『TFT』ZETA DIVISIONに所属した「title」と「kes」二人のプレイスタイルとチーム戦の面白さを聞いてみた【インタビュー】

『TFT』部門のtitle選手とkes選手に同作のプレイ歴やプレイスタイル、チーム戦の考え方などをインタビューを敢行。世界大会に何度も出場している二人の『TFT』に対する考えを聞くこともできたので、ぜひ記事をご覧ください

Teamfight Tactics インタビュー・コラム
『TFT』ZETA DIVISIONに所属した「title」と「kes」二人のプレイスタイルとチーム戦の面白さを聞いてみた【インタビュー】
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先日、ZETA DIVISIONは『チームファイト タクティクス(TFT)』部門を作ったことを発表しました。この新設されたチームで、8月8日~11日に行われるeスポーツワールドカップの『チームファイトタクティクス』競技へ出場します。

本稿では『TFT』部門のtitle選手とkes選手に同作のプレイ歴やプレイスタイル、チーム戦の考え方などをインタビューしました。世界大会に何度も出場している二人の『TFT』に対する考えを聞くこともできたので、ぜひ記事をご覧ください。

◆ZETA DIVISION加入について

──ZETA DIVISIONに入った率直な気持ちを教えてください

kes:海外チームから誘ってもらっていましたが、そちらに所属するより日本のコミュニティのためになりますし、国内の『TFT』シーンを盛り上げたいという気持ちがあったので、とても嬉しいです。

title:海外チームで活動するよりは、国内でいい影響を与えられるようになりたいので、日本のチームに所属したかったんです。

──titleさんは以前に世界大会で優勝した後、「『TFT』から離れて自分の時間を作ろうかな」とも話されていましたよね。そこからシーンを盛り上げたいと気持ちが変化した理由を教えてください。

title:黄身さんが主催されていた「鰹節杯ストリーマーエキシビジョンマッチ」に感化されました。『LoL』のクライアント内に同大会が載っていて、「『TFT』がここまで来たんだなぁ」と思いましたし、そんな黄身さんやりーりさんらが全力を尽くしている姿を見て、僕も大会に出るだけでなく、 もっと配信やコーチングなど、国内の『TFT』シーンのためにやれることをやろうと思ったのが理由ですね。

◆titleとkesが考える『TFT』の面白さとは?

──改めてお二人のTFT歴を教えてください。

kes:セット1からプレイし始めましたが、セット5で一回辞めたことがあるんです。その時期は『VALORANT』をプレイしたりしていたんですが、セット6から再開して今まで続けています。

──再開から今日までプレイし続けているのは、『TFT』のどんなところに面白みを感じているからですか?

kes:遭遇やオーグメント、ポータルといった要素によって再現性がない……毎試合まったく違うゲームになるのが面白いですね。師範センチネルに入っても状況は大きく変わりますし、だからこそ努力して上手くなるのが難しいんです。それとモチベーションに繋がっているのは世界大会に出たいという強い気持ちですね。

セット6の大会を観てから「頑張れば僕も世界大会に出れるかもしれない」と思ったんです。セット9・10ではチャレンジャーの方々との話を通して、みんなすごく『TFT』を真剣に取り組んでいることが分かりましたし、「TFTチャレトーク」という企画の後に、りーりさんやしかめまどかさんと未来の話をしたりして、自分自身も影響を与えられる存在になりたいと思ったのが今に繋がっています。

title:僕はセット2からプレイしていたんですけど、セット3.5から本格的にプレイし始めて、チャレンジャーになりました。それ以降も全セットをプレイしています。『TFT』はラダーのシステムが好きですね。

『LoL』や『VALORANT』は5vs5のゲームなので、一緒にプレイする味方の影響を少なからず受けてしまうのですが、自身の責任でレートがあがるっていうのが面白いです。だからこそ手軽に、気軽にプレイできますし。そして、ゲーム面の面白いポイントは“勝ち筋を見つけられること”ですね。

──titleさんは過去に、なにか戦略ゲームをプレイされていたんですか?

title:他はやっていませんでした。『TFT』を始めたのは、友達と一緒に遊んだのが最初ですね。僕より上手いプレイヤーがたくさんいるのがいいんですよ。

じゃんけんで7割がた勝っているプレイヤーがいたら、その人がどのようにじゃんけんしているのか気になりますよね。運要素の大きいゲームにも関わらず勝ち続けられる要素がある……『TFT』はそれを見つけるのが面白いんですよ。

kes:大会の形式も個人的に好みです。『LoL』はチームに所属した上で、LJLアカデミーがあり、LJLで優勝してアジア大会に出て……ようやく世界大会へ行くことができます。『TFT』は強ければ個人でも日本予選から世界大会へと出られる。費用も掛からないのでカジュアルに参加できますし、自分が頑張りさえすれば大舞台に立てるので、世界1位への距離が近い大会形式が好きです。

