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2025年は、『VALORANT』にとって忘れがたい転換の年となりました。新たな3人のエージェントと新マップが登場し、大幅な調整や未来に向けたシステムアップデートまで——これらの出来事は、プロシーンからカジュアルに楽しむプレイヤー、すべてを変えました。
そんな2025年の『VALORANT』が辿った軌跡をお届けします。あなたの記憶に最も残る瞬間はどれでしょうか?

2025年もさまざまな出来事があり、「もう上半期のことなんて忘れてしまった」という方もいるかもしれません。でも、その中には「テホ」が強烈すぎて記憶を失ってしまった、という方も多いはず。それほど2025年上半期は「テホ」を中心に、世界が——いや、宇宙が回っていたと言っても過言ではありません(?)そんな記憶を失った方のために、テホを振り返ってみましょう。

年が明け、正月休みをゆっくり『VALORANT』で過ごしながら、2025年も頑張ろうと準備を始めていた頃、サングラスをかけた陽気なイケオジがやってきました。トレーラーで「準備はいいか」と言い放つ彼ですが、エージェントも私たちプレイヤーも、ほとんど準備ができていませんでした。さながらアルマゲドンと誘導サルヴォで逃げ場のないセットを食らったかのようでした。
27番目のエージェントとしてSeason 2025の開幕と同時に登場したテホは、コロンビア出身の退役軍人で諜報コンサルタント。シグネチャーアビリティの「誘導サルヴォ」をはじめ、「ステルスドローン」「スペシャルデリバリー」、そしてアルティメット「アルマゲドン」を持つエージェントです。
「誘導サルヴォ」はラウンド開始時のエリアコントロールからセンチネルの設置スキル、キルジョイの「ロックダウン」まで破壊できる強力なスキルで、クールダウンが経過すると再使用可能。サイト突入時のセットアップや設置後の解除遅延にも大活躍し、最強クラスのアビリティでした。さらに他のアビリティも強力で、アルティメットの「アルマゲドン」はエリア確保、リテイク遅延、プラント解除阻止と万能すぎる性能を発揮。最強と呼ぶにふさわしいエージェントでした。
もちろんテホの影響力はパブリックゲームだけでなくプロシーンにも大きく表れました。
リリースからわずか数日後のVCT Pacific Kickoffではピック率は控えめでしたが、DRXのfree1ng選手が一貫してテホをピック。下馬評を覆し、Kickoff優勝を果たすというfree1ng選手にとってもテホにとっても鮮烈なデビューとなりました。
その後、本格的にテホがメタを支配する時代が到来。Masters Bangkokではピック率56%で1位、VCT Pacific Stage 1では62%で再び1位となり、キルジョイはほぼ姿を消すなど、テホを中心としたメタが確立されました。さすがに活躍が目立ちすぎたのか、5月13日のパッチ10.09で大幅弱体化。これによりテホが支配するメタは収束し、プロシーンからも一時姿を消すことになりました。
さて、時系列的に言えば次のトピックはウェイレイです。ですが、彼女の振り返りはもう少し後に。 では彼女が登場したパッチ10.04はこれで終わりに……というわけにはいきません。パッチ10.04には忘れがたい大きな変更がありました。

Season 2025 // Act 1の開始とともに、アセントは一旦マップローテーションから外れることに。しかし、3ヶ月後の復帰は予想外の姿でした。Bメインのレンガ壁が、鋼鉄プレートで補強されて戻ってきたのです。リリースから5年。皆さんもあの壁にはいい思い出も悪い思い出も、数多く刻まれているでしょう。
補修工事の原因として特に問題だったのは、繰り返されるオーディンのスパム射撃による貫通跡。レンガがすっかり傷んでしまい、Riotもついに大規模な補修を決断したのでしょう。加えて、アセントは空に浮かぶという特殊な環境ですから、構造的な強化が必要だったのだと思います。結果、鋼鉄並みの耐久性を持つ素材で壁が補強されました。
この変更はゲームプレイにもすぐに影響を与えました。ラウンド開始直後のBメインアプローチで、アタッカーは壁越しの射撃リスクが減り、より安全に動けるようになりました。一方、ディフェンダー側は従来のような壁利用が難しくなり、戦術の見直しを迫られることに。長年親しまれ、時には恨まれもしたあの壁が、大きく変わった瞬間でした。
そしてパッチ11.00では、待望の新マップ「カロード」が登場しました。

マップ構造は2サイト・3レーンの比較的オーソドックスなもので、サイト付近は複雑な構造により何重にも防衛ラインを構築可能。プラント後はサイト外でのプレイが制限され、サイト内での戦闘がメインとなる設計です。
フランスの美しい城下町だったカロードは、異常気象により荒廃し、現在はレディアナイトの採掘場となっています。一部の壁はオーディンなどの高貫通武器で抜ける仕様ですが、アセントのBメインと比べるとより健全で、創意工夫を生むプレーの一部として機能しています。
オーソドックスな構造のおかげか、リリース直後からプロシーンで積極的に使われました。VCT Pacific Stage 2ではピック回数23回で最多、BAN回数19回で最少BANマップとなり、Challengers Japan決勝やChampions Paris決勝にも登場。歴史に残る重要なマップとなりました。

