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世界王者 summertimer × たぬき忍者 TFT対談「TFTって、どこが面白いの?」トッププレイヤーが語る、今さら聞けない魅力と上達のポイント

ZETA DIVISION所属のsummertimer選手と、げまげまのたぬき忍者さんが『TFT』の魅力から上達の秘訣、そして初心者のためのアドバイスまで、さまざまなトークを繰り広げました。

ハル飯田

ハル飯田

7月13日(日)に行われた『チームファイト タクティクス』の国際大会「Cyber City Tactician's Crown」でZETA DIVISION所属のsummertimer選手が優勝を収め、日本人としては2人目の世界チャンピオンの座に輝きました。

今回はそんな世界王者となったばかりのsummertimer選手と、チャレンジャーランクの腕前で自身も大会へ出場しながら、2025年2月にはストリーマー大会「たぬきファイトタクティクス」も主催した配信者のたぬき忍者さんとの対談インタビューを実施。

『TFT』の魅力から上達の秘訣、そして初心者のためのアドバイスまで、さまざまな話題が繰り広げられた対談の模様をお届けします。


日本全体の『TFT』レベルが上がっている

――まずはお互いの印象などを聞いてみたいのですが、お二人で直接お話しされるのは初めてですか?

たぬき忍者:初めてましてですね!面識はあって、2、3回ほど同じVCにいたこともありますが、1対1で喋る機会はなかったので。

summertimer:そうですね。自分のたぬき忍者さんの印象としては「『LoL』がうまいプレイヤー」というのもありますし、最近ですと大会を目指して『TFT』を頑張っていて、すごく嬉しいです。

――summertimer選手も『LoL』はプレイされますか?

summertimer:プレイします。ランクは『TFT』ほど真剣にやったことはないんですが、試合数はそこそこ回してダイヤぐらいでした。

――では、お二人とも『LoL』『TFT』二刀流プレイヤーですね!たぬき忍者さんのsummertimer選手への印象はいかがですか?

たぬき忍者:印象と言うよりも、人づてに「summertimerは本当に天才」と、それこそ優勝する以前、一年くらい前から聞いていました。他にも「シーズン序盤のメタの理解が本当に早い」とかも聞いていて、そういう人なのかなと。

summertimer:天才かどうかはちょっと自分ではわからないですけれど(笑)。人とは考え方が違うなと思うこともあるので、そう言ってもらえて嬉しいですね。

――summertimer選手は7月に開催された世界大会「Tactician's Crown」で見事優勝を果たされました。改めまして、おめでとうございます!優勝されてから、何か変化はありましたか?

summertimer:特に普段とは変わりませんが、ZETA DIVISIONに加入するにあたって「大会で結果を残したい」という目標を持っていたので、それが達成できた今は新たな目標を見つけていきたいと考えています。

一時は下位に沈むも、後半戦で一気に盛り返しての逆転優勝となった

――優勝された時の達成感はあったのでしょうか。

summertimer:その場ではあまり実感が湧いてこなかったんですが、じわじわと感じ始めていますね。周りから祝ってもらって「優勝したんだな」という感覚になってくるような。

――たぬき忍者さんの大会をご覧になった感想はいかがでしたか。

たぬき忍者:大会はどのプレイヤーもあまりに上手いので、自分のレベルでは誰が勝つのか本当にわからなくて「え、ほんとに勝てんの!?」みたいな、驚きの気持ちで観ていました(笑)

最後の試合でもsummertimer選手が最初のオーグメントで「ラピッドファイアの紋章」を取って、自分「それでどうやって1位を取るの?」って思ったし、他の人もそんなリアクションだったんですが、そこからラピッドファイア6に行くわけでもなく優勝しちゃったんですよね。……でしたよね?

summertimer:そうです。確か左のオーグメントには「特性系が出る」予告があって、他の候補に並んでいるオーグメントも1位を取れるようなものじゃなかったので、自分はあの時点でラピッドファイアの紋章をリロールして事故ってしまったら絶対1位は取れないと思ったんですよ。それなら「紋章を取って二手目以降の強いオーグメントを受け入れられる形にして、最終的にブームボットで良いや」っていう考えが自分の中でありました。

たぬき忍者:はいはい、確かに! 紋章を取った時点で、シナジー6を目指さずに進行で使いつつ最後ブームボットに行くプランだったんですね。

summertimer:そうですね。2つ目のオーグメントで、強いと言われている「ゴーレム化」と「先見性」と「特性トラッカー」の3つどれかが提示された時に全部の受けがあると思ったんですよ。先見性はLv9行ってブームボット、特性トラッカーならエグゾティック、ゴーレム化ならレネクトンのラビットファイア6で戦える……という感じで。普通のラピッドファイア6は考えてなかったです。

