
- VALORANT
- インタビュー
8月19日、名古屋・栄を拠点とするアイドルグループ「SKE48」による『VALORANT』女性チーム「amshy(アムシー)」がお披露目されました。
チームはSKE48の現役メンバー7名が参加し、ライブパフォーマンスとは一線を画す「本気のeスポーツプレーヤー」として、世界を舞台に戦う新たな挑戦に臨みます。
FISTBUMPでは、「amshy」を運営する株式会社Myフィールドの鍋山真吾氏と、SKE48のメディアプロモーションを担当する株式会社ゼストの野田将也氏へインタビューを実施。チーム設立の経緯や今後の展望について伺いました。
――まず、今回のチーム設立の経緯やきっかけを教えてください。
鍋山:Myフィールドは、温泉旅館である神湯館と榊原温泉地区の活性化を使命としています。そこで、つながりのあったSKE48さんの力をお借りできないかと考えたのが、そもそものきっかけです。
メディアプロモーションを担当している野田さんは元々eスポーツがお好きだったということもあり、話がトントン拍子に進みました。
野田:SKE48はAKB48の姉妹グループとして17年目を迎えるため、昔からのファンは多いのですが、なかなか新規ファンがいないという課題がありました。今のアイドル活動の中だけでは、新しくファンになっていただける方々にアプローチできる要素がなかなかないというのが現状でした。
一方、eスポーツは10代~30代がメインのファン層です。eスポーツを通じて、eスポーツファンをSKE48のファンとして新たに呼び込み、逆にSKEの既存ファンをeスポーツ業界にも送るという「相乗効果」が生まれると考え、今回の取り組みに至りました。
――eスポーツタイトルは数多くありますが、なぜ『VALORANT』を選ばれたのでしょうか?
鍋山:女性チームによる公式大会「VALORANT Game Changers」が開催されているからです。そこを目指すぐらい本気で取り組むチームなんです。
野田:『VALORANT』はシューティング系で、いわゆるeスポーツをイメージさせやすく、現状の日本のeスポーツ業界を最も盛り上げているタイトルの一つだと感じたため、この波に乗っからせてもらおうという正直な思いもありました。
ただ、愛知県で開催されるアジア競技大会で『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』が採用されていることもあり、いずれは『LoL』にも挑戦したいという思いもあります。
――ということは、今後は他のゲームタイトルもプレイする可能性はあるのでしょうか?
野田:はい。『VALORANT』は、あくまで最初に始めるゲームという位置づけです。もしかしたら、格闘ゲームなどの別ジャンルにも進出する可能性はあります。『VALORANT』の活動が落ち着けば、追加メンバーの募集も視野に入れており、新たなタイトルに挑戦したいと考えています。
――今後、Riot Gamesの格闘ゲーム『2XKO』のリリースも控えています。タイミング的にも良いのではないでしょうか?
野田:たしかに...。まだプロがいないタイトルだと考えると、スタートダッシュにちょうどいいかもしれません。
――今、メンバーを募るというお話がありましたが、eスポーツチームのメンバーはどのように選出されたのでしょうか?
鍋山:SKE48のメンバーの中からアンケートを取り、その中から半数ほど面談を実施し、最終的に7名を選出しました。
野田:ほとんどのメンバーがeスポーツをほぼやったことがなかったため、選考基準は「やる気」を重視し、「ゲームが大好きか」「eスポーツを仕事にしたいか」という問いに、最も高い評価をつけたメンバーを中心に面談し、強い意欲を持つ7名を選びました。
――チームの最終的な目標は「プロ」なのでしょうか?
野田:そこを目指すぐらいの本気度という認識をしていただければと思います。「amshy」は意図的に「プロeスポーツチーム」とは言っていません。さすがにアイドル活動をしながら、初心者がいきなりプロを目指すというのは、現実的ではないと考えています。
なので当面の目標は、一般の人よりも上手で、『VALORANT』について語れる「タレント」です。例えば、大会のMCやキャスターの方に「さっきの試合を見てどうでしたか?」と聞かれた際に、戦術やプレイ内容について具体的にコメントできるレベルを目指しています。
そうすることで、ファンの方々にも「ちゃんとやっているんだ」と理解してもらえると思います。『VALORANT』への深い愛を持って語れるポジションを目指したいですね。
――アイドル活動とeスポーツ活動の比率はどのくらいになるのでしょうか?
野田:本業がアイドルなので、活動比率はアイドル6割、eスポーツ4割で頑張ってもらおうと思っています。ほとんどのメンバーは『VALORANT』が初めてです。ゲーム自体が好きな子もいますが、初めてPCを触り、Wキーでキャラクターが動いたことに感動するレベルです。
――今後の具体的な活動内容はどのようなものになるのでしょうか?
野田:神湯館での泊まりがけのリアル合宿を予定しています。イベント出演の話もいくつかいただいていますし、全国のeスポーツイベントにも積極的に参加していきたいです。
あとは配信活動がメインになると思います。ただし、アイドルかつ未成年メンバーも多いため、制限がある中でできることをしていこうと思います。また、彼女たちはアイドルなので、人前で話すことには非常に慣れており、饒舌に話せる強みがあります。この強みを活かし、コメンテーターのような新しいポジションの確立も視野に入れています。
鍋山:ストリーマー文化が盛り上がっている現状も踏まえ、他のストリーマーさんとのコラボや、ストリーマー大会への出演も目指したいです。将来的には専属コーチの雇用も検討し、座学も含めて知識面やコミュニケーション能力の向上にも力を入れていきます。
――最後に読者やファンの方々にメッセージをお願いします。
鍋山:「『amshy』の本気を見てください」ということに尽きます。アイドルが本気でeスポーツに取り組む姿を見ていただきたいです。彼女たちは普段から踊りや歌に本気で取り組んでいるんです。実際に今のアイドル活動を見ていただければ、彼女たちの「本気」が伝わると思います。
野田:立ち上げたばかりで、まだ本気度が伝わっていない部分もあると思いますが、メンバーと直接会って、その熱意を感じていただきたいです。
実はすでに周囲の方々から高い期待と注目を集めているので、改めてメンバー全員に「もっとちゃんとやろうね」とも強く伝えています。少しでも「本気じゃないな」と思われてしまうとファンの方々も離れていってしまうと思いますので、SKE48というネームバリューに恥じないように真剣に取り組んでいきます。
半年後、1年後の成長を見届けていただければ幸いです。
――ありがとうございました。
アイドル6割、eスポーツ4割という高い比率で『VALORANT』に取り組むという「amshy」。インタビューからもその本気度が伝わってきました。PCゲーム初心者から上級者を目指すというのは簡単なことではありません。半年後、1年後にどのような成長を遂げているのか、期待が高まります。