「VALORANT Challengers Japan 2025 Split 2 Playoff Round 1」にて、5月17日・18日に幕張メッセで開催されるオフラインPlayoffに出場する4チームが出揃いました。本稿ではその4チームのうち、Playoff Round 1でMURASH GAMINGに勝利してオフライン出場を決めた「FENNEL(FL)」のGON選手とhattyコーチへの合同インタビューの模様をお届けします。
インタビューでは、Split 1の反省を踏まえた「共通認識」と「ミーティングの質」の向上によるチームの成長、GON選手とチームメイトとの関係性、オフライン初戦のNFX戦への対策、“受け手に委ねられる”回答も飛び出しました。
◆ 安定感を取り戻したSplit 2、チーム成長の鍵は「共通認識」と「ミーティングの質」
――Split 2 Main Stageの振り返りをお願いします。
GON:とりあえずオフラインが決まったということで、率直に安心したなという気持ちが一番大きいですね、正直。Split 1は「どこに負けてもおかしくないけど、どこに勝つかも分からない」みたいな、安定しない部分があったので、Split 2は安定させることを目標に僕の中でやっていて、そこをだいぶ達成できたと思っています。
hatty:Split 1からSplit 2にかけてのコーチ陣の成長が大きいと思います。Split 1ではコーチ陣の連携不足が反省として出ていたので、その改善をしました。あとは練習中から大会みたいな雰囲気でやる、パッションを出しまくることをめちゃめちゃ意識していました。
――「安定感」が崩れていた理由・要因はどこにあると考えていますか?
GON:これはすごい明確にあるんですけど、Split 1のときは僕が何をしたいか説明しないと、そのラウンドの構築が上手くいかないという問題があったんですよ。けどSplit 2になってから練習の質も上がって、コーチの連携も上手くいっていて、共通認識的な部分がすごい成長したなって思います。例えば「こういう盤面が来たらここにいこうね」みたいなものがめちゃくちゃ増えたのかなって思いますね。そこが一番大きな違いかな。
――FLは去年の大きな解体から再度作ってきたチームですが、Split 1・2通してどのように成長・チームのようになってきていますか?
GON: コーチ陣が作戦を持ってきてくれるんですけど、それが上手くいかないと僕が不機嫌になるんですよね。そこでみんな「GONさん不機嫌にさせちゃったな...」みたいな感じになって覚えようとしてくれるので、それが作用して成長につながっているのかなって僕は勝手に思っています。
※編集部注:彼は冗談を言っている可能性があります。
――IGLとしてチームを引っ張ったり、構成を考えるなどの責任感はGON選手が一番大きいと思いますが、事前に圧をかけているのですか?
GON:結構圧かけてますね。ちょうど一昨日の練習とかは「おい、Aace早いよ。なんで今出てるんだよ」みたいなので選手をビビらせて、覚えさせています。選手同士で言い合えるというのは僕達の強みかなと思っています。
hatty:みんなでご飯に行ったりする時にも「Aace、こここうだったくね?」や「Halsあそこ良かったね」みたいな話し合いが結構あったりして、そういうのも一つあるんじゃないかなと思います。あと個人的にはSplit 2になってからミーティングの質にこだわって練習していて、FLのオーナーの遠藤さんがミーティングの質が結果に直結すると強く話してくれたので、そこを意識し始めてから選手の覚えだったり、共通認識という部分もだいぶ成長したのかなという感じはしますね。
――その「ミーティングの質」とは具体的にどのようなことですか?
hatty:シンプルではありますが、今日やることを話し合うことですね。例えば「今日アセントやるわ」ってなったらアセントの作戦の見直しからやり、カスタムに入って合わせてという感じです。
このゲーム、スキルのこだわりが勝敗に出やすいので、そこを完璧にしてからスクリムに挑むようにしないと、スクリムでスキルミスが起こったときにフィードバックのしようがないんです。「ミスんないようにしようね」だけで終わるのはしょうもないので、ちゃんとカスタムで合わせてからスクリムやるということや、そもそも選手が(ミーティングの)会話に参加する、Eulerコーチが話すだけじゃなくて、選手が改善点を出すというのを意識するようにしています。自分で話すことで頭に入るので、そこは今だいぶ良いと思います。
◆GON「スクリムだとキルが寄ってくる」hatty「これ全部ガチで嘘です」
――GON選手に伺いたいのですが、昨日のムラッシュ戦の自身のパフォーマンスについてどのように分析していますか?
GON:分析は既に完了していますね。僕のプレイスタイルは一貫していて、別にキル狙わないんですよ。かといってキルできなかったとしても「自分がキルしないと」って覗きに行く人でもないので、正直こういう時もあるんだなってくらいですね。味方が強くて助かったのはデカい要因ですけど、噛み合いによってはこういう試合もできるんだなっていうのは思いましたね。
――なるほど。
GON:スクリムだとキルを狙わなくてもキルが勝手に寄ってくるというか、立って仕事しているだけでキル取れる、MVP取れちゃったみたいなことがあるので、そこも全部噛み合いなのかなって思っていますね。
hatty:これ全部ガチで嘘です。GONはスクリムだとMVPにこだわっていて、「Aaceどけ!Halsどけ!俺がキルや!」とすごい突っ込んでいくんですよ。なので今のは嘘です。
大会だとパフォーマンスは一貫していて、結構味方に合わせるような感じですけど、スクリムだとめちゃめちゃキル狙いに行って意味わからない死に方をたまにしますね。Aaceとかに言われてましたよ昨日も。「あの人足が早すぎる!」って愚痴られてました。スクリムだと破茶滅茶していますよ。Split 1の頃は特に。
――GON選手、そうなんですか?