ただし、世界大会へ出るというのは日本代表としてプレイすることなので、本当に勝たないといけないなと感じましたね。

(※本記事は、黄身TFT日記からの転載記事です)

◆それぞれの『TFT』プレイスタイルとチームメイト3人の印象

──今回加入された5名で大会に出場すること、そして他のメンバー3人の印象を教えてください。

title:最強のメンバーでeスポーツワールドカップへ出られるなと。kesとTaroはデータタイプで、型にハマったプレイが得意なのに対してKAITOと僕は型破りタイプで、感覚でプレイすることが多いですね。

――kes選手から見たtitle選手はいかがですか?ご自身のプレイスタイルと併せてお訊きしたいです。

kes:titleに関してはミスをしないことがすごいです。大会を観ていても、「それやっちゃうのかー」というプレイが本当にありません。AIが戦っているみたいです。良手とたまに疑問手があっても、ミスはしないという風にしっかりゲームプランを立てています。

僕のプレイスタイルは、当たり前のことを当たり前にする……ですね。例えば、キーパースタートだったらデュエリストとヘブンリーをやるなど、オーグメントに沿ったプレイをします。苦手な構成はほとんどありませんが好きな構成もなく、強い動きを明確に持っているところですかね。

──お話しいただいた“当たり前”というのを深掘りたく。例えば、紋章系以外の「ステータスマシマシ」や「彼方の友」など、決め手にしづらいオーグメントでも構成への道筋が見えるみたいなことでしょうか?

kes:そうですね。「ステータスマシマシ」はイレリアが強いなど、「亡き友からの贈り物」より優れた場面がいっぱいあります。「庇護者のお供」でキンドレッドが選ばれた場合、キンドレッド★3とシンドラのダブルキャリーを作れるので、2手目のオーグメントは「バトルキャスター」より「彼方の友」の方が強い……といったオーグメントの相性やオーグメントコンボ、構成への道筋を詳しく知っているということですね。

title:自分はゲームプランを立てたプレイングが得意です。1位を獲らないといけない場面なら、そのためのプランを用意していますし、スカウティングも得意ですね。

──“スカウティングが得意”というのは、具体的にどういったことでしょうか?

title:構成が被っていなかったり、自分が勝てるような構成を組み立てられるということですね。以前、中国での大会でエクスキューショナーが卓に一人いるなか、同じエクスキューショナー構成を被せて1位を獲った試合があったのですが、その試合の2-1で構成を被せることを決めていたんです。この人がこの構成を作るというのが分かっていれば、そこからゲームプランを立てることができます。「デュエリストが自分以外に2人いるけど、自分より状況が悪いから倒せるな」など考えますね。

──競合の構成判断とオーグメントやアイテムでの盤面評価が精度高くできているのがtitleさんの強みなんですね。ゲームプランという話が出ましたが、それはどういうことを考えるのでしょうか。

kes:分かりやすい例で言うと、ステージ2でフォーチュンのプレイヤーが一人いるとします。上位に入るだけならそのプレイヤーの邪魔をする必要はありませんが、1位を獲る必要があるなら自分の連勝を止めてでもその人を止めないといけない。そのプレイヤーを7位~8位にしないと、自分が一位を獲れないからです。

大会も4~5戦目と後半戦になるにつれて、下位のプレイヤーが1位を獲るためリスクを取ってきます。下側が無理なプレイをしてくるから自分はフォーチュンをやらないだったり、「フォーチュンが3人ぐらい出てくるから自分が序盤から連勝する」だったり、そういった判断がゲームプランですね。

title:ゲームプランはルールによっても意識が変わります。4分の1抜けルールの大会か、上位4人抜けルールかでリスクの取り方が変わってくるんです。

1位を獲るというのは、他人の1位の目を潰すということでもありますよね。フォーチュン以外の例で言えば、ヘラを取らせたら負けるから取らせないようにしよう、4コスト★3を作らせないようにするな……カットをケアして丁寧にやることが、大会におけるプランニングです。競合7人の盤面を照らし合わせ、何が必要か最適解を考え、周りを倒す判断も必要ですね。