たぬき忍者:そうですよね。あー、流石に自分も普通のラピッドファイア6じゃないんだろうとは思って観ていましたけど、すごく「なるほど!」ですね。

最終的にブームボット構成となり、ラピッドファイアの紋章はガレンへ

――summertimer選手は2度世界を制しているtitle選手に続き、日本人2人目の世界王者となりました。なぜ、こんなに日本のTFTプレイヤーは大会で結果を残せているのでしょうか。

summertimer:titleがダントツで一番上手いっていうのはもちろんありますけど、普段からチャレンジャーのプレイヤー同士で情報交換できているのは大きいのかなと思います。上手いプレイヤーはやっぱり「この構成が強いね」「このオーグメントが強いよね」って情報交換しているイメージがありますね。あと、最近は日本全体でレベルも上がってきたのかなという印象があります。

ふたりが考える「TFTの魅力」と「実力が出るポイント」

――最初の対談テーマとして「『TFT』のどんなところに魅力を感じるのか」を伺いたいです。それこそ情報交換をするのも楽しみのひとつではあると思いますが、お二人の考えはいかがでしょうか。

たぬき忍者:『TFT』は運の要素があって自分よりも強いプレイヤー相手にも勝てるチャンスがあるところが気に入っていますし、それでいて何戦かプレイすれば実力の差が完全に現れるんです。その運と実力の塩梅がめちゃくちゃ絶妙だなと思っているので、そこが一番の魅力ですね。

あともう一つあるとしたら、4ヶ月ごとに「セット」が変わって、コマが新しくなるだけでなく根本的にいろいろな変更が入るんですよ。セットごとで理解が深まると最初とか全然プレイが変わりますし、そこで成長を実感しやすいんですよね。他のゲームだと多少の変更が入ってもマンネリ化してきて成長を感じるのが難しくなっていくと思うんですけど、『TFT』は4ヶ月ごとに成長を感じる機会があって、プレイしてて楽しいです。

――summertimer選手はいかがですか?

summertimer:『TFT』というゲーム自体が面白いんですけど、オーグメントやシナジーの組み合わせ、あとはこのセット15ですと駒に「パワースナックス」を与えてパワーアップさせる要素があって、特定の状況で狙えるとコンボみたいなものがあるんですよ。それが実現した時は気持ちいいですし、1位も取れるパワーもあって楽しいですね。

「パワースナック」は与えた駒を強化するセット15ならではの要素。提示される3つの候補は連続では登場しないため、複数個を使用することで狙ったパワーアップを取りやすくするテクニックも

個人的にはソロでプレイするゲームなので「負けたら自分の責任」で、味方に左右されることもなく気軽にできるのも魅力の一つだと考えています。

――『TFT』にハマったタイミングやきっかけは覚えていますか?

たぬき忍者:自分はセット1からプレイしていますし、もともとオートチェス系ゲームをプレイしていて、「知らなかったジャンルだけど、プレイしてみたらすごくおもしろい!」って感覚だったのを覚えています。『TFT』は『LoL』と同じクライアントで遊べてマッチングも快適で、どのセットもマスターやダイヤくらいまでランクを上げて満足する、という感じでした。

そこからさらにハマったきっかけは……ちょうど先日リバイバルされていたセット10がめちゃくちゃ好きだったからですね。BGMが陽気で楽しくて、配信外でひとりで遊んでいる時でも明るく楽しい気分になれましたし、内容もいきなり☆2の駒が出てくるみたいな派手さがあって楽しくて、そこからですね。

――確かにセット10はシナジーごとに曲が変わるギミックなどもあって楽しかったですね。そこでより深くプレイするきっかけになったと。

たぬき忍者:そうですね。それまでは事前にプレイする構成を決めて「あーダメだった」「上手くいった」みたいな感じだったんですが、そうじゃなくて、色んな構成を見ながら“うまくできる”ようにしてみようかなと思って、プレイが変わってランクも上がりました。

summertimer:自分もセット1の頃からやっているんですけど、セット3くらいまではオフメタと言いますか、ちょっと自分なりの変な構成で1位が取れたら楽しいな、みたいな感覚でした。セット4でベタな構成に寄せた動きだったり、自分で思いついた強いと思う構成で勝ちにいく動きだったりと、自分なりの立ち回りを押し通して初めて日本サーバーのラダー1位が取れて、“LPを集めてラダーを上げる”楽しさを知って、一番ハマりましたね。

