
- VALORANT
- インタビュー
8月23、24日に京王アリーナTOKYOで開催される『VALORANT』の国内大会「VALORANT Challengers Japan 2025」。前回大会「Split 2」で公式スペシャルサポーターを務めた手越祐也さんが、「Split 3」でも続投することが決定しました。
手越さん続投のニュースを受け、FISTBUMPでは前回に引き続き、インタビューを実施。あふれんばかりの『VALORANT』愛を披露し、ゲーマーやeスポーツファンを驚かせた前回のインタビューからさらに掘り下げつつも、アーティストとしての手越さんのファンの皆さんにも、手越さんがこれほどまで魅了されている『VALORANT』の世界をもっと知っていただけるよう、色々と語っていただきました。FISTBUMPの読者はもちろん、ファンも必見です!
――前回、公式スペシャルサポーター就任時のインタビューでしたが、実際にお仕事をしてみていかがでしたか。
手越:めっちゃ楽しいですね!自分がプライベートで好きなことをお仕事として公式で関われるのってすごく幸せだし、普段から試合も観戦して、プレイもしてるから改めてそんなに勉強することがないのもいいですよね。あとは選手ブースとかステージに出る直前のコーチ陣とチームメンバーで話してる様子とか、そういう裏側も見れたのがよかったです。
――当日は、会場で観戦する手越さんの様子を配信する「ウォッチパーティ」もしていましたよね。
手越:そうですね、普段の『VALORANT』好きな僕の様子をずっと垂れ流して映してもらってる感じで、僕としてもただただ楽しかったです。昔から自分が使ってるエージェント(キャラクター)的にも僕はDetonatioN FocusMeのMeiy選手が好きなので、彼がウォッチパーティに来てくれたときは嬉しかったですよ。「(配信で)僕がずっと見てる人だ~」って(笑)。彼は本当に世界レベルのプロゲーマーだと思います。
――改めて、手越さんから『VALORANT』を知らない人に向けて、「こんなゲームだよ」、「ここが面白いよ」という説明をお願いできますか?
手越:まず『VALORANT』は5人1組のチームで武器やスキルを使って戦って、「13ラウンド」を先に取った方の勝ちというゲームです。時限爆弾を設置するのが「攻撃側」、それを阻止するのが「守備側」の目標になってるんです。
戦う場所のマップが何種類かあって「ここの範囲内に爆弾を設置してくださいね」っていうエリアがいくつかあるんですけど、面白いなって思うのは、爆弾の設置が完了した瞬間に攻守が逆転するところです。守備側は、爆弾を解除するために攻撃を始めなきゃいけないんですよね。逆に攻撃側は爆弾が解除されないように、今度は守備をするんです。
だいたいのFPS(シューティングゲーム)って相手を全滅させることが目的の場合が多いんですけど、『VALORANT』は1回のラウンドのなかで攻守が入れ替わるっていうのが他のゲームにはない面白さで魅力だと思います。
――その『VALORANT』を通じて世界チャンピオンを目指す「eスポーツ」についても、日本ではまだなじみのない人が多いかもしれません。プロゲーマーや競技シーンについて、手越さんはどう捉えていますか。
手越:もうeスポーツはオリンピック競技にもなるじゃないですか。僕らが子どものころのゲームって遊びでしかなかったけど、サッカー選手や野球選手が身体や心のコンディションを整えつつテクニックを磨き続けてご飯を食べてるように、いまやeスポーツもそれと肩を並べるような世界になってると思います。
世界の色々な企業や団体がトッププレーヤーと契約して自分でチームを持ってたりとか、もちろん球団とかテレビ局とかも参入してるし、eスポーツは右肩上がりになるしかない。プロゲーマーはそういう環境のなかで世界を飛び回って戦ってるんだから、本当にスポーツ選手と一緒ですよね。自分の生まれ育った国ではないところで選手と苦楽をともにし、お金も稼いでっていう。そこに対してファンがたくさんいて熱狂してっていうのは、もうほかのスポーツと変わらないですよね。
――今回、手越さんがショーマッチに出場することが発表されました。ツアーでお忙しいと伺っていますが、スケジュールの合間に効率的にやれる手越さんならでは練習方法があれば教えてください。
手越:やっぱり“プロの試合を観る”ことじゃないですかね。ゲームをプレイをするには時間も場所も確保しなきゃいけないんすけど、試合の動画なら移動中にも観られるので。撃つときの武器の動かし方とかキャラコン(キャラクターコントロール)とかって、試合を観てる人と観てない人で差がつくと思うんですよ。サッカーでも、試合を観戦してドリブルの姿勢とかを研究してる人とプレイしかしてない人で差がつきます。自分の頭のなかのイメージトレーニングにもなるので、“観る”ことってすごい大事だと思いますね。
――主にどんな試合をご覧になっているんでしょうか?
