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6月25日は、日本で開催された『VALORANT』の国際大会「Masters Tokyo」の決勝が行われた日です。
黄金期を迎えた史上最強のチーム「FNATIC」の前人未到の国際大会2連覇、新たな悪魔と共に快進撃を見せた「Evil Geniuses」、そしてエース不在の「Paper Rex」を救った伝説の6人目の男。「Masters Tokyo」では、VCTの歴史に深く刻まれる濃密な1ページが綴られました。
2023年のフォーマット変更により、「VALORANT Champions Tour(VCT)」は全世界30のパートナーチームによるインターナショナルリーグを軸に、世界一を決定する仕組みへと刷新されました。新体制で初のMastersとなった「Masters Tokyo」は、各リーグを経て塗り替えられた“新時代の勢力図”を鮮烈に見せつけることとなります。
6月11日から25日の2週間にわたり、TIPSTAR DOME CHIBAと幕張メッセで開催された本大会には、各地域を勝ち抜いた精鋭12チームが出場しました。

久しぶりのオフライン参戦となったnAts選手のスーパープレーにはドームが揺れるほどの歓声が響き、実力が未知数だった中国のEDward Gamingは、エース・ZmjjKK選手のオペレーターと共に強豪をなぎ倒し、その実力を世界に証明しました。
Masters Tokyoには、関わる全てが“RANK UP!”していく、忘れられないドラマがあったのです。

Paper Rex(PRX)は「Masters Tokyo」へ繋がるVCT Pacificにて、後に新たなスター選手となるsomething選手の起用を発表しました。新たなデュエリストを迎えたPRXは止まらぬ勢いを加速させ、Grand Finalでは新加入のsomething選手がMVPに選出される活躍を見せ、見事VCT Pacificの初代王者に輝きました。
「新エースを手に入れたPRXが、Masters Tokyoへ出場する」「日本から世界へ飛び立ったsomething選手が、Pacific代表として戻ってくる」——多くのファンから期待が寄せられ、日本のファンも彼の凱旋に歓喜していました。しかし、ここでPRXは大きな壁にぶつかります。ビザ問題により、something選手の欠場が発表されたのです。
大幅な戦力ダウンは免れません。alecksコーチから、大きく空いたその穴を託されたのは、しばらく競技シーンから離れていたベンチ登録の「6人目の選手」、CGRS選手でした。
しかし、Masters Tokyoに出場したPRXは「苦戦するだろう」という下馬評を見事に覆します。アグレッシブなチームをCGRS選手が屋台骨として支え、プレイオフ初戦でPacificのライバルであるDRXを下すと、Lower Bracket(敗者復活戦)ではEDward Gamingを倒し、快進撃でトップ4へと名乗りを上げました。
迎えたLower Bracket準決勝、「Finals Weekend」の切符を懸けたNRG戦。ここでCGRS選手は伝説となるドラマを作り出します。オーバータイム、残り時間僅かという絶望的な状況の中、時間切れを狙うs0m選手を残り1秒で倒す劇的なプレイを見せ、チームを勝利へ導いたのです。地鳴りのような大歓声がドームを埋め尽くし、PRXはFinalsの舞台へと向かいました。
その後、PRXはLower Bracket決勝でEvil Geniuses(EG)と第5マップにまでもつれる接戦を繰り広げ、惜しくも敗退しました。しかし、突如スタメンに決まった6人目の選手と共にトップ3に輝いたこの劇的な展開は、今も多くのファンの記憶に深く刻まれています。

「Masters Tokyo」で快進撃を見せたもう一つのチーム「Evil Geniuses(EG)」もまた、VCT Americasで新たな選手を起用していました。その選手こそ、後にChampions Los AngelsでMVPを獲得することになるDemon1選手です。
VCT Americas後半から急激な成長を見せたEGは、他試合の結果も絡む劇的な展開でプレイオフに滑り込むと、NRG、Cloud9といった強豪を押しのけて「Masters Tokyo」進出を果たしました。
渡航問題で出場が危ぶまれていたDemon1選手でしたが、開幕寸前で奇跡的に来日を果たし、センセーショナルな国際大会デビューを飾ります。EGはグループステージで、FUT EsportsやDRXに大差をつけてストレートで突破。その圧倒的な姿に、世界は「彼らは本物のダークホースだ」と確信しました。
プレイオフ初戦では、VCT Americasで勝てなかった王者LOUDを圧倒し、続くEMEA王者Team Liquidをも粉砕。彼らは試合を重ねるごとに目の前の壁を越え、大会テーマの通り、文字通り“RANK UP”し続けたのです。

