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Lazと岸大河が振り返るVCT Pacificの4年間―日本シーンが培ってきたもの、常識を壊すGEの躍進、そしてオープン化する2027年への期待【VCT Pacific 2026 現地インタビュー】

「VCT Pacific 2026 Stage 2 Finals」の舞台、釜山でウォッチパーティーを行ったLazさんと岸大河さんに、現地で感じた大会の熱気や注目選手、韓国勢の強さ、日本チームの4年間、2027年からの新フォーマットについて伺いました。

Wolfram

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9月4~6日、韓国・釜山で「VCT Pacific 2026 Stage 2 Finals」が開催されました。T1を3-1で下したGlobal Esportsは、Nongshim RedForce(NS)の待つグランドファイナルへ進出。6日の決勝ではNSを3-2で破り、Pacific初優勝を果たしました。

本稿では、現地で3日間にわたりウォッチパーティーを行ったLazさんと岸大河さんに、2日目の試合終了後、大会を通して感じたPacificの現在地やリーグ制の4年間、そしてChampionsへの期待について伺いました。

「4年間の集大成かなというぐらい、素晴らしいステージ」

――まずは、ここまで2日間観戦しての率直な感想を、現地の雰囲気も含めてお聞かせください。

Laz:やっぱりこれまでのPacificのグループの試合から、かなり大規模な会場になりましたし、ステージ上の設備もめっちゃ格好いいです。Finalsにふさわしい、と言ったら「どこ目線だよ」ってなるかもしれないですけど、本当にめちゃくちゃ格好いい大会だと思います。

岸大河:自分も本当に、この4年間の集大成かなというぐらい、素晴らしいステージだと思います。やっぱり選手とチームのクオリティの高さというのを改めて感じる2日間だったかなと。あと僕自身が今回はキャスターじゃなくて、ウォッチパーティーで参加しているので、また違った雰囲気、違った視点でこの大会を観戦できているのも、すごく面白いです。

――会場の外ではファンフェスタも開催されていますが、お二人は足を運びましたか?

Laz:行きました。

岸大河:僕らはカードを提供していただいて、いろいろなチームの選手のカードがあったり、レアカードみたいなのもあったりして。

Laz:めっちゃワクワクしましたね。

岸大河:somethingの30分の1のシリアル番号付きのカードもありました(笑)

Grand Finalsを前に挙げた注目選手

※本インタビューはGrand Finals前に実施したものです。

――今回のFinalsには4チームが出場しました。ここまで観戦して目を引いた、Grand Finalsでも注目したい選手を教えてください。

Laz:注目選手は、Dambiはもちろんなんですけど、Francisがヨルになって、めちゃめちゃパフォーマンスが上がっていて、気になります。あとはGEのxavi8kがとんでもないパフォーマンスで、もうPacific最強のスモーク選手になっていますし、なんならこのまま優勝まで突っ切りそうな勢いでしたね。

あとはPatMenですかね。GEが結構規律の取れたチームで、その中でPatMenが「変数」を担当していて、めっちゃいいバランスだと思ってます。

Ivyがちょっと調子悪そうで、今まであったような一人でラウンドを取ってしまうような壊し方がなかなか見せられていないのかなと。

岸大河:Francisも挙げたい選手だけど逆にXrossかな。特にフェニックスを使ってからフィジカル面で秀でている部分が出てきて、この間のヘイヴンでの3キルだったり、土壇場では「自分がやらなきゃ」という強さを発揮しつつも、それ以外はほかのメンバーに託すという感じの結構いいバランスで戦えていると思っています。特に今回は、変数を生み出すGlobal Esportsがいる分、自分たちからも「変数を生み出さないと勝てない」という部分があると思います。

あとはxavi8kですね。明らかに今大会のパフォーマンスがいいですし、今年1年、2人でウォッチパーティーをしている時にも「もうルーキー・オブ・ザ・イヤーぐらいあるな」と話していたので、とにかく楽しみです。

「VALORANTはコミュニケーションが9割」韓国チームが強い理由

――今年は韓国チームが大きく力をつけ、Stage 2 Playoffsには出場した韓国6チームがすべて進出しました。これまでPacificを見てきた中で感じる、韓国チームの強みを教えてください。

Laz:伸びるのが異常に早いと思うんですよ。ほかのチームが1年かけてうまくなるようなところを1週間とか修正してきますし、ONSIDE GAMINGとかもそういう伸び代がものすごくて。

あとはゲームの情報共有がすごくうまいと思います。メタの共有とかもチーム内だけじゃなくチーム間でも、どこかの韓国チームが強い戦い方を見つけたら、ほかのチームもパッと知識を得るというか。新しいものに対して、適応するのがすごく早いと感じますね。

岸大河:Masters Londonにおいて、韓国チームは初めてMastersへの出場を逃しました。韓国はそういったプライドの高い地域なので、「Championsには絶対に出るぞ」という彼らの思いは相当に強かったはずです。そのハングリー精神があったからこそ、今回のPlayoffsに全チームが進出したんじゃないかなと思います。

