【LoL Interview】ゲーム好きの少年がLJLで優勝した話【SHG Marble】

リクルートさんのnoteで公開されたMarble選手へのインタビュー記事です。

League of Legends インタビュー・コラム
【LoL Interview】ゲーム好きの少年がLJLで優勝した話【SHG Marble】
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※本記事は、リクルートさんのnoteから転載した記事です。
(記事公開日:2024年5月30日)


皆さんはMarbleという人物を知っているだろうか。

世界で一億人以上がプレイするとされているオンラインゲーム、League of Legends(LoL)。Marbleはそんな大人気ゲームの日本最高峰の選手達が集うEsportsリーグ、League of Legends Japan League(LJL)に所属しているFukuoka Softbank HAWKS Gaming(SHG)の選手である。

実は今年、LJLでは革命が起きていた。

LJLでは長らくDetnation Focus Me(DFM)というチームが強豪として君臨しており、DFM以外のチームが勝つのは難しいだろうと目されていた。
しかしその状況を打ち破ったのがSHG、そしてMarbleだった。

もちろんチームとしても注目されたのだが、個人のプレイでもMarbleは特別注目を集めていた。

その理由は日本のLoL競技シーン、サーバー問題にもある。

現在は少し環境が変化しているのだが、当時の日本のプロプレイヤーたちは、韓国や中国のプレイヤーと練習試合をしたり、自主練をするために日本のサーバーではなく韓国のサーバーでプレイをすることがほとんどだった。これは日本は世界の競技レベルからするとまだ劣っている部分を否定できないこと、さらには人口が少ないという事もあり他のサーバーと比べると日本サーバーはレベルが低いとされているためだ。

そのため、新人選手たちは急にレベルの高い環境で練習をしているベテラン選手たちに混ざって戦わなければならないために追いつくことが難しく、苦戦を強いられるのがほとんどだった。

しかし、Marbleはデビュー1年目から頭角を現し、2年目にはLJLを代表するベテランプレイヤーであるYutaponと肩を並べるほどのプレイを披露したという異例の新人選手だった。

デビューから2年半でLJLの頂点へと上り詰めたプレイヤーは一体どんな人生を歩んできたのだろうと気になりインタビューのオファーをしたところ快く引き受けていただき、たくさん話をしていただいた。

◆幼少期はどんな生活を送っていた?

俺は3人兄弟の末っ子として生まれました。

元々家族がゲーム好きで、特に父と兄かな、めっちゃゲームやってたってのもあって自然と自分もプレイするようになりましたね。

幼稚園の頃からもうマリオとかやってましたね。あ、ちゃんと学校では外で遊んだりしてましたよ?ゲーム持って行って隠れてやったりとかはないです。その辺は真面目でした(笑)

まあこれくらいならみんな経験あるかなって感じなんですけど、俺の場合特殊だったのは幼稚園の頃からバイオハザードとかやってたってことですかね。すんなりPCゲームにはまれたのもこの時期からゲームの英才教育受けてたからかもですね。

で小学生になって、2年生とかかな?そのころにはもう兄の影響でPCゲームで遊んでましたね。2,3人同じようにPC持ってる友達がいて、今でもその人たちとは遊んだりするんですけど、そいつらと学校では普通に遊んで、帰ったらPCでMineCraftやったりとか流行りの無料FPSやってました。Sudden AttackとかAVAとか…

成績も可もなく不可もなくって感じで、学校終わったら友達の家行って遊んだり、さすがにPCゲームやってるのは当時珍しかったですけど、それ以外は普通の小学生って感じだったと思います。

◆LoLとの出会いはいつ?

LoLと出会ったのは中学生の頃ですかね。当時はまだ日本サーバーがなかったんでNAでやってましたね。遊ぶメンバーもさっき言った2人とだったんでネットの友達とかもほとんどいなかったかな。

LoLは最初から面白かったですね、FPSとかマイクラとかずっとやってたので新鮮だったっていうか、操作してるだけで楽しいみたいな。負けても全然関係なかったっすね。

始めたのがシーズン終わりに近かったってのもあって最初はブロンズで終わったんですけど、翌年はプラチナでその次にもうチャレンジャーに行きました。

中学入った時にちょうど部活選ぶタイミングじゃないですか、自分結構足早い方だったんでほんとは陸上部入りたかったんですけど陸上部なくて、音楽好きだったんで吹奏楽部入ったんですよ。ちなみに楽器はサックスです。

ただ吹奏楽部って男子まじで少なくて、全体で3人とかしかいなくて…しかも同学年の男子は俺だけみたいな。まじで居づらくなっちゃって…2年に上がるころにはちょっと鬱みたいな感じになって学校自体にも行けなくなっちゃったんですよ。

