6月8日からカナダ・トロントで開催されていた「VALORANT Champions Tour 2025 Masters Toronto」が「Paper Rex(PRX)」の優勝で幕を閉じました。
グランドファイナルではPacific代表の「Paper Rex」とEMEA代表の「FNATIC」が対決しました。試合はマップカウント3-1で「PRX」が勝利しトロフィーを手にし、初の国際大会優勝を収めました。MVPは所属のf0rsakeN選手が選ばれました。
◆3度目の正直ーPaper Rexが国際大会初優勝
PRXは2022年の「Masters Copenhagen」、2023年の「Champions Los Angeles」でグランドファイナルに進出するものの、2度とも決勝の舞台で敗れていました。
今大会はPacific地域の予選に当たる「VCT 2025: Pacific Stage 1」で3位通過であったためスイスステージからの参戦となりました。スイスステージでは「Gen.G Esports」に敗れたものの、「Team Liquid」に勝利しプレイオフステージに進出。プレイオフステージではマップカウントを1本も落とさずグランドファイナルへ進み、”恐竜”と比喩される勢いそのままに3-1で勝利し、悲願の国際大会初優勝を勝ち取りました。
◆f0rsakeNがMVP獲得
大会MVPにはf0rsakeN選手が選出されました。PRXの『VALORANT』部門を2021年から支え続けたチームの中心選手の一人です。試合決着直後には歓喜の涙を流す姿も見られました。
◆VCT 2025 Masters Toronto Grand Final 対戦結果
Paper Rex vs FNATIC:3-1
1st Map:13-11 (Paper Rex)-サンセット
2nd Map:17-15(FNATIC)-アイスボックス
3rd Map:13-10(Paper Rex)-パール
4th Map:14-12(Paper Rex)-ロータス
◆「W gaming」エンジンフルスロットル!1stマップーサンセット
1stラウンドを取得し、2ndラウンドも取り切った「FNATIC」は強気のミッドプッシュで3rdラウンドも取得しました。
対する「Paper Rex」はタイムアウトを挟んだ5ラウンド目、Jinggg選手のショーストッパーを皮切りに反撃の狼煙を上げます。そこから怒涛の8連取、8-4でハーフタイムを迎えます。
後半1stラウンドとなる13ラウンド目、Aプッシュをさばききった「FNATIC」が取得。そのまま「FNATIC」優勢で試合は進み、19ラウンド目に10-9とついに逆転します。しかし20ラウンド目、苦しい流れを「Paper Rex」PatMen選手が断ち切ります。その後、「Paper Rex」はラウンド4連取。試合を再度ひっくり返してマップ取得に王手をかけます。
迎えた24ラウンド目、「Paper Rex」Jinggg選手とd4v41選手のレイズセージのアビリティを生かしたBプッシュで2キルを獲得。勢いそのままにラウンドを取得し、13-11でサンセットを「Paper Rex」が取得しました。

◆「FNATIC」が王者たる所以ー2ndマップーアイスボックス
1stマップとは打って変わって「Paper Rex」が1st、2ndラウンドを取得します。
続く3rdラウンドもPatMen選手のスーパープレーで取得。流れは「Paper Rex」に傾きます。
「FNATIC」のタイムアウト後の5ラウンド目、Alfajer選手が4キルの活躍で欲しかった1ラウンド目を取得します。
8ラウンド目、お互いのアドリブ力が光るラウンドでしたが僅差で「Paper Rex」が上回りラウンド取得。
続く9ラウンド目、「FNATIC」がキルジョイを倒した一瞬の隙をつき、kaajak選手が素早くチューブを進行します。そしてキッチンで2キル獲得。そのままラウンドを取得します。これには「Paper Rex」alecksコーチも頭を抱えます。
一進一退の攻防が続き、前半を6-6で折り返します。
後半のピストルラウンド、13ラウンド目はミッド進行をいち早く察知し、素早い対応を見せた「FNATIC」が取得。2ndラウンドを取得した後の3rdラウンド、kaajak選手がオペレーターを購入。これが功を奏してファーストブラッドを獲得します。そのまま3rd、4ラウンド目も取得し10-6と「FNATIC」が突き放します。
「Paper Rex」のタイムアウト後17ラウンド目、Jinggg選手とf0rsakeN選手が往年のコンビネーションで2v4クラッチ。待望の後半1ラウンド目を取り返します。
「FNATIC」が12本目を取得し、7-12と「Paper Rex」は追い込まれますがJinggg選手のオーメンを軸にした「Paper Rex」らしい”止まらずとにかく前に進む”戦い方で猛追。12-12まで追い上げオーバータイムに突入します。
勢いの「Paper Rex」、安定感の「FNATIC」。両チーム譲らない展開が続き迎えた32ラウンド、kaajak選手の強気な勝負で2キル獲得。流れを作った「FNATIC」がお手本のようなゲームメイクでラウンドを取り切り、17-15で「FNATIC」がアイスボックスを取得しました。

