• VALORANT
  • インタビュー

「新IGLとして大きな経験値を得られた」「今年はZETAというチームの文化をつくることが目標」…快進撃を見せたZETA・SugarZ3roとXQQが語るチームの現状と来年への意気込み【Red Bull Home Ground 2025】

Red Bull Home Ground 2025を終えたZETA DIVISIONのSugarZ3ro選手とXQQコーチへのインタビューをお届けします。

Wolfram

Wolfram

今年は6回目の開催となったRed Bull Home Ground(RBHG)。日本からは予選を勝ち抜いたFENNEL、そして招待を受けたZETA DIVISIONの2チームが出場しました。

FENNELはAmericasよりCloud9と同じグループに振り分けられ、惜しくもプレイイン敗退となるもエジプト代表Team RA'ADを下し、日本代表として勝ち星を持ち帰りました。

メインイベントからの参加となったZETA DIVISIONは大会1日目にG2 Esports、そしてFnaticを立て続けに下す快進撃を見せ、2日目へとコマを進めました。2日目は現世界王者NRG、そしてG2との再戦と厳しい試合が続き、勝ち星を上げることは叶いませんでしたが、ZETAはチームとしてRed Bull Home Ground史上最高順位であるベスト3で今大会を終えました。

今回はそんなZETA DIVISIONよりSugarZ3ro選手とXQQコーチに今大会の感想、共に戦ったスタンドイン3名について、そして来年への意気込みなどを伺いました。


スタンドイン3名の強みと印象は

――試合お疲れ様でした。まずは本日の2試合の感想を教えてください。

SugarZ3ro:今日の初戦はNRGで、現状世界1位のチームと戦えるという経験はなかなかないので、チャンスだと思いました。オフライン初メンバーが2人いたので、もうひたすらなんか楽しんでほしい、ということを伝えています。

チャレンジャーの気持ちで挑んだ試合で、まあやってみたら結果的にはボコられてしまったんですけど、自分たちなりに負けた理由の回答とかは出せたので、そこの回答が出せるスピードも速くなったりだとか、細かい部分の連携とかがもう少しうまくなればもう少し戦えたかなと。

G2戦はリマッチで、サンセットとスプリットをプレイして、個人的にはIGLをやって初めての大会で2連戦ということもあり、ちょっと頭がうまく回ってない部分があったので、そこは自分の成長できる部分かなと。ただ、スプリットはかなり練習してたので、主に攻め側でもっと練習した部分を出せばよかったな、っていうのはあります。守り3-9折り返しで攻めの数が少なくなってしまったので、ちょっとしんどかったな、っていう感じです。

XQQ:NRG戦もG2戦も、長期間練習できてないチームとしての脆さが出た試合なのかなとは思っています。NRGもG2も、チームとして時間を使って共に歩んで、世界大会にも出て、すごくいい結果を出しているチームで、それに対して、僕らはまだそこまでの期間を経ってないですし。活動が本当に始まったばかりのチームなので、その差で負けるのはもうしょうがないのかなと思っています。

それ以外の面では、シュガーのIGLだったり、HoneyBunny、eKo、Absol、そしてミゾ(Xdll)、本当に若い選手たちのポテンシャルというか、そういうものを実戦で発揮するためにそこには経験が必要だなと思いました。

というのも、コーチングスタッフ含めなんかもっとやりやすいような形で、プレッシャーを感じず、実戦で実力出せるような準備をできていれば、予選でのBo1のようなすごいエイムだったりとか、本当に彼らの秘めているポテンシャルを出してあげられたのかなと思っているので。

ここはもう来年に向けて、そして再来週にはSOOPが控えてるので、そこに向けて、チームとしてフィードバックして改善して挑みたいなと思います。

――スタンドインの選手を入れての参加となりましたが、このロスターができるまでどんな経緯で、どんな選手を探しましたか?

XQQ:いろいろ事情はありますが、まずDepのスタンドインとしてHoneyBunnyを採用した理由は、トライアウトで何度か助っ人としてしてチームに来てもらっていて、その中でのコミュニケーションだったりとか、コーチングに対するアプローチャブルな姿勢だったりとかが、すごく良い選手だなって言うところを、僕とかシュガーが感じたという経緯ですね。コンバートという形でセンチネルをやるような感じになってしまったんですが、彼のいいところをたくさん見てたのでこういう形になりました。

Absol、eKoはもともと選手としてトライアウト含めてパフォーマンスを見た上で、この選手だったら、コーチングスタッフとシュガーとの相性も良いし、いいチームを作っていけるんじゃないかなっていうのが今回のチームビルディングです。

