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『リーグ・オブ・レジェンド』のプロシーンである「LoL Esports」にとって、2025年シーズンはこれまでの歴史の中でも最大級の変革期として記憶される1年となりました。新フォーマットの導入、地域リーグの再編、新しい国際大会の創設、そして何よりも「伝説」が更なる高みへと到達したこと。
激動の2025年シーズンを徹底的に振り返ります。
2025年は、LoL Esportsの構造が根本から変わった年でした。
これまでの日本、台湾、ベトナム、オセアニア地域がLCP(League of Legends Championship Pacific)として一つに統合。アジア太平洋の頂点を決める新リーグとして、よりハイレベルな戦いが繰り広げられました。
さらに北米、ブラジル、ラテンアメリカの3地域が統合されたLTA(League of Legends Championship Americas)が誕生し、南北アメリカ大陸を跨ぐ巨大リーグへと進化しました。
この再編に伴い、日本の国内リーグである「LJL(League of Legends Japan League)」もリブランディングが行われ、新たなフォーマットでの再出発となりました。地域全体の競技レベル向上を目指す中で、国内シーンでも熱いドラマが多く展開されました。
そして、競技シーンに新たな風を吹き込んだのが、今年3月に開催された新設の国際大会「First Stand(ファーストスタンド)」でした。「Worlds」「MSI」に続く第3の公式国際大会として創設された今大会は、一度ピックされたチャンピオンはそのシリーズで「いずれのチームも」再ピックできないルール「フィアレスドラフト」が初めて採用された大会として注目を集めました。
初開催となった「First Stand 2025」は韓国のLoL Parkで行われ、LCK代表のHanwha Life Esports(HLE)が優勝。初となる国際タイトルの獲得という快挙を成し遂げました。

「First Stand」で試験的に導入された「フィアレスドラフト」は、プロシーンの「固定化されたメタ」を根底から覆しました。
従来の競技シーンで見られた「一部の強力なチャンピオンを使い回す」戦術が通用しなくなり、選手には20体以上のチャンピオンを高い水準で使いこなす、広大なチャンピオンプールが求められるようになりました。
特にBO5(3本先取)の最終戦ともなれば、計50体近くのチャンピオンが選択不能となるため、普段は見られない意外なピックが次々と飛び出しました。このスリリングな展開により、大会の視聴者数は昨シーズンを大きく上回る勢いを見せました。
その結果、フィアレスドラフトは2025年シーズンのスプリット2以降も正式採用されることが決定し、「MSI」や「Worlds」でも多くのドラマを生むこととなりました。
6月から7月にかけてカナダ・バンクーバーで開催された「MSI 2025」。全試合BO5という過酷なフォーマットに変更された今大会は、まさに「実力の証明」の場となりました。
その中で決勝に駒を進めたのは、LCKの宿敵同士であるGen.G Esports(Gen.G)とT1でした。 フルセットまでもつれ込む激戦の末、Gen.GはT1を3-2で破り、史上3チーム目となるMSI連覇を成し遂げました。

2025年はLoLの歴史を称える「Hall of Legends」にとっても重要な年でした。
2024年のFaker選手に続き、2人目の殿堂入りを果たしたのは、中国・LPLの至宝、Uzi選手です。ゲーム内イベントでは、彼の代名詞であるヴェインやカイ=サの記念スキンがリリースされ、世界中のファンが「狂犬」と呼ばれた希代のADCの功績を称えました。
そして10月から11月にかけて中国で開催された、シーズンの集大成「Worlds 2025」。北京のプレイインステージとスイスステージ、上海でのノックアウトステージを経て、決勝の地・成都に辿り着いたのは、T1とKT Rolster(KT)でした。LCK伝統の一戦である「テレコムウォー」がついにWorlds決勝という最高の舞台で実現したのです。
一時はKTが2-1で王手をかけ、T1の牙城が崩れるかと思われましたが、そこから底力を見せたのが王者T1でした。怒涛のセット連取でフルセットの死闘を制し、「LoL Esports」史上初、そして前人未到の「Worlds 3連覇」という偉業を達成しました。

2026年シーズンのLoL Esportsでは、フィアレスドラフトに続く新たな試みとして「コーチボイス」がLCKとLCPの一部の試合で試験運用されることが決定しています。
サモナーズリフト自体にも大きな変化が予告されている中で、競技シーンはどのように形を変え、さらなる成長を遂げていくのでしょうか。2025年の興奮冷めやらぬ中、物語はまた次のスプリットへと続いていきます。