• League of Legends
  • コミュニティ

コミュニティは「戦略」―Riot Games幹部とTwitch CEOが語ったライブコミュニティの力【TGS2026】

TGS2026で、Twitch CEOのダン・クランシー氏とRiot Gamesのウェイレン・ロゼール氏が対談しました。コミュニティと配信者の役割について語られています。

岡野 朔太郎

岡野 朔太郎

2026年9月17日、東京ゲームショウ2026(TGS2026)のイベントステージにて、Twitch主催のセッション「When Your Audience Plays Back: The Power of Live Community Building~視聴者と一緒につくる:ライブコミュニティの力」が開催されました。

登壇したのは、Twitch最高経営責任者(CEO)のダン・クランシー氏。セッション後半には、Riot GamesでグローバルeスポーツおよびインターナショナルSVPを務めるウェイレン・ロゼール氏も加わり、対談形式のトークが繰り広げられました。

平均視聴時間は72分 Twitchが示したコミュニティの数字

冒頭、クランシー氏はTwitchを「コミュニティを中心に据えたライブ配信プラットフォーム」と位置づけました。ゲーム配信を起点にしながらも、その本質は配信者と視聴者が共に作り上げるコミュニティにあると説明します。

SNSが「アンチソーシャル」になりがちななか、Twitchはリアルタイムの交流を通じた深いつながりを重視しているとし、平均視聴時間は72分、「自分らしくいられる」と回答したユーザーは他SNSの2倍以上という調査データを紹介しました。

スタンミじゃぱん×トコロバも事例に

配信者発のバイラル事例としては、米配信者のMoroccan Cannon氏をめぐるクリップや、スタンミじゃぱんさんとトコロバさんの交流が生んだ人気クリップが挙げられました。さらに、音楽・スポーツ・雑談など、ゲームを超えた広がりを見せていることも強調されました。

開発者・パブリッシャー向けの施策としては、「Twitch Drops」「Twitch Extensions」といったツールを紹介。『VALORANT』の事例として、リリース日に同時視聴者170万人・総視聴3,400万時間を記録し、現在開催中のChampionsでは総視聴4,758万時間に達していることにも言及しました。

最後にブランド視点として「感情の転移」という考え方を提示。Twitchユーザーの80%がお気に入り配信者を支援するブランドを好意的に見ており、48%が配信者紹介商品を購入した経験があるというデータや、HyperX QuadCastの事例を紹介しています。

コミュニティは「戦略」そのもの

講演後半には、ロゼール氏が登壇して対談が行われました。ロゼール氏は、Twitchの前身であるJustin.tv時代からのユーザーだと明かしています。

ロゼール氏は、Riot Gamesにとってコミュニティはあらゆる取り組みの中心にあると述べました。「『リーグ・オブ・レジェンド』をプレイしている」という状態から、「自分は『リーグ・オブ・レジェンド』プレイヤーだ」というアイデンティティの一部と言えるレベルまでプレイヤーを引き上げることが、生涯にわたる関係構築につながるとし、それを可能にするのが「居場所の感覚」だと説明。

そうした感覚を得たプレイヤーは、単なる利用者ではなく共創者になっていくとも述べ、「Riot Gamesのパブリッシング部門では、コミュニティを『戦略』そのものと位置づけている」と語りました。

Twitchについては、「単に配信を見に行く場所ではなく、何かの一部になるために行く場所」だとし、プレイヤーコミュニティはゲームとTwitch、YouTubeなどを自由に行き来していると指摘。Riot Gamesのミッションが「プレイヤーに尽くすこと」である以上、それは自社サービスの中だけで完結してはならず、その意味でTwitchは重要なパートナーだと述べました。

配信者は「今日の放送局」

クリエイター(配信者)については、eスポーツにおいて今や顔とも言える存在であり、「今日の放送局」だと表現しました。

かつては存在しなかったウォッチパーティも、『VALORANT』では早い段階から本格的に取り入れており、実際に『VALORANT』のeスポーツファンの半数以上が配信者を通じて観戦しているといいます。配信者は今やライブイベントを自ら主催したり、eスポーツチームのオーナーになったりする存在にもなっており、コミュニティのつながりの起点として、プレイヤー同士が友人になるきっかけを作っていると語りました。

『VALORANT』立ち上げの舞台裏

『VALORANT』のローンチについても振り返りがありました。

競争の激しいシューティングゲーム市場に新規参入するにあたり、配信者を通じて本物の体験を届けることを選んだと説明。Twitch Dropsを活用し、当時最も価値のあった商品とも言えるクローズドベータへのアクセス権を、配信者の視聴と引き換えに提供する形を取りました。この経験が、後のコストリーミングや、プレイヤーがゲーム内の展開を予測して楽しむインタラクティブ機能「Shotcall」の導入にもつながったといいます。

『VALORANT』が「フォーエバーゲーム(長く遊ばれ続けるタイトル)」になる確信があったかを問われたロゼール氏は、「完全な確信などない」としつつ、プレイヤーが求めているのはハイもローもある体験であり、友人が見守るなかでクラッチプレイを決める「『VALORANT』モーメント」こそがその核にあると分析しました。

プレイヤーが「単なるプレイヤー」から「共に作り上げる当事者」に変わったとき、それは一生続く投資のような感覚になるとし、自身も今なお『VALORANT』をプレイし続けていると語りました。

AIと、それでも変わらない「人とのつながり」

最後の話題はAIについてでした。

ロゼール氏は、「AIが何をもたらすか」よりも「AIが人間や社会にどう作用するか」を問うべきだとしたうえで、デジタル化・AI化が進むほど、人はより本物の、そしてライブでの人とのつながりを求めるようになるだろうという見方を示しました。

例として、韓国の「PCバン(ネットカフェ)」のように人々が実際に集う場や、オンラインコミュニティがやがてライブイベントという現実の場に人々を連れ出す現象を挙げ、AIも本来は人と人をつなげ、つながりを保つためのツールとして機能してほしいと述べました。

技術がどう変わろうと、人間の根本的なニーズは変わらない。それが対談を締めくくるメッセージとなりました。

<撮影:松田和真>

SPECIAL CONTENTS ここだけの特別な記事