
- League of Legends
- インタビュー
スピーディーかつ複雑な『LoL』の試合に欠かせない存在と言えば、実況・解説を務めるキャスター陣。競技シーンだけでなくコミュニティ大会でも活躍し、時にシリアスに、時にユーモアを交えて試合も巧みな言葉で盛り上げています。
今回は、そんなLoLEsportsキャスター陣から実況担当のJaegerさん(@Jaeger0446)にロングインタビューを実施。流れるようなスキル名での実況や解説のRecruitさんとの掛け合いもお馴染みで、2025年は「League The k4sen」の実況としてもフル稼働だったJaegerさんのこれまでの歩み、そして実況スタイルに迫ります。
――まずは、Jaegerさんの経歴を改めて振り返りたいと思います。「LoLとの出会い」はいつだったのでしょうか?
Jaeger:『LoL』との出会いは高校2年生の頃ですね。とあるMMOを遊んでいた仲間内で「今のゲームのブームも落ち着いたし、次に何のゲームをやろうかな」と探していたところ、たまたま「世界で1番遊ばれているゲーム」というような『LoL』の広告の文言が目に入ったんですよ。それを見て「世界で1番なら、さぞかし面白いだろう」と思って遊び始めたのがきっかけですね。
――『LoL』は操作が独特で、おそらく当時からかなり難しいゲームと言われていたと思います。すんなりプレイできたのでしょうか?
Jaeger:いやぁもう、お察しの通り最初はめちゃくちゃ難しかったですね。特に当時は日本サーバーもまだありませんでしたし、クライアントもすべて英語だったのでチュートリアルをプレイしてもゲームの趣旨がそもそも分かりませんでした。
MOBAジャンルに馴染みが無かったので基本的なルールも分からなくて、始めたは良いものの面白さも全く理解できずに、一週間くらいで一度は挫折しましたね。ただ、これが『LoL』のすごいところなんですけど、一度辞めたのにも関わらず悔しさからか「もう1回だけやってみようかな」って気持ちになるんですよね。
それで、もう1回チャレンジしては辞めて、もう1回チャレンジしてはやめてと繰り返していくうちに、気付けばどっぷりとのめり込んだ感じですね。
――『LoL』のどんな部分がJaegerさんを魅了したのでしょうか。
Jaeger:まずはMOBAジャンルのタイトル自体が珍しかったから“新鮮“でしたよね。それから次第に戦略性の奥深さにも触れて、FPSにおけるエイムのようなフィジカル的な要素が強いゲームと大きく違って、チームとしての動き、いわゆるマクロ面がかなり勝敗に絡んでくると理解したあたりから面白いなと思い始めました。
――ちなみに、その当時はどのチャンピオンを使っていましたか?
Jaeger:僕は見た目だけで「可愛いじゃん」とティーモを選んでたんですけど、オートアタックを繰り返すチャンピオンなので、どうしても「右クリックで移動して、右クリックで相手を通常攻撃する」操作が難しくて上手く出来なかったんですよ。
そこで次にプレイしていたのがフィズでしたね。スキルファイターのアサシンなのでやることもわかりやすくて、相手をキルできるようになったことも、一段と面白さを味わえた要因だったと思います。それ以前にプレイしていたゲームでも動物系のキャラクターを選んでいたので、人型よりも動物っぽいヨードルを選んでましたね。
――そんな『LoL』デビューを経て、キャスターへの道を進むようになったのはどのような経緯があったのでしょうか。
Jaeger:高校3年生になって受験を控えてもがっつり『LoL』にハマり続けまして、大学に進学してからもそれは変わりませんでした。高校の頃の友人とも続けましたし、環境が変わっても新しい友人に「面白いゲームあるからやろうよ!」って巻き込んで行き、改めてコミュニティが形成されていきましたね。
そして確か大学2年の頃に日本サーバーが出来ることになり、同じタイミングで大学生リーグが発足したんです。その実況・解説の募集を目にした時に「『LoL』がめちゃくちゃ好きだし、コミュニティを盛り上げたいな」と思って挑戦したのがキャスターへのスタートでした。
――学生リーグというと「League U(※)」というプログラムもありました。
Jaeger:それよりも前ですね。最初は学生が主導となって大学生だけで運営しているリーグで、後に「League U」がスタートしましたから。
※Riot Gamesが公式に学生リーグ・大会の運営を支援していたプログラム
――キャスター未経験からのスタートになったと思いますが、いざ挑戦するにあたって何か参考にしたり、あるいは下地になっていたりというものはあったのでしょうか。
Jaeger:やっぱり当時から実況されていたeyes(@eyes1015)さんですね。LJLの前身の大会で実況されていたのを聞いて「すごいな」と思っていて、参考にしていました。
あと、僕は元々フィジカルスポーツの観戦も結構好きだったので、スポーツ中継をよく見て実況と解説についてある程度イメージが出来ていたのもあったと思います。
――なるほど。そんなイメージを元に実際にトライされてみて、最初からある程度手応えがあったのでしょうか?