◆eスポーツワールドカップの4vs4ルールで意識すること

──チーム戦で勝つために大切なことを教えてください。

title:思っていたより共有しないといけない情報が多いということですね。チームメイト4人ともチャレンジャーでゲーム理解度が高く、判断を下せる余裕があるのに、味方同士でダメージを大きく与えることが度々起こります。そういったことが起こらないように、他ゲームと同じくらいか、それ以上に情報共有することが求められます。

kes:僕も同じようなものですが、マルファイトの遭遇が来たら、味方と当たる場合は調整した方がいいです。5連勝とできそうな味方がいて、それと当たる可能性がある自分は、1~2コスト★2がたくさん作れていても、あえて弱い配置をするなどして負けなければいけません。

そういう細かいことを全力でしないといけないんです。実際にスクリムで、フォーチュンからカイ=サをやろうとしたプレイヤーがいたのですが、敵チームに6枚も抱えられて、フォーチュンの報酬を貰ったのにも関わらず下位に沈んでしまったということもありました。

──スクリムを経て、ソロランクでは見られない強い構成など構成ティアに変化はありましたか?

title:チーム戦だとヘルスを削ってゴールドを使うプレイが弱いですね。9レベル前提のボードが弱く、カットされやすい構成は辛いです。デュエリストやシンドラは9レベルが必要なのですが、イレリア、リーシンをカットされたらキツくなります。1体に依存している構成は、チーム戦においては基本弱いなと感じましたね。

──となると「ワーデンアッシュ」もキツそうですね。

title:ワーデンアッシュはいけちゃいます(笑)。アムムやイラオイがいるので、3コストの2体が★2になりやすいのと、アッシュ★1でも前衛がしっかりしていれば勝てたりするからかもしれません。あと「ゴーストザイラ」が強い。★2でも強いからリロール構成で、ぶっちぎりでティアの高い組み合わせですね。HPの調整もしやすく、チーム戦のためにあるんじゃないかとも思えます。

相手はザイラをカットすればするだけ損しますし、パワースパイクがはっきりしているから4位にも入りやすい。50ゴールド残してプレイするので相手の駒をカットする余裕を持ちつつ、敵の邪魔もできて4位にも入れます。そういう役割が担える構成ですね。

◆eスポーツワールドカップにむけての意気込み

──大会で結果を残すために、チームとしてどういうことを意識しながら練習を重ねますか?

title:現段階ではセット12のシステムが分からないので、どうなるかはイメージしづらいですが、新セットの情報取得や理解も4人で取り組めば、単純計算で4倍速に進むので個々のプレイの質が上がると思います。自分のプレイの質が上がれば判断速度の向上に繋がり、試合中に時間の余裕が生まれればチーム戦に余裕ができるので、まずはセット12の個々の実力を高めることを意識しようと思います。

kes:「このオーグメントだったらこれが行ける」というのが瞬時に判断できる……パッと頭に浮かぶレベルにならないとスカウティングの余裕も生まれません。自分自身が強くなることが、チーム戦も優位に戦えることに繋がるはずです。

──eスポーツワールドカップに向けての意気込みを教えてください

title:初のプロチームなので結果を残したいという思いがかなりあります。まだまだ詰められる時間があるので、2か月間みっちり練習して、いい結果を残したいですね。

kes:僕も同じく、初めてのプロチーム所属なので、「5678で負けました」なんてことになったらみんながガッカリしちゃうと思います。チーム戦の知識をつけつつ、死ぬ気で頑張って結果を手にしたいです。。

──ありがとうございました!最後に余談ですが、eスポーツワールドカップが開催されるサウジアラビアの現地会場では、各国の選手と会えると思います。会ってみたい、または話してみたい選手はいますか。

title:Setsuko(NAのトッププレイヤー)とBinteum(KORのトッププレイヤー)の二人と直接会ってみたいですね。Setsukoは昔からファンですし、Binteumはスクリムなどで日本のことを気にかけて誘ってくれる選手です。APAC地域のスクリムをまとめてくれて、すごく助けられていますし個人的にはライバルだと思っています。

kes:Dishsoap(NAのトッププレイヤー)から直接(黄身を通じて)サインを貰っているくらいのファンなので、Dishsoapと会いたいですね。あとは韓国のプレイヤーのCosmoやsCsCやBinteumはNAサーバーのフレンドなんですが、DiscordでDMのやり取りもしていて。韓国チームにはフレンドリーな選手が多いので会って話がしたいですね。

──ありがとうございます。ZETA DIVISIONの二人の活躍を楽しみにしています!

《黄身》

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