの優先順位の話でもあったように本番だと勝利が最優先になるので、プレイの内容も変わりました。あと、なぜか相手が強ければ強いほど、僕も上手くできたんですよね。理由は自分でも分からないんですが。

――TOPレーナーとして相手に引き上げられるものがあったのかもしれませんね。

これからも「楽しさのお裾分け」を!

――ここまで駆け足でキャリアの節目ごとに振り返っていただきましたが、試合以外のことも最後にお聞きしたいです。Eviさんと言えばやはりサムズアップがシグネチャーポーズとして知られていますが、あれを始めたきっかけは覚えていますか?

Evi:もちろん覚えています。やり始めた当時はカメラに向けてパフォーマンスする人ってあまりいなくて、何かできればなと思っていたのもありますし、「俺たちこれから行くぞ!」という姿勢を自分にも見ている人にも示したかったのがきっかけですね。

――パフォーマンスであり、Eviさんの中でもルーティーンにもなっていたんですね。特に海外のファンはEviさんをサムズアップで覚えていたようで、大きな影響がありましたね。

Evi:ですね。実は自分に向けても「レッツゴー!」的な意味がありました。

――もうひとつお馴染みといえば「えびンモTV」の存在です。2019年頃から解説動画をアップされていて、TOPレーナーでなくても日本の『LoL』プレイヤーなら全員が通っているのではと思えるくらいのコンテンツになりました。現役真っ只中であれほど細かな解説動画を始められた背景も教えていただきたいです。

Evi:これはまず大前提として、僕は「お裾分け」がしたいんですよね。美味しいものに出会ったら皆にも食べて欲しいなと思いますし、面白いことがあったら皆にも知って欲しいからSNSに投稿もするんですよ。「こんなに面白くてオンリーワンのチームメイトのことを皆が知らないのはもったいねぇ!」って感覚ですね。

それは知識についても同じで、僕だけが知っているよりも他の人も知ったら面白いんじゃないかと思ったのが、最初の動機ですね。他の人が楽しくて幸せになっている瞬間が好きで、それを増やしたい気持ちがあるんです。

――特に『LoL』は知識を覚えた瞬間も楽しいですからね。

Evi:ですよね。ただ、 動画を作ると時間がすごく取られますし、敵になるプレイヤーも育てちゃうのが悩みの種ではあったんです。動画を作る時間で練習すればもっと上手くなるし、相手に情報を知られることもないですよね。

すごく素直に言うと、動画を作るようになってから僕の『LoL』パワーは10%くらい減ってしまったと思うので、動画を出し続けるべきかは悩みました。ただ、やっぱりプロは見てくれる人がいてなんぼですし、この10%の『LoL』パワーを支払う価値は十分にあるくらい、やるべきことだと考えていましたね。

――今の反響を見ても、その10%というコスト以上の価値はあったのではないでしょうか。

Evi:間違いないです。コスパは良かったですね。10%を支払ったというのも僕の感覚的な話で、実際にはそのせいで負ける気はしなかったですし、改めて言語化しながらプレイするのは自分にとって有益な面もありました。

――「他人に教えることで改めて身につく」というやつですね。

Evi:ですね。そう考えると実はそこまでマイナスも無かったかもしれません。

――レーンマッチアップによっては1レベルからとんでもない駆け引きがあるんだと知って、観戦が一層楽しくなりました。ちなみになぜ「えびンモ」というネーミングになったのですか?

Evi:これはYouTubeチャンネルのアイコンにもなっているイラストを描いてくださっている方が、元々は猫の「にゃンモ」というキャラクターを描いていたんですよ。その世界観の中でエビのお寿司のキャラクターなので「えびンモ」になりました。

――そういう背景だったんですね。Stealさんのタイトルコール含め、語感の良さが親しみに繋がっていた感覚もあります。 プレイヤーネームが「Evi」だったのも良かったですね。

Evi:確かにそうですね。実はEviになる前は「†ディアス†」という超中二病プレイヤーネームだったこともあるんですよ。本当に中学2年生くらいで付けた名前なんですが、昔はゲーム内の名前って簡単に変えられなくて、後からすごく恥ずかしい思いをしました。

――それは……なかなかですね(笑)。

Evi:ですよね(笑)。それで次に名前を付けるときには絶対に恥ずかしくないよう、食べ物の名前にしようと思って、エビフライから「ebihurya」にしました。そこから文字がちょっと長いのもあって、縮めて「Evi」になりました。

――「†ディアス†」のままプロにならなかったのは英断でしたね。

Evi:僕もそう思います(笑)。

△ゲーム内のSHGチームエモートもサムズアップをする「エビ」のイラストに

――今後についてはまだ未定な部分も多いと思いますが、その名前と共に活動をされていくことは間違いないですね。ひとまずはコンテンツクリエイターと言いますか、動画投稿や配信を中心に活動されていく方針ではあるのでしょうか。

Evi:そうですね。さっきも軽く触れたように、皆が知ったら面白いだろうなっていう知識も僕はたくさん持っていると思うので、それをどんどん出していきたいなと考えています。

やっぱり『LoL』の楽しみって、ちょっとした上達が何度も繰り返される部分にあると感じるんですよね。それを僕の動画でもサポートしていけたらと思います。

――配信上でも「『TFT』や『VALORANT』もちゃんとやってみたい」とお話されていましたし、そういったタイトルの配信も含めて、楽しみにしています。それでは、締めくくりとしてファンの方に向けてメッセージをお願いしてもよろしいでしょうか。

Evi:もちろんです。この11年間、人によってはそれ以上の期間ずっと応援していただいた皆さん、本当にありがとうございます。心から楽しいプロ生活でしたし、この期間を皆さんと一緒に過ごせたのは、僕の人生にとっても最高の幸せだったと思っています。

これから先はどんな形になるか分かりませんが、また皆さんと選手とはまた別の形でお会いしていけたらと思ってます。応援ありがとうございました。これからもよろしくお願いします!

<取材・執筆:ハル飯田/編集・一部撮影:松田和真>

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