GON:いやまぁどっちを信じるかですよね、受け取り手次第かなと思います。
――オフラインの初戦はNOEZ FOXX(NFX)との対戦となりましたが、コーチから見てNFXに対してのFLの相性、印象などはありますか?
hatty:相性で言うと、NFXは結構ソロで戦うイメージですね。個人個人がめちゃめちゃ撃ち合ってくるイメージが凄いあって、FLはどちらかと言うとチーム連携の方を意識しているので、(相手の)個人の力で持っていかれたりしなければ全然勝てると思っています。
――Main StageではNFXに対し0-2で敗北していますが、マップスコアはどちらも11-13でかなり接戦でした。当時の印象などはありますか?
GON:NFX、ガツンとくる印象ですねとにかく。次はその「ガツン」に持っていかれない土台作りなどを重点的にやっていきたいかなと思っています。「ガツン」に対してこっちは誰もワンピックを取られずにいなすという感じですね。
◆椅子のポジション取りも調整バッチリ
――FLと言えばダンスというイメージが定着してきたと思うのですが、激しく動き回る際の椅子のポジションで何か噛み合わないみたいなことは無いのですか?
GON:確かに立ち上がった瞬間に椅子が弾かれるんですけど、みんなラウンド始まる秒数で椅子を探して自分のところに持ってくるので、そこの調整は上手くいっているのかなと思っています。
――コーチから見てタイムアウトでの風景も名物になっていますが、手を繋いで円陣組むなどのことは、どなたが考えているのですか?
hatty:目を合わせて話すというのは、EulerコーチとAace選手が2人で話し合って出したみたいです。手を繋ぐというのは誰が出したかわからないんですけど、多分Aace選手なのかな?
GON:Aaceだね。
hatty:そういう感じのはAace選手が率先して大事にしていますね。そこはAace選手の強みだと思います。それによってだいぶ連携が取れると思います。
――これから1ヶ月ほど時間がありますが、この間にどこを重点的にチームとして練度を上げていこうと考えていますか?
GON:アイスボックスですかね。MRSH戦でやるぞってなったとき3-13でした。これめちゃくちゃ練習するかな~。「NFX、RID、QTD、めちゃくちゃFENNELはアイスボックス練習するよ~(笑)」っていう感じですね。
hatty:今練習の30分前にGON選手とMrTenzouEz選手を集めて「IGLフィードバック」というのをしているんですけど、個人的ですがそれのムラがあったことを反省しています。あるマップに偏りすぎて、アイスボックスなどの他のマップに割く時間が減っていたなというのがあるので、この1ヶ月はちゃんと全体を見て「このマップはこの敵このセットをやりそうだから」という部分をリマインドするなどを意識してやりたいです。
◆ Ascension優勝への自信とファンへのメッセージ「会場一体で勝利を」
――今回はオフライン大会で日本のファンの前で戦いますが、さらに先のAscensionなどに関しての今のお気持ちをお聞かせ下さい。
hatty:継続することが大事だと思っています。直近のスクリムで「(自分たちが)Tier1に負けていないな」と初めて感じられていて、「どのチームとやっても勝てる」という確信を得たのは大きな変化ですね。ミーティングの質だったり、全員が意識高くやっていくというのを継続してできればAscenisonやChampionsでも良い結果を残せる未来が見えますね。今のメンバー、このチームで行けると感じています。
GON:僕は難しいこと考えてなくて、あんまり奥の方を考えていないというか、目先の勝利をひとつひとつ、みたいなイメージでやっています。
ただAscensionに関して思うところがあるとするなら、去年Bleed Esportsがいなくなって、BOOM EsportsとNongShim RedForce(当時のSPG)の2チームがVCT Pacificに上がっているので、正直今年(他のChallengers地域の中で)めちゃめちゃ強いチームがいないなと思っています。
去年のSPGほどやばいと思うチームがいないので、今年は日本で優勝したチームがそのままAscensionも優勝すると思っています。あとはAscensionの舞台が東京であってほしいと思いますね。
hatty:ほんまにそう。
――今回のFinals オフラインで、ファンに何かしてほしい声掛けなどありますか?
hatty:僕ら練習が始まる間に必ず一本(※手をポンと一回叩く)しているんですよ。大会の試合前もそれをしているので、みんなとできたら会場を掌握できるんじゃないかと思っています。会場と一体化するのが大会の肝だと思っているので、それを(FLファンの皆さんには)お願いしたいですね。Eulerコーチが大きな声で「せーの!」って言うので。
GON:僕は出るか分からないですけど、ラウンド取ったときに動き出す選手がFLにはいるかもしれないので、そのときはファンの皆さんも肩揺らすくらい、してくれたらなって思いますね。あとはFLのファン過ぎて、1v1の状態の時とかに場所とかいうのはやめていただきたいなっていうのは……忠告ですね。今年はちょっとそこらへんはっていうのをお願いします。

FLは5月17日の準決勝でMain Stage 2位通過の「NOEZ FOXX」と対戦。RIDDLE ORDER、QT DIG∞、NOEZ FOXX、FLの4チームが相まみえるオフラインPlayoffは5月17日(土)・18日(日)に幕張メッセで開催されます。
<取材・執筆・編集:岡野朔太郎/トランスクリプション:Reuru>