2025年1月末より開幕した『リーグ・オブ・レジェンド』の日本リーグ「LJL FORGE」。その最終戦であるLJL 2025 FORGE KNOCKOUT STAGE Day 4 - FORGE Finalsが3月9日に行われました。ベテランぞろいの強豪「REJECT(RC)」と成長し続ける若手チーム「VARREL YOUTH(VLY)」との戦いです。
内容としては終始RCが圧倒。レーン戦段階で明確な有利を築き上げ、すべての試合を30分以内で終わらせる驚異的な強さで見事勝利をつかみ取りました。
今回はそんなRCから、Raina選手とVicaLコーチをお呼びしてインタビューを実施。試合直後の感想やチームの展望などをお聞きしました。

◆「いつか、Forestにしか見えていない世界が見えるように」
――全試合30分以内での勝利、お見事でした。新体制のLJL、その初の王座を獲得した率直な感想についてお聞きできればと。
Raina:うれしいのもそうなんですが、“安心した”という気持ちも半分ぐらいあります。次のステップへと進むための「LJL FINALS TOURNAMENT」に向けてチーム作りをしているところなので……しっかり勝てて安心しました。
VicaL:Rainaさんとほぼ同じですね。ただ、優勝するまでは当たり前のことだと思っていて、大事なのは自分たちが“ミスをせず、完璧に勝つ”ことでした。競技力や技術力こそが重要だと思っているので、そういった部分を選手たちが見せてくれたことに満足しています。
――対戦相手は、若い選手が中心のチームである「VARREL YOUTH」でした。戦ってみての感触はどうでしたか?
Raina:他のチームと比べても「マクロが一番しっかりしている」という印象です。やっぱりapaさん(※VLYのapaMENコーチ)が教えている……もしかしたらほかの人も関わっているかもしれませんが、そういった競技シーンの経験者が指導している影響は感じましたね。
VicaL:私たちのチームが優勝したこともうれしいんですが、VLYにしっかりとチームゲームをする動きが見えたこともうれしかったですね。敵ではあるんですが、次のシーズンではもっといい動きが見れるんじゃないかと、期待が持てるチームでした。
――いちLJLファンとしてもVicaLコーチからそういった意見が聞けてうれしいです! 試合内容で言えば、本日はGame 3でRaina選手が使うレナータ・グラスクのスーパープレイもありましたが、そこに関して詳しく教えていただけますか?

Raina:レナータ自身、カウンターエンゲージを得意とするチャンピオンなので、うまく釣る(エンゲージさせる)ことを狙っていました。万が一、レオナのスキルが当たっても“ミカエルのるつぼ”を使う準備はしていましたし、うまく狙った通りのプレイができたと思います。
――なるほど。最初から誘っていて、カウンターすることを意識した立ち位置だったわけですね。
Raina:はい、そうですね。
――ありがとうございます。そういえば、RCはRaina選手がリーダーだとうかがっていますが、改めて“LJLの王座についたチーム”のリーダーとしてはどういう気持ちでしょう。
Raina:うーん……そもそもリーダーというか、気づいたら勝手にリーダーにされていたというか(笑)。
――そうだったんですか?
Raina:最初RCには選手じゃなく、社員として入社予定だったんです。そこで“LCPに昇格して国際大会に挑めるチーム”ということを目標にして選手を集めている最中に、僕が選手に転向するという話になり……。
なので、そういう意味ではいままでの選手時代とはまた違ったプレッシャーはありますね。元裏方として、選手を集めるためにいろいろな物事が動いているのを知っていますので、「これはやりきらないとな」という感じです。
――選手以外の視点を持てたからこそ、いろいろ考えることがあるわけですね……。そんな集めた仲間のひとりである、adcのSamver選手についてはどうでしょう。botレーンでともに戦うコンビとして、どういう選手だと見ていますか?
Raina:フィジカルは問題ないと思います。ただ、まだまだチームゲームには不慣れで、Game 1あったようなカイ=サ単独で飛び込むプレイとかはVicaLコーチからしっかり指導がありましたね。「あんなプレイはダメだよ」って(笑)。チームとしての動きが彼の中に根付いていけば、もっと素晴らしい選手になると思います。
――なるほど。単独で孤立するというと、Game 3でForest選手が敵のインヒビタータワー前でヨネと1vs1をするという場面もありましたが……。