さて、ここでようやくウェイレイの話題に入りましょう。ウェイレイは3月4日のパッチ10.04で登場。テホからわずか3ヶ月足らずでの新エージェントリリースと、2025年の勢いを象徴しています。
ウェイレイはタイ出身のデュエリストで、光の力を操るコンセプト。前方に2回ブリンクできる「ライトスピード」、光の塊で敵の移動・武器操作速度を下げる「サチュレート」、光のビーコンを設置してテレポート可能なシグネチャー「リフラクト」、そして範囲内の敵を妨害するアルティメット「コンバージェントパス」を持ちます。
トレーラーなどのプレイ映像から大きな期待を集めましたが、デビューはテホに比べると控えめに。スキル自体は魅力的で強力でしたが、発動時間や使用後の武器構え時間がやや遅く、本領を発揮しきれていませんでした。
しかし、パッチ11.00での調整が転機となり、主に武器構え時間の短縮など細かな変更でしたが、これで使いやすさが劇的に向上。ブリンクからのサチュレートや、リフラクトを使った低リスクのエリア取り、妨害力の高さが活きるようになりました。特にヨルとの相性が良く、ダブルデュエリスト構成で多用され、Championsではヨルに次ぐ2番目のピック率を記録するデュエリストとなりました。
2025年はエージェントやマップだけでなく、システム面でも大きな変革がありました。
パッチ11.02で『VALORANT』はUnreal Engine 5に移行。目に見える変化は少ないものの、安定性とパフォーマンスが向上し、長期的な発展の基盤が整いました。

そして、パッチ11.06で待望のリプレイシステムが実装され、コンペティティブの試合を自分の視点だけでなく相手視点からも振り返れるように。自分のプレイの改善点がわかりやすくなり、スーパープレーや珍プレーを保存できるのも大きな魅力です。

パッチ11.07ではさらに新モード「スカーミッシュ」が登場。カスタムゲーム内で1vs1から5vs5まで設定可能で、純粋な撃ち合いを楽しめる環境が整いました。Riot Games ONEでのプロ・ストリーマー混合トーナメントも大盛り上がりを見せました。

そして2025年最後の新エージェントとして登場したのが「ヴィトー」です。
セネガル出身のセンチネルで、敵のアビリティを無効化するコンセプトを持ち、ソーヴァのドローン、レイズのロケット、レイナのリーアまで文字通り無効化できます。
アビリティは近距離拘束の「チョークホールド」、敵を撹乱するテレポート「クロスカット」、敵ユーティリティを無効化する設置スキル「インタセプター」、そしてアルティメット「エヴォリューション」(バトルスティム・回復獲得+全デバフ無効化)。これまでにないタイプのエージェントです。
リリース直後は目立った影響力はありませんでしたが、次のパッチ11.08以降、周囲のメタ変化に伴って存在感を強めています。Game Changers Championship決勝でも登場し、徐々にプロシーンに浸透。Season 2026での活躍が楽しみな存在の一つです。
そしてSeason 2026に向けた最大の転換点が、パッチ11.08です。
このパッチでは、スキルとガンプレイのバランスが大きく見直され、より駆け引きとリスク管理が重要になる環境へ移行しました。 主な変更点として、コントローラーのスモークやイニシエーターのフラッシュ・スタンのクールダウン延長、妨害スキルの全体的な弱体化が行われました。これによりスキルの使用頻度が低下し、使うタイミングを慎重に見極める必要性が増しました。エリア取りのリスクとリターンが明確になり、タクティカルな判断がより求められるように。
ガンプレイ面でも、ヴァンダル・ファントムはもちろん、スペクターやスティンガーまで初弾精度向上・反動調整が入り、リコイルコントロールがしやすくなりました。結果、スキル依存からガンプレイ重視の方向へシフトしています。
また、アビスとパールにもマップ変更が施されました。アビスはミッドとBサイトが調整され、より撃ち合い主体に。パールはBサイト変更により、プラント後の戦闘がサイト内で完結しやすくなりました。どちらも新メタを反映しやすい形に進化しています。
大きな環境変化によるエージェントのバランスに対しては、開発チームがデータを基に逐次調整を続け、2026年のスタートを万全に整えています。

そして最後に、ついにハーバーのリワークが完了。
コーブがオーメン風の設置型スモークになり、新スキル「ストームサージ」が追加。アルティメット「レコニング」も一新され、前方に水の壁を展開し、敵の視界を悪化させスタン効果を与えるものに。まさに別エージェントのような変貌を遂げました。
2025年はVALORANTが新たなステージへ踏み出した転換の年でした。テホの圧倒的なデビューで幕を開け、ウェイレイやヴィトーといった個性豊かなエージェントが次々と加わり、マッププールもカロードの登場で刷新。さらにUnreal Engine 5への移行やリプレイシステムの実装、そしてパッチ11.08によるメタの大転換——これらの出来事は、単なるアップデートを超えて、ゲームの将来像を見せるものでした。
さまざまな出来事が詰まった2025年を振り返りました。そして2026年を目前に控え、すでに新たな波を予感している『VALORANT』を来年も共に楽しんでいきましょう!