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NRG mada「一緒にやってたleafやAsunaたちが『VALORANT』で成功していくのを見て、『なんで自分は違うんだろう』って何度も思った」…3名が初の国際大会でいきなりChampions優勝、その思いを語る【合同インタビュー】

メンバーの3人が初の世界大会ながら圧倒的なパフォーマンスでアッパーブラケットを勝ち上がってきたNRGが今なにを思うのか、合同インタビューの模様を一部抜粋してお届けします。

岡野 朔太郎

岡野 朔太郎

『VALORANT』の年間王者を決める国際大会「VALORANT Champions 2025」がフランス・パリで開催され、10月6日の決勝でNRGがFnaticを3-2で倒し優勝を収めました。

マップカウント2-0、3rdマップではラウンドスコア11-1と大きな有利を獲得したNRGに、Fnaticが大逆転からの5thマップまで持ち込むも、最終的には年間王者を果たしたNRG。チームメンバーの3人が初の世界大会ながら圧倒的なパフォーマンスでアッパーブラケットを勝ち上がってきた彼らが今なにを思うのか、合同インタビューの模様を一部抜粋してお届けします。


アビスの大逆転後もすぐにリセットできた

——brawk選手への質問です。チームがChampions優勝した最大の要因は何だと思いますか?

brawk:一番大きいのは、チーム全員が互いを信頼していることですね。それがすべての土台です。勝ったマップでは誰もためらわず、自信を持ってプレイできていた。それが一番の要因だったと思います。

——(FNCが大逆転した)アビスの後は、どんな気持ちでしたか? そしてサンセットでどうやって立て直したのか聞かせてください。

Ethan:「もう少しでChampions優勝だったのにあと数マップやらなきゃ」て感じでしたね。

mada:試合後はすぐにリセットできました。冗談を言い合って、みんなで笑って。もちろん心の奥では「11-1から負けた」っていうのは引っかかってたと思うけど、Sam(s0m)が「Fnaticがスローするわけないでしょ(笑)」て言ってくれて、空気が軽くなったんです。全員がムードメーカーだからこそ、笑って次に進めました。

s0m:彼の言う通りですね。ああいう負け方をした後は、とにかく引きずらずに前に進むしかない。BO3でも同じですが、特にグランドファイナルで2-1でリードしてる状況なら、切り替えが大事です。

brawk:アビスの後はちゃんとリセットできました。正直、僕たちは割と簡単に切り替えられる方だと思っています。ただ、アセントではまた序盤が少し重くて、そこから立て直すのが難しかったですね。

mada:あとアセントでは、観客が完全にFnatic側だったのも大きかったと思います。アリーナ全体がFnaticの応援で雷みたいに響いてました。ちょっと流れを掴まれただけで、そのまま会場も一気に盛り上がって。だからアセントを勝てたんだと思います。

——アウェイの中でプレイするのはどんな気持ちですか? “悪役”として戦いながらも、驚異的なパフォーマンスを維持できた理由を教えてください。

Ethan:両方の立場を経験してきたけど、正直あれだけ観客が相手側だとかなりきついです。いわばナーフですね。観客が味方につくと本当に大きな助けになる。実際に現場で感じないと分からないと思う。でも今回、チーム全員が冷静さを保って、音を遮断して、3ヶ月間やってきた自分たちのプレイに集中できたのが本当に良かったです。

謙虚なEthan、2度目のChampions優勝

——Ethan選手へ。EG時代からIGLとしての立場が大きく変わりました。今年の経験やこの1年の旅路をどう感じていますか?

Ethan:まず、EGの頃とは全然違います。あの時は完全にサポート寄りの立ち位置で、ちょっと年上ってだけで少し経験を持ち込んでたくらい。でも今はIGLという全く新しい役割です。リーダーとしてチームを引っ張ることが大きな挑戦でしたが、メンバーみんなが本当に支えてくれたので助かりました。時々大変だけど、彼らがそれを楽にしてくれています。

そして途中から、「あ、俺たち、チャンピオンクラスのチームだな」と感じる瞬間がありました。Championsの中盤くらいかな。1~2試合で「この感覚、知ってるぞ」と感じました。

——s0m選手へ。NRGに戻って、長い道のりの末に世界王者となりました。今の気持ちは?

s0m:もう5年くらいNRGにいます。どの時期でもチームは僕を信じてくれていたので、結果を出せて恩返しができたと思います。しかもこの仲間たちと一緒に優勝できたのが、信じられないくらい嬉しいです。

——Ethan選手へ。サンセットではチームを勝利へ導く圧倒的なパフォーマンスを見せました。これで2度目の世界タイトルですが、自分が“史上最高”の一人だと思いますか?