手越:僕は、どのスポーツでもわりと海外の方が好きなんですよ。サッカーでも、もちろんJリーグも見るけどプレミアリーグとかスペインとかいろいろ観ますし。『VALORANT』は、いまだとVCT PacificのPaper RexのPatMen選手がすごいので注目してます。
――今回のように、オフライン会場で『VALORANT』プレイするのは初めてだと思いますが、お客さんの前でプレイは緊張しますか?
手越:緊張とか僕まったくしないんで、めっちゃ楽しみです。ただ、僕がやってるYouTubeのゲームチャンネルで……あっ、これ文句じゃないですよ(笑)。「手越 GAME HOUSE」のスタジオで使ってるモニターが全然フレームレート出ないやつなんですよ。だから動きがちょっとカクついてて色も家で見てるのと若干違うし、イライラするんですよね(笑)。さすがに今回は選手が使ってるモニターだから性能の高いものだとは思うんですけど、机の高さとかの環境の違いは少し心配ですね。
――(取材日の7月28日時点では)まだメンバーは決まっていないそうですが、おそらく元プロなどの錚々たるメンバーとチームを組むことになるかと思います。プレッシャーに感じているところや楽しみなところがあれば教えてください。
手越:元プロの人ばかりと聞いているので、さすがに周りがちょっと強すぎないか、って思いますね(笑)。すごい人たちと一緒にプレイできるのは嬉しいんですけど、僕も負けず嫌いなんでね。
でも、味方も強いからと言って、ヨイショされるのも嫌なんです(笑)。だからもうイエーイって喜んだり、立ち回りでお客さんを楽しませようかなと思ってます。僕のゲームチャンネルで結構いろんなプロに遊びに来てもらって一緒にプレイしてるんですけど、やっぱり上手い人って思考回路とか、見てる場所が全然違うので、そういう指示で動くのってすごく楽しいんですよね。
――一緒にプレイされていて、プロのどういったところが、最も違うなと感じますか?
手越:このゲームって“VALORANT IQ”が超大事だと思うんですよ。僕のランクがだいたいプラチナからダイヤモンド帯なんですけど、エイムには自信があるので少し上のランクでも撃ち合いだけなら負けないなって。実際にそういう人、結構いると思うんです。
ただ、プロはゲーム理解度が全然違う。全てを俯瞰していて、今までの色んな経験のパターンが頭のなかに入りまくってるんですよね。それをキャスターのOooDaさんや岸さん、yukishiroさんとかが細かく解説してくれるじゃないすか。僕もミニマップを見ながら大会を見てるけど、あの解説陣が話す内容をゲーム中に全部は見れてないなっていつも思うんで、そこがやっぱりプロは違うなと感じますね。
――ここからはちょっと変わった質問を少しさせてください。アーティストとしてステージに立つことと、eスポーツの重要な局面でクラッチなどのスーパープレイを決める瞬間のメンタリティについて、何か共通点はあると思いますか。
手越:完全に同じだと思います。どちらも、しっかりとした練習をやっていれば本番でいいパフォーマンスが発揮できるものだと思いますし。ただ、普段と違う環境やみんなに見られてる状況で能力を発揮できる人もいれば、発揮できなくなっちゃう人もいるんです。
アーティストでも、練習まではキーも外さないし歌もいいのに本番になってキーを外しちゃう人はいるし、そういうことがやっぱりエイムでも起きるじゃないすか。普段の練習ではのびのびとプレイしてるから弾が当たるのに、本番になるとミスしてしまう。
『VALORANT』のランクでもあると思いますが、デュエリストにありがちなのが、もともとはアグレッシブに攻められるのに1回失敗しちゃうとその失敗例が頭に残って、のびのびとできなくなっちゃうこと。それはもう絶対にメンタルのせいなんですよ。アーティストのステージもeスポーツも同じで、“流れ”ってあるじゃないですか。だからそういうところで成功体験を重ねるしかないと思います。
あと、プロゲーマーでもアーティストでもそうですけど、失敗したときの誹謗中傷がとんでもないんですよね。どうしてもスランプってあると思うんですけど、それを跳ね除けるメンタリティとスランプから抜け出すための練習量によって、大一番の舞台の上で人間としての強さをいかに発揮できるかっていうのは完全に一緒ですね。
――『VALORANT』はチームゲームで味方とのコミュニケーションも重要なゲームです。手越さんは長年グループで活動したり、「手越 GAME HOUSE」のチームで動いたりされていますが、そういった経験が『VALORANT』でも活きるのでしょうか?手越さん流のチームビルディング術があれば教えてください。
手越:チームメンバーをしっかりとリスペクトしつつ、「自分が絶対エースになるんだ」っていう“個”の強さを持つことじゃないでしょうか。日本のスポーツとかチーム全般に感じるんですけど、チームを大事にするあまり“個”がなさすぎるんですよね。
海外ではどちらかというと“個”が強烈だからそれをチームに還元できる、って考え方だと思うんです。日本の選手って「いやあ、自分よりチームの活躍が」って言うけどそんなわけない。だって自分の活躍によって年俸が決まるわけだし。
謙遜するのも素晴らしいことなんですけど、そういうことを言ってる人がスーパースターになれるとは思えないんですよね、僕は。仲間だから心からリスペクトしてるけど、「このメンバーのなかで俺が一番かっこいい」、「俺が一番輝いてる」って思ってない人がちょっと多い気はします。結果的にそのモチベーションとか自分に課すハードルの低さが、チームのためになってないかなと。僕はすべてにおいてチームより“個”のほうが大事だと思ってるんで!