――今回一緒に戦ったスタンドインの3人の印象や強みを教えてください。

SugarZ3ro:うちのチームって例えば「午前の練習でボコボコにされて、中間ミーティングでめっちゃフィードバックで改善して、後半のスクリムでボコボコにし返す」みたいな流れがよくあって。

その中間ミーティングでeKoは「うちの構成はこういう部分が強いからもっと出した方がいい」とか、「今この部分があるからこうした方がいい」とか、そういう全体的な流れみたいなことを的確に言ってくれて、練習の時はすごく助かったし、強みかなと思います。IGLをしてる自分の『VALORANT』のスタイルを押し付けるようなふうになってないのが、意見を一番出してくれるeKoによる部分が大きいですね。

インゲームに関してはデュエリストとしての仕事もそうだし、ピークでいっぱいキル持ってくところとか、デュエリストとしての才能もすごいので、ここは皆さんが知っている通りかな、と思います。

Absolは、デュエリストをほぼ全部器用に使えるっていう部分と、コールがすごい出せるという部分ですね。俯瞰で見てこうした方がいいとか、ここ舐められてるからもっと取り返した方がいいとか、そういう部分が自分がIGLを担当する上で自分たちが何するか、相手はこうしてくる、とかを考えてる中で、気づけない部分に気づいてくれる部分が多いので、そこはすごい助かるなって思います。

HoneyBunnyはデュエリストでトライアウトして、デュエリストならではのコールの量だったり、ドライの勝負感とかそういう部分が自分の中でいいなと思ったので、センチネルとして起用したらいいんじゃないかなと思いました。一番年下なんですけど、コールがいっぱい出る部分と勝負感の強さが長所というか、光ってるって思います。

幻のサンセットトリプルデュエリスト

――このロスターでの練習期間はどれくらいでしたか?

XQQ:こっちに来てからも練習は一応できたので、2週間ちょいぐらいかな?と。

――あまり練習時間がない中で、練習中に何か具体的に意識していた点や重きを置いた点などありますか?

SugarZ3ro:自分はIGLやってて、IGLが考えるVALORANTをやるとなると他メンバーと合わせなきゃいけない部分もあったりしてすごく難しいので、みんなでチームで意見出し合って一本の軸であったり、コンセプトを決めていくっていうのを練習段階からやりました。そのおかげで、軸はしっかりできたのかなと思います。コンセプトをちゃんとしっかり練習段階から作って、それに沿って練習をしていました。

XQQ:今年のリーグが終わってロスターが変わるということで、僕とシュガーが軸になって、シュガーがIGLに挑戦して、それを僕らがサポートする。一緒にZETAっていうチームのスタイルだったりとか、今まで引き継がれているものをしっかり作ってやっていこうっていう話をしました。

あとはシュガーが話した通り、全員が自分たちがどういうVALORANTをしたらいいかっていうのを理解することがレベルが高い試合になればなるほど必要だと思っていて。

それをこの短期間で全員に浸透させるのには時間が足りなかったと思うんですが、Bo1とはいえど、フィジカルとか関係なくG2やFnaticを倒せましたし、自分たちがやりたいことをできたラウンドも多く、みんな頑張ってくれたのかなと思ってます。

実は今回、サンセットをピックされてしまったんですが、もともとサンセットは全く練習してなくて、本当に。多分0回なんじゃないかな。「ピックされたらトリプルデュエリストやろうよ」みたいな、「せっかくデュエリスト3人いるんだからトリプルデュエリストやっちゃおう」みたいな話をしたんですけど、やっぱりいざピックされると急に真顔になっちゃって(笑)

まあ一旦バインドとかスプリットでやってるウェイレイ・レイズとかでアドリブになっちゃうけど、やってみようかっていう感じになりましたね。それでもこの期間で培ってきたそのシュガーのIGLだったりとか、みんなのチームプレーっていうのが要所要所で出てはいたので、取れたラウンドとしてはそんなに多くはなかったんですけど、よく頑張ってくれたと思います。

サモナーズリフトに囚われたDep

――2026年シーズンはアセンション廃止・Path to Champions導入・パートナー更新前最終年度が重なる年です。Tier2チームとの兼ね合いの面などで、このことがロスター構築に影響した、ということはあったんでしょうか?

XQQ:Challengers Japanのチームとの取り組みだったり、話し合いの面では特に何もないですね。僕らのロスターの変更にあたって、色々と変わるところが変わり、その上でじゃあZETAとしてどういうチームをつくっていくかというところで、今回のロスターになっています。

今年復帰して思ってたのは、2023、24、25年年数を経ても「チームとしての経験値として貯蓄されずに毎回リセットされてる」っていうのがすごく問題点としては大きく感じました。なので、来年度のリーグチームの再変更などは実際どうなるかちょっとわからないんですが、もし僕らがリーグチームから外されたりとか、もしくはそのままキックされたりとか、どういう結果があろうが、今年一年やってきたこと、そして来年一年やっていくこと、そういうことを2027年度のVCTに経験値として、財産として引き継げれば僕はいいのかなと思っています。リセットされるのが一番よくないと思うので。

――12月上旬には「SOOP VALORANT LEAGUE」も控えていますが、このロスターはRBHGのみで一旦解散ということになるんでしょうか?

