VALORANT Challengers Japan 2023のFENNELは、当時絶好調だったCrazy Raccoonをマップスコア3-0と圧倒的な強さを見せたSplit 1優勝の一方で、Split 2ではLower Bracket FinalでSCARZに1-3で敗北。Ascensionトーナメントへの出場を逃すという悔しい思いをしました。
そして2024年、3月に名古屋で行われたSplit 1 Playoff Finalsでは、Lower Bracket FinalでSengoku Gamingに、Grand FinalでREJECTにどちらもマップスコア3-2で辛勝。両試合共に多くのオーバータイムを重ね、合計255ラウンドをプレイするという凄まじい2日間を経て、昨年と同じくSplit 1での優勝を手にしました。
本稿では、チームのリーダーであるCLZ選手へのインタビューをお届けします。Split 1決勝戦で得たものや、Split 2へ向けた練習内容のほか、新たに加入が発表されたTENNN選手への印象、そしてインターナショナルリーグへの想いを伺いました。
◆Split 1決勝戦は経験として“最大値”得られた
――よろしくお願いします。改めて、Split 1はどのような期間だったと振り返りますか?
CLZ:当初Split 1は僕らにとって“通過点”でしかないと思っていました。でも多くのファンの皆さんがオフラインやチアパに来て応援してくれて、勝ちを重ねるごとに「負けられない」と思うようになりました。
――レギュラーシーズンについてはいかがですか?
CLZ:めちゃめちゃタフでした。結果的に勝てても、多くのマップがオーバータイムとなり、マップ数も重ねてしまい、ギリギリな試合が多いシーズンでした。
――そのなかでも特に決勝戦(対REJECT)は凄まじい試合内容でしたね。
CLZ:決勝戦はさまざまなプレッシャーを背負いながらも優勝することができました。圧勝ではなく、負けそうになったうえで勝てたことは本当に大きな収穫です。経験としては最大値を得られたと思います。
――FENNELは昨年、Split 1で優勝し、Split 2では惜しくも優勝を逃してしまいました。奇しくも今同じ状況ですね……?
CLZ:本当にその通りで、今年も同じ状況になろうとしています(笑)。個人的にプレッシャーが上乗せされた感じです。本当に去年の二の舞にはならないように勝ち切りたいと思います。
――Split 1終了時での課題は、どのようなものがありましたか?
CLZ:優勝できたものの、前述の通り“ギリギリの試合”になることが多く、それは僕たちの細かいミスがあったかと思っています。そこを修正さえすれば、Split 2では圧倒できると思っています。
――Split 2に向けてなにを重点的に練習していますか?
CLZ:いろんな形のチームがあるなかで、大きくわけて作戦を重視するか、連携を重視するか、2つあると思っています。僕たちの場合は、連携(ミクロ)をとにかく良くする練習をしています。
――具体的にはどのような練習をされてるんでしょう。
CLZ:世界のトップチームを参考にしつつ、という感じです。例えばFnaticは特に連携ミスが少ないチームだと思っています。でもFnaticも最近負けてしまっていて、逆に個人技を押し付けていくタイプのチームが勝っている印象もあります。僕が信じてきたモノが崩れ始めているのかもしれませんが、連携が大事だと信じて頑張っています。
――正直、FENNELも個人が破壊するシーンも多い印象があります。
CLZ:そうですね(笑)しかし安定して勝つには連携が上手くある必要があります。
――Split 2で特にライバル視しているチームなどはありますか?