Raina:ありましたね。「俺はなんにもできないから眺めてるだけだよ」って眺めてました(笑)。
――チーム内ではどういう会話を?
Raina:あの場面はチームとしてもリコールするかそのまま攻め続けるかの2択だったので、僕としてはUltもないから下がることを提案していました。ただ、みんなは「このまま行ける」という感じだったんですよね。
――だからこそ、Forest選手はあの位置でミニオンを止める判断をしたわけですね。ヨネも返り討ちにしていましたし、結果的に良いプレイでしたよね。
Raina:なんというか、そういう“Forestにしか見えていないもの”がたまにあるんですよ。
――というと?
Raina:“ボールを追いかけている犬を、僕が追いかけている”というか……Forestにしか見えていない物事(ボール)に向かって行動するForestに、必死に追い付こうとしている感覚ですね。彼にしか見えていない視点を理解できないから、チームメイトは彼自身を追いかけるしかない。
――視点が違うからこそ、その考えを尊重するというか。すごくForest選手をリスペクトしていると。
Raina:そうですね。ふだんの会話からでも「こういうときって、Forestはどう考えてんの?」ということを聞いて「ああ、そこまで考えているのか……」と、彼の思考や見えかたを少しづつ理解しているところです。いつか僕にも“Forestが追っているボール”が見えるようになればいいなと。
――いまは理解の最中なわけですね。思考が合って、チームとしてRCが完成する時が楽しみです。
◆「LCPのチームに勝つ自信は“ある”」
――ここからはVicaLコーチにもお話を聞ければと。今シーズンではアタカンの登場もあり、かなりサモナーズリフトが変化しましたが、そういった環境の変化にはどう対策をされていましたか?
VicaL:シーズンの最初はアタカンでもらえるバフが非常に強かったので、「アタカンに関係する場面では絶対にチームファイトをしなければならない」と考えていました。ただ、いまは災禍のアタカンの場合だけ、状況を見つつほかのオブジェクトと交換できるようなら相手に渡して集団戦を回避してもいいのかなと考えています。
――メタの変化に応じてアタカンの扱いを変えていったわけですね。それと今回の試合では、レーンに勝って試合に勝つ、いわゆる“WINゲームWINレーン”の構成で試合に臨んだわけですが、これはVLYとの実力差を見て?
VicaL:正直、経験や能力に差はあると考えていました。であればレーン戦から集団戦まで勝てる構成を組めば試合を作りやすいと思いまして。RCの選手たちが強いからこそ、できた戦術だと思います。
――VicaLコーチから見て、チーム全体の完成度はどうでしょう。
VicaL:Forest選手がLJLのインタビューで応えていたのと同じく、6割ぐらいだと思います。これからもっとミスを少なくして、有利な状況を作り上げたら相手に絶対チャンスを渡さない……そういう“固い”チームに作り上げていきたいですね。
――LCK的というか、綺麗なLoLというか。なんとなくRCが目指すチームの完成系が見えたような気がします。ちなみに今のRCは「LCP」出場チームには勝てる自信はどれほどあるのでしょうか?
VicaL:その自信は正直、けっこうあります。下位のチーム相手になら勝てると思っていますし……とにかく、自信はすごくありますよ!
――力強いお答え、ありがとうございます。最後にRCを応援しているファンへ向けて、メッセージや意気込みなどをお願いいたします。
Raina:RCにはいろいろな部門があるので、ふだんから『LoL』を見ない方……いままでは交わらなかったような方からも応援をいただけているのが、すごく新鮮で、うれしい気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。次の大会である「LJL 2025 STORM」も優勝して見せますので、またあらためて応援をいただけるとうれしいです。
VicaL:ああ、Rainaさんにほとんど言われちゃったな……(笑)。私も応援してくださるファンの方々のおかげで優勝できたと思いますし、そういった声があるからこそモチベーションが保てて、チームのみんなが頑張れているのだと思います。こういったチームを作る機会を与えてくれたREJECTには感謝しかありません。
RCは「LCP」へ昇格するまで全部の「LJL」で全勝優勝するので、もっとずっと、応援してくださるとうれしいです。あらためて、ありがとうございました!
――素晴らしい意気込み、ありがとうございます! 今後も「LJL」を見るのが楽しみです。
このインタビューの後「なにか伝えたいことがあれば……」と聞くと、Raina選手から「ゲーム内でのVCが入った動画も作成しているので、そちらも楽しみにしていただけると幸いです。もっとチームの雰囲気がわかると思います!」というお話もいただきました。
REJECTの『LoL』部門をより知りたいという方は、公式YouTubeチャンネルをチェックしてみてください。圧倒的な強さで「LJL 2025 FORGE」を駆け抜けたREJECT、その強さの一端が垣間見えるかもしれません。
REJECTが次に戦うのは「LJL 2025 STORM」……ではなく、「LJL 2025 FORGE」と並行して開催されていた、アジア圏のアカデミーチームが集う国際大会「Asia Masters 2025」。まだ組み合わせは決まっていないものの、直近では3月17日に試合が予定されています。気になる方は、こちらの試合も要チェックです。