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2025年9月7日、『リーグ・オブ・レジェンド』のアジア太平洋地域リーグ「LCP」の第3Split「Season Finals」のWeek6 Day3にてプレイオフが実施され、ルーザーズブラケットにて「DetonatioN FocusMe(DFM)」が「MGN Vikings Esports(MVKE)」と対戦しました。
負ければ今シーズン終了となる重要な一戦。Game1では序盤こそ互角に進むものの、ヘラルドファイトを機に有利を築いたMVKEがそのまま鮮やかなスノーボールに成功し、27分で先勝します。続くGame2ではアタカンを獲得するなど劣勢の中でもアクションを続け奮戦しますが、集団戦のディテールで上回ったMVKEが勝ち切り、0-2に。
後がなくなったDFMですが、Game3ではTOPのRayfarky選手が得意のグラガスでハイパフォーマンスを見せると、チームも息のあった動きでゲームを動かし、1ゲーム取り返しに成功します。しかしGame4では序盤のリードを巻き返される苦しい展開を強いられ、Aria選手のアカリがアウトプレイで盛り返すものの、パワースパイクを迎えたMVKEに押し切られる形となり、1-3で敗戦となりました。
試合後、DFMのヘッドコーチを務めるPazさんにインタビュー。ゲーム全体の振り返りと、初挑戦となったLCPでの最初のシーズンの感想を聞きました。
――まずは試合を終えた率直な感想をお願いします。
Paz:正直、Game4は「勝ってGame5に行ける」と思った瞬間もあるくらいわからないゲーム展開だったので、悔しいの一言ですね。
――MVKEとの対戦でしたが、事前に意識したことやチームに共有したことはありますか?
Paz:以前対戦した時とはかなりプレイスタイルが変わっていたので、その点はかなりチームに共有しました。(2日前に対戦した同じベトナム地域の)「Team Secret Whales(TSW)」はチーム全体でスノーボールを狙ってくるのでレーンの主導権を意識していたのですが、今日はそこまで意識しないなど細かな違いがあって、そこは特徴を共有して試合に臨みました。
――Game1はかなり押される展開になりましたが、Game2では劣勢からアクションを成功させるシーンもありましたし、Game3ではドラフトも見事に決まって勝利しました。シリーズ全体で修正が出来ていたのかなと思うのですが、Pazさんの視点からはいかがでしょうか。
Paz:Game1、2も十分に(勝利)できるゲームだったと思うのですが、個々人の負担も考慮して、Game3から上手く修正できたかなと思います。Game4ではこちらのピックプールもほとんどなくなっていて、けっこう破綻した構成になってしまったのが悔やまれますね。
――DFMとしてはフィアレスドラフトの導入後、初の公式戦でのBo5となりましたが、実際に試合を終えてみての感想はいかがでしたか。
Paz:正直に言えば僕たちはLCPの他のチームに比べてプールが広い方ではないので、練習段階からコーチ・選手双方にもっとさまざまなチャンピオンを取り入れる意識が必要なのかなと思いました。
もちろんBo5の練習もしていたので(プールが問題になる)予想はできていたんですが、相手チームによってBANしなければいけないチャンピオンも変わりますし、僕たちが使えずに相手だけがピックできるメタチャンピオンもあって、それらを加味すると予想以上の難しさでした。そこに関してはチーム全体でもっと練度を上げてチャンピオンプールを広げていくことが求められるのではないかと。
――Pazコーチの加入以前の話ですが、昨年のDFMは一年を通して修正や成長が課題だったというコメントもいくつかありました。今シーズン、特にSplit3のDFMは修正し、成長する姿が見せられたのではないでしょうか。
Paz:もちろん良くできた部分もありますが、個人単位では修正できなかったこともありますし、内部の人間としては最後まで改善できなかったところが見えてしまいますね。見ていただいている方にそう思っていただけたのなら嬉しいのですが、もっといろんなことができたなとも感じています。
――Split3の結果を受け、DFMは来年もLCPでの挑戦が続くことが決まりました。今年のチャレンジを踏まえて、選手やコーチ個人、あるいはDFMというチームや日本の『LoL』シーンで「もっとこうすれば」と思う点があれば教えてください。
Paz:CFOのHongQ選手もそうですし、TSWも平均年齢が若くて、LCPは才能のある若い選手がどんどん参加してきていますよね。その才能ある選手たちがしのぎを削りあうというベースがあることで、ベトナムや台湾は選手の平均レベルが本当に高いと感じました。これまで海外チームとスクリムしていて感じることもあったのですが、それをより一層強く感じました。
現状、日本はどうしても韓国から参加してくれる選手に頼ってしまっている部分もありますが、そこに頼らずとも戦える選手が出てくるような環境を作る必要があると思います。今のままでもWorldsには出ることはできるかもしれませんが、LCP優勝を目指せるのはそういう環境ができてからようやく言えることなのかなと。
――若手と言えば、Split3ではTOPにアカデミーからMomo選手がコールアップされました。公式戦出場こそなかったのですが、一緒にプレイされた印象を教えていただけますか?
Paz:すごく明るくて人当たりが良い性格なので、助かる面がいくつもありましたね。僕としても呼んだからには出場機会を与えたかったのですが、チーム状況やプールの兼ね合いもあってそれが作れなかったのは申し訳ない気持ちでいっぱいです。
スクリムには何度も出場していて、才能・センスを感じる部分もいくつもありました。プロで出場機会を掴むというのは本人の実力や頑張り次第なので、これからも努力し続けてLCPに出場する機会を掴んで欲しいなと思います。
――本当に大変なシーズンだったと思います。応援してくださったファンの方々へメッセージをお願いします。
Paz:応援してくださっているファンの方々、DFMを支えてくださっている関係者様、LCPを見てくださっている方、そしてウォッチパーティなど『LoL』に関心を高めてくださる活動に本当に感謝しています。色んな支えがあって僕もチームも最後までやり切れたと思います。
(LoL Esportsは)応援してくださる、見てくださる人がいて初めて成り立つ興行、スポーツだと思いますので、これからも『LoL』を、LCPを、そしてDFMを応援してくださったら本当に嬉しいです。本当は勝ってWorldsに出たかったんですが、それができず不甲斐ない結果で申し訳ありません。
一年間応援してくださって、本当にありがとうございました。
――ありがとうございます。最後に、日本に帰ったらやりたいことか食べたいものがあれば教えてください。
Paz:居酒屋でハイボールが飲みたいですね。こっちはビールばっかりで、どんどんプクプク肥えてしまって……(笑)
――今シーズンもありがとうございました。ぜひ、ゆっくり休みを取っていただきたいです。
Paz:ありがとうございました!
レギュラーシーズンの結果を受けて6チームが出場する「LCP Season Finals」プレイオフは、レギュラーシーズン上位2チームがシードとなる変則ダブルエリミネーション形式で実施。上位3チームが年間最大の国際大会「Worlds 2025」への出場権を獲得します。
本日の結果によってDFMは敗退。レギュラーシーズンにて敗退したSHGと合わせ、LCPの日本チームは今シーズン終了となりました。