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現在Paper Rex(PRX)に所属するsomething選手の古巣として知っている方も多いであろうInsomnia。そんなチームが、Challengers Japan 2026 Split 1にて、新たなロスターでメインステージに帰ってきました。今回はInsomniaよりMeatPieN選手にアドバンスステージの感想、チームの現状や今シーズンの目標などを伺いました。
――いまだにMeatPieN選手の名前を読み間違える人がいるようなので、改めて名前の読み方を教えてください。
MeatPieN:Insomnia所属のMeatPieN(みーとぱいん)です!
――Insomniaというと、チーム名としては結構有名なわけですが、どのように結成されたロスターなんでしょうか?
MeatPieN:もともとプレミアを勝ち抜いたメンバーの間で、やはりどうしても母体が欲しいなあと長く話していました。とあるチームからのお話など、いろいろあったんですが、その話もなくなり、急遽母体がなくなってしまい困ってたんです。そのタイミングでInsomniaの方から今のwooコーチに連絡頂きました。これが結成というか、insomniaさんに拾っていただいた経緯です。
――Insomniaはsomething選手の古巣という印象もまだ根強いと思うんですが、その時期のInsomniaと通ずる部分を何か感じたりしますか?
MeatPieN:something選手がいた時代は、まさに自分が「eスポーツとは何たるか」もよく分かっていないフワフワした状態で、まだ選手すらやっていなかったはずです。あの時は「すごい選手がいるな」くらいにしか思っておらず、正直あまり覚えていないレベルなんですよね。
それでも当時から優れた選手がいて、「この人強いよ」「あのコーチもいいよ」といった横のつながりで集まったのが、今のInsomniaのメンバーたちです。
個人的には、Ady選手のマクロ(戦略)は他のチームのIGLよりも強気で、とても賢いと思っています。something選手がいた以前のInsomniaは「破壊」という感じでしたが、今のInsomniaには相手のさらに上を行くようなマクロが存在していると思います。
――IGLはAdy選手とのことですが、それこそPRXのようなアグレッシブなスタイルなのか、より戦術で戦っていくようなスタイルなのか、どちらだと思いますか?
MeatPieN:正直、これは今の『VALORANT』のメタでもあると思うんですけど、どちらかといえばPRXに近いというか、チームとして目指しているのはPRXかもしれないですね。「細かいところまでIGLは指示しないよ」というのが主なスタイルで、ファーストコール後の動きなどは「お前らに任せる、信じているよ」というのがAdy選手のやり方なんです。
だから、先頭の選手が行けると思ったらどんどん行くし、逆にアンカーが行けると思えば仕掛けることもできる。本当に自由なスタイルですね。
――そういったチームは決め事が少ない場合、雰囲気に左右されやすいと思うんですが、ムードメーカー役はどなたになるんでしょうか?
MeatPieN:言葉でチームの雰囲気を立て直そうとする選手は、今のチームには少ないかもしれません。ただ、個々の能力が高く、とにかくフィジカルが強いチームなので、「まずいな」という状況になっても、誰かがスーパープレイを出すというか……ちょっと頑張っちゃうんですよね(笑)
そこから「あ、このラウンド取れるんだ!」と一気に雰囲気が回復していくことが多いです。コールで盛り上げたり、特定のムードメーカーがいたりするというよりは、「プレイで魅せて空気を変える」というイメージが強いですね。
――結構PRX色が強い感じなんですね。
MeatPieN:そうですね。フィジカルで解決する部分がまあ多い、というのはPRXっぽさかなと思いますが、Ady選手はそんなふうには思ってなくて、個人の判断をもっともっとよくしようとしているので……。難しいな...まあ、PRXなのかもしれない(笑)

――アドバンステージについて、まずはここまで戦い抜いた感想をお聞かせください。
MeatPieN:自分が最初に「InsomniaとしてSplit 1に出る」となった時、メンバーを見てまず思ったのは「普通に強いぞ」ということでした。
Insomniaはまだまだ名前が知られておらず、特にsomething選手がいた頃以降は「メインステージにはギリギリ上がれない」という立ち位置だったので、他チームと比べるとネームバリューはなかったかもしれません。
それでも、「このチームメイトなら全然いける」という強い信頼がありました。IGLの采配やデュエリストの火力という部分を含め、とても信用していたので、対戦表やグループ分けが発表された時も「え、これいけるんじゃね?」と思ったくらいです。
なんなら「このプレイヤーの質なら、グループを1位通過できるんじゃないか?」というのが、当時の素直な感覚でしたね。
――その時の期待から思い通りに行った感覚ですか。
MeatPieN:アドバンスステージに関しては、うまくいった部分もありましたし、「俺たちならできるだろう」という確かな自信がありました。期待通りの結果が出せましたし、期待以上のパフォーマンスも発揮できましたね。自分たちの期待を下回るようなプレイは全くなかったという印象です。
――アドバンスステージに関してもう一つ、最終的にムラッシュゲーミングとSCARZとInsomniaで三すくみになり、通過という形になりましたが、最終戦前に通過の条件など把握していたんでしょうか?
