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Faker「Game 3で負けたあと、残りは楽しくやらなきゃと思った」 ―Worlds 3連覇を達成したT1が語る“T1というチームの強さ”【合同インタビュー】

11月9日に中国・成都で行われた「Worlds 2025」決勝戦KT vs T1。本稿では、優勝したT1の合同インタビューの全文を現地からお届けします。

スイニャン

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10月下旬に中国・北京で開幕した『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』の国際大会「Worlds 2025」。上海でのノックアウトステージを経て、ファイナルは11月9日に成都で開催されました。決勝の舞台に上がったのはKT RolsterとT1。「テレコムウォー」とも称される伝統的なマッチアップはやはり熾烈な戦いとなり、Game 5までもつれ込んだ末、T1が3-2で勝利を果たしました。

本稿では、優勝したT1の合同インタビューの全文を現地からお届けします。

Doranが感じたT1の“魔法”と、最強ボットデュオが語るお互いの強さ

――Doran選手に質問です。以前「どんなチームに入っても良い成績を収めたい」と話していましたが、優勝の感想はいかがですか。

Doran:T1に入るときから上手くやれそうだという自信はありましたが、こうして最後にみんなで笑いながら締めくくることができて本当に嬉しいです。ともに一生懸命駆け抜けてきたチームメンバーとコーチ陣への感謝の気持ちが大きいです。

――Faker選手に質問です。2023年の優勝は「チームメンバーのために」とおっしゃっていて、去年は「ファンのために」とおっしゃっていましたが、今年はどんな意味がありますか。

Faker:今年は優勝を誰かのためにしたというより、ただ自分がプロプレイヤーとして試合にだけ集中していました。その結果として優勝がついてきてくれたので、ただただありがたく思うばかりですね。

――Gumayusi選手に質問です。大勢のユーザーの皆さんや選手の皆さんもGumayusi選手をロールモデルとして選んでいますが、それについてどう思いますか。そしてロールモデルという言葉についてどのように考えているかについても聞かせていただきたいです。また、そういった人たちに何を学んでもらえたらいいと思いますか。

Gumayusi:僕がロールモデルにとして示せること、またはファンの皆さんが僕に感じるインスピレーションは、難しい状況のなかでも最後まであきらめずにやり遂げる姿から得たものだと思います。そういった姿にインスピレーションを得て、皆さんも大変な状況でもあきらめずに元気を出してもらえたら、僕にとってはありがたいことだと思います。

――Faker選手に質問です。以前、ガリオスキンが出ることになるかもしれないとおっしゃっていましたが、今回の優勝スキンでガリオを選ぶ可能性はありますか。

Faker:今回の優勝スキンのチャンピオンについては、まだ決まっていることはないです。去年やったようにファンの皆さんに投票してもらって、それを見てから考えて選ぶと思います。

――Faker選手に質問です。Faker選手は多くのキャリアを積み、2029年までT1と再契約したとお伺いしましたが、試合を続けられる理由は何でしょうか。

Faker:試合を続ける一番大きな要因は、情熱だと思います。僕はゲームが好きな人間でもあり、ゲームをしつつトッププレイヤーたちと競争できることが自分にとって意味のあることだと思うので続けています。そして2029年まで契約した一番大きな理由のひとつも、自分自身がどれだけ成長できるか、どれだけ大勢の人にインスピレーションを与えられるかについて考えた結果として決めたことでした。

――Doran選手に質問です。T1に入って初の優勝おめでとうございます。多くのファンの皆さんもDoran選手の運の良さにあやかりたいと言っています。Doran選手もご自身の運の良さをファンの皆さんに分けてあげたいと思いますか。また、どんな経験と努力でこれほどまで良い成績が収められたと思いますか。

Doran:ファンの皆さんに今日の初優勝を通じて良い影響を分かち合うことができたら、僕はすごくありがたいです。すべてファンの皆さんがここまであきらめずに僕とともに歩んでくれたおかげだと思うので、ファンの皆さんに感謝の言葉を伝えたいです。

――Faker選手に質問です。6回目の優勝トロフィーですが、年齢を重ねるにつれてプロ生活にどんな影響があると思いますか。

Faker:年齢を重ねるにつれて感じる点は、健康問題です。プロゲーマーはずっと同じ姿勢でいなければならないのでそういった部分で少し管理が必要だと感じました。ですが、インゲームのプレイ的な部分では、年齢は僕としては大きな影響を及ぼさないと感じています。ほかのケースやほかのスポーツを見ると、情熱を長いあいだ維持して絶え間なく成長する意志を持つことが年齢を重ねるにつれて折れやすい部分だと僕は思うので、そういった点を管理しようと努力しています。