あとは、もともと指揮力がすごく高いのだと思います。これまではその裏付けが分からなかったのですが、昨日たまたま僕らの配信に来てくれたFoxy9がヒントを話してくれました。

彼は「コーチ陣がコミュニケーションをすごく重視している」ということ、そしてFoxy9自身も「VALORANTはコミュニケーションが9割」と断言するくらい、チーム内での対話がいかに大切かということを語ってくれたんです。

そういった組織力をずっと築いてきたからこそ、激しいメタの変化にも対応できているのでしょう。ロールチェンジをしてもここまで崩れないのは、韓国チームならではだと思います。他のチームなら大きく崩れてしまうような場面でも、最終的にはうまく積み上げて完成させてくるのが本当にさすがですよね。

構成の固定観念を壊す「Global Esports」

――Global Esportsは昨日と今日でヘイヴンの構成が大きく異なり、合同インタビューでPlatoonコーチも「今日はこの構成の気分だった」と話していました。構成に縛られないGEの特殊さを、お二人はどのように見ていますか?

Laz:構成がすごくユニークなのは本当にその通りですね。ロータスでも2イニシエーターを使っていて、ほかの地域を見ても今2イニシを使っているチームはNRGくらいだろうと思うのでめっちゃレアです。自分たちのユニークなプレイスタイルを貫きつつ規律が取れているというか、1人でゲームに勝とうとする人がいないところが、チームのいいところかなと思います。

岸大河:キャスターの僕としては、構成に縛られたくはない人だったんですよ。アセントとかで結構メタ構成が固まっているのを見ていると、「強いのは分かるけど、どんどん新しいものが出てきてほしい」という気持ちが強くて。それをぶっ壊していったのがPaper Rexなどでした。

Global Esportsがここまで結果を出せているのは、自分たちの構成で戦い抜けるという自信と、先ほど挙げたようなコミュニケーションの巧みさがあるからでしょう。さらに、構成の弱みを理解した上で、それを補うためにどう強みを生かすかを、選手個々が分かっているからこそ成り立っているのだと思います。昨日の試合を見ていても、アセントであそこまで戦えるのは本当にすごいと改めて思いましたね。

Laz:めっちゃ仲良さそうですよね。

岸大河:そうそう。Kr1stalが相当コミュニケーションを取っているんじゃないかなと思いますが。

Laz:それでいうとPatMenとかも。

――xavi8k選手、Autumn選手、あとはPatMen選手の爆発力がかなり目立ちましたよね。

岸大河:やばいですね。

――特にPatMen選手はイニシエーター以外の全ロールを担当していたり。

岸大河:昨日も話したんですけど、彼らって5人の中で「4トップ」みたいな陣形を作るチームなんですよね。Kr1stalが後ろで、4人が前みたいな。それがやっぱり変数を生むというか。ダブルコントローラーなのに、PatMenとxavi8kがバーンと行くから、それが相手からすると嫌なんだろうね、「なんでいんの」みたいな。

苦しかった4年間で日本チームが培ってきたもの

――日本チームは惜しくもPlayoffs進出を逃しました。今年1年、ひいてはVCT Pacificの4年間における日本チームの戦いを、どのように総括しますか?

Laz:GEとかは初年度、最下位というところからスタートして、ここまで来ているのを見て本当にすごいなと思います。日本チームも環境だったり、説明しづらいところではあるんですけど、プレイヤーたちの話を結構聞くので、だいぶきついシチュエーションの中で相当頑張ったんだなと思っています。

岸大河:キャスター視点で見ると、これまで日本チームが苦手としていた「苦しい場面でも勝負に出る」ことができるようになったと感じています。以前は、苦しい状況で我慢し、狙いを定めて仕掛けても、相手からすると「想定通り」というシチュエーションが意外と多かったんです。しかし今回は、相手が立て直そうとした隙にすぐ突っ込める瞬発力を持つようになったと思います。

ただ、ようやくその力を手に入れたものの、時代のスピードからすると少し遅れをとってしまった印象もあります。今のメタは「一度当たってダメなら次へローテートして、また当たる」という動きの繰り返しになっているからこそ、さらにもう一歩先へ行く必要があったんじゃないでしょうか。それでも、各チームがしっかりとアイデアを見出せていたのは間違いありません。来年に向けて構成やメンバーはまた変わると思いますが、今年培ってきたものを大切に、来年も頑張ってほしいですね。

2027年のオープン大会への期待感「カオスな感じになりそう」

――2027年からフォーマットが大きく変わり、よりオープンな大会へ移行します。これまでのリーグ制の良さと、新たなフォーマットで楽しみにしていることを教えてください。

Laz:リーグ制だった今年までは、大会を通してのチームの伸びしろや、どう変化していったかが見えるのは、すごい楽しかったところですね。例えば、KRXは3デュエリストを試して、ダメで急いで戻したり、戻したあと、最初は全然追いつかなかったけど、Play-Insまでには完成させちゃったところとか、そういうのは良かったです。