――それぞれきっかけとなったセットがあるんですね。ちなみに、単純に“好きだったセット”はありますか?

summertimer:それこそセット4と、オーグメントが初登場して新鮮だったセット6ですね。

たぬき忍者:自分はセット10以外だとセット3ですかね?ガングプランクにアイテムを持たせてウルトで一気に倒すのが好きだった記憶があります。

――懐かしいですね。メカパイロットが好きでした(笑)

たぬき忍者:じゃっさん(Jasperさん)がカイ=サにデモリッショニストの紋章を乗せて、スキルで全員スタンさせるという構成にめっちゃハマってた印象もあります(笑)

――チャレンジャーのたぬき忍者さん、そしてプロとして活躍するsummertimer選手には「TFTで実力がでるのはどんな部分か」も聞いてみたいと思います。

たぬき忍者:一番実力が出る部分ですか……。『TFT』はステージ2の間、早ければ本当にステージ2-1で構成ってだいたい決まっちゃうと思うので、そこで何を選択するのか、それとも一旦様子見るかとか、その判断はすごく実力が出るのかなと思います。

もちろんメタによってはもっと後のタイミングで決めたり途中まで二択を持ち続けたりもあるんですが、なんならステージ1で何の駒を持つかによっても選べる構成がかなり限られてきちゃうと思うので、序盤の構成選択は最初に実力が発揮されるところなのかなと。

――summertimer選手はいかがでしょうか。

summertimer:「運がいい時に1位2位を取る能力」と「運が悪い時に7位、8位を取らない能力」ですね。自分のパワースパイクのタイミングを把握しつつ他のプレイヤーをスカウティングして「今は自分の状況が悪すぎるから早めにゴールドを使って勝っておこう」という動きのように、自分が最終的に作れる盤面の着地地点を常にイメージして、一つでも順位を上げられるように動く場面で実力がかなり現れるのかなと思います。

――ちなみに、その部分で特にsummertimer選手が「強い」と思うプレイヤーは誰ですか?

summertimer:titleはやっぱり1位を取り切る能力が高いのかなと。同じチームですとkesも7位、8位は取らないイメージはありますね。

「たぬきファイトタクティクス」を経て、今が“始めやすい”時期!

――そんなtitle選手の活躍に加えて今回のsummertimer選手の優勝もあり、日本の『TFT』シーンも一段と盛り上がってきているなと思います。そして、そんな盛り上がりに一役買っているのがたぬき忍者さんで、昨年末にはストリーマー大会「たぬきファイトタクティクス」も開催されました。改めて、イベント開催の経緯や背景を教えていただけますか?

たぬき忍者:理由のひとつはめっちゃ単純で、本当に自分が一番ハマっていてLPもかなり高くまでいけたタイミングだったので「やる気がすごくあった」んですよ。自分は正直に言って大会とかイベントみたいな小難しいことを開催するタイプの人間じゃないんですが、せっかくやる気になったんだからやってみようと、黄身さんやマネージャーさんに相談して、協力していただいたおかげもあって実現できました。

あと理由がもう一つあります。黄身(@kimi1211)さんが開催している「鰹節杯」を見て「TFTを始めました」という人が自分のTFT配信にも結構来てくれたんです。『LoL』でも大会やイベントを見て始める人が多いのは感じていたので、それも狙いでしたね。

――「たぬきファイトタクティクス」は初心者と中級者でチームを組み、上級者のコーチが教えるという仕組みもユニークでした。反響はいかがでしたか?

たぬき忍者:やっぱり「大会見て始めました」っていう声はめちゃくちゃあって、やって良かったなとすごく思いましたね。

――ゼロから始めた方以外にも「プレイしたことはあったけど、もう1回やってみることにしました」という方も多かった印象です。もし次回のイベントがあると仮定して、やってみたいことなどはありますか?

たぬき忍者:またやりたいなとはすごく思っているんですけど、今は『LoL』も含めて本当に色々なイベントがあるので、良い時期を探っています。ただ、次があったら反省は生かしつつ、初心者ガイドも含めてある程度は同じようにやりたいかもしれないです。

――そんなイベントの効果もあり、日本の『TFT』プレイヤーもかなり盛り上がっているのかなと感じるのですが、たぬき忍者さんの視点からはいかがですか?

