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Enty × Yutapon「LoLのおもしろさが広がっている」―"均衡の守人"として感じた「LTK」のスゴさとガチさ【League The k4sen インタビュー】

“均衡の守人”として「LTK」の選手を見守り続けたえんてぃ(Enty)さん、Yutaponさんにインタビューを敢行。オフライン会場の熱狂や「LTK」を見てどう感じたのかなど、お聞きしました。

オクドス熊田

オクドス熊田

6月より始まった『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』のリーグ「League The k4sen(LTK)」。その決勝トーナメントである「LTK Season: Spirit Blossom Beyond Playoffs」が、2025年8月26日、27日に幕張メッセにて行われました。


26日には、本戦を前にさまざまな『LoL』の達人を集めたショーマッチが開催。元プロやベテランプレイヤー同士が火花を散らす、熱い戦いがくり広げられていました。

今回はショーマッチに出場した方の中から、“均衡の守人”として「LTK」の選手を見守り続けたえんてぃ(Enty)さん、Yutaponさんにインタビューを敢行。オフライン会場の熱狂や「LTK」を見てどう感じたのかなど、お聞きしました。


Ceros サイオンは80点ぐらい...「意外だった」

――まずは本日のショーマッチ、お疲れさまでした。

Enty:いやー、本当はもうちょっと集団戦起こして盛り上げたかったんですけどね! 味方が強くてどんどん試合が進んじゃって。

――会場はすごい盛り上がりでした。

Enty:本当ですか! それならよかった(笑)

実はステージに上がったとき、かなり緊張してたんですよ。これだけ大勢の方の前で『LoL』をするなんて初めての経験で。でもいざ座って、試合が始まると「あ、いつもやってたオフライン会場と同じだ」と思えて。意外と気楽にできました。

――今回は約8年ぶりとなるハレっちさんとのデュオでした。久しぶりに組んでみてどうでしたか?

Enty:まず「一緒にできてよかった」という気持ちですね。あと、やっぱりめちゃくちゃ上手いなと。2週間ぐらい前にもスクリムをやったんですが、その時点ですでに上手かったですね。

プレイ中は、プロでやっていたときの感覚が蘇ってきたような気持ちでした。今回は相手も強かったので、なおさらですね。ガチな競技シーンでの試合をやっているようでした。

――いちファンとしても、このデュオが見られたことが嬉しいです。今回はコーチという立場でしたが、Yutaponさんはいかがでしたか?

Yutapon:オフラインの舞台でコーチ側に立つことってなかったんで、それはすごく新鮮でしたね。「こういう感じか」と。

――ショーマッチ1戦目の“JAS vs RAS”では、盟友のCerosさんがサイオンを使うという場面もありましたが……。

Yutapon:ありましたね。上手かったと思います。

――もし点数をつけるとしたら...?

Yutapon:そうですね……80点ぐらいはつけれるんじゃないかな。

Enty:それ、ホントに100点満点?(笑)

Yutapon:そりゃそうよ(笑) 「あ、意外とこいつサイオンできるんだな」って感じでした。

――あのサイオンピックはYutaponさんの指示だったんですか?

Yutapon:そうですね。俺が「サイオン、サイオン!サイオン!」しか言わなかったので。構成的にもお互いトップにタンクを置いて集団戦をやりたいっていう感じに見えて、じゃあサイオンしかないだろうと。

――コーチからの強い要望が……。

Yutapon:(笑)

――Entyさんが参戦した2戦目は、象先輩さんのドレイヴンジャングルが飛び出していましたよね。

Enty:もうあの人ずっと「やる」って言ってて! なんなら朝に「マイクパフォーマンスでしゃるるにキンドレッドを取らせる。その上で試合するからなんかいい感じの構成考えてくれ」って(笑)

――実際、キンドレッド以外のジャングルが見えた瞬間は会場からブーイングが起きてましたし、盤外戦術としては大成功だったんじゃないでしょうか?

Enty:ピックしたとき、すっごい盛り上がってましたね。

――あとハサキングさんのヤスオピックも最初から?