――Gumayusi選手に質問です。今年1年を最初から振り返ってみるとスターターの座をかけて争うことから始まり、現在はWorldsの3回優勝者でありFinalsのMVPになりました。今年1年の経験からどんなことを学んだでしょうか。そして選手としてどのように成長したと思いますか。

Gumayusi:いつでも苦難と試練を通じて学びを得るものだと考えています。今回僕が得た学びは、インゲーム的に僕の弱点を補強するのに非常に役立ったと思います。そしてメンタル的にもつらいことがあってもそれは素晴らしい瞬間のためであるという悟りを、もう一度学んだと思います。

――Doran選手に質問です。本当に長いあいだLCKでT1の敵としてプレイしてきましたが、こうして現在はT1のチームの一員としてともにWorldsで優勝してDoran選手の初優勝も達成しました。こういったWorldsでT1がつくり上げる“魔法”とは何だと思いますか。

Doran:T1の対戦相手として何度も戦いましたが、すべての選手がいつでも秀でているとずっと思っていました。ともに戦うようになってからは、実力もそうですが個人個人のメンタルやマインドセットが選手として素晴らしいと感じました。

――ボットデュオへの質問です。すでに長いあいだ、多くの人たちがおふたりを歴代最高のボットデュオだと評価しています。最高のADCと最高のサポートとして個々人で地位を確立してきたと思いますが、お互いに「自分から見て相方がなぜ歴代最高だと思うか」について、各自ひとことずつお願いします。

Gumayusi:Keriaはチャンピオンプールやゲームメイク、そしてレーン戦の能力やゲーム以外の部分でも見る目が優れているので、サポートでは比較対象がいないと思います。ともにスリーピートを成し遂げることができて嬉しいです。スリーピートも素晴らしい業績ですが、もっと多くの優勝ができていたはずなのに逃してしまったことは悔しく思っています。

Keria:相方を評価するってことですよね?僕も同じように多くの試合をともに戦い、スリーピートという活躍を見せましたが、これからもっと多くのキャリアを積めると思っています。Gumayusiはチャンピオンプールもいいですし、チーム的に求められる役割をうまくこなしてくれていると思うので……いいと思います(笑)。

Faker、2017年北京の記憶を乗り越え「個人的にかなり成長した」

――Faker選手に質問です。Gumayusi選手がインタビューで「T1の選手たちはWorldsに来てステージ上で試合をすごく楽しんでいる、そしてそのおかげで良い結果が出せていると思う」とおっしゃっていましたが、それについてどう思いますか。また、今日のファイナルを戦うなかで、僕らはみんなでこのゲームを楽しんでいると思った瞬間はありましたか。

Faker:今回のWorldsの間、T1は各自に苦難があったにもかかわらず今日ともに一丸となって勝利できて嬉しいです。楽しめたと思った瞬間について、僕個人としては、Game 3で負けてGame 4からは「全然負ける可能性もある」という気持ちになり、残りの試合は楽しくやらなきゃと思いました。そして全般的に僕らはWorldsなどの大きなステージでの経験が豊富なので、みんな怖がらずにプレイできたと思います。

――Faker選手に質問です。2017年に中国でWorldsが行なわれたとき、北京で優勝カップをかけて戦ったものの優勝は叶いませんでした。そして今回は成都で勝利して、優勝カップを掲げることができました。この瞬間、個人的にどんな意味があるか聞かせてください。当時の苦い記憶を、今回の勝利を通じて払拭できたという感じはありますか。そして当時北京で目標を果たせなかった自分に向けてひとこと言うなら、どんなことを言いたいですか。

Faker:今日試合会場に来たときに実は2017年のことが頭に浮かんで、あのときのことを思い出していたんです。だけど今日試合をしつつ感じた感情は、2017年のときとはすごく違うと感じました。勝敗に関わらず試合に集中できたので、個人的にはかなり成長したなと思いました。もう2017年の敗北の痛みは今はほぼないですが、そういった経験が助けになって個人的に成長できたと思うので、その点は満足しています。

――当時の自分に言いたいことは?

