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2025年9月15日、『リーグ・オブ・レジェンド』国内公式大会の最終トーナメント「LJL 2025 Finals」のGRAND FINALがASHWINDER Esports ARENAにてオフライン開催され、「REJECT(RC)」と、「QT DIG∞(QTD)」が対戦しました。
試合はGame4までもつれ込み、最後は「QTD」の勝利で終幕。勝利した「QTD」は、つぎなる「LCP」への入れ替え戦へ挑みます。
シーズンを通し「LJL」の絶対王者として君臨していた「RC」に勝てたのはどうしてなのか――。試合後、メディア合同でのプレスカンファレンスがありましたので、その様子をお届けします。
――まずは本日MVPとなったYuhi選手にお話をお伺いできれば。どういったプレイが評価されたのか、ご自身が考える強みを教えてください。
Yuhi:強みというか、もともとの弱みを克服したのが大きかったのだと思います。いままでは味方がサイドレーンで強く動いているときに、僕がMIDで捕まることが多かったんですけど、そういう場面を減らせたのが逆に強みになったんじゃないでしょうか。
――今回の試合ではアンベッサMIDを取るなど、おもしろいドラフトも見られました。
Son:あれは相手の得意ピックを潰すようなピックでもありました。そこが上手くハマったのではないかと。
――負けてしまったGame3ではナーを起点にエンゲージするのがかなり難しそうに見えましたが、そのあたりはどうでしょうか。
Son:ナーを先に抑えたのですが、ちょっとBOTで欲張ったピックをしてしまい、構成的に難しい形になってしまいました。それは僕たちのミスであり、改善すべき点だと思います。
――Game3では、バロン前での戦いでYuhi選手のゼリが前にフラッシュをして、結果的に捕まる場面がありました。あれは「ここで勝ちきりたい」という気持ちが前に出すぎた結果なのかと思いましたが、どうでしょうか。
Yuhi:Game1、Game2で個人的に「活躍したな」と思っていて。Game3に入った際も、「このまま勝つんだったらMVPも取りたい」と思って……あんまり深く考えずにプレイしてしまったかなと。その結果だと思います。
――Game4に向けてはどのように修正されていったのでしょうか。
Yuhi:Game3自体は難しい構成を選んだこともあったので、Game4は自分たちにとって必勝とも言える、やりやすい構成を選んだんです。バンピックが終わった瞬間には「勝ったな」と思いました。
――Washidai選手、Hetel選手、Sonコーチにお話をお伺いしたいです。3人はそれぞれ長くLJLで活躍されていて、本日見事に優勝を決めました。もし過去の自分に会えるなら、なんて言いたいですか?
Washidai:「自信を持て」ですね。いままでやってきていて、自分が勝てていると思うことがあんまりなくて、努力する中でも、どこかで「相手のほうが上手い」と思ってしまっていたんです。でも決勝を戦ううえで、そのマインドは絶対にダメだと。「ミスってもいいから強くやろう」という考えでプレイしていました。それが結果につながったと思うので、「自信を持て」と、過去の自分に言いたいですね。
Hetel:「諦めるな」ということを言いたいです。去年は「V3 Esports」(「V3」)で3位になって、「PCS Playoff」へも進出できましたし、今年はプロになるのも難しい状況から「QTD」さんに声をかけてもらって、優勝することができました。
今年の序盤は、去年の上手くいった結果を引きずった結果プレイが傲慢になってしまい、ミスが多発して……「このままプロを続けられるのか」という葛藤や自分の中に壁を作ってしまうこともあったんです。でもやっぱり諦めなければ、こうやって日本一になることができる。だからこそ自分に怒りたいですね。「諦めるな」って。
Son:このシーズンを勝てた大きな要因として、過去の自分にはなかった“全員の体調管理”がベースになっていたのではないかと。今シーズンはBO5が多くて、どうしても体力を消耗してしまうんです。うちのチームは体が弱い人も多かったので、まず体調管理を一番に考えるようにしていました。選手も自分自身の体調をしっかり管理してくれたので、そこが本当に、誇りに思っているところです。
――「QTD」は「LJL STORM」からの参加でした。そこまではどのような準備をしてこられたのでしょう。
Yuhi:最初のシーズンに出なかったのは、調整というわけじゃなく、メンバー自体が決定していなかったんです。なのでそもそも出たくても出れない状況でした。
――Van選手とDice選手は、どのようにチームに慣れて行ったのでしょう。とくにVan選手は合流自体も遅かったと思いますが、どのようにコミュニケーションを取っていったのでしょうか。
Van:正直「優勝するのは難しいかな」と思っていました。コミュニケーションの部分は、皆さんが優しく、すごく親切に話してくれるので、問題は感じませんでしたね。Sonコーチの日本語がすごく上手いので、いろいろと日本語も教えてもらいました。
チームに最初来た時、チームと自分の“ゲームを見る部分”の違いを感じて、そこを合わせるのがすごく大変だったんですが、最終的にはうまく合わせられて、いい結果に繋がったと思っています。
――「LJL」としては久々のオフラインでしたが、どうでしたか?
