Pacificの大躍進はMasters Torontoでも止まらず、Paper Rexの優勝をもってPacific地域はVCT国際大会3連覇という記録を打ち立てました。
同じく今年Masters初優勝を成し遂げたT1とのVCT Pacific Stage 2初戦を勝利で飾ったPRXより、alecksコーチとd4v41選手にmindfreak選手の脱退について、そして念願のトロフィーを手にした感想について伺いました。
◆優勝した後は「どうすればいいかわからなかった」
――今日の試合の感想をお願いします。
alecks:T1とはChampionship Pointで接戦なので、今日の勝利はかなり大きいと思います。かなりの接戦でしたが、試合を決めきれないのがチームの課題でもあったので、今日はうまくいったと思います。
d4v41:1マップ目はT1にかなり盛り返されて緊張感がありましたね。チームのコンディションとしてもあまり良くはありませんでしたが、それでも高いパフォーマンスが発揮できていたと思います。
――Masters Torontoでの優勝でPRXは1つ大きな目標を達成したことになる思いますが、その感想と新たな目標についてお聞かせください。
alecks:私にとってもd4v41にとってもMasters Torontoでの優勝は特別なものになったと思います。同時に少し変な感じもしていて、まさか優勝できるなんて思っていなかったのでいざ勝ってみると、どうすればいいかわからない感覚に陥ってしまっています。
こんな時なにをすればいいかのヒントになればと思い、最近は本をよく読むようになりました。 新しい目標としては、ゴールよりその道のりを大切に、そして引退までにまた優勝できるように、ですね。
d4v41:Masters Torontoで優勝して、人生の1ページが完成したような感覚です。やっと実績を残せた、と他のメンバーもみんな思っていると思います。次の目標はChampionsの優勝ですね。
MastersとChampionsで優勝できたら『VALORANT』全クリです。 優勝は嬉しいですが、これで満足せず、常に自分の席を狙っている選手がいることを忘れずにこれからも頑張ろうと思います。

◆mindfreak脱退で「これから寂しくなる」
――mindfreak選手が正式にスターティングロスターから降りたことによって、ある意味Paper Rexは一時代の終わりを迎えたと思います。彼とプレイしてきた数年間、どう振り返りますか?
alecks:mindfreakが加入したきっかけは、彼相手にプレイしたスクリムだったのを覚えています。仲を深めるうちに、なんて情に厚い人なんだろうと思いました。いつもチームのことを第一に考えていますし、努力家でもあります。時々クールぶってるな、と思う時もあったりしますね(笑)。まあ彼は実際クールなのでいいんですけど。 すごくセンスのあるプレイヤーで、チームの誰よりもメンタルが強く、彼以外の全員がWキー押しっぱなしで暴れ出した時も自分のパフォーマンスを犠牲にしてまでブレーキをかけてくれる存在でした。
彼の経験はどのチームでも活きると思いますし、国際大会への出場が難しいVALORANTでこれだけの大会に出て経験を積んでいる選手としての価値は何にも代えがたいだろうと思います。彼は英語も堪能なので、どんなチームでもやっていけるでしょう。今まで彼と兄弟のように過ごせたことを誇りに思っています。これから寂しくなるでしょうね。
d4v41:mindfreakはチームメイトというより家族のような存在でした。苦楽を共にし、一緒に素晴らしい成績も残すことができて悔いはないです。僕らがそうしたように彼を支えてくれる素晴らしいチームを見つけてくれることを祈るばかりです。これからも彼を応援し続けます。

◆新たな6人目を探す予定はなし
――mindfreak選手の脱退後、6人目の選手を探す予定はあるのでしょうか?
alecks:その予定はないですね。というのも、PRXに迎える選手は他の選手との相性がかなり良くなければいけません。EWCの予選でmindfreakに助っ人に入ってもらった時でさえ慣れるのにかなり時間がかかっていました、あれだけ長い間一緒にプレイしてきたmindfreakでさえ、です。なので誰かが体調不良になってしまったら私がプレイすることになるでしょうね、本当に嫌ですけど(笑)
――PRXはmindfreakをサブコーチに据えてMasters Toronto優勝を果たしたわけですが、この結果を受けてmindfreakがコーチとして残る可能性はなかったのでしょうか?
alecks:まず、私はロスター変更に選手が関わっていろいろと政治的になってしまうのを好まないので、ミスの責任を私がきちんと背負うためにもロスター変更は私が行うんです。なので、まずmindfreakにPatMenを迎えることを話し、6人目としてやってほしいことを伝えて、その後ほかのメンバーにも同じことを伝えました。 mindfreakが役者不足だったというわけでは決してなくて、チームとして壁にぶつかった感覚があり、変化が必要だったんです。もちろんロスター変更が裏目に出る可能性もあったので、PatMenを見つけられてラッキーだったな、と思っています。

alecks:なぜ彼がコーチとして残らなかったのかについては、彼が選手をやりたがっていた、というのが大きいです。選手をしたいなら個人で練習をしなければなりませんし、他にもやるべきことがたくさんあるでしょう。もし彼にコーチをやってもらってしまったら、彼は一日中アーカイブを見漁って自分の練習に割く時間など残さないでしょうし、VALORANTというゲームで長期間練習せず過ごしてしまうとすぐに置いていかれてしまいますから。
――Pacificの過去2年間の地域全体としての成長をどう捉えていますか?
alecks:1チームが成功を収めると地域全体がそのチームに追い付こうと盛り上がるんだと思います。例えばGen.Gが優勝した後にGen.Gとスクリムして勝てたなら、自分たちが世界大会で優勝できるポテンシャルのあるチームだと知ることができるわけです、まあ運も絡みますが。2022年のZETA、DRX、そして私たちPRXが2023年への流れを作り、その結果Gen.G、次いでT1、そしてPRXの優勝へとつながったのだと思います。お互いがお互いの肩の上に立ち、互いから学び続けることで最強のリージョンになることが叶ったのでしょう。その上、優勝経験のあるEDG含む中国チームともスクリムできるのも大きなアドバンテージでしょうね。