その時ちょうどLoLにハマったってのもあってずっとやってましたね。

丁度学校に行ってない時期にプラチナだったんですけど、その時ってまだ僕無線でやってて、日本サーバー丁度来たタイミングだったのに一人NAサーバー状態みたいな(笑)なんでプラチナで止まっちゃってたんですけど、これじゃゲームできないって事で、両親に回線変えてもらってからすぐチャレンジャー行きましたね。

ただ1年学校行かなかったこともあって高校受験まずいなと思って翌年はしっかり勉強しましたね。でもLoLやってて1個役に立ったのが英語でした。

冗談みたいな話ですけど、NAサーバーで培った英語力が生きたんです。1年遅れた分きついかなと思ってたんですが、英語勉強しなくていいくらいだったから余裕をもって受験に臨めました。

高校も男子校だったっていうのもあって高校デビューだとか部活頑張るぞみたいなのは特になく、大学には推薦で行こうと思ってたので成績上位をとりながら家に帰ったらLoLするっていうような生活を続けてましたね。

◆プロシーンにはどうやってたどり着いたの?

正直小学生からPCゲーとか対人ゲームやってたってのもあってある程度ゲームのうまくなり方みたいなものを知ってたんですよ。うまい人のリプレイとかそのゲームのプロを調べるみたいなのが自分の中で当然っていうか。なのでLJLを見はじめたのもプレイしてすぐでしたね。

あの時はまだレーンとかも定まってなくて好きなチャンピオンをプレイしてたんであれなんですけど、AMUSE4さんのへカリムとかナーとかを参考にしてましたね。でもなんだかんだ勝てるのがADCだったんで最終的にはADCに落ち着きました。

「LJL2015 GrandChampionShip Game2」懐かしい名前がたくさん…

そのまま日本サーバー着て1年でチャレ行ったんですけど、当時まだ自分チャレンジャーなり立てだし一緒に遊んでるのも例の2人くらいだったのであんまり知名度がなくて…なのにいきなりランキング上位に出てきたものだから巷で中身が外国人なんじゃないかって噂されてたんですよ。

せっかくチャレになったのに周りに認められないのも何かなーって思ったし、自分のこともっと知ってほしいなって思ったんで、確かたぬき忍者さんの配信で売名行為みたいなのしたんですよ(笑)中身日本人だぞーって。

そしたらそれで知ってかわからないですけどEugeo(現AXCのMID)からTwitterのDM飛んできて、一緒のアマチュアチームでコミュニティ大会とか出てみない?って言われたんです。
当時15,6とかだったんですけど向こうも年齢同じくらいで。同年代で高レートのプレイヤーも珍しかったですし、自分ももっとうまくなりたいっていうのもあって二つ返事でOKを返しました。

そこからコミュニティ大会とかで優勝とかしていくうちに色んなチームから声がかかってたんですけど、年齢とかの問題で断ったりとかしつつ、ただ最終的にはV3 Esports(V3)にサブ所属するっていう形になりましたね。

当時プロチームに入ってないとKRサーバーでプレイできなかったので、より強い環境でゲームできるっていうのがとても嬉しかったですね。

◆V3アカデミー時代の無敗優勝について

そこから半年くらいたった時にアカデミーリーグが開かれることになったんです。自分はV3に所属していましたが他にサブ選手の数が足りて無くてどうしようっていう話になってたんですけど、アマチュア時代一緒だったEugeoとかYunikaさん(元V3のJG、現在Streamerとして活動中)とかと一緒のチームでやりたいよねって話になったときに俺V3にいるしV3でできないかなぁみたいな流れになって。で、トライアウト受けてもらって自然にV3でみんなと再会できたって感じですね。

当時は大学入りたてで、授業受けた後にソロキューとかスクリムやる生活を続けてました。コロナ真っ只中だったのでオンライン授業ってこともあって大学で友達ほとんどいなかったんでV3のメンバーと話すことの方が多かったかな。

当時のV3メンバーは他のアカデミーのメンバーと比べても相当強かったです。JGのYunikaさんとMIDのEugeoは別チームで1部でプレイしてた経験ありましたし、もともとアマチュア時代一緒にやってたりとかもしたので息も合うし当然自分も自信あったんで優勝するだろうなとは思ってました。

アカデミー無敗優勝の瞬間 8/0/3のperfect K/D/A

Washidai(現AXCのTOP)はそこまであんまり話したことなかったんですけど、練習量が一番多かったですね。いつみてもSoloQやってて努力家だなって感じでした。Hetel(現V3のSUP)は最初JGから転向してきたみたいな話で、正直こいつ大丈夫かな?って思ってたんですけど、俺も教えつつ短期間でめっちゃうまくなってましたね。

今でもみんなとは仲良くて、それこそこないだ宣材写真の撮影の時に会いました。あんまり時間もなかったんで最近何してる?みたいな事とかLoLの事とかほんとに他愛のない話ばかりでしたけどいい関係性だと思ってます。

◆SHGに所属してからは?