Faker:別に言いたいことはありません。

――Doran選手に質問です。今回のWorldsで優勝するまでの過程において、「負けるかもしれない」と一番ヒヤヒヤした瞬間はいつだったでしょうか。

Doran:今回のWorldsで危なかった時期は、やっぱりスイスステージの1勝2敗だったと思います。あのときは色々な運もついてきてくれました。それによってベスト8に進出したあとは、自分たちのペースで試合を運べるという自信があったのでそれほど不安になったときはなかったと思います。

――Doran選手とGumayusi選手の再契約問題が残っています。特にGumayusi選手の場合は“挑戦”という言葉をよく使っていましたが、今後どんなプランや考えを持っているかお答えいただきたいです。Doran選手の場合、オプションは会社が行使しますか、ご自身が行使しますか。

Doran:とりあえず、契約関連については決まっていることはないです。韓国に帰ってストーブリーグのときに話し合いをする計画です。ワンプラスワン条項(※)については無意味な条項なので……片方が望まなければ終わってしまう、そういう形だと思います。

※1年間は確定で契約し、もう1年が追加のオプションという条項。

Gumayusi:僕が去年1年契約をしたときに持った心構えで今年のストーブリーグも過ごすと思います。

――kkOmaコーチに質問です。前に少しお話したときに選手より緊張しているところを見たのですが、いまは優勝も果たして3連覇も達成しました。いまの感想と、選手に言いたいことをひとことでお願いします。

kkOma:選手たちは今年1年本当に大変だったと思いますが、試合が終わる瞬間まであきらめずにベストを尽くして優勝までしてくれてありがとうと言いたいですね。そしてスタッフの皆さんにもそれは同じです。反対に、Tomコーチが3回連続で優勝を果たしたので、Tomコーチのワードが出たらどんなにいいだろうかと個人的には考えています(笑)。選手たちとスタッフの皆さんに感謝しています、最後の試合が終わるまで頑張ってくれたので。

Faker「来年は健康管理を頑張る」

――Faker選手に質問です。ベスト4が終わってBdd選手が決勝戦で誰と対戦したいかという質問に「好きな選手であり、自分にインスピレーションをたくさん与えてくれたFaker選手と対戦したい」と答えていました。実際にそのマッチアップが実現し、Faker選手も試合が終わってから「KTが良い試合をしてくれて嬉しい」と話していましたが、どんな部分がKTと試合して嬉しかったのかを教えてください。そして、大変な挑戦をしてここまで来たBdd選手にねぎらいのひと言お願いします。

Faker:今日嬉しかった一番大きな理由は、面白い試合になったからです。Bdd選手はリーグのときから上手いところを何度も見せていたので非常に良い選手だと思っていたので、こうしてWorldsの決勝戦で対戦することになったので嬉しかったですね。KTの場合は今日2勝までいって、優勝を目前に控えながらもそれを逃すというのは非常につらいことだと思います。うちのチームも何度も経験しました。難しいことではありますが、是非それに打ち勝って来年もLCKで良い試合ができたらいいなと思います。

――Oner選手に質問です。Game 5までいく熾烈なジャングルの駆け引きで、Cuzz選手をどう攻略しようとしましたか。また、Game 5で勝ちを確信した決定的な瞬間やオブジェクトファイトはいつでしたか。

Oner:質問ありがとうございます(笑)。KTがドラゴンを好んでいてオブジェクトファイトを何度もやろうとしていたので、僕らはGame 5のバンピック的にはドラゴンへのフォーカスよりもトップ・ミッドに力を注ごうとしていました。なのでレベル3ガンクを成功させたときに、一番勝てる確率が上がったと思います。

――Keria選手に質問です。決勝戦まで1週間の準備期間がありましたが、Keria選手がKTに勝つために最も細かく気を配ったバンピックやインゲームの戦略は何だったんでしょうか。最後のゲームのバンピックのときにコーチと笑っているところが映ったんですが、あのときはどんな話をしていたのか聞かせてください。

Keria:KTは、さっきOner選手が言ったとおりミッド・ボット中心にプレイして主導権を持ってドラゴンを獲るプレイを好んでいて、それでGen.G戦のときに大きな勝利をもたらしたと思うので、そういった点にすごく気を配りました。僕らは1週間スクリムがなく、これまでのデータだけで準備していたんですが、データを土台に、できる限り相手ボットよりもリードできるように準備しました。それとGame 5は僕が準備していたピックがあったんですけど、メンバーと話していたらみんなに「レオナにしよう」と言われたので笑ったと思います。

――Faker選手に質問です。今回の優勝によって大勢のファンがFaker選手の次のチャプターについて気になっていることと思います。Faker選手ご自身は今回の優勝のあと、どんな目標や方向性を考えていますか。また、今回の優勝がFaker選手の人生にどんな意味を持つか、どんな心構えでゲームに臨んだか聞かせてください。

Faker:次のチャプターと言われても、僕はプロゲーマーを2029年までやらないといけないので、プロゲーマーとしてベストを尽くすのが僕の目標です。実はWorldsに来る前に健康診断を受けてきたんですけど、以前より結果がすごく悪くなってしまって……。いや、すごく悪くなったんじゃなくてちょっと悪くなったので、来年は健康管理を頑張って、健康はパフォーマンスに直結していると考えてそれを最優先にして準備したいと思います。

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