Jaeger:いえ、大変でしたね。最初はもう「飛び込んだ」という表現が正しい状態でそもそも上手く喋れないですし、10人が同時に動くので「これどうやって実況するんだよ」みたいな印象でした(笑)
日々挑戦しては改善を繰り返していたんですが、それでも当時から実況に対して感想や反応が返ってくるのが嬉しかったですね。「このシーンよかったよ」とフィードバックをいただけるのがモチベーションになっていて、次も頑張ろう、次はもっと良くしようと思って続けてきました。
――確かに、特に集団戦になると観戦視点でも何が起こってるか見失うこともあって、いつも実況の方は凄いなと思って見ています。
Jaeger:集団戦の難しさはまさにその通りで、僕も最初は集団戦を形にするところから入りました。今ほど余裕もなかったので、大変でしたね。
――そうして学生リーグでの実況からLJLへと道が繋がっていくのですね。
Jaeger:そうですね。学生リーグとLJLの間にもうひとつ「Logicool G CUP」というアマチュア向け大会がありまして、その大会に誘っていただいて実況したことが、当時のLJLのディレクターさんの目に留まって、ついに「LJLで実況しませんか」と声をかけていただきました。
――それが大学何年生の頃になりますか?
Jaeger:「Logicool G CUP」に参加したのは大学3年生と4年生の2年間でしたね。
――その当時はまだeスポーツキャスターという職業も一般的ではなかったと思いますが、進路を決めるにあたってはどのような心境だったんでしょう?
Jaeger:やっぱり悩みましたね。大学生になってから実況をやらせていただいて、気持ちは「この分野でやっていきたいな」と思っていたんですが、いざ進路となるとすぐに決断することは出来なかったですね。
僕は理系の大学生で、周囲の進路と言えば大学院に進むのがスタンダードな環境だったんです。実況でやっていきたいという本心はありつつも、間違いなく大変だろうということも理解していたので、なかなか踏ん切りはつきませんでした。
――大学入学時にはまったくイメージしていなかった展開ですよね。
Jaeger:そうですね。ただ、そもそも『LoL』にハマりすぎて受験勉強をあまりしたくなかったので、大学もそこまで勉強を頑張らなくても狙えるところを選んだんですよ(笑)。「国公立じゃないとダメだよ」という家庭だったので、その条件の中で『LoL』をプレイしながらの勉強量で入れる学校を選んだという感じだったので、当時からあまり「将来こうなりたい」というものがあった訳ではなかったですね。

――では、実は大学に入る以前から『LoL』の影響でJaegerさんの運命は少しずつ変わってきていたんですね。今でも印象に残っている「かなり遊んだな」という思い出はありますか?
Jaeger:ひとつ覚えているのが、学生リーグで実況していた頃に「リーグに興味を持ってもらうために自分が出来ることはないか」と考えて、運営スタッフの学生さんと一緒に「全部のチャンピオンを使うまでランダムミッドをプレイし続ける」という企画をやったことですね。
ありがたいことに当時もかなり反響をいただいて、その後もリメイクを重ねて何度か実施している企画なんですが、完走までに24時間近くかかるんですよ。もちろん大変ですし、最後の方はなんとか終わらせようと必死になっていますけど(笑)。やっぱりかなり遊んだなと思うエピソードですね。
――そんな『LoL』愛を胸に、2019年からはLJL公式キャスターとなりました。デビュー当時を振り返っていただけますか?
