大盛況の内に幕を閉じた「Riot Games ONE 2024(2024年12月14日・15日:Kアリーナ横浜)」。本イベントにEMEAの「Fnatic」も2022年以来2度目の参加、イベント初日にはZETA DIVISIONに対しラウンドスコア:13-2で快勝を収めました。
本稿では、「Riot Games ONE」1日目終了後に実施したチームのキャプテンBoaster選手へのインタビューをお届けします。イベントについてはもちろんのこと、Fnaticにとって厳しい1年となった2024年の振り返り、現在ロスターから離脱しているLeo選手について、そして素晴らしいファン対応で知られるBoaster選手の心の内について伺いました。また、Laz選手の友人としても知られるBoaster選手ですが、彼の引退をどう受け止めているのでしょうか。
◆Lazの引退は“一時代の終わり”
――今年の「Riot Games ONE」はいかがでしたか?
Boaster:コスプレイヤーがたくさんいて楽しかったです、控え室が近かったので彼らとたくさん写真も撮れました。ケネンを見かけましたね!
イベント全体で言えば、かなりスムーズなイベントになったと思います、ステージには最高のモニターも用意してもらえましたし(笑)。今年は国際大会で大勢の前でプレイする機会に恵まれなかったので今回のRiot Games ONEはより楽しめました。来年はこんなふうにもっとステージでプレイできたらと思わせてくれました。
Dyrusには会って少し話したんですが、イベントとか関係なく地下鉄で会いました。他の選手とはあまり会わなかったですね、多分違う階にいるんだと思います。ということは彼らはコスプレイヤーとはあまり会えていないのだろうと思うのでちょっと優越感がありますね(笑)
――ZETA戦は快勝でしたが、どこが上手くいったと思いますか?
Boaster:ZETA戦はかなり上手くいったと思います。コミュニケーションも良かったし、なにより試合を楽しめました。そもそも大きな会場でプレイするのが久しぶりなので懐かしい気持ちになりましたし、来年への期待も高まりました。チームは雰囲気もいいですし上達のスピードも速いので、来年は今年の反省も踏まえて、万全の状態で臨めると思います。すごく楽しかったです!
――先日行われたZETAとのファンミーティングですが、Laz選手の引退以来彼らに会うのはあれが初めてだったのでしょうか?
Boaster:引退後は初めてでしたね、そもそも日本や韓国に行くことがなかったので。でもメッセージは送りました。「おいおい、一体どうなってるんだ」みたいな感じで(笑)。彼ほど長く競技シーンにいた選手の引退なので、一時代の終わりだな...といった感じです。まあ彼も競技から離れて配信を楽しんでいるようで良かったです。僕が配信者になるまで、彼にはまだまだ待ってもらわないといけないですね。
◆Leoの来年頭からの復帰は「難しそう」
――Fnaticのロスターについても伺います。crashies選手の加入には驚いた人も多かったと思うのですが、加入にはどういった経緯がありましたか?
Boaster:Leoに代わる選手が必要だったというのが理由です。Sayonaraはオフシーズンを一緒に戦うため迎えた選手で、若い選手なので経験を積んでもらおうという方針でした。そして来年のVCTに向けて5人目の選手は誰になるのかと考えた時に、一時期はLeoが来年に復帰できる見通しだったんですが、少なくとも来年の初めはプレイするのが難しそうだということで代わりの選手を探すことになりました。
――なぜcrashies選手だったんでしょうか。
Boaster:Leoはチームにとって重要なメンバーですし、少し前に実施したトライアウトはイニシエーターの枠ではなくデュエリストの枠のためのものだったので誰に声を掛けようか、となった時にcrashiesに目をつけたんです。今年こそあまり振るわなかった選手ですが、彼の実力は折り紙付きですし、彼がチームにいればチームを高みに導いてくれる、良い環境なら活躍してくれると確信して彼を迎え入れました。あと彼は普通にいいヤツなので一緒にいて楽しいです。
――今年の振り返りについて伺います。Masters Shanghaiの後にセラピーに通い始めたという話をRBHGのウォッチパーティーでされていましたが、それも含めどんな一年でしたか?
Boaster:2023年シーズンが終わってから体から力が抜けてしまって、2024年はあまり準備できずに迎えることになりました。そこから長いシーズンをあまり休みもなく、特に勝てない時は置いてかれてしまった分を取り返さないといけなくなるのでかなり厳しいシーズンになりました。忙しさでリフレッシュする隙もなく、ストレスも多くてシワも増えた気がします。ですが来年は今年より準備をきちんとして、負けてしまうことがあっても目標を見失わずに、そしてチームとしても基本はしっかりしつつ、より試合を楽しむことでパフォーマンスを出していければと思っています。
セラピーに関しては、話し相手が欲しくて受けていました。IGLとしてずっと戦術のことを考えて、それ以外の時もまた別の心配事があってという状況だったので、どうやって対処していくべきかをセラピーを通して整理できましたね。
◆「この瞬間のために選手をやってきた」
――2024年は辛いシーズンだったと思いますが、それにも関わらずファンミーティングや今日のイベントでは常に笑顔でした。どうやってそのマインドを保っていますか?
Boaster:これについては少し僕も考えていたことがあるんですが、選手はみんなファンと実際に会うまで自分たちがどれだけ彼らに影響を与えていたかというのがあまりわかっていないと思うんです。ファンに会うとみんな楽しそうにしていて、それを見てこっちも嬉しくなって。Red Bull Home Groundの時にも「リスペクトしてます!」「いつも応援してます!」「今日は最高の日です!」と言ってもらえて、この瞬間のために選手をやってきていたんだな。と気付くんです。大会で優勝することもそれはそれで今後のモチベーションになりますが、もうトロフィーはいくつか持っているので(笑)
僕がプロになる前のもっと若い頃、ファンだったプロに少し話せた時があって、それがどれだけ嬉しかったかいまだに覚えてるんです。だからこそ、自分がプロになった今、話しかけてもらいやすいように、親しみやすい選手でいられるように心がけています。
――最後に、日本のファンへのメッセージをお願いします。
Boaster:みなさんこんにちは、みなさん大好き~!(日本語で)
日本語はこれしか覚えてないや、みなさん毎年の応援本当にありがとうございます!僕たちは日本のチームではありませんが、いつもまるでホームのような気持ちです。僕たちのこれからを楽しみにしていてください!
<取材・翻訳・執筆:Wolfram/取材・編集・一部撮影:岡野朔太郎>