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先日開催されたVCT Ascension Pacific 2025。来年からのフォーマット変更によって最後のアセンションとなった本大会では、韓国のSLTが見事VCT Pacificへの切符を獲得、続きNongshim RedforceもVCT残留を確定させました。
アセンションの開催、そして新情報公開に伴い、現地ではVALORANT Esports APAC責任者であるJake Sin氏、そしてAPAC Tier 2プロダクトリードであるPablo氏によるQ&Aセッションが開催。来年以降のVCTとChallengersの展望や新システム「Path to Champions」について、そしてVCTパートナーシップの更新後の2027年以降の計画についての回答を、一部抜粋してお届けします。
――VCT Stage 2 Playoffsの出場枠について、韓国・日本・東南アジアが直通枠を与えられている現状に疑問を持つ声も多く聞こえます。このような決定に至った経緯を教えて下さい。
Jake Sin氏:発表の通り、Challengersから各地域のVCT Stage 2 Playoffsに出場できる枠はそれぞれ4つしかありません。この枠をどう分配するかの決断は非常に困難なものでした。これにあたって、私たちはまず各地域のレベル、そしてファンベースを考慮しました。
韓国と日本はPacificにとって主要な市場なので直通枠を与えるべきだと判断し、東南アジアはその人口の多さ、サブ地域の数、過去大会での戦績などを考慮して同じく直通枠を与えました。そしてその他の地域のチームのためにLCQを開催し、もう1枠を決める、という形になりました。この決定は決して容易なものではありませんでした。もっと枠があれば全チームに参加してもらっているところですが、限られた数の中で最善の判断をしたと思っています。
――この新しいフォーマットにおいてVCT Stage 2 Playoffsに出場するためのハードルが、Challengersから出場するチームとVCTから出場するチームで異なる可能性があるかと思います。この点についてどうお考えですか?
Jake Sin氏:そうなるかもしれませんし、そうならないかもしれません。例えばBOOMとNongshimはChallengersからVCTに参戦し、その実力の高さで多くのファンを驚かせてくれたと思います。来年ChallengersからVCT Stage 2 Playoffsに出場する4チームも同様にVCTチームと遜色ない実力を示してくれると期待していますし、私も来年実際に試合を見るのが楽しみです。
Pablo氏:SOOP VALORANT LeagueなどでもChallengersのチームがNRGやSentinelsを倒した過去があります。ChallengersのチームもTier 1のチームと対等に戦う実力があると思いますし、来年はサプライズがたくさん期待できると思います。
――VCT Stage 2 Playoffsに出場するChallengersチームのゲーム内アイテムは販売されますか?
Jake Sin氏:現実的に難しいので、販売されません。ですが、VCT Stage 2 PlayoffsからChampionsへ出場したチームにはChallengersからのチームもパートナーチームと同様にスキンの売上の一部が分配されます。
――VCTとChallengersではチームのロスターの国籍要件が異なると思います。VCTでは地域外の選手は1人までの制限ですが、Challengersでは2人まで、という違いについて、来年VCT Stage 2 PlayoffsにChallengersチームが出場した時どのような対応が行われますか?
Jake Sin氏:いい質問ですね。来年、地域外選手2人を擁するChallengersチームがVCT Stage 2 Playoffsに出場することになったとしてもVCTのルールに準拠したロスターに作り変えることは求めません。この点、VCTとChallengersで有利不利が生まれるのではないか、という意見もあるとは思いますが、来年はひとまず以上のように対応します。2027年以降はより一貫性のあるルールに作り替えていく予定です。
――2026年シーズンよりアセンションは開催されないということですが、その分のオフライン大会を別に開催する予定はありますか?
Jake Sin氏:アセンションを開催しないことでオフライン大会が1つ減ってしまいますが、私たちとしてもVCTの規模が縮小してしまうのは避けたいと思っています。この変更はTier 2の選手たちにも世界一に輝くチャンスを与えるために必要なものだと思っていますが、大会が減ってしまう分何かファンが楽しめるものを用意しようと思っています。続報をお待ちください。
――Pacificは非常に広いリージョンで、過去にはビザの取得ができず大会に参加できない選手が出るトラブルも何回かありました。チームへの経済的支援の他に、ビザ取得のサポートをする予定はありますか?
Jake Sin氏:ビザはEsports大会において度々問題になってきたと思います。私たちとしてもチームと緊密に連携してビザの申請をできるだけ早く行えるようにしたり、大会開催地の情報をいち早く共有したりという対策は可能だと思っています。現時点ではVCT Stage 2 Playoffsへの出場を決めたChallengersチームには75,000ドルの支援を行うことになっていて、ビザの申請やその他の準備にかかる費用をある程度カバーできるはずです。
ビザが大会参加への障壁になることは望ましくありません。「VALORANT」が上手いならば何者にも邪魔されることなく世界一まで駆け上がれるのだ、という夢を守るのが私たちの仕事ですから、ビザがその邪魔にならないよう対策を講じていきたいと思います。
――VCT CNは来年5都市を巡りながらの開催となりますが、近い将来似たような方式をVCT Pacificも取ることになるんでしょうか?
Jake Sin氏:ぜひそうしたいですね。ファンやチームのため、よりよい体験を作りたいと思っています。2027年以降はこういった取り組みも本格化していきます。予算面の問題とも折り合いをつけながら、大会の規模を拡大させていきたいと思っています。
――来年以降、Challengersにおけるアカデミーチームの降格保護が撤廃されることによる才能発掘の面での悪影響が懸念されていますが、この点についてどうお考えでしょうか?
Pablo氏:アカデミーチームによる才能発掘は非常にうまく行っていると思います、例えば韓国ではアカデミーチームからVCT Pacificに出場するようになった選手もいます。現状あまり戦績の振るわないアカデミーチームが降格保護を受けることによって代わりにChallengersのチームが降格になる、という事態が起きていたため、これを解消するためにルールを変更しました。Challengersで直接選手を発掘できるアカデミーシステムはパートナーチームにとっても利益のあるものであり続けるはずですし、これによって才能発掘の面で悪影響があるとは思っていません。
――国際リーグへの昇格システムが撤廃されることに伴って、Riotがパートナーチームに求める条件は変わっていくのでしょうか?
Jake Sin氏:来年はまだパートナーシステムに大きな変更は加えません。2027年にはパートナーシステム含め全体的なてこ入れをする予定なので、続報を待っていただければと思います。