たぬき忍者:先日のセット15が始まったので盛り上がりは感じますし、すごく情報が集まってくるのが早いと思いますね。1日経ったらまた違う構成の情報が来て「急げ急げ!こっちだ」みたいな感じでそれが流行っていて、かなりプレイされているのかなと。

――summertimer選手にも伺います。プロの目線から見て日本の『TFT』の変化や盛り上がりを感じる部分はありますか?

summertimer:それこそ「ファイトタクティクス」や「ZETA FIGHT ARENA」など、『TFT』のイベントが開催されているおかげで、ジャンル全体で配信の視聴者数はかなり増えたなと感じてますね。

――配信を見ている人も多くは「自分のプレイに生かそう」という目線もあると思われますし、たぬき忍者さんのお話にあったように情報感度はプレイしていてもすごく上がっているように思います。話題の構成は必ず誰かがプレイしていますよね。

たぬき忍者:そうですよね。ちょうど昨日、GP(ガングプランク)の「伸びる腕」パワーアップを使った構成の情報を見たんですが、流行り始めなのに「ゴールド帯の試合でGPを4人で奪い合った」という話も聞いて、日本のプレイヤーの情報収集の早さを感じました。

――お二人は、『TFT』がさらに盛り上がるには何が必要だと思いますか?

たぬき忍者:うーん、正直に言って国内のTFT界隈の人たちはすでにめっちゃ頑張っていると思うんですよね。情報を出す人たちもそうですし、黄身さんを始めとして配信者大会ではなく誰でも参加できる大会もかなりの頻度で開かれていると思いますので、これ以上何かと言うと難しいかな……。

――裏を返せば、盛り上がりに必要な素材はすでに揃ってるように感じられているということですね。

たぬき忍者:そうですね。日本の方が作ってくれているサイトも情報がすごくて、例えば「TFTips」などには解説がめちゃくちゃ細かく書かれていますし、titleさんの構成ガイドもあって「こう進行すれば良いよ」とわかるので、サポートがすごいですよね。SNSでも「この配置が良いですよ」とか「この構成のポイントはこれです」とか、めっちゃ発信されているじゃないですか。

引用元:https://tftips.app/

――そう考えると「今はめちゃくちゃ始めやすい」ということをもっと知ってもらうべき、というのが今後のポイントかもしれません。

たぬき忍者:外から呼び込む方法がやっぱ欲しいのかなって感じはしますね。『TFT』プレイヤー界の中でやっている努力は「そんなに?」というくらいなので。

summertimer:そうですね。僕もたぬき忍者さんが言うように、日本語のサイトまでできて、情報が集めやすい環境になってきているとは感じます。なので「知識がなくて始められない」よりも「きっかけがないから始めない人」が多いと思っていて、最近だと「The k4sen」を見て『LoL』プレイヤーの方が増えたように、ストリーマーを絡めたイベントはきっかけになると思います。

それこそ最近『LoL』を始めた方に、同じクライアントで遊べる「息抜き」くらいの気持ちでプレイしてもらえたら良いなと思いますね。

TFT上達の秘訣と「スランプとの向き合い方」は?

――summertimer選手は「ZETA FIGHT ARENA」でコーチの立場も経験されていましたが、自分でプレイするのとはまた違った感覚でしたか?

summertimer:初心者へ教えたことがなかったので、難しかったですね(笑)。あと、イベントをやるならセットが始まったタイミングが良いのかなとも思いました。セット中盤~終盤だと、セットの切り替わりが近くて、せっかく覚えたことがリセットされてしまう感覚になりますよね。できるだけコーチング内容を長く生かせるタイミングの方が、その後も継続してプレイしてもらいやすいかもしれません。

――なるほど、それは確かにありそうですね。

summertimer:今はセット15がスタートしたばかりなので、興味を持ってもらえたのなら始めてほしいタイミングでもありますね。

――お二人の話を総合しても、今は情報が揃っていてなおかつタイミング的にも始めやすい時期ということがわかりますね。ただ、『TFT』は覚えることが多くて少しハードルが高く感じられているのかなとも思うのですが、もし「今始めたばかりの初心者」の方に「これだけは覚えておくと得だよ」という最低限のアドバイスをするとしたら、どんな内容になるでしょうか。

たぬき忍者: うわー、めっちゃポンポンポンって言えるんですけど、一つに絞るのは難しいですね。まず「お金の貯め方」だけは知っておかないと、高い駒を買うどころかレベルすら上げられない状態になっちゃうので、それですかね。