2023年のFNATIC(FNC)は、『VALORANT』競技シーン史上、最も成功したロスターと言える実績を残しました。Boaster選手、Derke選手、Alfajer選手というコアメンバーに、Chronicle選手とLeo選手を加えた布陣は、まさに「史上最強」と呼ぶにふさわしい完成度を誇っていました。
前評判から圧倒的な期待を集めていたFNCは、直前の国際大会「LOCK//IN São Paulo」で優勝し、名実ともに世界一の称号を手にしています。
「Masters Tokyo」を迎えたFNCに懸かっていたのは“Back-to-Back(国際大会連覇)”の称号。当時のVCTにおいて、どのチームも成し遂げたことのない偉業でした。「最強チームが歴史を変えるのか」と世界中の期待が高まる中、FNCは日本に降り立ちます。
プレイオフ初戦でNRGを2-0で倒すと、続くPRXにも大差をつけてストレート勝利。最高峰のチームが集うMastersにおいて、他を全く寄せ付けないFNCの姿は強烈なインパクトを残しました。
Boaster選手の卓越した頭脳、Derke選手のアグレッシブに道を切り開く火力、Alfajer選手のクラッチやマルチキルを量産する勝負強さ、Leo選手の決定力、そしてChronicle選手の豊富な経験とハイパフォーマンスな安定性。その全てが完璧に噛み合った戦いぶりは、まさに最強の証明でした。
Upper Bracket決勝でEGとの戦いを制したFNCは、無敗のままGrand Finalの舞台へと駆け上がります。

急激な成長を遂げ、何度も壁を超えて“RANK UP”を続けてきた「Evil Geniuses」。前人未到の偉業に王手をかける最強チーム「FNATIC」。実況のOooDa氏の声に合わせ、満員の会場が最高潮の熱狂に包まれるなか、Grand Finalの火蓋が切られました。
FNCはUpper Bracket通過の有利(BANアドバンテージ)を活かしてEGの得意マップであるフラクチャーを封じ、盤石な体制を取ります。第1マップのロータス、第2マップのスプリットと激戦を繰り広げながらも、FNCが2連取し、連覇の偉業に王手をかけました。
迎えた第3マップのバインド。後がないEGが猛攻を仕掛け、12-8でマッチポイントに到達します。しかし、ここからFNCが王者たるゆえんを見せつけます。驚異の4ラウンド連取でオーバータイムに持ち込み、劇的な逆転勝利。3-0のストレートで優勝を飾り、ついに史上初となる「国際大会2連覇」という金字塔を打ち立てました。
準優勝のEGには健闘を称える温かい「EGコール」が送られ、頂点に立ったFNCには割れんばかりの拍手と「FNCコール」が降り注ぎました。会場全体が両チームを讃える一体感と熱気に包まれ、大会は幕を閉じました。

「Masters Tokyo」は、数々のドラマと新たな伝説を生んだ大会となりました。あの日、日本で目撃した光景は、何年経とうと色褪せることのない、一生モノの記憶として日本の『VALORANT』ファンの心に刻み込まれているでしょう。
流れる川の如く、とめどなく変化を続ける「VALORANT Champions Tour」。メンバーが変わり、チームが変わり、メタが変わり、時代も変わっていきます。新たなヒーローが生まれ、かつての王者が静かに舞台を去る日も来るでしょう。
それでも、歓声に揺れたドームの熱気と、極限の緊張感の中で選手たちが見せた一瞬の輝きだけは、決して消えることはありません。すべてが移ろいゆくシーンだからこそ、あの夏、日本中が熱狂で一つになった「Masters Tokyo」は、あまりにも美しく、尊いものでした。
私たちはこれからも、終わりのない物語の目撃者となるのです。次なる熱狂の渦の中心で、また新たな伝説が生まれる瞬間を。