CLZ:REJECTとSengoku Gamingですね。両チームは別軸で同じくらい強いチームだと思っています。個人技で勝てるような相手とも思っていないし、僕たちが負けるとも思っていません。Split 1から2までの練習の質次第だと思います。
◆今は「誰が残ってもワンチャンスある」チームに
――TENNN選手の加入には驚かされました。どのような経緯があったのでしょう。
CLZ:僕らの目標はSplit 2に勝つだけでなく、Ascensionで優勝し、そのうえでPacificリーグで勝っていくことにあります。プロの世界なので選手補強をする判断も致し方ないところがあり、ベストな選択肢を模索しての判断でした。
――TENNN選手のインゲームでの印象はいかがでしょう。
CLZ:今はTENNNさんにこれまでにやったことのないエージェントをプレイしてもらっています。最初は「やったことないから不安」と言っていましたが、めちゃめちゃ上手く使えています。やはりリーグでプレイしていた力強さ、根の強さみたいなものもエイムから感じます。置きエイムなども安心して倒してくれるので「さすがだな」と思いますね。
――TENNN選手はサイファーを使うと伺いましたが……。
CLZ:サイファーはキルジョイに比べて選手の色が出やすいです。ケージがとにかく強くて、どんなシチュエーションでもワンピックをとったり引いたりできるスキルです。センチネルというロールですが、パワーのある選手が使うと当てはまります。世界的にもGen.GのMeteor選手とかが強気の勝負で戦ってます。僕としてはぴったりとハマっている印象です。
――連携面などではいかがですか?
CLZ:カチッとハマっていますね。僕らに合わせてプレイしてくれている面もあると思いますが、適応が早くて助かっています。
――TENNN選手の加入によってチームはどのように変化しましたか?
CLZ:TENNNさんが入ったことで全体的な火力が上がりました。今は誰が生き残ってもワンチャンスあるチームですね。
――ゲーム以外の面でTENNN選手はどんな人柄ですか?
CLZ:気さくな方で、僕はすぐ仲良くなれました。あとGONがTENNNさんに遊びに誘っても断られるか無視されています(笑)。僕や他のメンバーが誘ったら遊んでくれるんですけどね(笑)
――GON選手だけが断られるんですね(笑)
CLZ:GONだけが無視されるのがめっちゃ面白いです(笑)
◆インターナショナルリーグに対する想い
――CLZ選手自身、一人の『VALORANT』競技者としてどのような目標を持っていますか?
CLZ:理想を言うと、今のチームでSplit 2を戦いきり、Ascensionも優勝してPacificリーグへ行くことです。僕はこれまで「チームでインターンショナルリーグへに行きたい」という強い思いを持っていました。ずっとメンバーを変えずにプレイしていたいと思っていたんです。でもやはりそう上手くはいかないというか、各々の感情や機会、さまざまな要因があって、僕がどれだけ同じメンバーでプレイしたいと思っていても、選手は替わってしまうものです。
ですが今は「そんなことは言ってられない」という気持ちに切り替わってきています。既に22歳なので、若いうちにリーグに行って、そこで結果を残したいです。今はとにかくティア1に行きたいです。
――「同じメンバーで成長していく」ことにこだわっていた理由はなんでしょう。
CLZ:理由は単純で、“連携面”です。細かい連携などはメンバーが一人違うだけでとても変わってくるものです。例えば1年間同じメンバーでプレイして、その後にメンバーが変わってしまうのはとてももったいないというか、効率が悪いと思っています。同じ5人で何年もやっていって結果を残したいなと考えていました。
――今年のSplit 1では実際に連携面のすり合わせのやり直しを実際に経験されたんですね。
CLZ:はい、2023年から一緒にやってきたSyouTaとみぞ(Xdll)の3人と新しい2人では、当たり前ですが前提として分かっていることが全然違うんです。これがそもそも非効率だと思っています。1年頑張ったものがリセットされちゃいますから。
――では最後に、改めてSplit 2への意気込みをお願いします。
CLZ:本当に「去年みたいにはなりたくない」という一心です。TENNNさんも加入して、優勝して当たり前のメンバーが揃っています。Split 2は絶対に優勝し、Ascensionも絶対に優勝します。特に今年は東京での開催ということで、他国の環境でプレイする不安もないので、余計に「勝つしかない」という気持ちです!
「誰が残ってもワンチャンスある」や「優勝して当たり前のメンバー」などの口ぶりからは、チームメンバーに対する絶対的な信頼を感じます。昨年と同じ状況というプレッシャーをはねのけて、FENNEL・CLZ選手はSplit 2の優勝だけでなく、インターナショナルリーグへの昇格をかけたAscensionの優勝を目指します。
VALORANT Challengers 2024 Split 2 Main Stageは5月20日(月)より開幕。FENNELは5月21日(火)に、VARRELとの初戦に挑みます。