50ゴールドまで貯めて利子を最大まで生かしたり、ボーナスのために連勝・連敗をキープしたりというのも重要なテクニック

次は「ステージ2-1でレベルを上げる」みたいな「どのタイミングでお金を使うか」の定石を知っていれば、あとは統計サイトを見ながらなんとかプレイできるんじゃないかなという感じです。

――初歩的なところですが、無駄のないゴールドの貯め方・使い方を知らなければ統計も生かしづらいですよね。

たぬき忍者:そうですね。

summertimer:自分も同じくお金の使い方と、付け足すなら「基本的な配置」と「アイテムの作り方」ですかね。今は素材を右クリックすればアイテムの組み合わせが確認できるので、それを頭に入れておけば構成ガイドなどを見た時に何が必要なのか理解できて、アイテムが余っちゃうことが減ると思います。

基本的な配置についても「レンジのキャリーは一番後ろの端に置いて、その前のちょっと内側にメインタンクを置く」くらいのことですね。たまに初心者の方の画面を見ると三列目にキャリーを置いてしまったり真ん中に全員集めてしまっていたりするので、それは意外と知られていなくて大事なことかなと。

――そこからステップアップして中級者くらいの方がさらに上達するためのポイントも聞いてみたいです。世界チャンピオンであるsummertimer選手の考えをぜひ教えていただけますか。

summertimer:『TFT』上達のために一番重要なことは知識だと思います。「知らなかったから負けた」ということがないように、自分の使ってるシナジーや駒、オーグメントの説明を頭に入るまで読むことは大事ですね。

あとは自分が「この構成をやろう」と決めたとしたら、試合全体での流れをイメージしながらプレイするのは大事なのかなと思います。

――たぬき忍者さんは自身の経験からどんなところがポイントだと考えていますか?

たぬき忍者:なんだか根性論みたいになってしまうんですけど、どのゲームでも「上手くなろう」と思うことが結構重要だと思っています。自分も最初の頃はマスターぐらいまでやっていたという話もしましたけど、そこから上手くプレイするためにちゃんと考えるようにしたらランクも上がったので、その意識も切り替えがポイントかなと思いますね。

あとテクニックのようなことでしたら、自分はランクを上げるためにオーグメントのティアを統計データとにらめっこして全部覚えました。タイミングによっては統計がなくて上手い人が作成したティア表とかが資料になるかもしれませんけど、説明も見ながらそれを覚えて「オーグメントを選ぶのが他の人よりも得意になる」ことが良いのかなとは少し思いますね。

――summertimer選手に冒頭でお話していただいた世界大会でのオーグメント選びに通じるものがありますね。ただ、時にはどうしても上手くいかない時期に直面することもあると思います。勝てない時期やスランプとの向き合い方はどうでしょうか?

summertimer:自分はもう「勝てるようになるまで回す」ですね。負けてるということは、自分の立ち回りに何かしら悪い部分があるということなんです。それはアイテムの作り方だったり、お金の使い方だったり、オーグメントの選択だったりするので、それを見直しますね。

どうしても原因がわからない時は上手い人、勝っている人の配信を見て「自分のプレイと何が違うのか」を一旦考えてみますね。

――考えることと実行に移すことを重要視されているんですね。では「負けたし寝る!」みたいなことはあまりないタイプでしょうか(笑)

summertimer:そうですね。もちろん睡眠が足りていなくて負けてると判断したら寝るんですけど(笑)。1日通して負け続けている時とかは何かしら悪い点があるはずなので、そういう時は自分のプレイを見直すようにしています。

たぬき忍者:自分の場合は失敗したなと思う時を振り返ってみると、自分で「こういう条件でなければやらない」と決めたはずのことを無視してしまっていることが多いんですよね。なので「この駒が何枚あったら行く」「このアイテムがあるからやる」という構成の条件を思い出して、それでも上手くいかないのならその条件を自分の中で作り直しますね。

自分がプレイする構成を補助してくれる「チームプランナー」もゲーム内に実装

――なるほど、やはりプレイを振り返ってみるというのは共通ですね。

たぬき忍者:あと、睡眠については「ちゃんと寝てからやった方がいい」と自分は思います。自分は『VALORANT』で高ランクを目指す企画をやっていたことがあって、その時は1日に10時間、30日間で合計300時間ぐらいプレイしていたんですけど、プラチナくらいでランクが止まって上がらなくなって終わったたんですよね。

