「アーケイン」シーズン2の製作総指揮インタビュー―リンキン・パークとのコラボや「Heavy Is the Crown」に込めた想い、日本語吹き替えへのこだわりを語る

「Arcane(アーケイン)」のCo CreatorかつShowrunnerを担当しているChristian Linke氏のインタビューをお届けします。

League of Legends インタビュー・コラム
「アーケイン」シーズン2の製作総指揮インタビュー―リンキン・パークとのコラボや「Heavy Is the Crown」に込めた想い、日本語吹き替えへのこだわりを語る
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11月9日(土)17時(日本時間)からNetflixで「Arcane(アーケイン)」シーズン2 Act.1が放映開始しました。 シーズン1ではピルトーヴァーとゾウンの対立と、各キャラクターの心理を描いてきた作品ですが、シーズン2ではシーズン1以上に深まる対立と変貌する各キャラクターの立ち位置が描写されていきます。

本稿では「アーケイン」のCo CreatorかつShowrunner、つまり制作でいちばん重要なポジションに就いているChristian Linke氏のインタビューをお届けします。

◆シーズン2のプロットはシーズン1の反響を受けてつくられたわけではない

――シーズン1では分断を描きつづけてきましたが、最後の最後でかつてないほど亀裂が大きくなる事件が発生しました。あのシーンを描くまでに紡がれたプロットと作曲の美しさは衝撃で、ファンからもベストシーンと上げられるほどでした。 そしてシーズン2はその事件の直後から始まりますが、これは反響を受けてつくられたプロットなのでしょうか?

Linke:あのシーンはシーズン1の集大成として一番印象に残る描き方をしようと構成の段階から決めていたので、ファンの方々からの反響が予想を超えるものになり、とても嬉しいです。ただ、シーズン2のプロットはシーズン1の反響をほとんど受けていません。実写ドラマならシーズン1放映後からの反響をプロットに盛り込んでも間に合ったかもしれませんが、アニメはとても時間がかかるので初期のプロットをほぼそのまま引き継いでいます。

――シーズン1とシーズン2の制作中に予想できなかったサプライズやハプニングはありましたか?

Linke:シーズン1制作中はコロナ禍が始まる前だったのですが、シーズン1の仕上げやシーズン2の制作はコロナ禍の最中だったので作業のやり方を移行させるのが大変でした。

作品のクオリティ面でも大きなサプライズがありました。シーズン1はまずエピソード1と2をパイロットとして制作し、そこで学んだものをエピソード3に注ぎ込んでいたのですが、楽曲部分は作業後半まで待つ必要がありました。ところが、作曲家たちによって命を吹き込まれたエピソード1~3を視聴したとき、私の想像を超えるクオリティにまで変化を遂げていて忘れられない感動を覚えました。

それと同じようなことがシーズン2でもありました。シーズン2は各キャラクターの内面をより深く描いてくのですが、ケイトリンは特に大きく変わっていくキャラクターです。そんな彼女の声優を務めたKatie Leungさんが素晴らしい演技をしてくれて、私達が描きたかったものを洗練させてくれました。これも大きなサプライズのひとつです。

◆Linkin Parkとのコラボ、「Heavy Is the Crown」の意味

――楽曲の話が出ましたが、本作はあのLinkin Parkが「Heavy Is the Crown(上に立つ者の責任)」を提供しており、シーズン2 エピソード1のタイトルも曲名と全く同じです。このコラボレーションはどのように決まったのでしょうか。

Linke:実は私もどのようにしてRiot GamesとLinkin Parkが繋がったのかはわかりません。ただLinkin Parkのメンバーとはやり取りをする前から、Mike Shinoda(マイク・シノダ)やメンバーが皆アニメ好きで造形が深いと分かっていたので不安はありませんでした。

ここは私の憶測なのですが、Linkin Parkは新しい一歩を踏み出すために偉大な過去を引き継がなければなりません。Chester Bennington(チェスター・ベニントン)という存在が残したものの重さは想像を絶するに違いありません。その想いを込めて「Heavy Is the Crown」という曲を作ったのだと思います。

シーズン2は、ケイトリンが実家の責任を引き継ぐという展開から始まります。Linkin Parkと最初に会議をしたときにプロットを説明し、「責任を引き継ぐ」という点にマイクは共感してくれて、ケイトリンの感情とマイク自身の個人的な想いを重ねて、「Heavy Is the Crown」とアレンジバージョンの2つを提供してくれました。私達もこれほどぴったりな曲はないと考えて、エピソード1のタイトルを「Heavy Is the Crown」に決定しました。

――シーズン1ではピルトーヴァーとゾウンの対立を描いていきましたが、シーズン2でもこの面にフォーカスするのでしょうか?

Linke:シーズン1はエピソード1~3までのAct.1で制作のコツを掴んで対立を描くことに成功しました。同時に各キャラの内面も描いていきましたが、シーズン2はもっと内面を描いていきます。注目してほしいのが「ペア」の要素です。ヴァイとジンクス、ヴァイとケイトリン、ジンクスとケイトリン、ジェイスとビクターといったように、ペアで物語を描くことでより力強くストーリーを推し進めてくれます。

そして誰もがシーズン1の結末への償いの瞬間が訪れます。

◆『LoL』チャンピオンは全部出したかった

――『League of Legends』本編に比べて「アーケイン」は登場キャラは少ないです。輸入したくてもできなかったキャラクターはいますか?

Linke:ポッピーです。理由は私がポッピーOTPだからです(笑)

ジグスやエズリアルも入れたかったんですがゴーグルで顔が覆われていると顔を描くのが難しいので諦めました。あと、「アーケイン」のストーリー自体がダークテイストなので、素が明るいキャラクターを輸入するとバランスを整えにくいので避けました。

本音を言えば全員入れたいです。でもそうしたら作業が終わらなくなるし時間もないので現在のキャラクターに絞りました。

ーー最後に日本のファンに向けたメッセージをお願いします。

Linke:私が幼少の頃はドイツで暮らしていたのですが、当時は翻訳や吹き替えといったローカライズの質が本当に残念なレベルでした。その頃の気持ちは大人になった今も忘れておらず、「アーケイン」シーズン1では、翻訳/吹き替えを安心して任せられる適切なパートナー探しにこだわりました。きっとシーズン1の出来は満足していただけたと思います。シーズン2もこの点をこだわり抜いたのでみなさんから愛される作品になると嬉しいです。

《いーさん》

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