――ここからは、現在進行中の「VALORANT Challengers Japan」についてお聞きします。「Main Stage WEEK 2」を終え、波乱の展開が続いていますが、ここまでの戦いを振り返っていかがですか。※取材日(7月28日)時点
手越:現時点で「Season Finals」に進出が決定してるチームは、消化試合とまではいかないけど、新しいメタとか新マップ「カロード」での戦い方とかも含めて試しながらやってるから、一概に調子が悪いのかって言われると、たぶん違う気がするんですよ。
ここで絶対に勝ち上がらなきゃっていうチームからしたらなんでいま試すのかって思うかもしれないけど、それがスポーツですし、仕方ないことなので。だから負けていたとしても、RIDDLEは強いと思いますけどね。
――手越さんがいま注目しているチームや選手がいれば、ぜひ教えてください。
手越:僕の番組に来てもらった人とか、一緒にプレイしたりした人はやっぱり見ちゃいますよね。もちろんデュエリストの選手も見ますよ、自分がやるんでね。
でもどのスポーツでも、選手の人柄を知ると好きになるじゃないすか(笑)。そうなるとNOEZ FOXXのBlackWiz選手ですかね、教えてもらったし。
――BlackWiz選手って優しい方ですよね。
手越:うん、なんか、おしとやか(笑)。僕、BlackWiz選手のサイファーが好きですね。サイファーってケージの張り方とかカメラ位置も含めて、いかにいままでと違うパターンに変えて相手の嫌がることをするかっていう本当に“VALORANT IQ”が問われるエージェントだと思うんです。
『VALORANT』において、すごく嫌なことを色々やるっていうのは褒め言葉じゃないすか。あとはワンウェイの炊き方とかも「この位置からこの角度で投げるとできるのか~」とか、そういうのはBlackWiz選手の大会を見ながらもうひとつの画面で自分のゲーム画面を映して真似したりとかやってました。
――直近の手越さんの動画だと、GON選手の出演率も高くて気も合う間柄なのかなと。
手越:僕、クロスヘアとかデバイスとか、ほかのスポーツでもそうなんですけど道具にハマるタイプなので、そういう意味ではその頂点にいるのがGON選手ですよね。だから番組に来てもらったときも一緒にご飯を食べながらマウスの話とか動かし方をどうすればいいのかとか、色々教えてもらいました。一家に一台GONがいればなんでも教えてもらえます(笑)。
クロスヘアに関しては、ものすごい僕うるさいんで!(笑)
最初はyay選手の1420の小さい十字をずっと使ってて、その後に元プロゲーマーのLaz君がいいなと思って1313にして。あとは全世界で選手の使用率が一番高いドットももちろん使ったし、特殊なやつも使ったことがあります。
今は1522を使ってますね。一時期のドットメタから若干デカいのになりつつあるんですよ。僕デュエリストだからフリックが多くて、ドットだと見失うんですよ。だからデュエリストでドット使ってる人すごいなって思ってます。
――こだわりが伝わってきました!詳しくありがとうございます。では最後に改めて、8月23~24日に京王アリーナTOKYOで行われる「VALORANT Challengers Japan 2025」に向けて、手越さんなりのオフライン大会の楽しみ方があれば教えてください。
手越:僕はこの『VALORANT』のお仕事を正式にいただく前から、幕張メッセにプライベートで観に行ったりしてたんです。観戦はもちろん楽しいし、ご飯を食べたりエンタメとしてもすごくいいですよね。この前初めてちゃんと会場を回らせてもらったんですけど、チームブースに行けば有名なストリーマーや選手と交流できたりそのチームごとのグッズもあったりして、これみんな超楽しいだろうなって。
それに試合になったら、自分の推しチームが戦ってるときは、ファン同士もバチバチだったりするわけじゃないですか。そういうのもeスポーツの魅力だと思うんです。やっぱり僕としては、どちらかというと自分がステージをやったり照明や音響を演出したりする方だから、プロデュース側の目線でもすごいなと感じます。
選手が入場する演出とか煽りの映像とか、なかなかオンラインで伝えきるのが難しいぐらいの魅力がオフラインにはあるんです。あとはストリーマーとかもちろん僕もそうだけど、有名な人たちがウォッチパーティーをやってたり華やかなコスプレイヤーがいたりとかそういう要素もあるので、ゲームを知らなくても十分楽しめると思いますよ。会場のコスプレイヤー見て僕ドキドキしましたもん、男女ともに(笑)。だからひとつのエンターテインメントとして、『VALORANT』っていいなって思いますね。
<取材・執筆:スイニャン/取材・編集:松田和真/撮影:高橋 優也>