Enty:そうですね。「俺、ヤスオしかする気ない」って言ってました。だから俺が構成を締めるしかなくて...(笑)

――「スレッシュやりたそうだなあ……」と思って見てました。

Enty:やりたかったですねー……。ブリッツかスレッシュ。でも流石にあの構成でやっちゃうと集団戦ができないんで、泣く泣くレルにしました。

――改めて、この規模でやる『LoL』のオフラインイベントは本当に久々ですが、選手としてステージに立ってみていかがでしたか?

Enty:最高でした! ……まあ天才Yutaponくんはね、海外でもいっぱいプレイされてると思うんだけど、俺はそこまで経験がなかったので。またやってほしいですね。うん、本当に……やってほしいです!

Yutapon:幕張は2年ぶりでしたけど、でかい会場はそれだけ盛り上がるんで楽しいですね。これだけの規模で『LoL』のオフラインイベントができるなんて、なかなかないんでありがたいです。

プロシーンを経験してきたからこそ、「LTK」のガチさがわかる

――ここからは「LTK」の振り返りをお願いします。まず率直に、ここまで“均衡の守人”としてリーグ戦を見守ってこられて、どうでしたか?

Enty:やっぱり成長してるなって感じますね。特にNEXTの人たちは最初、コーチに言われたとおりの動きをずっとしているような印象だったんです。でもそこから試合を重ねるごとに、どんどんその人の考えが見える動きが増えていって。COREもNEXTも、すごく成長が見られた大会だったと思います。

Yutapon:成長はもちろんですけど、リーグ戦特有の苦しみが見られたのもよかったですね。長くやる関係上、どうしてもいい瞬間と悪い瞬間があるんですよ。上手くいくチームもいれば、上手くいかないチームがあって……そうやってしっかりと別れるのが、ちゃんとガチのリーグ戦だなと感じました。おもしろかったですね。

――「LJL」など競技シーンに身を置いていたからこそ、共感するものがあると。

Yutapon:そうですね。

――ここまでリーグ戦を見ていて、印象に残っているプレイヤーはいますか?

Enty:k4senさんのタリヤかなあ。あとは歌衣メイカさんのサイオン。どっちもリーグが始まって最初のころにあったピックですが、とにかくプレイがすごくて。「こんなに上手いの!?」とびっくりしたのを覚えてます。

Yutapon:僕は鈴木ノリアキさんですね。チャンピオンプールがおもしろいんですよ、アニビアとかルブランが得意で、しかも上手い。言い方がこれでいいかはわからないんですけど、『LoL』の古い時代を感じるというか。

Enty:たしかシーズン2ぐらいから始めたとか聞いたような。

Yutapon:ああ、確かそんな感じだよね。なんか、そういう雰囲気がしてよかったですね。

――いぶし銀な強さですよね。あと、「LTK」は独自のフィアレスドラフトなどのルールがあります。それがまた独特な戦術を生んでいるわけですが、それについてはいかがでしょうか?

Yutapon:おもしろいですね。すごくコーチの力量が出る部分だと思います。見るたびに「これ、コーチは何考えてやってんのかな」って思いながら見てますね。

――シンプルなドラフトじゃない以上、考えることはとんでもなく多そうですよね……。ちなみに、おふたりはもし「LTK」のコーチを依頼されたら、やりたいですか?

Enty:僕はやりたくないですね。

――即答!

Enty:え、やりたい?

Yutapon:いやいや、全然やりたくない(笑)

――おふたりともばっさりですね。

Enty:めちゃくちゃ大変だろうし……俺がその、昔「しゃるる杯」でチームコーチをやったことがあるんですけど、これが本当に難しくて。しかも「LTK」の場合はリーグ戦なわけじゃないですか。その大変さは計り知れないなと。

コーチが一番大変だと思う。やってる人たちは本当に頑張ってる。

Yutapon:マジで頑張ってるね。……こういうことを言うのもアレかもですけど、どうしても怒りの矛先が来るじゃないですか、コーチって。そういうのも重なってすっごく大変だと思います。

――そういえば、Yutaponさんは今年コーチングをする機会が多かった気がしますが、実際いろいろやってみてどうでしたか?