Jaeger:アマチュア大会での経験はありましたけれど、試合の内容も競技シーンになるとまたこれまでと180度変わるとも思っていたので、「また1から」という感じで改めて手探りの感覚でした。
何よりも注目度がそれまでとは段違いで、視聴者の数も全く違うからこそ返ってくる反応もかなりあって、そこで色々と悩みましたね。
――新しいチャレンジの中で実況を磨き上げていく段階に直面したということですね。最初は先輩の実況やスポーツ中継を参考にしていたというお話もありましたが、そこでは何か研究したものはあったんでしょうか。
Jaeger:僕の場合はむしろ逆でしたね。LJLに参加した時には「eyesさんは偉大な先輩だし、やっぱりコミュニティが求めているのもeyesさんのような実況だろう」と思って、少しeyesさんに“寄せる”ことを始めたんですよ。ただ、実際にやってみるとコミュニティからの反響もあまり良くありませんでしたし、僕自身でもあまり手応えがなかったんです。
そんな葛藤の中で、とある日に「じゃあ、アマチュア時代にやっていたような得意としているスタイルでやってみよう」とチャレンジしてみたら、思いのほか良い反響があって「これで良いんだ」と思えたのが転機でした。選手と同じで実況にも解説にもそれぞれ個人のスタイルがあって、誰かに似せるよりも自分の得意なスタイルでやっていくのが1番良いことに気付いたんです。
――少し遠回りをしながらも、今のJaegerさんらしいスタイルに落ち着いたのですね。
Jaeger:そうですね。それが2019年シーズン中でした。
――では、そこから実況スタイルを確立されて、今まで続いているということでしょうか?
Jaeger:いえ、実況する度に「今回はこういうテイストでやってみよう」と変化をつけることもあって、今も日々改善しようと色々試していますね。一気にガラリと変えるよりも、少しずつ変化を加えて、それが良ければ継続するし、なんだか違うなという感覚になったらまた元に戻して別のことに挑戦する。ということを続けているので、2019年と比べるとスタイルも結構変わったんじゃないかなと思います。
――Jaegerさんのスタイルの1つが「チャンピオンのスキル名」での実況です。私自身Jaegerさんの実況でチャンピオンのスキル名を覚えることも多く、他のチャンピオンのスキル名にも興味が出ることもありました。改めて、このスタイルを始めた理由を教えていただけますか?
Jaeger:これはよく聞かれることでもあるので自分の答えはハッキリしていて、『LoL』の実況においては「スキル名で言わないと難しいから」ですね。もちろんスキル名がカッコ良くて、それを言いたい、知って欲しいという気持ちも少なからずあるんですが、何よりも10人同時に動くゲームの実況なので、スキルを毎回「チャンピオン名」+「QWERのどれか」で表現するとかなり長くなってしまうんですよね。
△Jaegerさんの有名なクリップのひとつ
――確かに、毎回繰り返していると大変ですね。複雑なチャンピオンだと「リー・シンのQの一段目からリー・シンのQの再発動!」みたいな表現になってしまいますよね。
Jaeger:そうなんですよ。それがスキル名なら「『響掌(Q1)』からの『共鳴撃(Q2)』!」で表現できますよね。現在の『LoL』の競技シーンは対戦相手と同じチャンピオンが出てくることが無いので、スキル名だけで状況がバチッと表現できるんですよ。
――とは言えスキル名を毎回すぐに発言できるのもすごい技術だと思いますし、単純に激しいやり取りのシーンでも流れるような実況が話題になることもありますよね。
Jaeger:確かに滑舌が良いと言っていただくこともあるんですけど、そこについては本当に訓練したことはないので、自分では「そうなのかな?」って感覚です。
――それはちょっと意外でした。すごく長い集団戦になると「Jaegerさん酸欠になるんじゃないか」と心配になることもあるんですが。
Jaeger:それはありますね(笑)。めちゃくちゃ長い集団戦とかだと「うわ、酸素がつらい」と思ってドキドキします。ただ、最近はそこも技術の一部だなと考えていて、そういう状況にならないよう適度に解説とのコンビネーションも駆使しながらやるようにしています。
――解説と言えば「イエリク」とも表現されるほどにRecruit(@recruit_09)さんとの実況解説コンビはお馴染みです。Recruitさんとはアマチュア大会の頃からのお付き合いなんですよね?