そこからLJLが次のシーズンに移るってなったときにSHGに入ることになりました。

やっぱり一番最初は全然うまくいきませんでしたね。Springで確か6位とかだったかな。期待されてた分のパフォーマンスは全然出せて無くて…思った以上に苦戦したのを覚えてます。

そこからはうまくなるためにひたすら練習って感じでしたね、もちろん頑張れば給料が上がるっていうのもモチベーションの一つでしたけど、やるからには優勝しないと意味ないなって思いが強くて。その甲斐あって何とか夏には3位まで上がれたんですがまだ一歩足りず、1年目はそんな感じかな。

2年目になってVsta(現SHGのSUP)が来たんですけど世界大会に出たKRのSUPっていうのもあってめちゃめちゃ苦労しましたね。正直自分と見えてる世界が違いすぎて追いつくのに必死だったっていうか。自分が合わせなきゃって思った時にはもうVstaにはキルラインが見えてて突っ込んでるみたいな。

そこでまた自分も成長できて、昨年は準優勝まで行けました。オフラインを経験できたってのもでかいですね。コロナでオンラインになってからファンの人に見られながらプレイするっていう経験がなかったんです。試合には出てるけど家からなんで特別感みたいなものがなかったんですよね。

Game5まで突入した幕張メッセでのオフラインBo5

でも幕張っていう大きな舞台で色んなファンの方から応援してもらいながらプレイするのは本当に力になりましたし、今でもファンの方に感謝しています。自分の家族も昨年くらいから姉が中心になって親戚中に声をかけてくれてて、身近に応援してくれる人がいるのはとても嬉しいです。

◆ついにLJL優勝したものの…?

今年からEviさんっていうレジェンドがチームに参加したのは本当に大きかったですね。プレイももちろんなんですけど、ゲーム中のVCだったり普段のフィードバックの空気感みたいなのが全然違いました

@esports_hawksより引用

どうしてもプロでやってる以上お互いガチなんで熱くなって空気悪くなったりとかスクリム連敗中に落ち込んだりとかはあるあるだと思うんですけど、そこでチームが沈んじゃわないように空気をよくしてくれて、チームが安定したなっていう感じでしたね。そういう意味でもすごく大事な人っていうかありがたい存在でした。

でしたって言うともういないみたいな感じになっちゃいましたけど(笑)

で、優勝にはなったんですけど決勝もオンラインだったのとそのあとまだPCSプレイオフが残ってたってのもあったんであんまり優勝した実感はなかったですね。

むしろそこからのPCSプレイオフでBetty(PCS:PSG TalonのADC)にぼこぼこにされちゃったのが…

レベルが違うなって感じがしましたね。細かいところが全然違うっていうかプレッシャーのかけ方がガチでうまくて、特にファイナルはきつかった…

自分たちも一定以上は完成できてたと思ってたんですけどPSGにさらに上をいかれましたね。

◆次の目標は?

当然ですけど、PCSプレイオフ優勝ですね。正直1位以外意味ないと思ってるんで、やるからには1位をって思ってます。

もしWorldsでられたらViper(LCK:HLEのADC)と対戦してみたいですね。

自分が一番リスペクトしてる選手なんですよ。

動き方とかマウスのクリックがやばすぎて…

正直名前隠されててもプレイ見たらViperってわかるぐらいやばいです(笑)

うまいなって思った選手がいたらその人の事調べちゃうんですけど、Vipreだけは異次元ですね。

もちろんそこまでいくにはめっちゃ長い道のりなのはわかってるんですけど頑張りたいと思ってます。

ただ、まずはWorldsに絶対出たいっていうところがあるので、そこに向けて練習頑張ってます。皆さん応援よろしくお願いします。ありがとうございました!

◆終わりに

いかがだったでしょうか(言いたいだけ)

今回インタビューに答えていただいたMarbleが出場するLJL 2024 Summer Splitは6月7日からスタートとなる。19:00から古巣V3 Esportsとの対決だ。

これからは定期的に選手へのインタビュー記事を挙げていく予定だ。また次回の記事、そしてLJLでお会いしましょう。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

《リクルート》

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