4月2日からスタートしているLoL Esports最高峰のリーグ「LCK」。6日には開幕週からT1とGen.Gが対戦し、名門チーム同士のライバル対決や、Faker選手のデビュー12周年など、多方面で全世界が注目する対戦カードとなりました。
◆前身チームから続くライバル関係…お互い絶対に負けられない...!
T1とGen.Gは、LCKの中でも最大のライバルチームとして知られています。昨日の試合を振り返る前に、まずはこの2チームがなぜこれほどまでに強いライバル関係にあるのかを見ていきましょう。
T1はSK Telecom T1(SKT)時代、2013年のWorldsで優勝すると、2014年のWorldsではGen.Gの前身チームであるSamsung White(SSW)に優勝の座を譲りました。
そしてSKTは、翌年の2015年から2016にかけて史上初のWorlds連覇を果たし、SKT王朝とも呼ばれる一強時代を築いていました。その王朝に終止符を打ったのが、SSWからチーム名を変更したSamsung Galaxy(SSG)です。
SSGはSKTにWorlds2016決勝で敗北し、SKTのWorlds連覇阻止に失敗したものの、2017年に行われたWorlds決勝で再びSKTと対戦すると、当時SSGに所属していたRuler選手がSKTのFaker選手をキャッチし、そのままゲームエンド。SSGが初のWorlds優勝を果たしました。
月日は流れ、SKTからT1へ、SSGからGen.Gへとチーム名がそれぞれ変わった後も、両チームの激しいライバル関係は続き、LCKのプレイオフ決勝では2022年Springから2024年Springまで5回連続でT1 vs Gen.Gの同一カードによる決勝戦が行われました。また、昨年のWorlds2024では準決勝で両者が対決。Gen.Gに勝利したT1が決勝でも勝利し、2度目のWorlds連覇を達成しています。
このような背景から、両チームはLCKで最も熱いライバル同士として知られているのです。
◆Chovyの徹底マークに成功したT1
ここからはLCK史にも残る名勝負となった試合の内容を詳しく見ていきます。
Game1はゲーム序盤からBOTレーンの主導権を握ったT1が、序盤から中盤にかけて試合を有利に進めていきます。試合中盤以降は今シーズン絶好調のパフォーマンスを見せているChovy選手のアジールを徹底的にマークしながら、幾度となくキャッチを仕掛けます。そして試合時間33分頃に発生した集団戦にT1が勝利すると、そのままゲームエンド。Game1はT1の勝利となりました。
最終的にChovy選手はGen.Gの中でも最多となる7デスという結果に。LCK CUPを含め、今シーズンここまでGen.Gを何度も救ってきたChovy選手のアジールを徹底マークで完璧に抑え込んだT1が、大事な一戦の先手を取ります。
◆自らのミスをプレーで取り返したRuler
Game2では、最序盤に発生したBOTレーンでの2対2でGen.Gが勝利。BOTレーンの主導権を奪ったGen.Gが試合を有利に進めていきます。
試合が動いたのは、試合時間25分頃。Gen.Gがドラゴンを獲得し、Ruler選手がエズリアルのEを使ってMIDレーンに復帰します。Ruler選手のブリンク使用を見逃さなかったOner選手がノクターンのULTで仕掛け、Ruler選手をキャッチすることに成功。T1は続けざまにキルを奪い、バロンを獲得するとゴールド差が逆転し、この試合で初めてゴールド有利を得ます。
その後、バロンバフを活かしてT1がオブジェクトを次々に獲得し、優勢を広げていくと、ゴールド差は最大5,900ゴールドにまで拡大しました。
しかし、試合時間31分頃に発生したドラゴンを巡る集団戦では、5,000ゴールド近い不利を抱えていたGen.Gが制し、マウンテンドラゴンソウルを獲得。さらにそのままバロンも獲得し、ゴールド差は再び逆転します。
そして、試合時間35分に起きた集団戦では、先程、自らのミスで不利を招いてしまったRuler選手のエズリアルが躍動。Gen.Gが集団戦に勝利すると、その後のエルダードラゴンを巡る集団戦でもGen.Gが勝利し、そのままゲームエンドとなりました。
試合後、韓国メディアのインタビューに応じたRuler選手は「連続デスが致命的だった」と話し、「しかし、ミスをしたら“ミスをするものだ”と思った。 すでに犯したことだからどうしようもない、チームメンバーに“ごめんね、頑張るよ”という心構えでゲームに集中した」と語っています。
Ruler選手のミスで一時はピンチに陥ったGen.Gでしたが、最終的にはそのミスを挽回する活躍を見せ、ゲームカウントを1-1に戻します。
◆Game1の悔しさを晴らし、プレーで証明したChovy
1−1で迎えたGame3では、序盤に発生したヴォイドグラブファイトでT1が勝利。その後はお互いキルを奪い合う展開となりますが、T1がわずかに有利な展開で試合が進んでいきます。
試合が大きく動いたのは試合時間27分頃に発生したバロン周りでの集団戦。バロンからの反転を狙ったGen.Gが3キルを奪うと、そのままバロンを獲得。その後、有利を奪ったGen.Gはバロンを活かしたマクロでゴールド有利を広げながらオブジェクトを獲得していきます。
しかしその後の集団戦でGen.Gはファイトにこそ勝利するものの、T1のKeria選手にバロンをスティールされてしまうなど、T1が見せる驚異の粘りの前に、中々試合を畳むことが出来ない展開が続きます。