Jaeger:そうですね。学生リーグの時も、そしてLogicool G CUPでもコンビを組んでいて、そのままの流れですね。

――コンビを組み始めた頃の印象などは覚えていますか?
Jaeger:最初の頃は意見がぶつかることも結構ありました。やっぱり『LoL』ってすごく難しいゲームなので、そこに対する考え方は人によって違う部分だと思いますし、僕の思う「『LoL』はこうだよね」という感覚とRecruit側の感覚の違いで、「実況解説って難しいな」と感じてたこともありました。
ただ、どんどん続けていくうちにお互いが歩み寄るじゃないですけど……『LoL』には色々な考え方があるよねと双方が変わっていったことが、ここまでやってこれてる理由なのかなと思いますね。
――Jaegerさんだけではなく、Recruitさんも含めて長い時間をかけてスタイルを磨き上げてきたのですね。Recruitさんから「今日はこういう風にしてみようと思う」と相談されることはありますか?
Jaeger:そういうケースはないですね。ただ、最近は競技シーンだけではなくて「League The k4sen(LTK)」のようなコミュニティ大会のキャスターをやらせていただく機会も結構あって、そういう時には「見ている人も違うし、プレイヤーのよりパーソナルな部分に触れたいね」みたいな話はしますね。
――確かに「しゃるる杯」や「LTK」といったストリーマー大会の実況も数多く担当されています。それこそLTKは、COREとNEXTの2ステップがあり、試合内容もかなり変わってきていたと思いますが、実況においても意識や取り組み方の違いはありましたか?
Jaeger:プロシーンは選手個人にフォーカスする人だけでなく「プロ特有の上手いプレイを見たい」という人が結構多いと思うんですよ。対してコミュニティの大会はむしろ「人を見たい」人が多いのかなと感じていて、それに合わせて実況のスタイルも意識的に変えていますし、おそらくRecruitの解説スタイルも変わってるんじゃないかなと。
――なるほど。初心者大会では敢えて“ゆるい”掛け合いも見られますよね。それにしても昨年は週に3日、4日と実況を担当されることもあり、すごく大変なスケジュールでしたよね。
Jaeger:それについては、個人的には間が空くよりも定期的に(機会が)ある方が上手くいくタイプなのかなと思っています。スタイルの切り替えもそんなに苦労しなかったですね。
――そして最近は『LoL』だけでなく『2XKO』を含めて他ジャンルのタイトルでも実況を担当されることも増えている印象です。『LoL』の実況がかなり特殊であるというお話もありましたが、他タイトルでの意識や使い分けについてはどうでしょうか。
Jaeger:そこは本当に勉強中の部分ですね。今までずっと『LoL』の実況をメインでやらせていただいてきましたけど、他タイトルにはやっぱりそのタイトルならではのスタイルがあるんですよ。
ただ、既にそのタイトルで他の方がやられてるような実況スタイルに寄せるのがベストなのかと言えば、僕の『LoL』における経験的にも恐らく違うだろうとも思っています。なので、他の方をある程度は参考にしつつも、それを自分のスタイルにどう落とし込むかは日々勉強だと思いながらやらせてもらっています。逆に他タイトルの経験が『LoL』実況においても取り入れられる要素や改善点みたいなものもありますね。
――30分、40分と試合の続く『LoL』と、1ゲーム数分の格闘ゲームは求められる内容も全く異なりそうですが、それもまた勉強になるということなんですね。ハードスケジュールも複数のタイトルの実況も「むしろ良い」と言えるJaegerさんですが、逆になにか実況で大変だと思うことはありますか?
Jaeger:これはどのタイトルもそうだと思うことですが、やっぱり世界的にプレイされているタイトルだと国際大会は深夜や早朝になることもありますよね。ただ、その期間中に国内での大会があるといつも通り昼間や夕方に試合が行われるので、ある日は昼間に実況してその次は深夜に実況して……というスケジュールになることもあって、生活リズムの切り替えは大変ですね。
――長い時は1日で何時間も実況されているので、相当大変そうです。
Jaeger:最近はそれにも慣れてきたと言いますか、どういう風にやればうまく切り替えられるのかを掴んできてるんじゃないかなと思いますね。
――実況する際のルーティーンのようなものはありますか?
