Riot Gamesは、2024年6月12日(水)に登場する『VALORANT』の新たなマップ「アビス」を発表しました。
アセントと同様に空に浮かんでいるように切り立った崖に面した「アビス」は、本作初となる“境界が存在しない”マップであり、マップの外へ足を踏み外すと落下キルとなってしまいます。
また、2つのサイトそれぞれにジャンプで通ることができる足場の狭いルートが設けられているほか、レイズ(ブラストパック)やオーメン(シュラウドステップ)など、機動力の高いアビリティーを活用しやすいマップデザインになっています。
多種多様なアビリティーを使ってさまざまな戦略が生み出される予感がする「アビス」を一足先に先行プレイ。マップの概要とインプレッション、筆者のおすすめエージェントをお伝えします。
◆“境界がない”からこそ生まれる新たなマップデザインと戦術
Aサイト「シークレット」とBサイト「デンジャー」は、極めて狭い足場を介してそれぞれのサイトへアクセスしやすくなるというもの。もちろんこちらも足を踏み外せば落下扱いとなります。
また、Aサイトにはサイト側からAメインへ急襲を仕掛けられるようなポイントも(逆もまた然り)。ディフェンダーのAサイトリテイク時や、先んじてエリアを押さえるなど、これまでの常識が通用しないエリア取りが可能となります。
アタッカーであれば、メインからのみサイトを攻撃するのではなく、デンジャーを活用することで複数方向からの攻撃が可能となり、サイト中にいる敵を翻弄することができるでしょう。
繰り返しにはなりますが、落下すると(アップドラフトなど特定のアビリティーがない限り)はキルされた扱いとなってしまうため、大きなリスクを伴います。しかし一方で、思わぬ方向からエントリーできるという意味で大きなリターンを得られるかもしれません。
◆中央エリアやサイトは高低差を活かした動きが可能に
もうひとつの特徴は高低差です。プラントエリアはサイトの中でも低い場所にあるうえ、随所にちょっとした段差や高台が設けられているため、特にメインや中央などの主要通路をスモークで隠しきることは難しくなっています。ハーバーなどのカーテン系エージェントや、ブレイズ(フェニックス)やファストレーン(ネオン)などで一時的に情報を与えない動きも随所で求められるでしょう。
前述の通り、アタッカーはひとつのエリア(メイン)からトリッキーなエントリーが可能ではありますが、中央エリアを確保することでより強固な攻撃が可能となります。逆に言えば、それぞれのサイトを挟み込もうとすると中央エリアの確保は必須です。
ただし、中央エリアからアクセスできる通路(A・Bリンクおよび換気通路)からサイトへはやや遠め。スプリットのように中央の確保からサイトへのスムーズな挟み込みは難しいため、しっかりとアビリティーを使って着実にエリアを確保することが求められます。
◆アストラの吸い込みで落下を狙える?
Aサイトのブリッジは、特に足場が狭くプラントエリアです。ここに上手くアストラの吸い込み(グラビティウェル)を使うことで、落下キルを狙うことも可能です。また、広いマップであるアビスでは、遠隔で耐えスモークなどを繰り出せるアストラは有用といえるでしょう。
また、中央エリアからサイトへの通路は狭いため、セージの壁(バリアオーブ)で塞ぐことも有用。さらに、サイト内のオブジェクト(箱)とバリアオーブを組み合わせることで一時的な頭一個ポジションを作りやすいのも特徴のひとつ。オペレーターの射線を作ったり、思わぬオフアングルで攻撃に備えることができます。
◆筆者的おすすめエージェント
デュエリスト
ジェット:機動力+ブレードストームが強力
レンズ:圧倒的な機動力での急襲が強力
ネオン:機動力+ファストレーンでのサイト分断でチャンスを生みやすいイニシエーター
ゲッコー:クリアする場所が多いため何度も使えるアビリティーが強力
ソーヴァ&フェイド:クリアしやすい、局所のエリア取りも有用
KAY/O:ポップフラッシュがしやすい、ゼロ/ポイントでのクリアも強力センチネル
サイファー:広いためカメラが見つけにくく強力
セージ:強固なバリアオーブほか、ポジション作りが得意コントローラー
オーメン:シュラウドステップが楽しい
アストラ:遠隔で広さを気にせず援護が可能
ハーバー:ハイタイドやカスケードで局所的なエリア取りに有用
◆ちょっと散歩してみよう
本マップの所在地は謎に満ちた暗殺者集団「サイオンズ・オブ・アワーグラス」の秘密基地となっています。フラクチャーのディフェンダースポーンのような研究所チックなロケーションのほか、マップ外周には謎の部屋(いつもの戦略ベアも!)や、ガイアズ・ヴェンジェンスのフィニッシャーの木、これまで発売されてきたスキンの一部が飾られているなど、見所満載。一度カスタムゲームで散歩してみると新たな発見があるでしょう。
以下、リードマップデザイナーのJoey Simas氏によるコメントを引用します。
――「アビス」の設計で目標としたことは何ですか?
Joey Simas:「アビス」では、プレイヤーの皆さんにユーティリティーと移動のあり方を捉え直し、それらをより刺激的に活用する方法を考えてもらいたいと考えました。設計時にはこの目標を意識し、本マップから境界をなくし、プレイヤーの創造力が輝く余地を作っています。たとえばレイズのブラストパックで敵を落下させる、オーメンのシュラウドステップで構造物を迂回するなどが浮かびますが、他のエージェントもサイト周りでよりリスクの高いルートを取り得るマップとなっています。この他には比較的長距離での銃撃戦も意識しましたが、一方でコンセプトの明確さとレイアウトの覚えやすさが犠牲にならないようにも気を配りました。またもう少し細かな点では、スモーク越し、あるいはスモークを巡る戦闘展開についても色々と模索しました。スモークが「狭所を完全に塞げる」感覚を変える試みです。
――「アビス」をデザインするにあたって、何からインスピレーションを得ましたか?また、このマップで伝えたい重要なコンセプトは何ですか?
Joey Simas:プレイヤーの中には「クリップ」を意識したプレイを狙う方も多いので、今回はマップ自体に創造的な自由を発揮する余地を広く残しました。ハイリスク・ハイリターンなゲームプレイは私たちも大好きですから、今回はVALORANTに過剰にならない範囲で「危険なスリル」を加えようと試みています。
――「アビス」の開発中に生じた予期せぬ課題や開発の裏話はありますか?
Joey Simas:実は元々の「アビス」はもっと高低差のあるマップでした。デス・ドロップ(落下ポイント)という要素は最初からあったので、それをより一層強調したいと考えたのです。実際、デス・ドロップ以外のゲーム要素もテストしていました。一瞬で高所へ跳ね上がれるジャンプパッドや、ノーダメージで着地できるクラッシュパッドのようなものです。最終的には「アビス」のゲームプレイ体験には不要だと判断して削除しましたが、いつか日の目を見ることもあるかもしれません!