◆止まらぬ恐竜の大行進!ー3rdマップーパール
ハンドガンラウンドと続く2ndラウンドは「FNATIC」が取得。その後「Paper Rex」が1ラウンドを取り返し、続く4ラウンド目、PatMen選手とJinggg選手のフェイド、レイズによるシーズペイント弾のカウンタープレーがきれいに刺さりラウンドを取得しました。
8ラウンド目Alfajer選手が攻めでオペレーターを運用し4キル。続く9ラウンド目「Paper Rex」はエコラウンドながらミッドプッシュでチャンスを作りますが「FNATIC」crashies選手の機転の利くプレーでラウンドを取り切り、追随を許しません。
「Paper Rex」も2本取り返しますが前半最終ラウンドの12ラウンド目、「FNATIC」Alfajer選手のネオンがオーバードライブで道を切り開きAサイトを取得。そのまま危なげなくラウンドを取り、7-5の「FNATIC」リードで前半を折り返します。
後半の1stラウンドもAlfajer選手の撃ち合いの強さがいかんなく発揮され「FNATIC」が1st、2ndラウンドを取得します。しかしそこから「Paper Rex」の猛攻は止まりませんでした。
「FNATIC」はたまらずタイムアウトを取ります。その後1ラウンド取り返しますが流れは戻らず。「Paper Rex」が背後から足音を大きく鳴らしながら20ラウンド目を取得し、10-10と追いつきました。その後もJinggg選手のレイズは止まりません。パールという比較的交戦距離が長いマップにもかかわらずショットガンであるジャッジを購入し大胆にエントリー。相手がいるところに的確にブラストパックで飛んでいきキルを量産。「デュエリスト」の仕事を完璧にこなしました。
「FNATIC」はタイムアウトをもう一度使うも流れを変えられず、13-10で「Paper Rex」がマップを取得しました。

◆絶対王者を食らいつくし悲願の優勝!ー4thマップーロータス
1stラウンドから見たこともないゲーム展開の中、f0rsakeN選手の徹底したプレイングから「Paper Rex」がピストルラウンドを取得。
しかし1stラウンドを落とした「FNATIC」Alfajer選手が強気のアウトロー購入、そしてChronicle選手のクラシックが火を噴き2ndラウンドを取得しました。
「Paper Rex」が3-2でリードして迎えた6ラウンド目、Jinggg選手のCプッシュで4キルを獲得。会場からは「ACE」コールが巻き起こるも最後はd4v41選手がキル。流れは「Paper Rex」に。
8ラウンド目、ここでもJinggg選手の天才的なショーストッパーが直撃し2キル。続く9ラウンド目、ここではPatMen選手が強気のプレーで3キル。
「FNATIC」は粘りを見せますが前半最終ラウンド「Paper Rex」something選手が1v2クラッチを見せ、7-5の「Paper Rex」リードで前半戦を終えます。
後半のピストルラウンドは「FNATIC」が取得。ここで「Paper Rex」は前半「FNATIC」がみせたアウトローの購入をsomething選手が行います。しかしうまく機能せずラウンドを落としてしまいました。
この状況でも止まらないのは「Paper Rex」。チームの特徴である”撃ち合い”で勝負を続け「FNATIC」に襲い掛かりラウンドを4連取。11-7と差を広げます。
しかしここで終わらないのが「FNATIC」です。19ラウンド目、エコラウンドながらもロックダウンでCリテイクを成功させスリフティを達成。続く20ラウンド目もChronicle選手の見事な3キルでラウンドを取得、21ラウンド目もAlfajer選手の4キルで「Paper Rex」をエコラウンドに追い込みます。次のエコラウンドも取り切り、スコアは11-11でイーブンに。
次のフルバイラウンド「Paper Rex」は満を持してAラッシュを仕掛けますが、ここでもChronicle選手が4キルの活躍で攻めを完封し「FNATIC」が12-11と逆転します。
そのままゲームが決まってしまうかと思われた運命の24ラウンド目、「Paper Rex」f0rsakeN選手が魂の4キルを獲得しラウンド取得。本日2度目のオーバータイムへ突入します。
「Paper Rex」リードで迎えた25ラウンド目、2v4という絶望的な状況をf0rsakeN選手とsomething選手が見事なコンビネーションでスパイクを守り切り、14-12で「Paper Rex」が勝利を収めました。

過去2度国際大会グランドファイナルの舞台に立ち、2度悔し涙を流してきた「Paper Rex」。3度目のグランドファイナルで悲願の初優勝となりました。
「Masters Bangkok」の「T1」に続き、Pacific地域が国際大会2連覇となります。
これにて今シーズンの「Masters」は終了です。9月に行われる「Champions Paris」にはどのチームが参戦するのでしょうか。そしてどのような熱戦が繰り広げられるのでしょうか。今後も目が離せません。