Jaeger:そうですね……結構「おいしいものを食べる」ことかも知れないです。別にゲン担ぎじゃないですけど、モチベーションがあがるので。
――体力的にも、しっかり食事を摂るのは必要なことですよね。

――先ほどLTKの話題も出ましたが、ここ数年で国内でも『LoL』というゲームへの注目度が高まっていると思います。キャスターであるJaegerさんの視点からはどのような印象でしょうか?
Jaeger:やっぱり僕の周りでもプレイ人口が増えたなと間違いなく感じていますし、イベントなどでも「最近始めたんですよ」って声をかけてくれる人が多くなったなという印象です。
――イベントもかなり増えましたが、昨年のJaegerさんはLTKを全試合担当されるなど相当な回数を実況されたと思います。恐らく数百試合以上ですよね。
Jaeger:確かにどれぐらいなんでしょう。過去最多だったのは間違いないので、ちょっと知りたいですね。でも実況は楽しいので、「めちゃくちゃ実況してるな」という感覚はありましたが、ずっと楽しんでやらせていただけました。
※筆者注:ざっくり計算してみましたが、『LoL』だけで250試合は軽く超えていそうです
――これだけ長く実況を担当されているJaegerさんですが、これまでの印象に残っている試合やシーンを教えていただきたいです。もちろん、ご自身が実況された試合以外でも。
Jaeger:それはもう、圧倒的に「Worlds 2021」でDFMがグループステージを突破した試合ですね。あのシーンは色々とこみ上げてくるものがありました。
――「Cloud9」戦ですね。実況解説はeyesさんとRevolさんでしたが、他のキャスターの皆さんもスタジオで一緒に喜んでいる姿も見られました。
Jaeger:それまでの『LoL』の競技シーンって、日本チームは勝てそうで勝てない状態がずっと続いていたのもあって、「ネクサスが割れるまでは気を抜いたらダメだ」と皆思って見ていたと思います。
本当に勝てるのか、本当にグループステージを突破できるのかという緊張もあり、ネクサスが割れた瞬間はもう、我を忘れるほど嬉しかったのを覚えていますね。
――試合もまだまだ分からないと言える展開から急にエンドになったので、特に緊張感があるままの勝利でしたね。では、ご自身が担当した試合での思い出はどうですか?
Jaeger:うーん……僕は観戦していた試合の方が印象に残っているんですよね。実況している時は試合に入り込んでいるので、「全部の試合がベストバウト」のような気持ちと言いますか。
――なるほど。試合に入り込んでいるという表現は確かにと思う部分がありつつ、Jaegerさんは試合中に急に謎のフレーズを差し込んでくることがありますよね。私は昨年急に「アタカンをキャンセルになります。『アタキャン』です」と実況されていたのがすごく印象に残っているんですが。
Jaeger:ありましたね(笑)。これもスタイルの話になってくると思うんですが、僕は特に「生きた言葉が好き」と言いますか、ライブ感が好きなんです。用意してきたフレーズよりも、その場その場でぽっと出てきた言葉の方が僕はうまく使えるなと思っていて、時にそういう言葉も出てくるんですよ。
――それで、時々Recruitさんを困らせている訳ですね。
Jaeger:そうですね。思いついたから、もう言っちゃえと。
――先ほどもどれだけ忙しくても実況が楽しいという言葉もありましたし、試合に入り込んでライブ感ある言葉を重視しているということからも、常にJaegerさんが『LoL』を楽しんでいることが伝わりますね。
Jaeger:そうですね。LJLデビューして少しスタイルに迷っていた時も、自分らしいやり方に辿り着けたのは「やっぱり自分が楽しまないと」と思ったからなんです。
最初はどうしても上手くやろうやろうと思っていたのに結局上手くいかなくて、そこで「まずは自分が楽しまないと、見ている人も楽しくないよね」というマインドになって、実況することを楽しむ意識を持つようになって、今もずっと楽しく実況できているんだと思います。
――試合に入り込むという点で言えば、近年は競技シーンの仕組みが変わり、日本勢のトップチームはLCPで常に国際戦に挑むような状況になっています。Worlds 2021の時にもお話があったように、日本の『LoL』シーンは簡単にはいかない状況が続きますが、やはりキャスターの皆さんも試合に臨む気持ちは国内の戦いとはまた違ったものがあるのでしょうか。