MeatPieN:点数やラウンド差については、正直よく分かっていなかったですね。自分たちがどのくらいラウンドを取って、逆にSCARZがどのくらいだったら自分たちが敗退してしまうのかといった、細かい条件はあまり把握していませんでした。
ただ、「少なくともMURASHに勝てばOK」「もし1-2で負けたとしても、1マップさえ取れば通過できる」ということだけは分かっていた感じです。
ラウンド差がどうなるかとか、SCARZがDFM相手にどれくらいポイントを取り合うのか、あるいは自分たちがMURASHにどれくらいの差で負けるのか、といったことまでは考えていませんでした。計算がめちゃくちゃ難しかった記憶があるので、そこはもう「あまり気にしていなかった」というのが正直なところですね。
――終わってみて多分あまり最終戦は関係なかったみたいでしたね。
MeatPieN:そうですね。正直なところ、ムラッシュ戦でもう少し踏ん張れていればもっと安心できたんですが、結果的にSCARZ戦で相手を圧倒できたことが、ムラッシュ戦で大きく負けてしまった分の保険になりました。ギリギリで通過ラインに届いたのは、間違いなくあのSCARZ戦で大差をつけて勝てたおかげですね。

――さとぅーし選手は元SCARZ所属なわけですが、SZ戦での彼の様子などどうでしたか?
MeatPieN:もともと、さとぅーし選手だけでなく、イニシエーターのkaily選手もSCARZアカデミーの出身だったんですよ。そのためチームとして結構因縁が深くて、wooコーチも「SCARZには負けたくない」と闘志を燃やしていました。あとは直接の関係はないんですが、Art選手とAdy選手がランクでバチバチにやり合っていたという背景もあって。
そういった理由から、みんなSCARZ戦にはものすごく燃えたぎっていて、すごいパッションでした。「これはめちゃくちゃ気合が入っているな」という熱量を、あの試合では肌で感じましたね。
――自チームの特徴や注目ポイントを教えてください。
MeatPieN:自分たちが胸を張って言えるのは、IGLのマクロがもうめちゃくちゃ優れているということです。メインステージの他のIGLと比べても、トップクラスに刺さるシーンがあります。
こうして記事になるような場でも、「自分は彼を自信を持って信じています」と断言できるくらい、うちのIGLのマクロは素晴らしいと思っています。
それに加えて、IGLがコントロールを頑張ってくれている分、選手たちの個人技、つまりミクロの部分も非常に堅いんですよね。なので、まずは緻密な「マップコントロール」、そしてそこから生まれる「選手たちの爆発力」。この2点に注目してほしいです。
――これからのメインステージ、対戦を望む選手やチームはいますか?
MeatPieN:メインステージ直通組であるRIDDLE、FENNEL、REIGNITE FOXX、そしてREJECT。この4チームには、個人的にちょっと因縁があるんですよね。
もちろんREJECTは自分が直近まで所属していたチームですし、REIGNITE FOXXも元々所属していた縁があります。それに加えて、去年のSplit 3でNOEZ FOXXに負けてオフライン大会を逃したという苦い経験もあるんです。あそこにいるYowamu選手との関係性や、オフラインを逃した因縁も重なっています。
RIDDLEとはちょくちょく初戦でぶつかることが多くて、自分がSEIBIにいた時も初戦がRIDDLEで「は?」ってなった記憶がありますね(笑)。
あとFENNELに関しては、バチバチの対抗意識というわけではないんですが、俺自身としては戦いやすい相手なんです。だからこそ、このメインステージ直通の4チームはめちゃくちゃ意識していますね。絶対に負けたくないですし、早く戦いたいです。

――こちら選手皆さんにお伺いしてるんですが、もしスカーミッシュ2v2大会が開催されて、どの選手とでも組んで出場できる、となった時、パートナーにどなたを選びますか?