オープン大会になると、チームがどう伸びてきたかというよりは、その時に一番強いチームがどこなのか、シンプルに一試合一試合が面白いものになるのかなと。強いとされてきたチームが新しいチームに負けちゃうことも起きると思うし、カオスな感じになりそうですね。

岸大河:僕も同じ意見ですね。Lazさんが言った通り、リーグ制だったことによって、細かい刺激的な変化というのは生まれなかったんですけど、それでも継続的に公式試合を見ることで、チームの変化だったり、応援する要素がたくさん出てきたと思っています。「強くなってきた」「うまくなってきた」「勝てるようになってきた」「やっと勝った」、そこからMasters、Championsという流れがありました。

オープン大会になると、今度はすごく刺激的な、「今誰が強いのか」「どこが強いのか」というのがはっきり分かるようになる上に、若手がどんどん出てくるのかなと。今まで大会を経験してこなかった子たちも積極的に参加できるようになるし、社会人でも参加できるようになるじゃないですか。「記念に参加しようよ」とか、そういうのはすごくいい試みだなと思います。

Lazと岸大河がChampionsで注目するチームは?

――Pacific Stage 2も明日のグランドファイナルで一区切りとなり、その先にはChampions Shanghaiが控えています。Pacific以外で、試合を見るのが楽しみなチームや選手を教えてください。

Laz:Team LiquidのnAts選手が好きなので、試合が楽しみですね。VCT Americasだと、100 Thievesは最近あまり見ていなかったので、久しぶりに見られるのも嬉しいです。フェニックスのおばけがいるので(笑)

Pacificでは、フェニックスはほとんどいなくなっちゃったんですけど、NA勢はまだ使っていると思うので、どれぐらいインパクトがあるんだろうなと。

岸大河:僕は、100 TがEWC(Esports World Cup)ですごくいい結果を残して、そのまま突っ切っているので、すごく楽しみなチームですね。

あと、僕はもともとNRGが結構好きなので、この2年連続Champions優勝というのは見てみたいなと。メタの変化にかかわらず、自分たちの構成を貫いているというところが1年を通してあったので、何が来ても動じないチームワークというのを今年見せてくれるんじゃないかなと、かなり期待しています。

あとはChinaリージョンでは今、TYLOOがかなり飛躍しているところなので、slowly選手を含め、個人技が光る、splash選手やSiuFatBB選手などがいて、楽しみなチームです。

「選手の実力は間違いなくあった」戦い抜いた日本チームと選手たちへ

――最後に、VCT Pacificで4年間戦ってきた選手たちへ、ねぎらいの言葉やメッセージをお願いします。

岸大河:Lazさんを含め、日本の競技シーンはこれまで数多くの歴史を築いてきたメンバーを輩出してきました。ただ、振り返れば苦しい時期も多かったですよね。DetonatioN FocusMeが初年度から苦戦を強いられ、ZETA DIVISIONは一定の成果を残したものの、そこから日本チーム全体が伸び悩んでしまいました。チームの理想像を模索し、一流の選手を送り込んでも、なかなか結果に結びつかない。それでも今年は徐々に形になってきたと感じますが、全体を通すとやはり非常に苦しんだ4年間だったと思います。

たとえ思うような結果が出なくても、選手個人のたゆまぬ努力は間違いなくありました。ただ、ちょっとしたきっかけや相手チームの強さに阻まれて結果が伴わないと、引退が頭をよぎったり、Challengersに戻ることになったり、「自分には実力がないのではないか」と思いつめてしまうこともあるはずです。それでも、彼らに確かな実力があったと僕は信じています。

ですから、現在は2c(2nd career)に所属しているメンバーや、コミュニティ大会で活動しているメンバーも含め、すべての人たちに「本当にここまで戦ってくれてありがとう」と伝えたいです。ファンの皆さんにもその歴史を知っていただいた上で、これからも世界で戦う選手たちを応援してほしいと願っています。

日本のチームも海外の選手たちも、これまで数え切れないほどのコンテンツを生み出してくれました。そういう意味でも、本当に最高のリージョンだったと心から思っています。素晴らしいリーグを、ありがとうございました。

Laz:「本当に4年間お疲れさまでした」という言葉に尽きますね。これまで、対戦ゲームの大会といえば自国を主戦場とすることがほとんどだったと思うのですが、それがeスポーツ大国の韓国を舞台に、アジア中からトップチームが集まって戦うことになりました。日本国内だけの盛り上がりにとどまらず、韓国をはじめとする「ゲームに熱狂している国々」の大きな波に揉まれ続けた4年間だったと感じています。

でも、その圧倒的な波の中に一度でも身を置けたことは、選手たちにとってすごくいい経験になったと思います。あとは、この貴重な経験を「とにかく次へつなげていくしかないよな」と思っていますね。

――ありがとうございました!

<取材・執筆:Wolfram/撮影:綾本ゆかり/編集:松田和真>

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