Jaeger:それはありますね。僕は日本の『LoL』シーンの盛り上がりを考えると、競技シーンでの強さもめちゃくちゃ大事だと思っているので。日本チームは最近苦戦が続いているので、見ていてもやっぱり悔しいし、苦しいですよね。実況も海外のチームとの試合では、頑張ってほしい・心の底から勝ってほしい気持ちでやっていますね。
――そしていずれはWorlds 2021の試合を更新するような瞬間と出会いたいですね。
Jaeger:そうですね。頑張ってほしいです。
――これまでの経歴や思い出についてさまざま質問してきましたが、最後に今後に向けての目標などあれば聞いてみたいと思います。
Jaeger:去年からも取り組んでいますが、今後も『LoL』だけでなく別のタイトルの実況はどんどんやっていきたいとは思っています。
別のタイトルでやったことが『LoL』の実況に生きるし、『LoL』実況でやったことが別のタイトルにも活かせるしという、相乗効果で両方良くなっていく感覚があったので、今後もそういう機会は増やしていきたいと思っています。
――いつだったか「知識0で『VALORANT』を実況する」回も好きでした(笑)
Jaeger:ありましたね(笑)
――複数のタイトルに取り組むとなると事前準備も大変そうですね。
Jaeger:“準備も含めて実況”なのは間違いないので、そこはやるからには(頑張る)というところですね。
――ちなみに『LoL』や実況以外での「やってみたいこと」はありますか?
Jaeger:そうですね……旅に出たいですね。
――旅ですか?
Jaeger:キャスターというかゲーマーのあるあるだと思うんですが、あまり外出する機会がないじゃないですか。例に漏れず僕もあんまり外に出ないタイプなんですけど、昨年LCPの現地中継のためにベトナムのダナンに行かせていただいたんです。
空いた時間で少し観光もできて、今までない経験で自分の中の意識が変わった……とまで言うと大袈裟ですけど、行ってみたら「海外とか旅行って良いじゃん」という気持ちになって、普段の生活に対しての意識も少なからず変わった部分があったんですよね。
人生経験と言いますか、旅行したことで新たな知見が手に入って、それが普段の実況にも生きることもあるだろうと思うので、今後も行ってみたいなと考えています。
――ベトナムは普段『LoL』でよく対戦する国でありながらあまりイメージがないので、現地でしか分からないこともありそうです。
Jaeger:そうですね。僕もあまり具体的なイメージがなかったんですが、ダナンは街も綺麗ですし治安も良くて、人がめちゃくちゃ優しかったのが印象的でした。
――ダナンの試合会場もかなりの人出で、『LoL』人気も伺えました。私も昨年は台湾のLCP Arenaへ取材に行ったのですが、本当に皆さん優しいですし会場もすごく盛り上がっていて、他の国も行ってみたいなと思わされました。
Jaeger:台湾もぜひ行きたい場所のひとつですね!
――最後にメッセージをいただきたいと思います。中にはJaegerさんやキャスターの皆さんを見て「自分もキャスターになりたい」と考えている方もいらっしゃると思います。そんな人に向けて一言アドバイスをいただけますか?
Jaeger:難しいですね……。まぁでも、これはやっぱり「たくさん『LoL』をプレイして楽しんでください」になると思います。楽しまないと始まらないですし、好きであることが間違いなく一番大事な部分なので、そこは常に持ち続けて欲しいです。
――そして、そんなキャスターという立場から『LoL』観戦をする皆さんに向けてもメッセージをお願いします。
Jaeger:僕が実況をしていてブレてはいけないと思うのは「何のために実況しているか」ということで、それは選手たちのプレイに込められた思いや試合にかける気持ちを、見ている人により伝わりやすくするためだと思っているんです。なので、試合では実況も聞いて欲しい気持ちがもちろんありますが、それよりも選手がどういう風にプレイして、どういう思いで臨んでいるのかに注目して欲しいです。
最近はインフルエンサーさんのおかげもあってコミュニティ大会もすごくたくさんの方が見てくださっていますが、今開催されているLCPやLJLといった競技シーンもすごく面白いので、是非見てください!よろしくお願いします!
<取材・執筆:ハル飯田/編集:松田和真>