MeatPieN:まじで誰でもいいんだったら、『VALORANT』プレイヤー以外がいいかもしれないですね。言語通じないでしょうけど。ZywOo(『Counter-Strike 2』プレイヤー)とか。
――『VALORANT』をやらせたい?
MeatPieN:見たいですよね。『CS2』というザ・フィジカルの世界でもうめちゃくちゃトップクラス、MVPに選ばれるような選手が『VALORANT』やったらどうなるか。気になります。FPSのレジェンドとか言われる人とかとやってみたいですよね。『VALORANT』プレイヤーだけであれば、まあやっぱりLazさんとかになるのかな。
――メインステージ初戦はAGELITEです。こちら意気込みをお願いします。
MeatPieN:Janさんたちに関しては、自分がREIGNITEに所属していた時に、栃木でオフライン大会のようなものがあったんです。当時のREIGNITEにはDH選手たちもいたんですが、その大会の決勝で戦った相手がBC SWELLでした。そして、当時のBC SWELLのメンバーの一部が、今のAGELITEに在籍しているんですよね。面白いマッチアップになりそうだなと思っています。

――最後にこれからのシーズンへの目標とファンへのメッセージをお願いします。
MeatPieN:今のInsomniaがどこまで行けるかは、正直まだ分かりません。まだまだ完成には程遠いチームなので、メインステージの途中で一気に仕上がるかもしれないし、完成間近で敗れてしまうかもしれない。この先のSplit 2やSplit 3でどうなるか、いつまでこのメンバーでやっていけるのかも未知数です。
その中で、自分は23歳と、今の『VALORANT』シーンの平均年齢からすると決して若くはありません。「おじちゃん」と言われるほどではないにせよ、若手でもない、すごく曖昧な立ち位置なんですよね。他の場所でも話していることですが、競技シーンの平均年齢を伸ばしたいというか、この年齢だからこそ長く続けていきたい気持ちがあります。そのためにも安定した成績を残して、自分の選手生命を伸ばしていきたいという打算的な思いも少なからずあります。
でも、今一番考えているのは若いプレイヤーたちのことです。最初にお話ししたAdy選手や、アドバンスステージ前に注目選手として挙げられていたKaraage選手、もちろんさとぅーし選手もみんな若い。若いのにフィードバックをしっかり聞いてくれるし、ランクマッチも回して、動画で研究もして、本当にめちゃくちゃ頑張っているんですよ。だからこそ、「この選手たちがもっと世間に知られないのはおかしいな」と強く思っています。
MeatPieN個人としては安定した成績を残したい。そしてInsomniaとしては、今まで日の目を浴びてこなかった選手たちをみんなに知ってほしい。それが結果的に自分のキャリアにも繋がるでしょうし、将来「あの時のInsomniaに出ていたよね」という強い印象を残せたらと思っています。
「Insomniaとして活躍すること」と「MeatPieN個人として活躍すること」、今はその2つの目標があります。また配信試合に出られることになったので、皆さんにはぜひMeatPieNを、そしてInsomniaを応援していただければ嬉しいです。よろしくお願いします!
VALORANT Challengers Japan 2026 Split 1 Main Stageは3月19日(木)より開幕します。「若手たちをもっと世間に知ってほしい」と語るMeatPieN選手の思いとともに、自由なスタイルと爆発力でメインステージの強豪たちへ挑むInsomnia。彼らが大舞台でどのような旋風を巻き起こすのか、その躍進から目が離せません。
Insomniaの初戦は、3月19日 16時より、過去のオフライン大会からの因縁も交差するAGELITEと対戦します。
<取材・執筆:えとのす/撮影:松田和真/スペシャルアドバイザー:岡野朔太郎>