ただ、企画が終わった後に休み休みで2~3時間ぐらいプレイするようになったらスッとランクが上がっていったんで、「めちゃめちゃ休憩って重要なんだ」と感じましたね。ここは人にもよる部分とは思いますし、休憩取りつつなら長くやっても大丈夫だと思うんですけど、根を詰めすぎても良くないよとは正直感じます。『LoL』でも長時間続けていてランクが上がることってあんまり経験がないので。

――ちなみに、EWCでの『TFT』や、イベントでは個人戦ではないチーム戦での対戦という特殊なルールも登場しますよね。一般プレイヤーもダブルアップでは2人チームでの対戦が楽しめますが、実際にプレイされてみて普段とはどんな点が違っていて難しいのでしょうか。

たぬき忍者:「たぬきファイトタクティクス」では個人戦と同じような感覚で、なおかつ友達と一緒に楽しくやれるだろうと2人1組の対戦にしたんですけど、ぶっちゃけて言うと自分はあまりチーム戦は好きじゃないですね(笑)。やっぱりチームメイトと被らないように構成を選択するのって結構難しいと思いますし、2人1組ならまだしも、4人チームだとかなりゲーム性が違ってくると思います。

summertimer:その通りですね。4対4になると味方3人のことも考えないといけないし、もちろん相手の4人のことも考えないといけないので、考えることが何倍にも膨れ上がる感覚です。実際にやってみると、情報共有するにしても必要な情報かどうかを整理しなければいけなくて、めちゃくちゃ難しいなと感じましたね。

――それでは最後にお二人の今後の目標をそれぞれ聞いてみたいと思います。競技シーンや配信活動などさまざまあると思いますが、

たぬき忍者: 目標として『TFT』を盛り上げたい気持ちはあります。ただ、なんでもできるタイプではないので自分なりに頑張っていこうと思っていて、普段から『TFT』の配信をやりつつ、公式大会「Tactician Trials」にも出場しようと考えています。

やっぱり大会に出るとなると『LoL』視聴者の人も配信を見に来てくれるんじゃないかなと思うので、そこは外から呼び込むことが必要という点でも重要かなと。前回は1回しか参加できなかったので、今後はもっと参加して『TFT』に注目を集められたらなと思います。

――ありがとうございます。そしてsummertimer選手は冒頭で今後の目標についてゆっくり考えていきたいというコメントもありましたが、ぜひ活動に向けての意気込みなどをお聞かせください。

summertimer:もちろん競技シーンを引き続き頑張っていきますが、新たな目標を見つけるまでは、とりあえず「『TFT』を楽しむ」ことを忘れずに行こうかなと思っています。気が向いたら配信もやろうと思っていますので、見に来てもらえたら嬉しいです。

――やはり常に真剣にプレイし続けていると、楽しみを忘れてしまって離れたくなることもありますか。

summertimer:結構ありますね(笑)。自分はいつもセットを2~3ヶ月やり込むと結構満足しちゃって、他のゲームで息抜きしたり、別のことを始めたりするんですけど、そこは自分のペースで楽しみながら頑張っていきたいなと思います。

――ありがとうございます。それでは締めに読者の方へのメッセージをお願いいたします。『TFT』プレイヤーの方、そしてもしかしたらこの記事を読んで新たに『TFT』を始めてみようかなという方もいらっしゃるかもしれませんので、ぜひ呼びかけていただければと。

たぬき忍者:そうですね、最近は自分もイベントに向けて『LoL』に取り組んでいましたが、もちろん『TFT』も頑張っていきたいと思ってるので、これからも一緒に盛り上げていきましょう! ……みたいな感じで大丈夫ですか?

――ばっちりです! ではsummertimer選手もお願いします。

summertimer:はい。まずは最後まで記事を読んでくださり、ありがとうございます。今はセット15も始まったばかりで、新しく覚えたことを長く生かせる、初心者の方も始めやすいタイミングだと思います。

TFTipsなど日本語で情報が見られるサイトもたくさんあるので、そこで情報を調べて、そしてtitleの構成ガイドを見て、プレイしてみてもらえたらと思います!

――ちなみに、セット15の印象も一言ずついただけますか?

summertimer:パワースナックという要素は楽しいんですけど、ちょっと操作量が多くて大変だなという印象はありますね。

たぬき忍者:セット15そのものの印象ではないんですけど、新しく駒ごとに「ファイター」や「タンク」といったロールに応じてマナの増え方やアイテムの効果も整理されて、すごく良い変更が入ったセットだと思います。パワースナックも気軽に使えて、すごく楽しいセットだなと。

――やっぱり楽しいセットになりそうですね。新しくプレイする方も増えることを期待しています。本日はありがとうございました!

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