韓国・ソウルにて開催中のVCT Pacific 2025では、7月17日(木)にDFM(DetonatioN FocusMe)とZETA DIVISIONが対決する形でそれぞれ開幕戦を迎えました。注目のカードとなったこの試合では、マップカウント2-1でDFMが勝利。互いのピックマップを13-1で取り合う劇的な内容となりましたが、アイスボックスではMeiy選手のスーパープレイも重なって、DFMがレギュラーシーズン初の勝利を獲得しました。
本稿では、試合後に実施したZETA XQQコーチへのインタビューの模様をお届けします。DFM戦の手応えや、チームとしての成長、SugarZ3ro選手にキャプテンらしい一面や、東京で行われるFinalsへの想いを訊きました。
◆同じレベルで高い理解度を持てていると言うには、ほど遠い
――まずはDFMと戦った感想を教えてください。
XQQ:ヘイヴンはDFMがあの構成においてやるべきことをしっかりやってきて、それに僕らがまんまと引っかかってしまいました。揺さぶりが多く最終的な攻め場がわかりにくいDFMの攻め方が、僕らが練習してきた防衛のシステムに噛み合ってしまっていたとも感じたので、練習で直していきたいです。ロータスでは、僕らがヘイヴンで感じたことと同じ印象をDFMも抱いていると思います。
――アイスボックスではノーデュエリスト構成でしたね。
XQQ:アイスボックスでは、まずめいわい選手(Meiy)が39キルで「アイスボックスはジェットか…」と思われるかもしれません。フィニッシュ(ラウンド終盤の運び方)で負けてはしまいましたが、僕らが考えていたプランややっていたこと自体は悪くはなかったと今は考えています。
構成を変えるかはわかりませんが、すぐTALON戦も控えているので、しっかり練習して挑みたいと思います。
そしてやっぱりめいわい選手が……日本人選手が強いのは喜ばしいことですが、僕らの試合ではやめてほしかったです(笑)
――Stage1終了後にXQQコーチが、課題として「チームとして全員がゲームの理解度を同じラインで持てていないこと」を挙げていました、これは克服できていますか?
XQQ:その理解度を深めることに重きを置いて練習してきました。負けるときはボコボコにされて、勝っているときは同じラインで合っているからこそ勝てるといった感じです。今日のアイスボックスでもフィニッシュにズレが生じていたので、みんなで話し合って改善していきます。
まだ全員が同じレベルで高い理解度を持てていると言うのは、ほど遠いと思います。
◆crowやLazを見て育ったSugarZ3ro、キャプテンらしい振る舞い
――TenTen選手が海外インタビューで、スクリム最初は雰囲気があまり良くはなく、あると気を境にしっかり腹割って話せるようになったと語っていましたが、どういうきっかけだったのかなど、お話しできる範囲で教えていただけませんか?
XQQ:互いに思っていることを伝えられず、わだかまりが生まれたり、解決すべき問題が解決できなかったりすることがあったんです。そんな中でSugarZ3roが「みんなが思っていることをしっかり話さないと、フィードバックを吸収できないから、まずは腹割って話そう」とキャプテンらしいことをやってくれました。
――本音を話せるようになったんですね。
XQQ:その出来事があって良かったと思います。これによってチームがどんどん改善していって、スクリムの調子はすごく良かったです。今日はスクリムではでなかった問題が大会で出て、それに上手く適応できなかったと思います。

――SugarZ3ro選手やDep選手はチームを引っ張る立場になったと思います。XQQコーチから見てどう成長したと感じますか?
XQQ:彼らがチームに入ったときはまだ10代でしたが…Depはそうだな…若干大人になったとは思いますけど、あんま変わらないです(笑)
SugarZ3roは、crowやLazの背中を見て育った選手でもあるので、年長者や経験を持つ人間が持つべき振る舞いを意識しているなと感じます。
――そういえばキャプテンは決まっているんでしょうか?
XQQ:SugarZ3roが一番キャプテンっぽいことをしていますが、決まってないですね。ゲーム内ではそれぞれが分担しています。
◆フラッシュバックするMasters Tokyo、東京でFinalsを迎えるカギは
――Finalsが東京で行われるということで、Masters Tokyoの時のように、これまで以上に特別な想いがあるんじゃないかなと思いますが、いかがですか?
XQQ:そうですね。東京で開催されると聞いて、Masters Tokyoと似た状況だなと思いました。僕らはチャンピオンシップポイントで出場するのは難しいので、Championsを目指すうえで東京に行くことがまず必要ですし、なによりVCTのシリーズとして日本のファンの皆さんの前でプレイしたいです。リベンジというか、燃えています。
――T1 HOME GROUNDも来週に控えてますね。
XQQ:どんな感じになるんでしょうね。いつもと違う場所でプレイするのはちょっと不安ですが、楽しみですし、いい経験になると思います。
――PRXも優勝し、高いレベルとなった今のPacificで上位を目指すうえで必要なことは、なんだと思いますか?
XQQ:当たり前のことですが、まずはとにかくプレイオフに進出し、プレイオフの過程でどれほどの反省を重ねて改善できるかが重要です。メタが変化したことで、Stage1の評価がStage2へイコールになることはなく、2コンや2デュエリストなど、自分たちのスタイルを見つけ、なおかつ適応できたチームが優勝すると思っています。
今日は結果として負けてしまいましたが、僕らが追い求めているイメージやこれまでの練習が間違っていないというのが実感として得られたので良かったです。
――ありがとうございました!