そして迎えた試合時間49分頃。T1側のネクサス前で最後の集団戦が発生します。
バロンバフを持って迫るGen.G相手に、T1が集団戦を仕掛け、Gen.GのCanyon選手とDuro選手を素早くキル。さらにKiin選手も倒し、2対4の状況を作り出します。T1は逃げるChovy選手とRuler選手を追い、逃げ切れないと判断したRuler選手のザヤは反転から最大ダメージを叩き込むも、キルを奪えずにデッド。Chovy選手は1対4、自身がデッドすればゲームエンドという絶望的な状況に追い込まれます。
しかし、この絶望的な状況からChovy選手がT1の2人を素早くキルすると、追いかけてきたGumayusi選手のケイトリンも倒し、Faker選手と一騎打ちの状況に持ち込みます。そして、バロンバフを所持していたChovy選手のビクターがFaker選手のタリヤとの1対1に勝利し最後のキルを獲得。最終的にはChovy選手のスーパープレーでGen.Gがゲームカウント1-2で逆転勝利を収めました。
Game1では完全にマークされ、思うようなパフォーマンスが発揮できなかったChovy選手ですが、最終戦となったGame3では勝敗を決めるスーパープレーなど、圧巻のパフォーマンスを披露し、このカードのPOM(Player Of The Match)に選出されました。

◆記憶だけではなく記録にも残る名試合に
試合内容だけでもLCK史上に残るほどの激戦となったこの試合ですが、記録面でも数多くの記録が生まれました。
Game3でGen.Gが勝利したことにより、Kiin選手がLCKのTOPレーナーとして歴代最多となる400勝をマーク。

さらにRuler選手はGame2への出場でLCKのADCとして歴代3位となる600試合出場を達成。LCK全体でも600試合出場は歴代9位となる記録で、Gen.Gのベテラン2選手が大記録を打ち立てました。

一方、Faker選手は試合当日と同じ4月6日がデビュー日。12年前のこの日、LCKでデビューを果たした記念すべき日でしたが、自らのデビュー12周年を勝利で祝うことはできませんでした。

また、Game1終了時点ではT1のOner選手が通算2500アシストという記録も達成しています。
通常のリーグ戦の1試合ながらも、間違いなく記録にも記憶にも残る試合となったこの一戦。ライバル同士が激しくぶつかるその姿に心が熱くなった方も多いのではないでしょうか。
LoL Esportsの面白さ、LCKの面白さが詰まった、この試合を見せてくれた両チームに最大級の賛辞とリスペクトを送りたいと思います。
まだ試合を見ていない方は、是非フルで試合をご覧になってはいかがでしょうか。