Yutapon:難しいですね~……。自分が教える立場だと、「これでいいのかな? あってるのかな?」みたいな気持ちになっちゃうんですよ。

Enty:難しいよね。俺もまだ全然できてる気がしない。しかもそれがチームになったらやばいよね。メンタル面とかもケアしなきゃいけないし。

――あまりにも課題が多いということですね……。仮に「LTK」で選手として声がかかった場合はどうでしょう。

Enty:そりゃもう出たいですよ! もちろん。選手のほうがやりたいです!

……あ、でもサブコーチとかならコーチもいいかもしれない。メインはちょっと難しいかもしれないけど。

Yutapon:僕も選手なら……いや、別にコーチでもいいんですけど、バンピックだけはやりたくない!(笑)

アレさえやらなくていいならコーチでも全然いいです!

――それぐらいバンピックは嫌だと。

Yutapon:やりたくないですね。特に「LTK」だと、それぞれの得意不得意でチャンピオンプールがすごく限られるじゃないですか。それも踏まえてやりとりしなきゃいけないし。

ここで言うのもなんですけど、Zerostってバンピック上手いと思うんですよ。それなのにいろいろと言われてて、大変だなと思います。

新しいプレイヤーが根付くための土壌が整っている

――おふたりから見て、「LTK」が『LoL』に与える影響はどこまで感じてますか?

Enty:すごく大きいと思います。そもそも人気のある人が『LoL』をやっているというだけで、やりたくなる人はいるでしょうし。

――Enty選手自身、『LoL』を初めて半年でチャレンジャーになり、プロになるというものすごい経歴を持った方です。今後そういう人も増えるかもしれませんよね。

Enty:そうですね、半年で。……でもあんまりここで言いたくないかも。横に天才がいるし(笑)。

Yutapon:いやいや。僕なんてやり始めて3か月ぐらいのときはブロンズっすよ。

Enty:でもめっちゃ昔でしょ?

Yutapon:シーズン1の頃だね。

――もはや15年前ですね。

Yutapon:まあそれはいいとして、やっぱり「LTK」の影響はすごいと思います。ストリーマーの方々がやってくれるだけでもうれしいんですけど、今回みたいにリーグ戦になることで、『LoL』が持つチームゲームの難しさとか面白さがしっかり伝わると思うんです。

それがまた、やってくれる人の数につながると思いますし……いやもう本当に、やってくれてよかったですね。

Enty:元プロが大手のストリーマーにコーチングすることも多いですし、そうなればたくさんの人がそれを聞いて、チームゲーム的な考えも根付きやすくなるはずですよね。

いち『LoL』ストリーマーとしても、こうやって新しいプレイヤーが根付く土壌を整えてくれる「LTK」関係者の人たちには感謝の気持ちしかないですね。

――ちなみにおふたりは高レート帯で戦っているわけですが、そこでも土壌が良くなっている影響は感じていますか?

Yutapon:配信者界隈が盛り上がってくれているおかげで、高レートの人たちも「配信しながら回すぞ!」っていうモチベーションが湧いてるみたいなんですよね。それでソロキューも質が良くなってますし、以前に比べて楽しい試合も多くなりました。ありがたいですね。

――「LTK」はこれからも続きます。今後に期待する部分などはあるでしょうか。

Enty:うーん……?

Yutapon:いや、これは難しいですね。

Enty:そうだね。現状でこれ以上ないものになっている気がします。完全に初心者の人だけの階級を作るとか、絞り出せばなにか案は出ますけど……。

Yutapon:多忙な方々をこれだけ集めて、これだけ長い間『LoL』をやっていただいて。正直、これ以上望むことはないです、本当に。

Enty:継続を願っている、というのはもちろんありますけどね! これ以上というのはないです。

――ありがとうございました!

<執筆:オクドス熊田/編集・撮影:松田和真/取材協力:えごいすと>

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