XQQ:ここに関してはまだ未定でして、Depの状態もありますし。この2週間プラス大会の経験っていうものを活かすのであれば、そのまま行った方がいいのかなと思うんですけど、実際のところはまだ決まってないので、また詳細が決まり次第、チーム側から発表があるのかなと思います。

また、SOOPの方もすごく強いロスター、強いチームが出てるので。ロスターが変わろうが変わるまいが、ここでの経験はそこに反映させるべきかなと思ってます。

――Dep選手は別に体調を崩されている、とかではないんですよね...?

XQQ:僕の言葉選びに語弊があったのかなと思うんですけど、全然容態が悪いわけでもなく、元気です。ただ今彼は『LoL』の世界に取り込まれていて...。サモナーズリフトから出られない上に、それプラスちょっとVTuberとしての道を探している段階でもあるので(笑)

まぁオフシーズンなんで、今までのDepのオフシーズンがどういう感じか見てきた人たちだったらわかると思います。深いことは言えないんですけど、絶賛準備中というか、来シーズンに向けて、チャージの時間だと思ってくれたらいいかなと思います。

オフシーズン大会は「出れば出るだけどんどん成長する」

――ZETAとして毎年欠かさずオフシーズン大会に出場されていますが、この時期のオフシーズン大会は個人やチームとして仕上げなければいけない期限として重くのしかかるものがあるのか、それとも実戦の機会としてありがたい部分が大きいのか、どう感じていますか?

XQQ:コーチとしての所感を話すと、オフシーズンの大会に全く出ずにレギュラーシーズンを迎える、というのも別にありだと思うんですよ。チームとしてどのくらいの実力があるのかを外野から色々言われることもないですし。今回みたいに若手が経験を積むことだったりとか、Bo1勝ってBo3でタコ負けして、「またかよ」みたいな感じの批判を受けることも、もちろん大事だと思ってるので、僕らとしてはオフシーズンの大会はチームとしてはできる限り出て、様々な経験を積めれば、プラスになると思っています。SugarZ3roさんどうぞ。

SugarZ3ro:例えば、練習でIGLがうまくいったとしても、それは練習上でしかなくて。実際の大会に出るまでどうなるかわかんないっていうのがありますよね。やっぱり大会に出ることで、自分たちがいろいろ試してみて、それが実際うまく刺さった、刺さんないとかでとかで自信とかがすごいついてくるし、経験値にもなってくると思います。こういったオフシーズンの大会は出れば出るだけどんどん成長するかなとは思うし、自分たちの自信にも武器にもなっていくと思います。

――ありがとうございます。最後に2026年シーズンに向けての意気込みとファンへのメッセージをお願いします。

SugarZ3ro:Red Bull Home Groundで良い部分も悪い部分も、課題になる部分とか、足りない部分、すごく色々経験値を得たので、この感じを忘れないで、いろいろ準備してIGLも上手くなって、フィジカルもどんどん強くなっていきますので、応援のほどよろしくお願いします。もっと頑張ります。

XQQ:2026年、VCTに関してはまだロスターやコーチングスタッフ含めこの段階では確定ではないので、またタイミングを見ていろいろご報告できるかなと思っています。

今年はFENNELから3名迎えて、途中いろいろあり、波瀾万丈な人生を送り、結果的には本当にプレイオフにも行けず、散々な結果でまだこのキャリアが続けられるのか、っていう状態ではありました。ただ、今年一年で学んだことはすごくありますし、もちろん抜けていったTenTenとCLZから学んだことも多かったですし、その経験をSugarZ3roに、新しくIGLをやる人間に吸収させて、チームとしてやるべきことをやって、自分たちに合うところと合わないところを取捨選択してちゃんと自分たちの文化を作っていくことが、2026年の目標です。

RBHGの結果を経て、やっぱり世界の壁はすごく高い。けど、自分たちのパフォーマンスを出せれば、絶対無理っていうほどではない、というのは僕らも再確認できたので、地道にやっていくしかないかなと。今回、Bo1で「うわ、ZETAまたこれきたんちゃうん?」という状態から0-2、0-2で本当に申し訳ないんですけど、時間がかかるチームなので長い目で見ていただけるといいなと思います。キックオフまでには間に合わせます。

SPECIAL CONTENTS ここだけの特別な記事