Washidai:オフラインがそもそも初めてだったので……どうなるか全然わかりませんでした。めちゃくちゃ緊張するかもとか、ホワイトノイズ(※会場の音が選手たちの耳に入らないよう、ヘッドセットから流れているノイズ)とかもどうなるかまったくわからなかったです。
でも、ちょうど2週間前にチームのスポンサー交流会があって、そこではめちゃくちゃ緊張しちゃって全然話せなかったんですけど、逆にそれがいい経験になったというか。その会に比べれば……というとアレですが、今日はまったく緊張せずに済みましたし、むしろ楽しめるようになりました。
――つぎの戦いである、「LCP」との入れ替え戦に出場する各チームへの印象をお聞きしたいです。
Dice:一番強いのは「Deep Cross Gaming」(「DCG」)だと思います。でもまあ、俺らが一番……勝てるので、勝てると思っているので。やることをしっかりやれば、勝てると思います。
――今日の「RC」戦に向けた準備内容をお伺いしたいです。
Yuhi:ちょっと衝撃かもしれないんですけど……マジで練習してなくて、僕たち。まずHetelがコロナにかかって、Vanくんも病気で韓国に戻らなくちゃいけなくなってと、そういうことが続いていました。「DFM Academy」戦が終わったときぐらいからそういう状況で。ゲームプレイ自体も、パッチを間違えていたんです。スクリムとかも全部、一個後のパッチで練習していたんです。
なので準備と言えば、バンピックのことを考えることと、一昨日の夜にやったスクリム3戦分ぐらい。今日勝てたのが本当に不思議なぐらい、準備不足だったと思います。
Son:いま言ってくれたように、みんな順番にいなくなってしまって、練習ができなかったんです。でも最後に「RC」と戦うことはみんなわかっていたので、シーズン中ずっと「RC」戦に向けての考えとか、「RC」戦だったらどうするのかというドラフトの考えかたとか、常にずっと「RC」のことを考えて練習してきていました。
なのでまったく準備をしていなかったわけではなく、1年間かけて準備してきたような感じです。その準備が、この「LJL Final」で勝てたポイントではないかなと思います。
――Game1とGame2を勝っていったとき、チーム内での雰囲気はどうでしたか?
Washidai:Game1に勝ったときは、すごくうれしかったですね。準備も足りていなかったですし、最初は大事だと思っていたので。でも以前「RC」と戦ったとき、Game1に勝ってうれしい気持ちのまま戦っていったら負けてしまったので、今回はGame2でもGame1と同じマインドでやろうと。
Game3もそのつもりだったんですが、多分心のどこかでうれしい気持ちと「このまま3-0もいけるんじゃないか」と、いう考えが生まれちゃっていて、結果的にGame3を落としちゃったんじゃないかなと思います。そこからは「俺たち行けるぞ!」じゃなく「勝ってから喜ぼう」というマインドでやりました。
……ただ、そのせいで4Gameに勝ったとき、まだそのマインドが残っていてすぐには喜べなくて(笑)。気を張り続けてたんだなって。いまはすごく、安堵とうれしさがあります。