Ethan:うーん、どうだろう。少なくとも一番成功してるとは思うけど…。

mada:彼は謙虚すぎますね。自分では言わないタイプです。

s0m:間違いなくレガシーを作ったよ。2度のチャンピオンだから。

mada:そう、2回ですよ。誰も2回優勝してない。Gold Gun buddy(優勝者にのみ与えられるガンバディー)も2つ持ってる。

——brawk選手、オーディンについて質問です。マップによって使い続けた理由や、今のメタでの立ち位置について教えてください。

brawk:マップによって合う合わないがあると思います。アビスでは最初の数マップで上手くいったから試したけど、正直そこでは強くなかったと思います。アセントではほとんど何もできなかったし。ただ、オーディン自体のバランスはいいと思います。全マップで通用するわけじゃない、て感じです。

——bonkarコーチへ。今日の勝利でAmericas地域が最多VCTタイトルを獲得しました。地域戦と世界戦の違いはどこにあったと思いますか?

bonkar:地域戦ではプレッシャーが全然違うんですよ。だから相手チームも結構ランダムなプレイをしてくきて、タイミングも変わっているんです。でもここのステージ上での試合では、全員が“正しいやり方”で戦う傾向が強い。だから逆にやりやすい時もある。このチームはそういう大舞台の方が力を発揮するタイプなんです。どんな試合でも、同じようにプレイするんです。

——bonkarコーチ、Strongコーチへ。サンセットはNRGにとって勝率0%のマップでしたが、5マップ目でどうチームを鼓舞したのですか?

bonkar:実際、サンセットは得意でした。全7マップを準備していて、サンセットも練習していました。Americasで負けた試合もかなり接戦で、単に相手がG2やSentinelsみたいな強豪でした。だから自信を持って挑めました。

Strong:Fnaticは前日から構成を変えてきましたが、それが逆に読みやすかった。Chronicleの動き方や攻守のパターンは共通していたので、変更しても根本は変わらないと分かっていました。だから「自分たちに集中しよう」と思えた。それが3、4マップ目で欠けてた部分ですね。サンセットはもともと自信のあるマップだったし、バインドでも良かったけど、Fnaticがより得意そうだったのでバンしました。だから怖さはなかったです。数字上の勝率は低くても、内容的には常に良かった。統計は時に嘘をつくものです。

——mada選手へ。今回、5つのデュエリストを使い分けていました。どうやってそんな多彩なキャラを扱えるようになったのですか?

mada:まず、元コーチのmacに感謝したいです。前は「自分はこのデュエリストしかできない」とか思っていましたが、彼はできると信じてくれました。それが始まりです。そして今のチームでは、bonkarがいつも「自分のプレイを信じろ」と言ってくれています。だから自由に動けるんです。Upper finalでもヨルで相手のスポーンTPしたり(笑)。Sam(s0m)もいつも「やっちゃえよ」って背中を押してくれます。そうやって自分のスタイルを自然と編み出すようになりました。

——skuba選手はbrawk選手へ、Ethan選手はs0m選手へ、それぞれとなりの席の人の良いところを教えてください。

skuba:彼は本当に真面目で努力家です。絶対にティルトしないし、裏で誰よりも頑張っています。オーディンの研究もそう。敵のVODを見て、2時間もオフラインで抜き定点を探すような人、他にいません。本当に尊敬してます。

Ethan:Sam(s0m)は配信では陽気だけど、実際はチームの“第二のリーダー”です。彼が自信を取り戻させてくれます。もし彼がいなかったら、11-1の負けから立て直すことはできなかったと思います。

ティア2は忍耐が大事

——skuba, brawk, mada選手へ。ティア2から世界王者まで上り詰めた今の気持ちは?

skuba:年間ティア2でプレイしてきて、毎年ティア1からオファーがあったけど上手くいかず、それでも自分を信じて続けてきました。まさかティア1初シーズンでチャンピオンになるなんて、言葉にできない気持ちです。忍耐と自己信頼さえあれば、何でも叶うと思います。

brawk:skubaの言う通り。ティア2にいるとチャンスは滅多に来ない。だから忍耐が大事。今年は本当にすべてが一瞬で起きた感じで、まだ実感が湧いてないけど、明日になったら「本当にやったんだな」って思えると思います。

mada:忍耐、それが全てです。16歳の頃、『Counter-Strike』で一緒にやってたleafやAsuna、pennyたちが『VALORANT』で成功していくのを見て、「なんで自分は違うんだろう」て何度も思いました。でもある時、「なぜ俺じゃない?」て世界を責めるのをやめて、ただ努力するようにしたんです。そうしたら道が開けた。今こうしてチャンピオンになれたのも、そのおかげです。

——Ethan選手へ。2023年に初優勝した時、2回目のタイトルを意識し始めたのはいつでしたか? そして今、3回目はもう考えていますか?

Ethan:正直、初優勝の直後から考えてましたね(笑)。でも年が進むにつれて少し遠のいた感じでした。今も同じです。もう次のタイトルのこと考えてます。

——bonkarコーチへ。以前「FnacticとBoasterと対戦したい」と話していましたが、トロフィーのための最大の舞台でそれが実現しました。実際に戦ってみてどうでしたか?

bonkar:最高でしたね。しかも1回だけじゃなく、2回倒せたのでまぐれじゃなかったみたいですね(笑)アビスでの逆転の後はすぐに何が悪かったのかを共有して、次に進みました。アセントはFnaticの得意マップだから厳しいとは分かっていましたが、後半の攻撃で流れを取り戻せました。

——チャンピオンになった瞬間、どんな気持ちでしたか?

s0m:この大会中はずっと行けるって信じてました。最後のサンセットのラウンド、3v1でスパイク解除中、「もう勝ったな」って瞬間、Ethanが後ろで「俺たち、チャンピオンだぞ!」って叫んで。それ聞いた瞬間、全身がしびれて、涙が出ました。本当に現実とは思えなかった。

——今夜はどうやって祝いますか?

全員:ブラックアウトするまで飲みます(笑)

<翻訳協力:eiko>

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